早めの夕食を終えて
軽いワインの酔いを醒まそうと 散歩出かけた
すると 夜空がいつもより明るく輝いている
見上げると 月
そう この日は満月だったっけ
急いでカメラを取り出し
対岸のサンジョルジョ・マッジョーレ教会の
鐘楼の手前に上ってきている 月を狙う
ただ、いくら明るくとも 夜は夜
しかも教会までは 結構な距離がある
思い切って望遠レンズに付け替えた
すると シャッターを切ればかなりのブレが生じる
桟橋の杭に 腕を巻き付けて
極力動かないようにと 注意してのシャッター
何枚か撮っているうちに 月はちょうど
鐘楼てっぺんの女神像と重なる瞬間が来た
とにかく1枚くらいは・・・
悪戦苦闘の末
どうにか あまりブレの目立たない1枚だけは確保できた
今年亡くなった音楽家坂本龍一は
ガンで余命宣告を受けた後
「ぼくは あと何回 満月を見るだろう」
と、つぶやいたという
満月が 生きることの指標になる
そんな形で 人と自然が向き合う時もある
改めて見上げる月
心を揺さぶる時間が
そこにあった