↑フジテレビ「ガリレオ」の放送画面より。ダイニングルームにて。
それから、わずか一週間後、総勢七十名の撮影部隊が、ゴールデンウィーク明けの閑散とした峰の原にやってきた。
ペンションの中は、あっという間に、人や機材でいっぱいになった。客室は、撮影で使う1部屋を残して、俳優さんの控え室、メーク室、衣裳部屋、監督さんが機材と共に陣取る即席スタジオに早変わりした。
もちろん、福山雅治もやってきた。「福山さん、入ります」という一言で、現場はピリッとした空気に包まれた。さすが、「視聴率を一番取れる俳優」だ。「天は二物を与えず」なんてことわざがウソであることは明白だった。
第六話の撮影が始まった。あの福山雅治がすぐ目の前にいて、湯川教授を演じている。現実なのに、遠くで起こっている事のようで、不思議な感覚だった。
撮影は朝六時半に始まり、深夜二時にまで及んだ。その理由は、フジテレビの主力ドラマといっても、予算の都合でカメラが一台しかないのだ。
例えば、福山さん、吉高さん、夏川さんが登場するシーンでは、最初にリハーサルを二~三回やり、続いて、それぞれがしゃべるシーンを、別々に撮っていく。つまり、同じシーンの撮影が、最低でも七~八回は繰り返される。もし、誰かがNGを出せば、当然、撮り直しだ。カメラに映っていない俳優さんがNGを出しても撮り直し。ドラマでは、数十秒のシーンの撮影に、30分以上掛かることはざらだった。
感心したのは、脇役の俳優さんがしゃべっているシーンでも、福山さんも吉高さんも、きちんと声出しを行っていたことだ。
あとで藤井さんに聞いた話しだが、福山さんは、撮影現場に入る前に、セリフを全て覚えてくるそうだ。実際、他の俳優さんが、待ち時間に台本を読んでセリフをチェックしていたのに対し、福山さんが台本に目を通す場面はほとんど見られなかった。(続く)
↑フジテレビ「ガリレオ」の放送画面より。客室フロアの吹き抜けスペースにて。
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