
モデナの大聖堂内部に入った。ロマネスク様式による半円形アーチが印象的だ。

内陣の障壁を見てみよう。細い円柱で支えられた欄干に、細かな彫刻が施されている。

中央を占めるのが最後の晩餐のシーン。

隣にはキリストを裏切るユダの接吻(ここにはわずかに完成時の彩色が残っていた)とペテロの耳切りがあり、さらにむち打ちのシーン、十字架の道行き。

反対側には弟子の足を洗うキリストの姿が彫られている。 これらはアンセルモ・カンピオーネの作品だ。

その奥にある円柱の礎石部分が面白い。6本の円柱が内陣を支えているのだが、何と動物がその柱を背負っている。

こちらは腰をかがめた男性が背中に柱を背負っていた。なんかかわいそうにも見える。聖書に登場する場面を象徴的にピックアップして礎石として使っているという。

テラコッタの群像があった。これはペガレッリ作のキリスト降誕。

生後間もないキリストを2頭の牛が見下ろすという構図が何ともユニークだ。

さらに奥へ行くと信者のための礼拝堂があり、そこに彩色されたテラコッタの像があった。グイド・マッツォーニ作の「重湯の聖母」。この像には見事に色彩が残っていた。近年修復されたのだろうか。

最奥のスペースは、アーチ型の仕切りがなされて美しい。

モデナは世界三大テナーの1人ルチアーノ・パバロッティの出身地。2007年9月8日、彼の葬儀はここ大聖堂で行われた。

数千人の弔問者らによる悲しみの声でこの大聖堂が埋め尽くされた。
モデナの特産はバルサミコ酢、そう呼べるのはモデナとレッジョエミリア産のものだけに限られるという。残念ながら現地では味見する時間がなかった。