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ヴェネツィアに行くたびに訪れる教会がある。サンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ教会。ティツィアーノの「聖母被昇天」に会うためだ。
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この教会は、ヴェネツィアでも2番目に高い鐘楼を持つフランシスコ会の重要な教会だ。内部にはルネサンス期の傑作が美術館並みに揃っている。
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主祭壇にはティツィアーノによる「聖母被昇天」。鮮やかな色彩、画面を3つに分けた劇的な構成、明暗によるインパクトの強さ、さらに天に昇ってゆく聖母マリアの恍惚とした表情と、それを見上げる弟子たちの流れる動き・・・。
20代後半でこれを描いたティツィアーノは、一気にヴェネツィア絵画界のスターダムにのし上がった。そして、生涯‟ヴェネツィア絵画の王”として君臨することになる。
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その、高さ7mもある大きな画面と合わせるようにして、聖歌隊席の仕切りが同じ形をしており、後方から主祭壇を見ると、2つのアーチが重なって、より印象的な空間を作り出している。
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ティツィアーノが、続いて制作したのが「ペーザロの祭壇画」。聖母子を右上方に、ひざまづく寄進者を左下方に配置した新しい構図が目を引く。
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聖歌隊席はヴェネツィアでオリジナルの姿を保っている唯一の教会だ。
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124の木造の席が見事な装飾で飾られ、照明を浴びると黄金に光り輝く。
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ベルナルド礼拝堂には、祝福を与える聖マルコを描いた多翼祭壇画。バルトロメオ・ヴィヴァリーニ作。聖マルコさんのお顔には、この絵で初めてお目にかかった。
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聖具室に行くと、ジョヴァンニ・ベッリーニがお得意の聖母子を描いた「フラーリの祭壇画」。絶妙な色彩感覚による作品は、立体感に溢れている。
サンマルコ停留所近くのハリーズバーに行くと、ヴェネツィア発祥のピンクのカクテル「ベッリーニ」を飲むことが出来るが、その味わいは、この絵のように重厚でしみじみとしたものだ。
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ヤコボ・サンソヴィーノによる「洗礼者ヨハネ像」。ヨハネは若々しい。
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こちらはドナテッロによる「洗礼者ヨハネ」(中央)。相当にひげが濃くなっている。ヴェネツィアに残っているドナテッロの作品はこれ1点だけだという。
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何度目かの訪問で初めて見つけた「ピエタ」のレリーフ。これもすごい!
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アレッサンドラ・ヴィットリア作の「聖ジェローム像」。老人の像だが、たくましさが半端ない。
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しっかりと堪能しての帰り際、出入り口の上にも立派な彫刻が施されているのに気付いた。
本当にこの教会の奥深さにはいつも感心してしまう。