大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 5月25日 扉

2013-05-25 19:24:37 | B,日々の恐怖








     日々の恐怖 5月25日 扉







 Nさんはエレベーターの管理、修理をしている。
ある日、病院のエレベーターが故障して止まってしまった、と連絡を受けた。
 すぐに車を飛ばしたが、到着した時には2時間がたっていた。
現場へ向かうと、人だかりがしている。
中には看護婦が閉じ込められているらしい。

「 大丈夫ですかあっ!」

Nさんが呼びかけると、怯えた女性の声が返ってきた。

「 出してください、はやくここから出して!」

がんがん扉を叩く音がする。

「 待ってください、今すぐに助けます。」

道具を並べ、作業に取り掛かった。

「 扉から離れていてください!」

と叫ぶ。

「 はやくはやくはやく!」

がんがんがんがんがん!!

「 扉から離れて!」

Nさんはもう一度叫んだ。

がんがんがんがんがんがんがんがんがんがんがんがん!!!

扉は狂ったように内側から叩かれている。
ちょっと尋常ではない。
パニックになっているのだろうか。
周りの人も不安げに顔を見合わせている。
 見かねて院長が扉に近寄って、怒鳴った。

「 扉から離れなさい!危険だから!」
「 離れてます!!」

女の悲鳴のような声が聞こえた。

「 暗くてわからないけど・・。
ここ、なにかいるみたいなんです!」

Nさんはぞっととした。
じゃあ、今目の前で扉を殴打しているのはなんだ?
 つとめて考えないようにして大急ぎで作業にかかった。
扉を開けたとき、看護婦は壁の隅に縮こまり、しゃがみ込んで泣いていた。
 彼女曰く、電気が消えた後、何者かが寄り添って立っている気配がしたという。
気配は徐々に増え、Nさんが来る頃には、エレベーターの中はそいつらで一杯だったそうだ。
















童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------