金堂に到着した。
室生寺は奈良時代の680年、天武天皇の勅命によって建てられた。 高床式、気品と風格にあふれる建物だ。
(「週刊朝日百科 日本の国宝」より)
中には国宝の釈迦如来立像がある。榧の一木造。どっしりと落ち着いた重厚さが際立つ。衣には朱色が残されていて今でも鮮やかに色が浮き出ている。その衣は漣波式という流れるような紋が印されている。
金堂には、同時代としては唯一の蟇股に薬壺が刻まれているという。それは薬師堂として建てられたことを示すもののようで、この本尊の釈迦如来立像も、元々は薬師如来だったとも考えられているようだ。
(JRキャンペーンポスターより)
また、十一面観音菩薩像も、今は2020年に新しく出来た宝物殿に移されたが、それまでは金堂に安置されていた。
ふっくらとした下膨れの顔立ち。まるで少女のような優しくあどけないと表現してもよいような表情を浮かべ、伏せた瞳の清らかさを思わせる。
(「週刊朝日百科 日本の国宝」より)
頭上には異なる表情の仏様の顔が十面。いずれも慈愛に満ちた姿は、永年にわたって特に女性たちの崇拝の対象になってきたのもうなずける気がした。
周囲には高い杉木立が並ぶ。
金堂右側には天神社拝殿があり、
その奥には天神社が見える。
拝殿の横には岩の彫刻が置いてあった。これも実は立派な神様だということが、あとでわかった。「軍茶利明王石仏」。災いを取り除いてくれるという10本の腕を持つ明王様。へえー、えらいんだ!
反対の左側には弥勒堂が建つ。
そして、光の当たる杉の枝ぶりがまぶしい。
金堂庇に残る彩色も興味深かった。