五重塔は平安時代初期の建立。屋外の五重塔としては法隆寺に次いで2番目に古く、国内最小の塔でもある。 その真下に立つとそんな小ささは感じない。
四角く区切られた五つの屋根。朱色に染められた軒下部分と外側を縁どる白のコントラストが鮮やかだ。
背景は緑。まだ浅い緑だが、塔の朱との対比で塔を一層クリアに浮かび上がらせる絶妙の配置になっている。
高さ16m。小さいとはいえ、直下の階段から見上げることで、その小ささは全く感じさせない風格を身に着けている。
平安時代初期(800年ころ)の建立。勾配が緩い造りで、初層から最上層までほとんど同じ大きさに見えてしまう。
間近に立ってあおる角度でシャッターを押すと、角のとんがりが重層に重なって、一瞬空に向かって飛び上がりそうにも思えてきた。
1998年の台風で倒れた木の衝撃によって、五層すべての屋根が打ち砕かれるという大被害を被った。
でも全国から寄せられた義援金によって2年後には修復されるという奇跡的な出来事もあった。其れだけ厚く広い支援者の支持を受ける五重塔だということも出来そうだ。
ここからさらに奥の院に続く坂がある。到達までは700段以上の階段が待っている。さすがにそれは大変。引き返すことにした。
最後に宝物殿に納められた仏像の一部を紹介しよう。
(寺のポスターより)
本来金堂にあったものだが、宝物殿に移された寅神。十二神将のうちの一体で、怒りの表情が生々しく素晴らしい。
(寺のポスターより)
対照的に穏やかな表情加えて安定感に満ちた姿が際立つ釈迦如来坐像。元は弥勒堂にあったものだ。
春の朝に歩いた室生の里は、清々しい気分に満たされる時間だった。