イタリア中部の山岳地帯にポツンと忘れ去られたように孤立して1つの村がある。
La citta che muore(死にゆく町)と表現されるチヴィタ・デイ・バーニョレッジョは、周囲が何度もの地震や災害で崩壊し、今や完全な絶海の孤島の様相を呈している。
住人は10数人。そこへたどり着くにはたった1か所しかない長い坂道をひたすら上るしかない。
ようやく上り詰めて、1軒しかない民宿にチェックイン。しばし村内を散歩してみた。
すると、あちこちに階段が見つかった。この家の階段は2階行きの専用階段。
こちらの階段には鉢が並び、いろんな花が咲き始めていた。もう少しすれば花一杯の「花階段」に変化して行きそうだ。
対して、この階段はすっかりネコちゃんの休憩所となっている。
あれあれ、この村には人よりネコの方が沢山住んでいたりして・・・。事前の想像とはちょっと違った「幸せの階段風景」がそこにあった。
さて、夕方から夜にかけてのこの”孤島”の風景はどんなものかと、対岸まで出かけて眺めてみた。昼には感じなかった孤独感に全身を包まれたような気分になる。周囲の物音も全く聞こえない。
頂上に見える小さな明かりを、しばし呆然と見つめ続けるだけの時間だった。