右手と左手が そっと組み合わされている
離れもせずきつくもなく 肌のぬくもりがかすかに伝わるかもといった
ほんのわずかな接触だけで 留まっている
この手は一人の手ではない よく見ると大きさが異なっている
たぶん一人の男の右手と 一人の女の左手
二人がお互いの一方の手を差し出して 出来上がった形だ
その形は 何を意味するのだろうか
彫刻の作者は オーギュスト・ロダン
彼が名付けたタイトルは 「カテドラル」(=大聖堂)
そう この二つの手が一つになって出来上がったテーマは「祈り」だ
大聖堂(カテドラル)の存在は 人が為そうとしても成し遂げえない目的 望み
思いもかけずに 陥ってしまった過ちや苦悩
そんな人生の節々にたたずむ場所 としてあるのかもしれない
なら 自分にとって祈りとは何なのだろうか
ロダンが具象化したこの作品が 意味するものを見出せないままに
ロダン美術館の閉館時間を 迎えてしまった