南翼楼に行くと、大理石の大きな彫刻作品がある。ベネッディット・アンテラーミによる「十字架降下」。
磔刑となったキリストが十字架から降ろされる場面だ。
中央にキリストがおり、アリマタヤのヨセフがキリストを抱きかかえている。向かって左側、キリストの右手にほほをよせる聖母マリア。 右側のニコデモはキリストの左手を十字架から降ろそうとしている。
右端にはうつむくシナゴーグ(ユダヤ教の象徴)がいる。そして、上に文字が書いてある。
「1178年2月 彫刻家が現れた。
この彫刻家はアンテラーミと呼ばれるベネディットである」
作品は1178年の制作だ。12世紀といえばルネサンスから2世紀以上も前の時代。彫刻をする人もこのころは「単なる職人」でしかなく、まだまだ芸術家として広く作品が認められる時代までには幾多の年月を待たねばならない中世。
そんな時代に彼は堂々と自らの名前を作品に刻み付けた極めて珍しい作品だ。「無名の職人たち」から「美の担い手」としての芸術家へ。アンテラーミの自信と誇りが感じられる。
また、別のクーポラにも躍動する絵が描かれていた。
こちらは黄金の祭壇と天井画。
キリストの勝利を示す絵かも。
また、天井画にはきめ細かな女性像が至る所で踊っていた。
大聖堂を出て、次は奥にあるエバンジェリスタ教会へ。
その前に、ピンクの大理石が美しい洗礼堂を1枚。
入口の幾重にも折り重なるアーチや装飾も見飽きない。ただ、前回の訪問時に見ているので、今回は中へ入らなかった。
大聖堂のすぐ後方に位置するエバンジェリスタ教会。
ここにもコレッジョの作品が天井に描かれている。こちらは聖母ではなく「キリスト昇天」。またのタイトルが「福音書記者ヨハネの幻視」。ヨハネが円蓋のふちに腰掛けて、天空に展開する幻視を見ているという光景だ。
この教会では、他にも各所に像が効果的に配置されている。これは聖母子像。
これも聖母子像かな?
ヒゲの聖人も。
時間があまりないのでかなり駆け足になってしまって名残惜しいけど、先を急ごう。