大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 5月1日 霊園

2013-05-01 18:20:19 | B,日々の恐怖








     日々の恐怖 5月1日 霊園








 Sこと僕は、その日友人のY君の誕生日を祝うため、友人3人で松戸の常磐にある24時間営業のボーリング場に来ていた。

S     「Yよ、お前20歳の誕生日に男だけとはこの先のお前の女運も知れたもんやな!」
友人Y   「うっせーよ!あんたたちこそ有り難いと思いなよ!」
友人K   「はっはっはっはっ!そんな事言って本当は嬉しいくせに!」

そんな会話を交わしつつも僕は「いやマジで女の子いたら楽しいのになぁ・・。」と思っていた。

K  「Yって幽霊とか見た事あるの?!」
Y  「ないよ!20歳まで見なかったら見ないんでしょ?だから俺は一生見ることないっしょ!」
K  「じゃあ今日見たらどうなんだろう?!」
Y  「もう見ないよ!」
K  「わかんねぇよ、お前びびってんじゃねぇの?(笑)」
Y  「だってお前ろくな事考えてなさそうだから!(笑)」
S  「もうやめとけや!帰りのお楽しみに取っとこうや!(笑)」
Y  「なんだよ、あんたまでろくな事考えてんじゃない?勘弁してよ~。(笑)」

そんなYの期待(?)を裏切ることなく僕たちは帰りに八柱霊園に肝試しに行った。
 時間は草木も眠る丑三つ時、午前2時30分、小雨が降りはじめジメッとしていた。
本当にかなり気味の悪い雰囲気の夜だった。
東京ドームほどの大きさがある八柱霊園はお参りにはみんな車で入園するほど広かった。
僕たちも車で入園し数分走ると・・・・、迷った。

K  「Sちゃん、迷ってんじゃないのこれ?」
S  「当たり前やないか!誰が霊園の道覚えとるねん!」
Y  「S君、運転代わるよ!マジで、ワザと迷ってんじゃないの?」
S  「アホ!そんな訳ないやんか(笑)!」

そういいつつ運転をかわったが、数分後Yも同じく道が解らず迷っていた。
 そのまま15分程走ったところで唯一地元のYがラジオで聞いた話をし始めた。
その話は芸能人のラッシャー板前さんがこの近所に住んでいて、彼はいつも深夜この園内を横切って帰宅していた。
ある気味の悪い夜に気乗りはしなかったが、いつも通り霊園を横切って帰っていたところ自転車がいきなり重くなり、おかしく思った彼が後ろを振り返るとそこに、

「ふっふ.ふ.ふっ...、あ..、ははは.は.は...楽し.い.な~.楽.し.いな.~.........。」

 そこにはなんとおさげの顔色の無い女の子が鼻歌を歌いながら乗っていた。
しかもその女の子はドンドン重くなっていくのであった。
急いで自転車から降り逃げようとしたところ、その女の子が背中におぶさり、

「い.や........逃げ.ない.で~.......逃.がさ.な.い.か.ら.......。」

と言い出口までついてきたという話だった。

S  「あほやな!ラッシャーやろ!嘘に決まっとるがな!」(本当はかなりびびっていた。)

 Kは言い出しっぺのくせして、こういう話は一番苦手だった。
後部座席で頭を抱えたまんま、

K  「早く出口探してよ!もう帰ろ!早く出口探してよ!もう帰ろ!」と連呼していた。
Y  「罰が当たってんだよ!(笑)」
S  「怖いんなら最初から言うなよこの童貞野郎!(笑)」

状況と場所を忘れて、Kを見ていると笑いが止まらなかった。
 しかし区域を知らせる看板が在る事に気がついた僕は、

S  「Y!12区って書いてあるけどこれ辿って行けば帰れるんと違うか?!」
Y  「S君、今12区って言った?......あのさあ13区って無縁仏が祭られててそこが一番やばいらしいよ!!!」
S  「Y!向こうの看板何区って書いてある?」
Y  「俺も目が悪いからマジで見えないよ!」

唯一3人中目の良い佐渡島出身のKは頭を抱え耳をふさいでいた。
 3メートル手前ほどで看板に「13区」と書かれてあるのが確認できた。
右に曲がると13区!
まっすぐ行くと10メートルほど向こうに行き止まりの壁が見える!
引き返そうにも道が細くて引き返せない。

Y  「S君どうしよう?道細くて引き返せないよ!」
S  「んんんんん~・・・・・。」
K  「ひっく・・、ひっく・・、もうやめてくれよー!(20歳にもなって半泣き)」

凄く霧がかった曲がり角の中心で、何故か突然Yがブレーキを踏んだ。

Y  「マジで13区は・・・、切り返そうか?!」
S  「アホ!!!止まるなや!右行って13区思いっきり跳ばしていけよ!ボケ!!!」

僕の怒鳴り声で驚いたのか一気にハンドルを右に切り、墓石にぶつけないようにそっとアクセルを踏み曲がり始めた。
 しかしその時、僕たちは視界の右端から白い影が近づいてくるのがわかった。
車が真正面に向いた時、僕たちの目の前には、長くて腰まではある黒い髪、そして表情のない顔、真っ白な浴衣のような着物、足は霧で見えなかったというより無かったように見えた。
その着物の女性はじっと墓石を眺めていた。
 そのまま約20秒ほどだったと思う。
僕もYも何も言えずまるで時間が止まっているようだった。

K  「何どうしたの?2人とも何とか言ってよ!!!」

その時、彼女にもまるでKの声が聞こえたかのようなタイミングで横にいる僕たちの方をゆっくり見た!
 僕もYも身の危険を感じながらも動けなかった、喋れなかった。
しかし次の瞬間僕とYの前で信じられない事が起こった。
なんと彼女はニコリとし、頭の先から霧になり、その眺めていた墓石の中に吸い込まれるように消えていった。

S  「Y見たか?」
Y  「見ちゃったよ!!!見ちゃったよ!!!!」

そう言うとYは思い出したようにアクセルを踏み、彼女が見つめていたお墓の前で止まった。
そこにはお花にお酒、ジュースにお菓子、1~2日以内にお参りに来たと思われる形跡があった。
 僕たちはなぜかお辞儀をしてそのまま何も喋らず、ただまっすぐ車を走らせた。
不思議な事に30秒ほど走ると僕たちの目の前にすぐに出口が見えた。
振り返ると今走ってきた道と全く違う景色の道がそこにあった。
入り口の地図で確認しても13区と入り口はかなり遠くとても30秒で行ける距離ではなかった。
 そんな20代最初の誕生日を迎えたY君は、それからは今まで全く無かった金縛りにあったり、霊を見たりするようになってしまいました。

Y君、Kくん元気かな?


















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