(JRキャンペーンポスター より)
唐招提寺は、わが国で初めて正しい仏教の戒律を身につけるための修行の場として創設された寺だ。
指導に当たったのは、唐の高僧だった鑑真和上。5度も渡航に失敗し、その間失明してしまうという不幸に見舞われながらも、不屈の意志でついに754年来日を果たし、我が国の仏教布教に大きな功績を残した。
その鑑真和上の寺が、759年に創建された唐招提寺だ。
南大門を通るとすぐ眼前に金堂がとらえられる。創建以来5回の大改修が行われたが、2009年の平成大改修を終えて、すっかり清新な姿に戻っている。
その屋根の両端に光るのは、屋根飾りの鳩尾(しび)。井上靖が鑑真の生涯を描いた著書のタイトルにもなった「天平の甍」だ。
正面は8本の柱によって支えられている。
(NHK8K国宝へようこそ より)
金堂内には巨大な像が安置されている。本尊は廬舎那仏座像。座像なのに3mもある大きさで、光背を含めれば5mを超す。圧倒される迫力だ。
(NHK8K国宝へようこそ より)
その迫力の大きな要素は、光背にびっしりと居並ぶちいさな仏様の姿だ。当初は実に1000体の仏様があったとか。現在でも864体が盧舎那仏の周囲から、対面する私たちを見据えている。
経典によると、「廬舎那仏は蓮華の中央に座し、自らの体を千体の釈迦如来に変化させて、蓮華の一葉一葉に出現させる」という。
(カラーブックス薬師寺・唐招提寺 より)
もう1つ、さらに驚きの像がある。千手観音立像。これも537cmの巨像。しかも本当に千の手を持つ極めて珍しい最古最大の千手観音像だ。
(NHK8K国宝へようこそ より)
通常千手観音像といっても42本の脇手で代表されるのだが、この観音像はさらに911本の小手が放射状に広がって合計953本の手を備えている。もともとは本当に千本の手があったらしい。そしてそれぞれの手に人々の病をいやすためや願いをかなえるための様々な持ち物を持っている。
(仏像に会う 53の仏像の写真と物語 より)
千の数字は「数えきれない」ことを意味する。つまり観音様は無限の功徳を持って人々を救う存在なのだということを示唆しているという。
そんな巨大仏の発する威厳と威圧感で、堂内ではただ、立ちすくむだけだった。