ある日、サンマルコ広場の夜明けを見に、ホテルを出発した。
まだ暗い広場の向こうに、サンマルコを象徴する獅子像と聖テオドーロの像が載った塔が二本、黒々と立っている。その中心に小さな三日月。
ヴェネツィア共和国の千年は海洋国家としての歴史だった。その千年間ずっと、正式な表玄関はここサンマルコ小広場から海に向かった空間だった。
その玄関でラグーナを見つめているうちに、少~しだけ明るさが加わってきた。
ドゥカーレ宮殿の角のシルエットが荘厳のイメージ。
獅子像のある高台の位置はもう、空の色が明るめの青に変わってきている。
東の空が赤く染まり始めた。
でも、街灯の明かりはまだ健在。
いよいよ赤味が広がり。対岸のマッジョーレ教会がくっきりと姿を現し始めた。
ゴンドラもしっかりと存在感を示しだしている。
さあ、夜明けだ。今日も一日良い日でありますように!