彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。
【季語と短歌:6月26日】
三途の川の向こう岸から手招きをまだ存命の父がしている
柴犬を撫でても増えない通帳の残高のこと長い旅だね
黒幕を探しながらの生活を知らぬ間にしていて貧乏はイヤ
顔と頭は一枚の皮膚だと意識しながらすれ違う人を眺めよ
貼らないカイロの文字を見ながら人類もいつか滅びる定めだと知る
小坂井大輔
短歌ホリック
長い旅
❏ MIT Scientists Unveil Incredible Carbon Capture Solution
❏ Ocean Carbon Dioxide Removal (CDR) - a ClimateWorks production
❏ [サイエンスZERO] 脱炭素!二酸化炭素回収技術
❏ 海水電解触媒の現状
二酸化マンガン被膜正極の実用性
二酸化マンガン被膜正極の実用性
2021年6月 1日:海水電解において塩素を発生しない非貴金属触媒
✔ 詳細説明:電気めっき[5]と同じ方法で電極基材に被覆した二酸
化マンガン薄膜。マンガンは地球上に豊富に存在し、安価で環境負荷
が低い元素の一つ。この材料は、図1のようにナノシートの積層構造
からなり、層間にナトリウムイオンがサンドイッチをする。マンガン
酸化物薄膜を加熱処理(300℃以上)すると格子中に酸素欠陥が形成さ
れ、シートがバラバラに乱層化。
積層構造および乱層構造をもつ二酸化マンガンを被覆した電極を使っ
て海水と同じ濃度の塩化ナトリウム水溶液を電気分解したところ、積
層構造では酸素も塩素も発生せず、乱層構造では酸素が優先的に発生
しました。定電流電解(10 mA/cm2)を行い、塩素と酸素の生成量を調
べたところ、酸素発生のファラデー効率は90%近い値を示しました(図
2)。これは他の一般的な水電解触媒を使った同じ実験よりもはるか
に大きな値。従来、ほとんどの金属酸化物触媒において、反応中間体
(M-O、M は金
属)サイトへの塩化物イオン(Cl-)の吸着がH2O の吸着よりも有利なた
め、主に塩素が生成しますが、今回開発した触媒では、M-O の二量化
が起こった結果、酸素発生が優先したと推論。すなわち、酸素欠陥を
有するマンガン酸化物シート上で酸素発生反応の律速段階が変化した
ことが挙げられる。
図1.開発した触媒の構造
✔ 詳細説明:電気めっき[5]と同じ方法で電極基材に被覆した二酸
化マンガン薄膜。マンガンは地球上に豊富に存在し、安価で環境負荷
が低い元素の一つ。この材料は、図1のようにナノシートの積層構造
からなり、層間にナトリウムイオンがサンドイッチをする。マンガン
酸化物薄膜を加熱処理(300℃以上)すると格子中に酸素欠陥が形成さ
れ、シートがバラバラに乱層化。
積層構造および乱層構造をもつ二酸化マンガンを被覆した電極を使っ
て海水と同じ濃度の塩化ナトリウム水溶液を電気分解したところ、積
層構造では酸素も塩素も発生せず、乱層構造では酸素が優先的に発生
しました。定電流電解(10 mA/cm2)を行い、塩素と酸素の生成量を調
べたところ、酸素発生のファラデー効率は90%近い値を示しました(図
2)。これは他の一般的な水電解触媒を使った同じ実験よりもはるか
に大きな値。従来、ほとんどの金属酸化物触媒において、反応中間体
(M-O、M は金
属)サイトへの塩化物イオン(Cl-)の吸着がH2O の吸着よりも有利なた
め、主に塩素が生成しますが、今回開発した触媒では、M-O の二量化
が起こった結果、酸素発生が優先したと推論。すなわち、酸素欠陥を
有するマンガン酸化物シート上で酸素発生反応の律速段階が変化した
ことが挙げられる。
図1.開発した触媒の構造
図2.開発触媒および一般的な触媒を使って塩化ナトリウム水溶液の
電気分解時、酸素発生および塩素発生のファラデー効率.電解液 0.5
M NaCl、電解時の電流 10 mA/cm2.
【展望】長期耐久性試験、スケールアップを行い、実用化を目指す。
【論文】論文題目: Selective Catalyst for Oxygen Evolution in Neutral
Brine Electrolysis: Oxygen-Deficient Manganese Oxide Film
著者: Hikaru Abe, Ai Murakami, Shun Tsunekawa, Takuya Okada, Toru
Wakabayashi, Masaaki Yoshida, Masaharu Nakayama*
掲載誌: ACS Catalysis /DOI: 10.1021/acscatal.0c05496
✨ ノーベル賞ものですね。水素が製造でき、塩素はハニカム吸着
などで除去し、酸素は海洋生物養殖などに使えるだろうし、ソーラー
洋上(洋中・浮体)風力が使用できるので、このビジネスは海洋国日
本に最適で。まさに完全自給自足できますよね。
海水から水素を製造する高耐久性卑金属合金電極
2023年12月13日、9つの卑金属元素から構成された合金電極を開発し、
水電解装置運転中の劣化の原因とされる電源のON/OFFに相当する加速
劣化試験を行った。その結果、太陽光発電を利用した場合、10年間以
上アノード電解性能を維持できることをが示唆。
✔ 詳細説明:本研究では、9つの卑金属元素Ti、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、Zr、Nb、Mo)からなる高エントロピー合金をアノードとして採用
レ産業で多用される一般的なアーク溶解法を用いて9種類の高純度の
金属インゴットを融解させて合金を作製。作製した合金インゴットは、
透過型電子顕微鏡などを用いて9つの元素が均一に混ざリ合っている
ことを確認(図1)。その後、合金インゴットを板状に加工し、各種
電気化学性能評価を行った。電解液には、海水を模擬した0.5M塩化ナ
トリウム水溶液と実際の海水(茨城県大洗町で採取、フィルターなレ
化学処理なし)を用いた。水電解中で劣化の原因とされる電源のON/
OFFに相当する加速劣化試験を行ったところ、両者ともに6000回のON/
OFFサイクルで、食塩水中では97帽生船保持、実際の海水では92%性
能保持し(図2)、太陽光発電利用時に換算した10年間以上(1日1
回ON/OFF、1年で365回ON/OFF)の電源のON/OFF実験では、アノード電
解性能の劣化をけば起こさないことが示されました。圭だ、印加電位
を一定とした定電位試験では、100時間以上アノード電解性能を維持
することが分かりました。耐久性に優れる一方で、酸化イリジウム電
極とアノード性能を比較すると、この9元合金電極は過電圧が0.58V
高く、実用的化に向けて改善の余地があることも明らかとなる。
図2 水電解装置における電源のON/OFFを模擬した電流電位における
加速劣化試験。黒が0.5MのNaCI水溶液(食塩水)中で試験した酸化イ
リジウム(|r02)基準電極、赤が0.5MのNaCI水溶液(食塩水)中で試
験した9元合金電極、青が前処理なしの海水中で試験した9元合金電
極。被綿が6000サイクル後のデータ
本研究では、9つの卑金属元素(Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Nb、
Mo)から頗る高エントロピー合金王2)をアノードとして採用レ産業
で多用される一般的なアーク溶解法を用いて9種類の高純度の金属イ
ンゴットを融解させて合金を作製しました。イ乍製しか合金インゴッ
トは、透過型電子顕微鏡などを用いて9つの元素が均一に混ざリ合っ
ているのを確認した(因い。その後、合金インゴットを板状に加工し、
各種電気化学性能評価を行いました。電解液には、海水を模擬した
0.5M塩化ナトリウム水溶液と実際の海水(茨城県大洗町で採取、フィ
ルターなレ化学処理なし)を用いました。水電解中で劣化の原因とさ
れる電源のON/OFFに相当する加速劣化試験を行ったところ、両者とも
に6000回のON/OFFサイクルで、食塩水中では97帽生船保持、実際の海
水では92%性能保持し(図2)、太陽光発電利用時に換算した10年間
以上(1日1回ON/OFF、1年で365回ON/OFF)の電源のON/OFF実験では、
アノード電解性能の劣化をけば起こさないことが示された。また、印
加電位を一定とした定電位試験では、100時間以上アノード電解性能
を維持することが分かりました。耐久性に優れる一方で、酸化イリウ
ム電極とアノード性能を比較すると、この9元合金電極は過電圧ま3)
が0.58V高く、実用的化に向けて改善の余地があることも明らかとな
った。
透過型電子顕微鏡などを用いて9つの元素が均一に混ざリ合っている
ことを確認(図1)。その後、合金インゴットを板状に加工し、各種
電気化学性能評価を行った。電解液には、海水を模擬した0.5M塩化ナ
トリウム水溶液と実際の海水(茨城県大洗町で採取、フィルターなレ
化学処理なし)を用いた。水電解中で劣化の原因とされる電源のON/
OFFに相当する加速劣化試験を行ったところ、両者ともに6000回のON/
OFFサイクルで、食塩水中では97帽生船保持、実際の海水では92%性
能保持し(図2)、太陽光発電利用時に換算した10年間以上(1日1
回ON/OFF、1年で365回ON/OFF)の電源のON/OFF実験では、アノード電
解性能の劣化をけば起こさないことが示されました。圭だ、印加電位
を一定とした定電位試験では、100時間以上アノード電解性能を維持
することが分かりました。耐久性に優れる一方で、酸化イリジウム電
極とアノード性能を比較すると、この9元合金電極は過電圧が0.58V
高く、実用的化に向けて改善の余地があることも明らかとなる。
図2 水電解装置における電源のON/OFFを模擬した電流電位における
加速劣化試験。黒が0.5MのNaCI水溶液(食塩水)中で試験した酸化イ
リジウム(|r02)基準電極、赤が0.5MのNaCI水溶液(食塩水)中で試
験した9元合金電極、青が前処理なしの海水中で試験した9元合金電
極。被綿が6000サイクル後のデータ
本研究では、9つの卑金属元素(Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Nb、
Mo)から頗る高エントロピー合金王2)をアノードとして採用レ産業
で多用される一般的なアーク溶解法を用いて9種類の高純度の金属イ
ンゴットを融解させて合金を作製しました。イ乍製しか合金インゴッ
トは、透過型電子顕微鏡などを用いて9つの元素が均一に混ざリ合っ
ているのを確認した(因い。その後、合金インゴットを板状に加工し、
各種電気化学性能評価を行いました。電解液には、海水を模擬した
0.5M塩化ナトリウム水溶液と実際の海水(茨城県大洗町で採取、フィ
ルターなレ化学処理なし)を用いました。水電解中で劣化の原因とさ
れる電源のON/OFFに相当する加速劣化試験を行ったところ、両者とも
に6000回のON/OFFサイクルで、食塩水中では97帽生船保持、実際の海
水では92%性能保持し(図2)、太陽光発電利用時に換算した10年間
以上(1日1回ON/OFF、1年で365回ON/OFF)の電源のON/OFF実験では、
アノード電解性能の劣化をけば起こさないことが示された。また、印
加電位を一定とした定電位試験では、100時間以上アノード電解性能
を維持することが分かりました。耐久性に優れる一方で、酸化イリウ
ム電極とアノード性能を比較すると、この9元合金電極は過電圧ま3)
が0.58V高く、実用的化に向けて改善の余地があることも明らかとな
った。
卑金属でありながらこれはどの高耐火性を発揮するメカニズムを、原
子レベルで理解することは、今後の貴金属代替卑金属電極設計の指針
に役立つ。そこで、機械学習分子動力学法と第一原理計算を組み合わ
せた反応シミュレーションを行った。アノード反応では、電極表面は
酸化されていることから、図3(a)のような9元合金モデルの表面を
酸化させ、酸化前後の9元合金モデルヘの塩化物イオンの吸着エネル
ギーを比較したところ、表面酸化した場合の塩化物イオンの吸着力の
強さは表面酸化していない場合と比べて半分以下となり、表面の酸化
膜が塩化物イオンの吸着力を弱めていることが分かリっ。また、酸素
発生が起こる触媒古|生サイトであるNiやCoに塩化物イオンを吸着す
るように配置してシミュレーションしたところ、図3(b)のように一
部は触媒活性サイトNiやCoではなく、触媒活性サイトに隣接したCrや
○へ化学結合を移動させることが明らかとなる。これは、塩化物イオ
ンがNiやCoの触媒活性サイトと結合するよりも、その隣のCrや○と結
合した方がエネルギー的に安定化するためです。これらのシミュレー
ション結果から、図3(c)に示したメカニズムが示唆した。つまり、
犠牲元素ぢ)(例えばCr)が多く表面に存在し、表面酸化されている
状況を作り出せば、塩化物イオンはそちらとの結合を優先し、その結
果、触媒活性サイトが守られ、その触媒性能を+分に発揮できるよう
になると考えられる。本卑金属電極の電解性能は貴金属電極には劣る
が、耐久性のある卑金属電極設計に非常に有用であり、この知見を基
に、貴金属電極が多用されている海水電解用アノードが、卑金属で代
用されることが期待される。
【展望】本研究では、高エントロピー合金を用いた直接海水電解用高
耐久性アノードの開発とその触媒メカニズムの解明を行いました。塩
化物イオン環境下でも高耐久な卑金属の設計指針を明らかにしたこと
で、海に面しか砂漠地帯など、再生可能エネルギーが豊富に得られるに
もかかわらず、淡水がないために水電解に向かなかった地城でも、安価
な卑金属電極を用いて海水から水素製造ができると期待されている。
まだ、洋上風力発電(イ列えば、茨城県にある日本初の本格的洋上風力
発電所ウィンド・パワーかみす第レ年上風力発電所など)と水電解を
組み合わせることができれば、県単位での水素の地産地消の実現でき
る。
【掲載論文】
【題名】 Durable high-entropy non-noble metal anodes for neutral seawater
lectrolysis ;海水中で耐久性のある高エントロピー卑金属アノード
【掲載誌】 Chemical Engineering Journal
【DOI】 10.1016/j.cej.2023.147862