旧東京音楽学校奏楽堂。この建物が完成したのは1890年。東京音楽学校(現東京芸大音楽学部)の音楽ホールを備えた校舎として建設された。設計は山口半六と久留正道。
学校が開学してから3年後のことで、これが日本初の音楽ホールの誕生だった。従って、西洋音楽、つまりモーツアルトやベートーベンなどの作品が国内で初めて鳴り響いたのもこの奏楽堂で、ということになる。
奏楽堂ホールの天井はヴォールト型の円天井になっていて、床と天井を平行にしないことで、エコー現象を生じさせないように工夫されている。四角の壁もアールが付けられている。
また、ホールの壁の中には、わら束が詰め込まれている。これは外部音を遮って音楽に集中できるように工夫されたもの。防音効果とともに音を柔らかくする効果を狙ったものという。その一部が資料室に残されていた。
中央には大きなシャンデリア。当初のシャンデリアは損失してしまったため、移築時に復元された。
ちょうど訪問時に、ホールで少し前までコンサート用のチェンバロの練習が行われていたため、中央にそのチェンバロが置かれていた。奏楽堂の所有で、17~18世紀にヨーロッパで引かれていた楽器。形の優雅だ。
また、天井部分には草花の文様があしらわれている。
資料室には、創設当時舞台中央にあった漆喰飾りも展示されていた。
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