サルーテ教会の主祭壇には 迫力に満ちた彫像が置かれている
中央に 聖母子がすっくと立ち
両脇には 擬人法によって表現された2つの像
向かって左 聖母を尊敬のまなざしで見つめ
祈りの姿をとるのは ヴェネツィアそのものだ
そして右側 厳しい追及に遭って 必死で逃げ出そうとする 老婆の姿
これこそ 当時ヴェネツィア全土に猛威を振るった病魔
ペストの最期を生々しく表している
17世紀半ば ヴェネツィアではペストの蔓延のため
当時の人口の3分の1が死亡したという
そんな悪夢のような時期が過ぎ ようやくペストが収まった時
感謝の印として建立されたのが サルーテ教会だった
従ってこの教会は まさにペスト克服の象徴として存在している
現在世界もここ数年 新型コロナによって大変な苦しみを味わったが
4世紀前の 人類の病魔との闘いの印としての この教会が持つ意味を
改めて考え直すきっかけにすることも
意義ある事のように思えた
約10年前に、私もサルーテ教会の祭りに参加した
長いロウソクを購入してミサに参列
最も需要なミサが終わった時 前で祈っていた女性が
突然振り向いて 手を差し伸べた
参列者がお互いに握手を交わして 健康を喜び合うという恒例行事
この日1日 私もヴェネツィア市民となれたような
温かい気分に満たされた