新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

西欧最古のギリシャ教会がヴェネツィアに・グレーチ教会…ヴェネツィア教会巡り⑥

2016-07-12 | 教会巡りヴェネツィア

 スキアヴォーニ河岸を歩いていて、いつも気になるものがあった.馬に乗ったヴィットリオ・エマヌエール2世の大きな像を過ぎたところで、運河の奥を見ると大きく傾いた鐘楼が目に入る。でも、その教会に行こうとして、その度に迷子になって断念していた。

 ある時、サンザッカリア教会の裏手を歩いていて、思いがけずその教会がすぐ目の前にあることに気付いた。それが、サン・ジョルジョ・デイ・グレーチ教会の鐘楼だった。


 名前の通りこれはギリシャ人社会が残したルネサンス様式の東方正教会の建物。調べてみると1453年にコンスタンティノープル(現イスタンブール)が陥落した後ヴェネツィアに移住してきたギリシャ人は5000人にも及んだという。その人々が金を出し合って建設したヨーロッパ最古のギリシャ教会なのだという。

 内部には金色に輝く主祭壇画中央にあり、その周囲は比較的暗く抑えられた照明になっていた。

 中心部には十字架が吊り下げられている。

 上の半円部分は受胎告知の場面だ。
そのうちミサが始まった。邪魔してはいけないので、教会を出た。

 玄関入り口にはキリスト像が描かれている。

 この日はギリシャの何かの記念日なのか、前庭にはギリシャ国旗がたなびいていた。


 間近に見た教会と鐘楼。こうしてみるとあまり傾いていないようだが、角度を変えるとかなりの傾斜がわかる。

 帰り道、ふと渡った橋の標識を見ると、

 なんと「ポンテ・デル・ディアボロ」の文字が。「悪魔の橋」を渡ってしまった。お~こわ!
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入谷鬼子母神の朝顔市に行ってみた

2016-07-08 | 東京探訪

 入谷鬼子母神(真源寺)の恒例行事「朝顔市」に出かけた。地下鉄入谷駅を出るとすぐに、言問通りの両側に出店がずらりと並び、いかにも下町の夏到来といった風情。

 交差点を渡って鬼子母神側の道に行くと、路上一杯に朝顔の鉢が列を作っていた。出店の数は100店以上とのこと。


 こうして改めて眺めると、朝顔にも赤、青、紫など、いろいろな色や品種があることがわかる。

 あちこちで、店の職人さんと話し合いながらの品定め風景が展開される。

 個人的には、やはり青を基調とした瑞々しい朝顔がいいなあ。

 狭い通路を押し合いへし合いしながら、ようやく鬼子母神の境内へ入った。数か月前に雑司ヶ谷の鬼子母神に出かけたが、あちらに比べるとここの境内は相当狭い。

 でも、大田南畝が「恐れ入谷の鬼子母神」と詠んだ狂歌の場所はまさにここ。

 お地蔵さまも、線香と人いきれでちょっとしかめっ面に見えた。

 今年の一番人気は、竹を円筒形に組んだ「行燈づくり」という鉢とのことで、境内にもずらりと並んでいた。


 朝顔市は毎年7月の6,7,8日の開催と決まっている。そういえば、朝顔の別名は「牽牛花」。牽牛星は七夕の日に織姫と会う彦星のことなので、開催日もちょうど七夕を間に挟んだ日程にしているのかも。

 また、ここは台東区の7寺社に祭られている七福神の巡礼札所。そのうち、ここには福禄寿様が祭られている。
 初めてこんな東京の風物詩を訪れてみたが、なかなかいい感じだった。これからも機会を見つけては訪問してみようかな。
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聖母マリアが青空に向かって飛び立つ。ジェズイーティ教会・・・ヴェネツィア教会巡り⑤

2016-07-05 | 教会巡りヴェネツィア

 ジェズイーティ教会は、ヴェネツィア本島北東のカンナレージョ地区に位置する。ここは1715年、ドメニコ・ロッシによって改築された、典型的なバロック建築だ。内部は白大理石の柱。石の中にも緑色がはめ込まれている。

 うねうねと曲線を描く造形が、まさにバロック。そこに金と漆喰で象嵌細工もなされている。

 主祭壇のバルダッキーノ(天蓋)は、バチカンのサンピエトロ大聖堂を模倣している。ジュゼッペ・ポッツォが仕上げた。中央に三位一体の群像があり、その前にラピスラズリのはめ込まれた聖壇がある。
 とても精巧だが、全体的にはやっぱりグロテスク感が強いなあ。


 天井も絢爛豪華としか言いようがない。天頂部にあるのがフランチェスコ・フォンテバッソのフレスコ画。
イタリア各地にあるイエズス会のジェズ教会は大体そうだが、とにかくゴテゴテの装飾だらけの雰囲気が漂っている。そのせいで、好き派と嫌い派が極端に分かれる傾向が強い。

 ひと際暗い絵画がある。ティツィアーノの「聖ラウレンティウスの殉教」。1558年の作品で、松明と月光によって処刑の様がうっすらと浮かび上がる夜の光景を描いた。絵画史上初の試みだった。

 こちらはティントレットによる「聖母被昇天」。この2作品は同教会の宝だ。

 教会から出た時、ちょうど太陽が教会上部にあって、向かいの建物の壁面に、ファザードの天使像のシルエットを映し出していた。

 その天使たちがこちら。後光を発していた。

 教会てっぺんにも注目!聖母被昇天の場面を再現した彫像が備えられている。

 青空を背景に、今まさに天に昇って行こうとする聖母マリアの姿がまぶしく輝いていた。
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女性聖人がその美を競う?!ジェズアーティ教会はティエポロの世界…ヴェネツィア教会巡り④

2016-07-02 | 教会巡りヴェネツィア

 ジェズアーティ教会はジュデッカ島を望むザッテレ海岸に建っている。
 4本のずっしりとした円柱が、ファザードを飾る。

 ここは、ジャン・バティスタ・ティエポロフアンの私にとってはたまらない教会だ。
 別名を「サンタ・マリア・デル・ロザリオ教会」というように、天井画は「ロオザリオの制定」が掲げられている。
 ドミニコ修道会の創始者である聖ドミニクスが、ロザリオを掲げて異端者たちを追い払う奇跡の場面だ。



 ドミニクスの姿は極端な仰視法で描かれる。私たちは天井に平行に絵を見ているのだが、絵の中にいるドミニクスは垂直に立っている所を見上げているとしか思えない。
 一番下の部分では、異端者たちが画面からはみ出してしまったようなだまし絵手法も使われていて興味津々の絵になっている。

 そして、上部にはゆったりとした空間を設けて、永遠性を思わせる画面構成を完成させている。

 「ロザリオの聖母」は、画面の最上位に聖母マリアを配置し、


 中央に左から十字架を持つ聖ローサ、キリストを抱く聖カタリナ、首飾りを手にうつむく聖アグネスの3人のドミニコ会女性聖人を配している。
 まるで聖人の美人コンテストでもあるかのようなラインアップ。それもティエポロ特有の誰もが現実を超越したかのような無表情。

 「男どもなんて、全く取るに足らないちっぽけな存在よね」などとつぶやいてでもいるようだ。

 堂内は広々としている。

 こちっらはジャンバティスタ・ピアツェッタ作の「ドミニコ修道会の三聖人」。

 仰ぎ見る聖人の表情が素晴らしい。

 その他にも昇天する聖人の姿。これもティエポロかも。


 大きな「ロザリオの聖母像」も入り口付近に置かれていた。
 ちょうど夕方のミサが終わったばかりの時間帯で、堂内の照明が点灯していたために、全体を明るい中で見ることが出来た。特に天井画などは照明がないと本当に暗くてよくわからないことをしばしば経験しているので、この日は本当にラッキーだった。
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