福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

還暦求聞持成満の記その17

2009-10-29 | 還暦求聞持成満の記
さきに引用した三教指帰「阿国大滝嶽にのぼりよぢ、土州室戸崎に勤念す。谷、響を惜しまず、明星来影す。」のところです。これは「阿国大滝嶽にのぼりよぢ・・谷響を惜しまず、」「土州室戸崎に勤念す・・・明星来影す。」」とつながります。即ち大龍寺で大師が求聞持法を修されたときは「谷が響きをたてた」とおっしゃるのです。

実際、舎心嶽の岩の上で夜の三時ころ行をしてみると雨の後は舎心嶽に降った雨が急峻な谷にながれこむ音が轟々と響きます。また少し風が出てくると松風の音がこれも風流を通り越した轟々たる響きをたてます。谷の響き、松風の響き共に「響きを惜しまず」という風情はよくわかります。お大師様はこの両方の響きをお聞きになりつつ百日間御修行されたのでしょう。

 しかしさらにこの「谷」には行者にのみ開示される深秘があったのです。先に述べた浅井師はこの内容についても高野山時報にのべておられますし、わたしもこの深秘を教示されましたがここでのべることははばかられるのでここまでにします。行中わたしもほんのすこしだけこの深秘を体験したような気がしました。
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