福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

金山穆韶師の「仏教における個体の観念」・・・17

2017-05-28 | 霊魂論
凡そ實大乗教は、一切世界を佛国土となし一切諸法の當体に佛徳を現成する道を明すものである。しかして天台よりみれば九界(地獄・餓鬼・畜生・阿修羅 ・人間・天上・声聞 ・縁覚・菩薩 の九界)の差別を迷妄視し、平等真如に還元せんことを教ふる唯心縁起の起心論等の説も、また一切諸法を幻夢、虚妄と観ずる印度における空観的実相論も、共に如来出世の真実本懐を開演せざるものとし、一切差別相の上に如来法性の光明を見る、真実の大道を明かさんとして、ここに所謂前代未聞の実相観を立てしものである。これ深遠なる実相観によらずば、差別相の當体、佛境界なる秘義が顕はれぬからである。

天台にては色心の諸法は法爾として三千の法を円具せる実相の体なりとす。即ち諸法の三千円具の処が実相である。したがって三千といふもこれ三千なる多数の法の意にあらずして三千とは円融の名である。即ち十界の諸法宛然並び立ち、而も一性無性にして、互いに隔つることなく、無碍自在、体一互融の妙体を、三千円具の実相体となす。実相は深甚の佛境涯なり、一切世界は此の実相を出ずる者なきが故に、実相観に住せば、一切世界は一佛国土となり、上は佛界より下地獄界に至るまで毘盧遮那の常寂光土を現成するにいたるのである。
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