大仏殿を出て少し戻り、近年新しく完成した東大寺ミュージアムに入った。ここには豪華な仏像群が並んでいた。
まずは日光月光像。本来は法華堂の不空検索観音像の両脇に並べられていたが、ミュージアム完成によってこちらに移された。
(天平の楽園 東大寺 三好和義 より)
向かって右に日光菩薩。穏やかな表情を浮かべ、そっと手を合わせる姿は、それを見る人にも心の落ち着きを与えてくれるような安寧の気持ちを伝えている。
(週刊朝日百科 日本の国宝 より)
胸元はわりと広く開いて、衣服の襞が胸から全身にかけて太い紋のように流れ落ちている。
(天平の楽園 東大寺 三好和義 より)
左の月光菩薩。両手を合わせる姿は同じだが、心持ち物思いに沈むかのような表情に見える。
(週刊朝日百科 日本の国宝 より)
胸元の開きは狭く、衣紋も袖の周囲に限定されている。
また、元々は戒壇院に安置されている四天王立像が、建物の修理のために臨時にここに並んでいた。こちらは日光月光像とは対照的な表情だ。
(週刊朝日百科 日本の国宝 より 以下同)
まず、カッと目を見開いて怒りを全身に湛えた増長天。
真一文字に結んだ口元の緊張感が熱気をはらむ持国天。
現状を憂うるかのような眉の張りに引きつけられる多聞天。
すべてを見通すごとくに、まなじりを決して立つ広目天。
いずれもただならぬ迫力で、全身から気迫がみなぎっている。
亀井勝一郎は、自らの著書に「四天王の美は戒壇院を頂点とする」と記している。