大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 5月18日 質屋

2013-05-18 17:40:16 | B,日々の恐怖






     日々の恐怖 5月18日 質屋






 今から7、8年前、老舗質屋のご主人さんと話す機会がありました。
その時の会話です。


実家がずっとやってたんでねぇ・・。
サラリーマンもしましたが、結局30になったぐらいに継ぎました。

じゃあもう10年くらい?

そうなりますね・・。

その頃と今と違う?

やっぱり厳しくなりましたね~。

業界が?

いや、不景気になると、けっこう質屋業界は安定するんですけど・・。
ま、人様の幸せ考えたら、安定したらアカンのですけど。(笑)

じゃあ規制とか?

そうです・・。
ネットで商品横流ししたり、オークション詐欺する人間増えてきたので、我々のように店舗でやりとりする業界にも、しわ寄せきてますわ。

昔はそうでもなかった?

僕が継いだ頃はボチボチ厳しくなってましたけど、親父がやってた頃は、それこそ、昔の映画のシーンみたいなこともあったみたいですよ。(笑)

めっちゃ興味ある・・。
旦那さんは体験したことないの?

僕もね、1回ありましたよ。

聞きたい。(笑)

めっちゃ雨の日でしたわ・・。
100円傘閉じて、まあまあビショ濡れで、ニット帽目深のコート姿のおっちゃん、入ってきてね・・。

うう・・ハードボイルド。

目ぇ合わさへんのですよ・・。

どうみてもヤバい感じなんや?

ま、人目を忍んでくる業界ですからね・・。
初見はみんなだいたいそうなんですけど。

で・・?

それが、コートの胸元から、新聞紙に包んだこれ(ひとさし指で弾くまね)、カウンターに置いてね・・。
「値段わかるかっ?」
って、一言。

こ、怖いわ・・、というか怖くなかったん?

そりゃもうドキドキものですよ。(笑)

むこうはなんて?

「50でええから。」って。

リアルな値段?本気なんやろね?

カウンターの下にね、警察直通の警報ボタンありますし、そういう類いのヤバい人はみんな知ってる。

物取りではほとんど来ないもの。
要はお金に早く換えたいだけなんですよ。

いやァ、俺やったら強盗?って絶対思うわ。

先にブツ置いた時点で物取りやない。
僕ら商品より、人見てるんで・・。
物取りで脅してるのか、ほんまにお金に換えたくて来てるんか、見極めなあきませんねん。

でも、換えれないっしょ?

当たり前ですやん。(笑)
でも冷静に対応せんと、命が危ない。

なんて言うたん?

「申し訳ございません、当店では取り扱っていませんので、お持ち帰りください。」
って、ゆっくり、はっきり言いました。(笑)

かっこいい~。

いやァ、脇は汗びっしょり・・。
ボタンを押そうとしてた指は震えてましたわ。

すぐ押したらええのに?

むこうも、ブツをすぐ置いてくれたんでね・・。
後々警察来て、いろいろ聞かれるの面倒やなって踏みとどまりました。(笑)

ニット帽おっちゃんは素直に帰ってくれたん?

「すぐいるんやけどな~ここはアカンかっ?」って。
サッとブツしまって、出ていきました。

5万でも無理?って粘られても困るし。(笑)

ほんまですわ・・。
今じゃ考えられん話ですけど。

考えられへんとは?

まず、持ってこんでしょ?来たら強盗。(笑)

やねぇ・・でも、それもってウロウロされてもな~、な話。
いずれ、どこかで罪犯しそうやけど。

持ってることがもう犯罪。(笑)
通報ボタンね・・、意外と押せないっちゅうか、動揺してる時って、どっか頭飛んでますねん。

すぐ警察かけつけてきたら、逆切れされるとか・・、そっちが怖かったかもです。
とにかくこの場から消えてくれ~、にまずなりますねぇ。

かも。

なかなか冷静になれるもんじゃない、・・です。(汗)













童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------