新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

パルマ① たくましく劇的に立ち上がる聖母。コレッジョの傑作「聖母被昇天」

2018-07-14 | イタリア・パルマ
 マントヴァからは電車でボローニャに移動した。ボローニャに4日間滞在したが、その間日帰りで訪れたパルマとモデナを先に紹介しよう。


 晴れた朝、パルマに出かけた。パルマは紀元前187年、ローマ時代に完成した歴史的街道であるエミリア街道の中にある主要都市の1つ。
 同街道はアドリア海のリミニからボローニャ、モデナ、パルマを経由してミラノに繋がるイタリアの大動脈だ。

 この街の主目的はコレッジョの作品に会うこと。パルマには大聖堂、エバンジェリスタ教会、国立絵画館など、訪れようとしている場所のどこにでもコレッジョの作品が残されている。

 まずは大聖堂へ。駅から南に向かう大通りを歩いていくとピロッタ宮殿がある。

 広場の群像レリーフを横目に見ながら歩く。

 迫力たっぷりの群像だ。

 旧市街へ。

 ドゥオモ広場が見えてきた。

 広場に足を踏み入れると、大聖堂と洗礼堂が並び立つ格好で広場を囲んでいる。早速中に入ろう。

 堂内の壁面はびっしりとフレスコ画で埋め尽くされている。ジローラモ・マッツォーラ・ベドーリの作品だ。

 それだけでも十分華やかな香りを放っている。

 奥の祭壇に向かって歩みを進める。

 と、中央のクーポラが頭上に迫る。

 見上げると、そこには目くるめく情景が展開されていた。「聖母被昇天」。コレッジョ晩年の作品だ。

 中央の空にキリストが浮いている。

 その主を見上げる女性は聖母マリア。短縮法によって極端にデフォルメされて直立しているように見えるマリアは、天使たちに囲まれている。
 ただ、この聖母マリアは、コレッジョが何枚も作品に描いた優しさあふれる姿ではなく、たくましく堂々と立ち上がる聖母だ。

 天井の空間から降り注ぐ光の渦を受け止めて、

 母を迎えに来たキリストに向かって、まさに決然と天に昇ろうとする姿がそこにあった。

 らせん状に渦巻く天使たちの中心に浮かび上がる姿態。これほどまでに上昇度を感じさせる作品はなかなかお目にかかれない。というより、一緒に上空に吸い込まれそうになる感覚さえ味わえる稀有な瞬間が、そこにあった。

 ここを訪れたスタンダールも感動のあまり涙したと伝えられる。そして、後年ローマを中心として隆盛を誇ったバロック絵画の先駆けともなる記念碑的な作品だ。

 実は10年前にも1度ここを訪れたが、その時は内部の修復中でこの作品に出会えなかった。やっと出会えた感激も加わって、しばしとても幸せな気分に浸っていた。





 

コメント (2)
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