新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ヴェネツィアあちこち⑧ 白黒写真で一時代前のヴェネツィアにタイムスリップ

2019-09-10 | イタリア・ヴェネツィア

 

 ある日の散歩で、前の時代のヴェネツィアの雰囲気を再現してみようと、モノクロで撮影してみた。

 まずはゴンドラの風景。ゴンドラは11世紀末には既に登場していたという。まさにヴェネツィアの歴史には欠かせない乗り物。

 ゴンドラに乗れば、「アドリア海の支配者になったような」(ゲーテの感想)気分になれる。

 ゆったりと水面に波紋を描いて進むゴンドラは、ヴェネツィアの風景には欠かせない。

 雨上がりの街路。どこでもごった返すヴェネツィアだが、珍しく無人の道があった。

 ポルティコを潜り抜けて階段を上る。

 サンマルコ広場の横に出た。

 カフェ・クワドリ側の廊下は紳士淑女たちでにぎわう。

 広場に明かりが点き始めた。夕暮れ。

 紳士が赤子を抱いてあやしている。どこかゴッドファーザーの一場面を連想させる。

 カフェ・フローリアン側。人達の表情は、みな優しさを纏っている。

 そんな傍らでは、子供たちが興味津々で広場を見つめている。こちらは「ニューシネマパラダイス」の少年を思い出してしまう。

 カステッロ地区に移動した。開店直後のリストランテはまだ静か。

 外の街路ではあらゆる地域からの人達が行き交っていた。

 

 

 少しはアドリア海の女王として君臨した時代のヴェネツィアが連想できましたか?

 

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドゥカーレ宮殿③ 「ため息の橋」の内側から外の風景を眺めてみた。

2019-09-07 | ヴェネツィア美術館・博物館

 次に渡り廊下を渡る。途中で横を見ると、運河が見える。

 そう、ここはため息の橋内部。橋の内側から見ると、こんな風に見える。こちらが陸側に流れる運河。

 海側には橋に溢れるほどの人がいて、大半が立ち止まっている。すっかり有名になったこのため息の橋を眺めているのが観察できた。

 「ため息の橋」の名前の由来は、観光客がこの橋を見て「美しい」とため息を漏らすのではなく、内部を通る罪人が、「ああ、いよいよ牢獄に収監される」という悲しみのため息をついた、というエピソードからきている。つまり、この先には牢獄があった。

 次に間にはドージェ(総督)たちの肖像画ずらり。

 そんな中に可憐なマリア像も見つかった。

 こちらの聖母子像には、右端に天使たちの姿が。

 謁見の模様を描いた絵もあった。

 帰りがけ、改めて巨人の階段を見た。向かって右側の、海の神ネプチューン。

 左は戦いの神マルス。そして後方には翼を持ったライオン像。いずれもサンゾヴィーノの作品だ。

 宮殿の壁面はルネサンス様式の大理石装飾が華麗に施され、快いリズムを奏でている。

 おっと、宮殿の全体像を掲載するのを忘れていた。最後に対岸のマッジョーレ教会鐘楼から見たドゥカーレ宮殿の全体像をご覧いただこう。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドゥカーレ宮殿② 世界最大の油絵の間で、その絵を描いたティントレットが日本人少年たちを描いていた

2019-09-03 | ヴェネツィア美術館・博物館

 宮殿の窓から島東側の風景が見える。圧倒的な作品群の集まる宮殿内から目を転じて。ちょっと息をつく時間だ。

 大評議会の間に入った。ここは宮殿内最大の広間。柱が一本もない吊り天井の部屋だ。

 ここの最大の見ものはティントレットが手掛けた「天国」。25m×7mという世界最大の油絵と言われるこの作品は、迫力十分。キリストから戴冠されるマリアの姿もさることながら、

 雪崩のように波打つ民衆の姿がすさまじい。

 ところで、実はこの部屋には日本人の痕跡も残っている。1585年6月26日、日本から訪れた天正遣欧少年使節団がこの宮殿に入り、元首たちから歓待を受けた。さらにティントレットが、伊東マンショら4人の使節の肖像画をこの部屋で描いたと言われる。

 残念ながらその絵は残っていないが、当代の第一人者によって日本人少年達の姿が描かれたという事実は、我々の気持ちを高揚させるのに十分な話だ。

 ドゥカーレ宮殿と聖マルコの円柱が描かれた絵もあった。

 天井はヴェロネーゼらの絵画で埋め尽くされる。

 中でも「ヴェネツィアの大勝利」と題されたヴェロネーゼの最後の作品は、華やかで迫力に満ちている。

 その絵の中心にいる女性はヴェネツィアの女神だ。

 部屋全体を見渡してもその豪華さがわかるし、当時のヴェネツィアの富と繁栄がうかがわれる。また、見学する人たちの大きさと比べると、正面の「天国」の絵の巨大さが実感できる。

 この部屋からも外の風景が眺められる。マッジョーレ教会のすっきりとした姿が美しい。

 宮殿中庭も見下ろせる。俯瞰すると直線と曲線の巧妙な組み合わせに気付く。

 巨人の階段の巨人たちがちょっと小さ目で優しく見えた。

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする