新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

上野歴史散歩㊶ 明治、昭和、平成と3つの時代の様式が合わさった国立子ども図書館の建物

2023-02-14 | 上野歴史散歩

 国際子ども図書館。当初計画では120万冊を収蔵する東洋一の規模を想定し、4階建て正方形の四辺に建物を造り、中庭を囲む帝国図書館の予定だった。久留正道の設計で1899年に建設開始したが、工事中に日露戦争が勃発、資金不足となって東棟だけの完成で1906年開館となった。後に大閲覧室なども増築はされたが、当初計画の3分の1だけで終わってしまった。

 第二次世界大戦後、ここは国立国会図書館支部上野図書館となり、2000年からは国立子ども図書館に生まれ変わった。

 この年、ガラスボックスのエントランス(安藤忠雄設計)が増築されたため、少しモダンな感じになっている。

 通常は正面中央に玄関があるのだが、このガラスの入口は中央から左よりの通用口みたいな形。これは当初計画の正面が、今の南側側面に予定されていたことから、変則的な向きになっているということだ。

 時代を大まかに分類すると、建物中央部分の鉄骨レンガ造りは明治期、向かって左側が昭和期の鉄筋コンクリート造、そしてガラス張りの玄関ホールは平成期と、その時代の構造が一体となった建物ということになる。

 また、2015年には新たにアーチ棟が増築された。ガラスに覆われた弓状の曲線を描く最新型の建物だ。

 館内に入る前に、庭にある彫刻を見つけた。7人の子供(天使?)像だ。

 とてもかわいい表情なのでつい目を奪われてしまう。実はこの像はラフカディオ・カーン(小泉八雲)の記念碑だという。

 詩人土井晩翠が建立したもので、実は早逝してしまった子供が八雲を慕っていたことから、記念に建立したものだそうだ。

 


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