極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 81

2024年12月18日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月18日】

         蛋白や 九億種類 実南天 

                    高山 宇 (赤鬼)



【関連特許最新技術】
5. 特開2022-158973 表示装置、表示モジュール、電子機器、及び、表
示装置の作製方法 株式会社半導体エネルギー研究所
【詳細説明】
【0524】また、絶縁層426が絶縁層452及び導電層453を覆っ
て設けられている。絶縁層426上には、導電層454a及び導電層45
4bが設けられる。導電層454a及び導電層454bは、絶縁層426
及び絶縁層452に設けられた開口部において、半導体層451と電気的
に接続されている。導電層454aの一部は、ソース電極及びドレイン電
極の一方として機能し、導電層454bの一部は、ソース電極及びドレイ
ン電極の他方として機能する。また、導電層454a、導電層454b、
及び絶縁層426を覆って、絶縁層423が設けられている。

図26(A)乃至図26(D)は、トランジスタの一例を示す断面図

【0525】ここで、トランジスタ410aと電気的に接続する導電層4
14a及び導電層414bは、導電層454a及び導電層454bと、同
一の導電膜を加工して形成することが好ましい。図26(C)では、導電
層414a、導電層414b、導電層454a、及び導電層454bが、
同一面上に(すなわち絶縁層426の上面に接して)形成され、且つ、同
一の金属元素を含む構成を示している。このとき、導電層414a及び導
電層414bは、絶縁層426、絶縁層452、絶縁層422、及び絶縁
層412に設けられた開口を介して、低抵抗領域411nと電気的に接続
する。これにより、作製工程を簡略化できるため好ましい。
【0526】 また、トランジスタ410aの第1のゲート電極として機能
する導電層413と、トランジスタ450の第2のゲート電極として機能
する導電層455とは、同一の導電膜を加工して形成することが好ましい。
図26(C)では、導電層413と導電層455とが、同一面上に(すな
わち絶縁層412の上面に接して)形成され、且つ、同一の金属元素を含
む構成を示している。これにより、作製工程を簡略化できるため好ましい。

【0527】図26(C)では、トランジスタ450の第1のゲート絶縁
層として機能する絶縁層452が、半導体層451の端部を覆う構成とし
たが、図26(D)に示すトランジスタ450aのように、絶縁層452
が、導電層453と上面形状が一致または概略一致するように加工されて
いてもよい。
【0528】なお、本明細書等において上面形状が概略一致」とは、積
層した層と層との間で少なくとも輪郭の一部が重なることをいう。例えば、
上層と下層とが、同一のマスクパターン、または一部が同一のマスクパタ
ーンにより加工された場合を含む。ただし、厳密には輪郭が重なり合わず、
上層が下層の内側に位置すること、または、上層が下層の外側に位置する
こともあり、この場合も「上面形状が概略一致」という。

【0529】なお、ここではトランジスタ410aが、図25で示したト
ランジスタM2に対応し、画素電極と電気的に接続する例を示したが、こ
れに限られない。例えば、トランジスタ450またはトランジスタ450a
が、トランジスタM2に対応する構成としてもよい。このとき、トランジ
スタ410aは、トランジスタM1、トランジスタM3、またはその他の
トランジスタに対応する。
【0530】本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが
できる。
【0531】(実施の形態6
  本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したOSトランジスタに用い
ることができる金属酸化物(酸化物半導体ともいう)について説明する。
【0532】金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むこと
が好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それ
らに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどが含まれ
ていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、
ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジ
ム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなど
から選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0533】また、金属酸化物は、スパッタリング法、MOCVD法などの
CVD法、または、ALD法などにより形成することができる。
【0534】<結晶構造の分類
  酸化物半導体の結晶構造としては、アモルファス(completely  
amorphousを含む)、CAAC(C-Axis-Aligned 
 Crystalline)、nc(nanocrystalline)、
CAC(Cloud-Aligned  Composite)、単結晶(
single  crystal)、及び多結晶(poly  crystal)
等が挙げられる。
【0535】なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-
Ray  Diffraction)スペクトルを用いて評価することがで
きる。例えば、GIXD(Grazing-Incidence  XRD)
測定で得られるXRDスペクトルを用いて評価することができる。なお、
GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。

【0536】例えば、石英ガラス基板では、XRDスペクトルのピークの
状がほぼ左右対称である。一方で、結晶構造を有するIGZO膜では、X
RDスペクトルのピークの形状が左右非対称である。XRDスペクトルの
ピークの形状が左右非対称であることは、膜中または基板中の結晶の存在
を明示。別言すると、XRDスペクトルのピークの形状が左右対称でないと、
膜または基板は非晶質状態であるとは言えない。
【0537】 また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NB
ED:Nano  Beam  Electron  Diffraction)に
よって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう)にて
評価することができる。例えば、石英ガラス基板の回折パターンでは、ハ
ローが観察され、石英ガラスは、非晶質状態であることが確認できる。ま
た、室温成膜したIGZO膜の回折パターンでは、ハローではなく、スポ
ット状のパターンが観察される。このため、室温成膜したIGZO膜は、
結晶状態でもなく、非晶質状態でもない、中間状態であり、非晶質状態で
あると結論することはできないと推定される。

【0538】<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、構造に着目した場合、上記とは異なる分類となる
場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外
の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体として
は、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単
結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(
a-like  OS:amorphous-like  oxide  sem
iconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0539】ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-li
ke  OSの詳細について、説明を行う。

【0540】[CAAC-OS]
 CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が
特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、
CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、
またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、
原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみな
すと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC
-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、
当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が
連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った
領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CA
AC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない
酸化物半導体である。
【0541】なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の
微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域
が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10
nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場
合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0542】  また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガ
リウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数
種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有す
る層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(
以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともい
う)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能で
ある。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、
In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれ
る場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM(Transmi
ssion  Electron  Microscope)像において、格子
像として観察される。
【0543】CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解
析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane  XRD
測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出され
る。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OS
を構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある
【0544】また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにお
いて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別の
スポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポッ
トともいう)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0545】上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域
内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限ら
ず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七
角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、
歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認す
ることはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑
制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向に
おいて酸素原子の配列が稠密でないこと、金属原子が置換することで原子
間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができる
ためと考えられる。
【0546】なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多
結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心と
なり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動
度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認
されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を
有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するに
は、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn
-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるた
め好適である。
【0547CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認さ
れない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因
する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結
晶性は不純物の混入、欠陥の生成などによって低下する場合があるため、
CAAC-OSは不純物及び欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体
ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性
質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強
く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度
(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。従って、OSトラン
ジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可
能となる。
【0548】[nc-OS
  nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特
に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別
言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の
大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下
であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OS
は、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全
体で配向性が見られない。従って、nc-OSは、分析方法によっては、
a-like  OSまたは非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合があ
る。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと
、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane  XRD測定では、
結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結
晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子
線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのよ
うな回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の
大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30n
m以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。
)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数の
スポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0549】[a-like  OS
 a-like  OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を
有する酸化物半導体である。a-like  OSは、鬆または低密度領域を
有する。即ち、a-like  OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比
べて、結晶性が低い。また、a-like  OSは、nc-OS及びCAA
C-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0550】<<酸化物半導体の構成>>
  次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-
OSは材料構成に関する。
【0551】[CAC-OS
  CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm
以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍
のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物に
おいて、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、
0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、また
はその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0552】  さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、
に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分
布した構成(以下、クラウド状ともいう。
)である。つまり、CAC-O
Sは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有す
る複合金属酸化物である。
【0553】ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構
成する金属元素に対するIn、Ga、及びZnの原子数比のそれぞれを、
[In]、[Ga]、及び[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn
酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CA
C-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2
の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大
きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領
域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域におけ
る[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、
第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領
域における[In]よりも小さい領域である。
【0554】具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジ
ウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、
ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つま
り、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができ
る。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えること
ができる。
【0555】なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界
が観察できない場合がある。
【0556】また、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSとは、
In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分
とする領域と、一部にInを主成分とする領域とが、それぞれモザイク状
であり、これらの領域がランダムに存在している構成をいう。よって、C
AC-OSは、金属元素が不均一に分布した構造を有していると推測される。
【0557】CAC-OSは、例えば基板を加熱しない条件で、スパッタ
リング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリ
ング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴ
ン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数
を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流
量比は低いほど好ましく、例えば、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸
素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下と
することが好ましい。
【0558】また、例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-O
Sでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy  Dispe
rsive  X-ray  spectroscopy)を用いて取得したE
DXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Ga
を主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有
することが確認できる。【0559】
  ここで、第1の領域は、第2の領域と比較して、導電性が高い領域である。
つまり、第1の領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての
導電性が発現する。従って、第1の領域が、金属酸化物中にクラウド状に
分布することで、高い電界効果移動度(μ)を実現できる。
【0560】一方、第2の領域は、第1の領域と比較して、絶縁性が高い
領域である。つまり、第2の領域が、金属酸化物中に分布することで、リ
ーク電流を抑制することができる。
【0561】従って、CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の
領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作
用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)
をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材
料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材
料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能
とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よっ
て、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion
、高い電界効果移動度(μ)、低いリーク電流、及び良好なスイッチング
動作を実現することができる。
【0562】また、CAC-OSを用いたトランジスタは、信頼性が高
い。
従って、CAC-OSは、表示装置をはじめとするさまざまな半導体装置
に最適である。
【0563】酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性
を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結
晶酸化物半導体、a-like  OS、CAC-OS、nc-OS、CAA
C-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0564】<酸化物半導体を有するトランジスタ
  続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0565】上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界
効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高い
トランジスタを実現することができる。
【0566】トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用い
ることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017
-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013
cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましく
は1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、
酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体
膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等
において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性また
は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、
高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0567】また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半
導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合が
ある。
【0568】また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消
失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うこと
がある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成
領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0569】従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸
化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半
導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低
減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。

【0570】<不純物>
  ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0571】酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコン
または炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。
このため、酸化物半導体におけるシリコンまたは炭素の濃度と、酸化物半
導体との界面近傍のシリコンまたは炭素の濃度(二次イオン質量分析法(
SIMS:Secondary  Ion  Mass  Spectromet
ry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好
ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0572】  また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金
属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従
って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体
を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、S
IMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016
atoms/cm以下にする。
【0573】また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリア
である電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、
窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマ
リーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含ま
れると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタ
の電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られ
る酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm未満、好
ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018
atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm
以下にする。
【0574】また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する
酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠
損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。ま
た、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電
子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用
いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物
半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、
酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020
atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、
より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×
1018atoms/cm未満にする。
【0575】 不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチ
ャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0576】本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることがで
きる。

【0577】(実施の形態7
  本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図27乃至図
31を用いて説明する。
【0578】本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示
装置を有する。本発明の一態様の表示装置は、高精細化及び高解像度化が
容易である。したがって、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
【0579】電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトッ
プ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などの
モニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較
的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカ
メラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報
端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0580】特に、本発明の一態様の表示装置は、精細度を高めることが
可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることが
できる。このような電子機器としては、例えば、腕時計型及びブレスレッ
ト型の情報端末機(ウェアラブル機器)、並びに、ヘッドマウントディス
プレイなどのVR向け機器、メガネ型のAR向け機器、及び、MR(Mi
xed  Reality)向け機器など、頭部に装着可能なウェアラブル機
器等が挙げられる。
【0581】本発明の一態様の表示装置は、HD(画素数1280×720)
、FHD(画素数1920×1080)、WQHD(画素数2560×14
40)、WQXGA(画素数2560×1600)、4K(画素数3840×
2160)、8K(画素数7680×4320)といった極めて高い解像度
を有していることが好ましい。特に4K、8K、またはそれ以上の解像度
とすることが好ましい。また、本発明の一態様の表示装置における画素密
度(精細度)は、100ppi以上が好ましく、300ppi以上が好ま
しく、500ppi以上がより好ましく、1000ppi以上がより好ま
しく、2000ppi以上がより好ましく、3000ppi以上がより好
ましく、5000ppi以上がより好ましく、7000ppi以上がさら
に好ましい。このように高い解像度及び高い精細度の一方または双方を有
する表示装置を用いることで、臨場感及び奥行き感などをより高めること
が可能となる。また、本発明の一態様の表示装置の画面比率(アスペクト
比)については、特に限定はない。例えば、表示装置は、1:1(正方形
)、4:3、16:9、16:10など様々な画面比率に対応することが
できる。
【0582】本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、
加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、
時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、
においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0583】本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができ
る。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に
表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表
示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通
信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機
能等を有することができる。

 
【0584】図27(A)、図27(B)及び図28(A)、図28(B)
を用いて、頭部に装着可能なウェアラブル機器の一例を説明する。これら
ウェアラブル機器は、ARのコンテンツを表示する機能、及びVRのコン
テンツを表示する機能の一方または双方を有する。なお、これらウェアラ
ブル機器は、AR、VRの他に、SR(Substitutional  
Reality)またはMRのコンテンツを表示する機能を有していても
よい。電子機器が、AR、VR、SR、MRなどのコンテンツを表示する
機能を有することで、使用者の没入感を高めることが可能となる。
【0585】図27(A)に示す電子機器700A、及び、図27(B)
に示す電子機器700Bは、それぞれ、一対の表示パネル751と、一
対の筐体721と、通信部(図示しない)と、一対の装着部723と、制
御部(図示しない)と、撮像部(図示しない)と、一対の光学部材753
と、フレーム757と、一対の鼻パッド758と、を有する。
【0586】表示パネル751には、本発明の一態様の表示装置を適用す
ることができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器と
することができる。
【0587】電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、光
学部材753の表示領域756に、表示パネル751で表示した画像を投
影することができる。光学部材753は透光性を有するため、使用者は光
学部材753を通して視認される透過像に重ねて、表示領域756に表示
された画像を見ることができる。したがって、電子機器700A、及び、
電子機器700Bは、それぞれ、AR表示が可能な電子機器である。
【0588】電子機器700A、及び、電子機器700Bには、撮像部
として、前方を撮像することのできるカメラが設けられていてもよい。ま
た、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、ジャイロ
センサなどの加速度センサを備えることで、使用者の頭部の向きを検知し
て、その向きに応じた画像を表示領域756に表示することもできる。
【0589】通信部は無線通信機を有し、当該無線通信機により映像信号
等を供給することができる。なお、無線通信機に代えて、または無線通信
機に加えて、映像信号及び電源電位が供給されるケーブルを接続可能なコ
ネクタを備えていてもよい。
【0590】また、電子機器700A、及び、電子機器700Bには、バ
ッテリが設けられており、無線及び有線の一方または双方によって充電す
ることができる。
【0591】筐体721には、タッチセンサモジュールが設けられていて
もよい。タッチセンサモジュールは、筐体721の外側の面がタッチされ
ることを検出する機能を有する。タッチセンサモジュールにより、使用者
のタップ操作またはスライド操作などを検出し、様々な処理を実行するこ
とができる。例えば、タップ操作によって動画の一時停止または再開など
の処理を実行することが可能となり、スライド操作により、早送りまたは
早戻しの処理を実行することなどが可能となる。また、2つの筐体721
のそれぞれにタッチセンサモジュールを設けることで、操作の幅を広げる
ことができる。
【0592】タッチセンサモジュールとしては、様々なタッチセンサを適
用することができる。例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、
電磁誘導方式、表面弾性波方式、光学方式等、種々の方式を採用すること
ができる。特に、静電容量方式または光学方式のセンサを、タッチセンサ
モジュールに適用することが好ましい。
【0593】光学方式のタッチセンサを用いる場合には、受光デバイスと
して、光電変換デバイス(光電変換素子ともいう)を用いることができる。
光電変換デバイスの活性層には、無機半導体及び有機半導体の一方または
双方を用いることができる。
【0594】図28(A)に示す電子機器800A、及び、図28(B
)に示す電子機器800Bは、それぞれ、一対の表示部820と、筐体
821と、通信部822と、一対の装着部823と、制御部824と、一
対の撮像部825と、一対のレンズ832と、を有する。
【0595】表示部820には、本発明の一態様の表示装置を適用するこ
とができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器とする
ことができる。これにより、使用者に高い没入感を感じさせることができる。
【0596】表示部820は、筐体821の内部の、レンズ832を通て
視認できる位置に設けられる。また、一対の表示部820に異なる画像を
表示させることで、視差を用いた3次元表示を行うこともできる。
【0597】電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、
VR向けの電子機器ということができる。電子機器800Aまたは電子機
器800Bを装着した使用者は、レンズ832を通して、表示部820に
表示される画像を視認することができる。
【0598】電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、
レンズ832及び表示部820が、使用者の目の位置に応じて最適な位置
となるように、これらの左右の位置を調整可能な機構を有していることが
好ましい。また、レンズ832と表示部820との距離を変えることで、
ピントを調整する機構を有していることが好ましい。
【0599】装着部823により、使用者は電子機器800Aまたは電子
機器800Bを頭部に装着することができる。なお、図28(A)などに
おいては、メガネのつる(ジョイント、テンプルなどともいう)のような
形状として例示しているがこれに限定されない。装着部823は、使用者
が装着できればよく、例えば、ヘルメット型またはバンド型の形状として
もよい。
【0600】撮像部825は、外部の情報を取得する機能を有する。撮像
部825が取得したデータは、表示部820に出力することができる。撮
像部825には、イメージセンサを用いることができる。また、望遠、広
角などの複数の画角に対応可能なように複数のカメラを設けてもよい。
【0601】なお、ここでは撮像部825を有する例を示したが、対象物
の距離を測定することのできる測距センサ(以下、検知部ともよぶ)を設
ければよい。すなわち、撮像部825は、検知部の一態様である。検知部
としては、例えばイメージセンサ、または、ライダー(LIDAR
:Light  Detection  And  Ranging)などの距離
画像センサを用いることができる。カメラによって得られた画像と、距離
画像センサによって得られた画像とを用いることにより、より多くの情報
を取得し、より高精度なジェスチャー操作を可能とすることができる。
【0602】電子機器800Aは、骨伝導イヤフォンとして機能する振動
機構を有していてもよい。例えば、表示部820、筐体821、及び装着
部823のいずれか一または複数に、当該振動機構を有する構成を適用す
ることができる。これにより、別途、ヘッドフォン、イヤフォン、または
スピーカなどの音響機器を必要とせず、電子機器800Aを装着しただけ
で映像と音声を楽しむことができる。
【0603】電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、
入力端子を有していてもよい。入力端子には映像出力機器等からの映像信
号、及び、電子機器内に設けられるバッテリを充電するための電力等を供
給するケーブルを接続することができる。
【0604】本発明の一態様の電子機器は、イヤフォン750と無線通信
を行う機能を有していてもよい。イヤフォン750は、通信部(図示しな
い)を有し、無線通信機能を有する。イヤフォン750は、無線通信機能
により、電子機器から情報(例えば音声データ)を受信することができる。
例えば、図27(A)に示す電子機器700Aは、無線通信機能によって、
イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。また、例えば、図28
(A)に示す電子機器800Aは、無線通信機能によって、イヤフォン75
0に情報を送信する機能を有する。
【0605】また、電子機器がイヤフォン部を有していてもよい。図27(
B)に示す電子機器700Bは、イヤフォン部727を有する。例えば、
イヤフォン部727と制御部とは、互いに有線接続されている構成とする
ことができる。イヤフォン部727と制御部とをつなぐ配線の一部は、筐
体721または装着部723の内部に配置されていてもよい。
【0606】同様に、図28(B)に示す電子機器800Bは、イヤフォ
ン部827を有する。例えば、イヤフォン部827と制御部824とは、
互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部827
と制御部824とをつなぐ配線の一部は、筐体821または装着部823
の内部に配置されていてもよい。また、イヤフォン部827と装着部823
とがマグネットを有していてもよい。これにより、イヤフォン部827を
装着部823に磁力によって固定することができ、収納が容易となり好ましい。
【0607】なお、電子機器は、イヤフォンまたはヘッドフォンなどを接
続することができる音声出力端子を有していてもよい。また、電子機器は、
音声入力端子及び音声入力機構の一方または双方を有していてもよい。音
声入力機構としては、例えば、マイクなどの集音装置を用いることができ
る。電子機器が音声入力機構を有することで、電子機器に、いわゆるヘッ
ドセットとしての機能を付与してもよい。
【0608】このように、本発明の一態様の電子機器としては、メガネ型
(電子機器700A、及び、電子機器700Bなど)と、ゴーグル型(電
子機器800A、及び、電子機器800Bなど)と、のどちらも好適である。
【0609】また、本発明の一態様の電子機器は、有線または無線によっ
て、イヤフォンに情報を送信することができる。
【0610】 図29(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンと
して用いることのできる携情報端末機である。
【0611】電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源
ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、
カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチ
パネル機能を備える。
【0612】表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用するこ
とができる。
【0613】図29(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を
含む断面概略図である。
【0614】筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510
が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示
パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリ
ント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0615】保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材651
2、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定
されている。
【0616】表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル65
11の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515
が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。
FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されて
いる。
【0617】表示パネル6511には本発明の一態様の表示装置を適用す
ることができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、
表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容
量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル651
1の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置
することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。

   
【0618】図30(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョ
ン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。
ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示して
いる。
【0619】 表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用する
ことができる。0620】図30(A)に示すテレビジョン装置7100
の操作は、筐体7101が備える操作スイッチ、及び、別体のリモコン操
作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチ
センサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビ
ジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該
リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していて
もよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルに
より、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表
示される映像を操作することができる。

【0622】図30(B)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を
示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キー
ボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート72
14等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0623】表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用するこ
とができる。

【0625】図30(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7
301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、L
EDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接
続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0626】図30(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタ
ルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱740
1の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0627】図30(C)、図30(D)において、表示部7000に、
本発明の一態様の表示装置を適用することができる。0628】表示部7
000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、
表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効
果を高めることができる。
【0629】表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7
000に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作す
ることができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を
提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリテ
ィを高めることができる。
【0630】また、図30(C)、図30(D)に示すように、デジタル
サイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、使用者が所持
するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と
無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000
に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機741
1の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情
報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替える
ことができる。
【0631】また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネー
ジ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操
作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これに
より、不特定多数の使用者が同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0632】図31(A)乃至図31(G)に示す電子機器は、筐体90
00、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッ
チ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007
(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気
、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、
流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、
マイクロフォン9008、等を有する。


【0636】図31(A)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。
携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができ
る。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子900
6、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、
文字及び画像情報をその複数の面に表示することができる。図31(A)
では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩
形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。
情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通
知、電子メールまたはSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテ
リの残量、電波強度などがある。または、情報9051が表示されている
位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0637】図31(B)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。
携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機
能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそ
れぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポ
ケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102
の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもで
きる。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく
表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0638】図31(C)は、タブレット端末9103を示す斜視図であ
る。タブレット端末9103は、一例として、移動電話、電子メール、文
章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等
の種々のアプリケーションの実行が可能である。タブレット端末9103
は、筐体9000の正面に表示部9001、カメラ9002、マイクロフ
ォン9008、スピーカ9003を有し、筐体9000の左側面には操作
用のボタンとしての操作キー9005、底面には接続端子9006を有する。
【0639】図31(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜
視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチ(登録商
標)として用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾
曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、
携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信
することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情
報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデー
タ伝送を行うこと、及び、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無
線給電により行ってもよい。



【0640】 図31(E)乃至図31(G)は、折り畳み可能な携帯情報
端末9201を示す斜視図である。また、図31(E)は携帯情報端末9
201を展開した状態、図31(G)は折り畳んだ状態、図31(F)は
図31(E)と図31(G)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視
図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、
展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。
携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって
連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001
は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。  
                               了 

🪄光電融合時期あっての、光・音融合の双方向ワイヤレス情端末機器の必
   需品である。
     

今日の言葉:年末殺人事件も新時代 ?

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エネルギーと環境 76

2024年12月13日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月13日】

        凍れる夜台所に立つ貴美可愛いね   

                 高山 宇 (赤鬼)


【関連特許最新技術】
5. 特開2022-158973 表示装置、表示モジュール、電子機器、及び、表示
装置の作製方法 株式会社半導体エネルギー研究所

【0120】
  絶縁層125は、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層1
25には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸
化絶縁膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層125は単層構造
であってもよく積層構造であってもよい。酸化絶縁膜としては、酸化シリコ
ン膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、インジウムガリウム亜鉛
酸化物膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸
化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、
及び酸化タンタル膜などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン
膜及び窒化アルミニウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸
化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。窒化酸化絶
縁膜としては、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などが挙げら
れる。特に、酸化アルミニウムは、エッチングにおいて、EL層との選択比
が高く、後述する絶縁層127の形成において、EL層を保護する機能を有
するため、好ましい。特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸
化ハフニウム膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を絶縁
層125に適用することで、ピンホールが少なく、EL層を保護する機能に
優れた絶縁層125を形成することができる。また、絶縁層125として、
無機材料を用いて積層膜の構成とする場合、酸化アルミニウム膜と、窒化シ
リコン膜との積層構造などを用いると好適である。
【0121】なお、本明細書などにおいて、酸化窒化物とは、その組成とし
て、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物とは、その組成
として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。例えば、酸化窒化シリ
コンと記載した場合は、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料
を指し、窒化酸化シリコンと記載した場合は、その組成として、酸素よりも
窒素の含有量が多い材料を示す。
【0122】絶縁層125の形成は、スパッタリング法、CVD法、パルス
レーザー堆積(PLD:Pulsed  Laser  Deposition)
法、ALD法などを用いることができる。絶縁層125は、被覆性が良好な
ALD法を用いて形成することが好ましい。
【0123】絶縁層125上に設けられる絶縁層127は、隣接する発光デ
バイス間に形成された絶縁層125の凹部を平坦化する機能を有する。換言
すると、絶縁層127を有することで共通電極115の形成面の平坦性を向
上させる効果を奏する。絶縁層127としては、有機材料を有する絶縁層を
好適に用いることができる。例えば、絶縁層127として、アクリル樹脂、
ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド
アミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、
フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等を適用することができる。また、
絶縁層127として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラ
ル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プ
ルラン、水溶性のセルロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂な
どの有機材料を用いてもよい。また、絶縁層127として、感光性の樹脂を
用いることができる。感光性の樹脂としてはフォトレジストを用いてもよい。
感光性の樹脂は、ポジ型の材料、またはネガ型の材料を用いることができる。
【0124】絶縁層127の上面の高さと、第1の層113a、第2の層1
13b、及び、第3の層113cのいずれかの上面の高さとの差が、例えば、
絶縁層127の厚さの0.5倍以下が好ましく、0.3倍以下がより好まし
い。また例えば、第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層1
13cのいずれかの上面が絶縁層127の上面よりも高くなるように、絶縁
層127を設けてもよい。また、例えば、絶縁層127の上面が、第1の層
113a、第2の層113b、または、第3の層113cが有する発光層の
上面よりも高くなるように、絶縁層127を設けてもよい。
【0125】なお、絶縁層127を設けることによって、島状に形成された
EL層の少なくとも一部の層が、キャリア注入層または共通電極と接するこ
とを抑制することができる。したがって、発光デバイスのショートを抑制し、
発光デバイスの信頼性を高めることができる。また、絶縁層127を設ける
ことで、隣り合う島状のEL層の間を埋めることができるため、島状のEL
層上に設ける層(キャリア注入層、共通電極など)の被形成面の凹凸を低減
し、より平坦にすることができる。したがって、キャリア注入層または共通
電極の被形成面に対する被覆性を高めることができる。
【0126】また、絶縁層127は、外部引き出し端子部(例えば、後述す
る表示部の外側の接続部140など)と同時に形成することが可能であるた
め、製造プロセスを増加させることなく形成することが可能である。また、
絶縁層127を設けることによって、膜剥がれを防止する効果を奏する。具
体的には、有機層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、
及び電子注入層の中から選ばれるいずれか一または複数)と、絶縁層125
と、を接して設けることができるため、絶縁層127を設けない構成と比較
して、有機層と、絶縁層125と、の密着性を高めることができる。
【0127】なお、絶縁層127として、感光性の有機樹脂膜を用い、絶縁
層125として、ALD法により形成した酸化アルミニウム膜を用いる構成
とすることで、感光性の有機樹脂膜と、EL層の側面とが直接接しない構成
とすることができる。例えば、EL層の側面と、感光性の有機樹脂膜とが、
直接接する構成の場合、感光性の有機樹脂膜に含まれうる有機溶媒などがE
L層の側面にダメージを与える可能性がある。一方で本発明の一態様の構成
においては、EL層の側面は、上記ALD法により形成した酸化アルミニウ
ム膜により覆われた構成となるため、感光性の有機樹脂膜に含まれうる有機
溶媒がEL層の側面に直接接しない構成とすることができる。
【0128】発光デバイス130a、130b、130c上に保護層131、
132を有することが好ましい。保護層131、132を設けることで、発
光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0129】保護層131、132の導電性は問わない。保護層131、1
32としては、絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜の少なくとも一種を用いる
ことができる。

【0130】保護層131、132が無機膜を有することで、共通電極11
5の酸化を防止する、発光デバイス130a、130b、130cに不純物
(水分、酸素など)が入り込むことを抑制する、など、発光デバイスの劣化
を抑制し、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0131】保護層131、132には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、
酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜などの無機絶縁膜を用いることができ
る。酸化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ガリ
ウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、
酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、及び酸化タンタル膜
などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン膜及び窒化アルミニ
ウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒化シリコン膜、
酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化
酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。
【0132】保護層131、132は、それぞれ、窒化絶縁膜または窒化酸
化絶縁膜を有することが好ましく、窒化絶縁膜を有することがより好ましい。
【0133】また、保護層131、132には、In-Sn酸化物(ITO
ともいう)、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、ま
たはインジウムガリウム亜鉛酸化物(In-Ga-Zn酸化物、IGZOと
もいう)などを含む無機膜を用いることもできる。当該無機膜は、高抵抗で
あることが好ましく、具体的には、共通電極115よりも高抵抗であること
が好ましい。当該無機膜は、さらに窒素を含んでいてもよい。
【0134】発光デバイスの発光を、保護層131、132を介して取り出
す場合、保護層131、132は、可視光に対する透過性が高いことが好ま
しい。例えば、ITO、IGZO、及び、酸化アルミニウムは、それぞれ、
可視光に対する透過性が高い無機材料であるため、好ましい。
【0135】保護層131、132としては、例えば、酸化アルミニウム膜
と、酸化アルミニウム膜上の窒化シリコン膜と、の積層構造、または、酸化
アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上のIGZO膜と、の積層構造など
を用いることができる。当該積層構造を用いることで、EL層側に入り込む
不純物(水、酸素など)を抑制することができる。
【0136】さらに、保護層131、132は、有機膜を有していてもよい。
例えば、保護層132は、有機膜と無機膜の双方を有していてもよい。
【0137】保護層131と保護層132とで異なる成膜方法を用いてもよ
い。具体的には、ALD法を用いて保護層131を形成し、スパッタリング
法を用いて保護層132を形成してもよい。
【0138】保護層132上には、色変換層129(色変換層129a、及
び色変換層129b)が設けられる。色変換層129aは発光デバイス13
0aと重なる領域を有し、色変換層129bは発光デバイス130bと重な
る領域を有する。色変換層129a、129bは、少なくともそれぞれの発
光デバイス130が有する発光層と重なる領域を有する。
【0139】色変換層129は、発光デバイス130が呈する光を、異なる
波長の光へ変換する機能を有する。また、色変換層129a及び色変換層1
29bは、互いに異なる色の光へ変換する機能を有する。例えば、色変換層
129aは、発光デバイス130aの呈した青色の光を赤色の光へと変換す
る機能を有し、色変換層129bは、発光デバイス130bの呈した青色の
光を緑色の光へと変換する機能を有する。色変換層を有さない副画素110
cでは、発光デバイス130cの呈した青色の光が取り出される。これによ
り、表示装置100は、フルカラー表示を行うことができる。

【0140】色変換層129としては、蛍光体、量子ドットなどを用いるこ
とができる。特に、色変換層129として、量子ドットを用いることが好ま
しい。量子ドットを用いることで、色変換層129は発光スペクトルの半値
幅が狭い、鮮やかな色の光を呈することができる。また、表示装置の色再現
性を高めることができる。
【0141】量子ドットを構成する材料としては、特に限定は無く、例えば、
第14族元素、第15族元素、第16族元素、複数の第14族元素からなる
化合物、第4族から第14族に属する元素と第16族元素との化合物、第2
族元素と第16族元素との化合物、第13族元素と第15族元素との化合物
、第13族元素と第17族元素との化合物、第14族元素と第15族元素と
の化合物、第11族元素と第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン
類、カルコゲナイドスピネル類、各種半導体クラスターなどが挙げられる。
【0142】具体的には、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化
カドミウム、セレン化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、テルル化亜鉛、硫化水銀、
セレン化水銀、テルル化水銀、砒化インジウム、リン化インジウム、砒化ガ
リウム、リン化ガリウム、窒化インジウム、窒化ガリウム、アンチモン化イ
ンジウム、アンチモン化ガリウム、リン化アルミニウム、砒化アルミニウム、
アンチモン化アルミニウム、セレン化鉛、テルル化鉛、硫化鉛、セレン化イ
ンジウム、テルル化インジウム、硫化インジウム、セレン化ガリウム、硫化
砒素、セレン化砒素、テルル化砒素、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、
テルル化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化ビスマス、テルル化ビスマス、
ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウム、錫、セレン、テルル、ホウ素、炭素、
リン、窒化ホウ素、リン化ホウ素、砒化ホウ素、窒化アルミニウム、硫化ア
ルミニウム、硫化バリウム、セレン化バリウム、テルル化バリウム、硫化カ
ルシウム、セレン化カルシウム、テルル化カルシウム、硫化ベリリウム、セ
レン化ベリリウム、テルル化ベリリウム、硫化マグネシウム、セレン化マグ
ネシウム、硫化ゲルマニウム、セレン化ゲルマニウム、テルル化ゲルマニウ
ム、硫化錫、セレン化錫、テルル化錫、酸化鉛、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、
ヨウ化銅、酸化銅、セレン化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、硫化コバル
ト、酸化鉄、硫化鉄、酸化マンガン、硫化モリブデン、酸化バナジウム、酸
化タングステン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ
素、窒化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、セレンと亜
鉛とカドミウムの化合物、インジウムと砒素とリンの化合物、カドミウムと
セレンと硫黄の化合物、カドミウムとセレンとテルルの化合物、インジウム
とガリウムと砒素の化合物、インジウムとガリウムとセレンの化合物、イン
ジウムとセレンと硫黄の化合物、銅とインジウムと硫黄の化合物、及びこれ
らの組み合わせなどが挙げられる。また、組成が任意の比率で表される、い
わゆる合金型量子ドットを用いてもよい。
【0143】量子ドットの構造としては、コア型、コア-シェル型、コア-
マルチシェル型などが挙げられる。また、量子ドットは、表面原子の割合が
高いことから、反応性が高く、凝集が起こりやすい。そのため、量子ドット
の表面には保護剤が付着している又は保護基が設けられていることが好まし
い。当該保護剤が付着している又は保護基が設けられていることによって、
凝集を防ぎ、溶媒への溶解性を高めることができる。また、反応性を低減さ
せ、電気的安定性を向上させることも可能である。
【0144】量子ドットは、サイズが小さくなるに従いバンドギャップが大
きくなるため、所望の波長の光が得られるように、そのサイズを適宜調整す
る。結晶のサイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つ
まり、高エネルギー側へシフトするため、量子ドットのサイズを変更させる
ことにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長領域にわた
って、その発光波長を調整することができる。量子ドットのサイズ(直径)
は、例えば、0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上10nm
以下である。量子ドットはそのサイズ分布が狭いほど、発光スペクトルがよ
り狭線化し、色純度の良好な発光を得ることができる。また、量子ドットの
形状は特に限定されず、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。
棒状の量子ドットである量子ロッドは、指向性を有する光を呈する機能を有
する。
【0145】また、蛍光体を構成する材料としては、特に限定は無く、無機
蛍光体または有機蛍光体を用いることができる。例えば、希土類元素、アル
カリ金属元素、アルカリ土類金属元素、その他の金属元素若しくは半金属元
素などを用いて構成することができる。また、非金属元素として、例えば酸
素、窒素、硫黄、炭素、水素、ハロゲン元素などを含んでいても良い。
【0146】無機蛍光体としては、Eu(ユーロピウム)、Ce(セリウム
)、Y(イットリウム)、Al(アルミニウム)、Ba(バリウム)、Mg
(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)、Tb(テ
ルビウム)、Sr(ストロンチウム)、Lu(ルテチウム)、Pr(プラセ
オジム)、Gd(ガドリニウム)、Si(ケイ素)等を含むものが挙げられる。
【0147】具体的には、青色蛍光体として、例えば、BaMgAl10
:Eu2+、CaMgSi:Eu2+、BaMgSi:Eu2+
Sr10(POCl:Eu2+などを用いることができる。
【0148】また、緑青又は青緑色蛍光体として、例えば、SrSi
Cl:Eu2+、SrAl1424:Eu2+、BaAl13:Eu2+
BaSiO:Eu2+、BaZrSi:Eu2+、CaYZr
AlO:Ce3+、CaYHf(AlO:Ce3+、Ca
Zr(AlO:Ce3+,Tb3+を用いることができる。
【0149】また、緑色蛍光体として、例えば、(Ba,Sr)SiO
:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+、CaMg(Si
Cl:Eu2+,Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+
Mn2+、CeMgAl1119:Mn2+、YAl(AlO
Ce3+、LuAl(AlO:Ce3+、YGa(AlO
:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Ce3+
、β-Si:Eu2+、SrSi:Eu2+、BaSi
12:Eu2+、SrSi13Al21:Eu2+、YTbSi
C:Ce3+、SrGa:Eu2+、CaLaZr(AlO
:Ce3+、CaTbZr(AlO:Ce3+、CaTbZr
(AlO:Ce3+,Pr3+、ZnSiO:Mn2+、MgGa
:Mn2+、LaPO:Ce3+,Tb3+、YSiO:Ce3+
CeMgAl1119:Tb3+、GdMgB10:Ce3+,Tb3+
を用いることができる。
【0150】また、黄又は橙色蛍光体として、例えば、(Sr,Ba)Si
:Eu2+、(Y,Gd)Al12:Ce3+、α-Ca-SiAl
ON:Eu2+、YSiC:Ce3+、LaSi11:Ce3+
MgAl(AlO(SiO):Ce3+を用いることができる。
また、赤色蛍光体としては、例えば、SrSi:Eu2+、CaAl
SiN:Eu2+、SrAlSi:Eu2+、CaS:Eu2+、La
S:Eu3+、YMg(AlO)(SiO:Ce3+、Y
:Eu3+、YS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、YVO
、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+、KSiF
Mn4+、GdMgB10:Ce3+,Mn2+を用いることができる。
【0148】
  また、緑青又は青緑色蛍光体として、例えば、SrSiCl
Eu2+、SrAl1424:Eu2+、BaAl13:Eu2+
BaSiO:Eu2+、BaZrSi:Eu2+、CaYZr
(AlO:Ce3+、CaYHf(AlO:Ce3+、Ca
YZr(AlO:Ce3+,Tb3+を用いることができる。
【0149】また、緑色蛍光体として、例えば、(Ba,Sr)SiO
:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+、CaMg(Si
Cl:Eu2+,Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+
Mn2+、CeMgAl1119:Mn2+、YAl(AlO
Ce3+、LuAl(AlO:Ce3+、YGa(AlO
:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Ce3+
β-Si:Eu2+、SrSi:Eu2+、BaSi12
:Eu2+、SrSi13Al21:Eu2+、YTbSi
C:Ce3+、SrGa:Eu2+、CaLaZr(AlO
Ce3+、CaTbZr(AlO:Ce3+、CaTbZr(Al
:Ce3+,Pr3+、ZnSiO:Mn2+、MgGa
Mn2+、LaPO:Ce3+,Tb3+、YSiO:Ce3+、CeMg
Al1119:Tb3+、GdMgB10:Ce3+,Tb3+を用いる
ことができる。
【0150】
  また、黄又は橙色蛍光体として、例えば、(Sr,Ba)SiO:Eu2+
(Y,Gd)Al12:Ce3+、α-Ca-SiAlON:Eu2+
SiC:Ce3+、LaSi11:Ce3+、YMgAl
(AlO(SiO):Ce3+を用いることができる。また、赤色蛍
光体としては、例えば、SrSi:Eu2+、CaAlSiN
Eu2+、SrAlSi:Eu2+、CaS:Eu2+、LaS:
Eu3+、YMg(AlO)(SiO:Ce3+、Y:Eu3+
、YS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、YVO:Eu3+
3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+、KSiF:Mn4+
GdMgB10:Ce3+,Mn2+を用いることができる。
【0151】  また、有機蛍光体としては下記の材料を用いることができる。
【0152】  赤色蛍光体としては、ブレンステッド酸等のアニオン、β-ジ
ケトネート、β-ジケトン、又は、芳香族カルボン酸を配位子とする希土類
元素イオン錯体が挙げられる。その他、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ
{[f,f’]-4,4’,7,7’-テトラフェニル}ジインデノ[1,2,
3-cd:1’,2’,3’-lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レー
キ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソイ
ンドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフ
ェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔
料、シアニン系顔料、または、ジオキサジン系顔料が挙げられる。
【0153】緑色蛍光体としては、ピリジン-フタルイミド縮合誘導体、ベ
ンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナフ
タル酸イミド系等の蛍光色素、ヘキシルサリチレートを配位子として有する
テルビウム錯体等が挙げられる。
【0154】青色蛍光体としては、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾー
ル系、スチリル系、クマリン系、ピラゾリン系、トリアゾール系化合物の蛍
光色素、ツリウム錯体等が挙げられる。
【0155】なお、上記蛍光体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上
を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。上記の蛍光体を組み合わせ
ることで、白色、シアン、マゼンタ、イエローなど様々な色を呈することが
できる。
【0156】ここで、隣接する色変換層129は、互いに重なる領域を有す
ることが好ましい。具体的には、色変換層129の発光デバイス130と重
ならない領域において、隣接する色変換層129と重なる領域を有すること
が好ましい。それぞれ異なる色の光を透過する色変換層129が重なること
で、色変換層129が重なる領域において、色変換層129を遮光層として
機能させることができる。よって、発光デバイス130が発する光が隣接す
る副画素に漏れることを抑制できる。例えば、色変換層129aと重なる発
光デバイス130aが発する光が、色変換層129bに入射されることを抑
制できる。よって、表示装置に表示される画像のコントラストを高めること
ができ、表示品位の高い表示装置を実現できる。
【0157】なお、隣接する色変換層129が重なる領域を有さなくてもよ
い。この場合、色変換層129と、発光デバイス130と、が重ならない領
域に、遮光層を設けることが好ましい。遮光層は、例えば基板120の樹脂
層122側の面に設けることができる。また、色変換層129を、基板120
の樹脂層122側の面に設けてもよい。
【0158】また、保護層132上に色変換層129を形成することで、基
板120上に色変換層129を形成する場合に比べて、各発光デバイス130
と各色変換層129との位置合わせが容易であり、極めて高精細な表示装置
を実現できる。
【0159】本明細書等において、。また、本明細書等
メタルマスク、また
はFMM(ファイン
メタルマスク、高精細なメタルマスク)を用いて作製さ
れるデバイスをMM
(メタルマスク)構造のデバイスと呼称する場合がある

において、メタルマスク、またはFMMを用いることなく作製されるデバイ
スをMML(メタルマスクレス)構造のデバイスと呼称する場合がある。

【0160】また、本明細書等において、青色光を発することのできる発光
デバイスを青色発光デバイスと呼ぶ場合がある。上記のように、青色発光デ
バイスは、色変換層(たとえば、量子ドット)と組み合わせることで、フル
カラー表示の表示装置を実現することができる
【0161】また、発光デバイスは、シングル構造と、タンデム構造とに大
別すること
ができる。シングル構造のデバイスは、一対の電極間に1つの発
光ユニットを有し、当該発光ユニットは、1以上の発光層を含む構成とする
ことが好ましい。青色発光を得るには1以上の青色を呈する発光層を有する
構成としてもよいし、青色以外の発光を呈する発光層を複数積層させて、発
光デバイス全体として青色発光する構成としてもよい。または、1以上の青
色を呈する発光層と、複数の青色以外を呈する発光層とを積層させて、発光
デバイス全体として青色発光する構成とすることもできる。
【0162】タンデム構造のデバイスは、一対の電極間に複数の発光ユニッ
トを有し、各発光ユニットは、1以上の発光層を含む構成とすることが好ま
しい。青色発光を得るには、複数の発光ユニットの発光層からの光を合わせ
て青色発光が得られる構成とすればよい。なお、青色発光が得られる構成に
ついては、シングル構造の構成と同様である。なお、タンデム構造のデバイ
スにおいて、複数の発光ユニットの間には、電荷発生層などの中間層を設け
ると好適である
【0163】また、上述の青色発光デバイス(シングル構造またはタンデム
構造)は、各色の発光デバイスを作り分ける構造(以下、SBS(Side  
By  Side)構造と呼ぶ場合がある。)と比較して、製造プロセスが簡単
であるため、製造コストを低くすることができる、又は製造歩留まりを高く
することができるため、好適である。
                            この項つづく
------------------------------------------------------------------------------------
🎈『即解:タフで綺麗なOLED』

BenQのモニターが日本で浸透しつつある。イメージ的には、バックライト
によって、「表示映像の白黒映像のようなもの」をリアルタイム生成して、
その光を液晶パネルに照射すれば、映像の黒い箇所は漆黒に近づき、明所は
より明るくなって、映像全体のコントラスト感も増強される……そんな効果
を狙ったのだ。
 ちなみに、この「表示映像の白黒映像のようなもの」を作
り出すLEDバックライト駆動を「エリア駆動」とか「ローカルディミング」
と呼ぶ。


最初期の直下型バックライトシステムでは、液晶パネルの背後に配置した光
源LEDの密度が100個以下と低かったが、今では総LED数が4桁にも昇る「ミ
ニLED世代」に到達。 LEDチップはかなり微細化され、遠目に見れば、ほぼ
「表示映像の白黒映像そのもの」として液晶パネルに照射できるようになっ
たのである。
「量子ドット」(Quantum Dot)とは、入射してきた光を別の波
長(色)の光に変換可能な、ナノメートルサイズの半導体結晶物質のこと。も
ともとは太陽光発電において白色の太陽光に対する光電効果の効率向上のた
めに実用化されたのが始まりで、映像分野での活用が進んだのはここ10年く
らい。
 量子ドット部材としては、インジウム、燐、亜鉛、硫黄、セシウム、
臭素、ヨウ素など、さまざまな元素を組み合わせたレシピが開発されている。
なぜ量子(Quantum)の名が出てくるのかというと、光の波長変換を量子力学
レベルで行なうため……と説明されることが多い。
 液晶モニターでは、バ
ックライトの光源としては青色の単色で発光するミニLEDが用いられ、三原
色の赤緑青のうち、青については、この高純度な青色光をそのまま活用。赤
色と緑色についてはそれぞれ、“赤”量子ドット、“緑”量子ドットにぶつけて
取り出すことになる。

量子ドット技術を採用することのメリットは2つあり、1つは赤緑青の純色表
現が鮮烈となること。
中堅クラスまでの液晶モニターのバックライトには、白色LEDが採用されて
おり、その白色LEDが青色LEDに黄色蛍光体(あるいは赤緑蛍光体)を組み合わ
せて白色光を合成しており、青色は高純度だが、赤色と緑色は雑味の強い色
になってしまっている。つまり、純色の赤色が重要なマグマ、夕焼け、炎や
純色の緑色が重要な草木、草花、昆虫や両生類などの表現はやや不得意なの
だ。

 量子ドット技術の2つ目のメリットは、赤緑青の混色表現においてダイナミ
ックレンジが広くなること(≒色深度が深くなること)。 前出の白色LEDでは、
赤と緑の純色に雑味があることから、赤と緑の混色、すなわち黄色成分の強
い色彩表現が苦手となるのだ。
まとめると、量子ドット技術を活用すると「
三原色すべての色純度が高い」、「理想的な混色が得られて特に肌色の表現
が良好」ということになる。


徹底解説! 新世代テレビの本命「有機EL」パネル方式の種類
(2018年5月3日:https://kakakumag.com/av-kaden/?id=12151)

製造方式=「蒸着方式」または「印刷方式」そして「製造」に関わる方式と
しては、「蒸着方式」と「印刷方式」の2種類がある。
「蒸着方式」は、有
機EL素材を蒸発させ、基板表面に付着させるもの。真空状態を作り出す装置
が必要で、画面サイズが大きくなるほど装置も大型化する必要があるが、ナ
ノレベルの薄膜を比較的高速で作ることができる。
いっぽうの「印刷方式」
は、インクジェットプリンターの要領で、有機EL素材を基板に印刷するもの。
必要な部分に必要な量だけ印刷するので素材のムダが少なく、真空環境が不
要なので、製造装置が比較的シンプルで費用も抑えられるメリットがある。
過去、有機EL
素材をインク化するのが難しく、実用化や製品化に時間を要し
た。「
発光方式」×「製造方式」のかけ合わせが、有機ELテレビ量産化の道
を分けた

技術的には「発光方式」と「製造方式」のかけ合わせは自由。その時点の技
術や製造効率で、もっとも適した組み合わせが選択されることになる。

・「RGB方式」×「蒸着方式」
・「RGB方式」×「印刷方式」
・「カラーフィルター方式」×「蒸着方式」
・「カラーフィルター方式」×「印刷方式」

スマートフォンなどの小画面有機ELパネルは、「RGB方式×蒸着方式」が主
流。「蒸着方式」はスマホで先行して実績があるものの、製造工程が複雑な
ため、テレビのような大型パネルには適用が難しい。
その昔、テレビ用とし
ては、「カラーフィルター方式×蒸着方式」と「RGB方式×印刷方式」が有
力候補と考えられた。そして、開発の前提としてどちらを選択するかが、そ
の後の明暗を分けることになった。
LGは早期の量産化を重視し、製造工程が
シンプルで大画面にも向く「カラーフィルター方式×蒸着方式」を採用し、
現在に至っている。先見の明と着実な技術開発により、成功を収めたと言っ
てよいだろう。
「カラーフィルター×蒸着方式」を採用するLGの有機ELテレビ(2018年モデル)
「カラーフィルター×蒸着方式」を採用するLGの有機ELテレビ(2018年モデル)

パナソニックやソニーは元々、画質とコストの両面で将来性を見込み、
「RGB方式×印刷方式」=「RGB印刷方式」を選択したが、量産化に時間が
かかってしまった。新技術がゆえに難易度が高かったこともあるが、言い換
えれば生産体制をスピーディーに確立する資金が不足していたことも背景に
ある。
そんな経緯を経て、産業革新機構を中核にパナソニックとソニーの有機EL
技術を統合して効率化を図るJOLEDの存在が、出遅れた「RGB印刷方式」の
実用化と普及に寄与するのは間違いないだろう。実際に「RGB印刷方式」に
よる有機ELディスプレイの出荷がスタートしたことで、各方面で期待が高ま
っているのだ。
「RGB印刷方式」が、“第2世代有機EL”の時代を切り拓く?
ようやく量産化のメドが立った「RGB印刷方式」の有機ELパネルがテレビに
採用されたら、ユーザーにどのようなメリットをもたらすのだろうか? 筆者
の期待も含めて今後の展望を考えてみた。

▼10~40型の有機ELテレビの登場!
有機ELテレビといえば、55型以上の大型サイズがメインだ。これは現在の
「蒸着方式」のコストを含む技術的制約によるものと思われる。いっぽうの
「RGB印刷方式」は、原理的に幅広い画面サイズに対応できる。
JOLEDは、
2017年末に21.6型の4Kパネルの出荷を開始したが、これは「蒸着方式」で
製造が難しいサイズに狙いを定め、新しい用途と市場を創造するという戦略
だろう。すでにASUSがPCモニターとして、ソニーが医療用モニターとして
製品化を発表している。家庭用テレビとしても、手頃なサイズの高画質有機
ELが登場すれば、高価格でも注目を集めるに違いない。

JOLEDのRGB印刷方式による有機ELパネルを採用したASUSのプロフェッショナルモニター「ProArt PQ22UC」

JOLEDのRGB印刷方式による有機ELパネルを採用したASUSのプロフェッショナルモニター
「ProArt PQ22UC」

JOLEDでは、製造設備が整ってコスト競争力が付けば40型以上の大画面へ、
高精細印刷技術が確立すれば5~10インチサイズでタブレットやノートPC用
途にも進出する計画があるというから、今後が楽しみだ。

▼超大画面有機ELも実現?
真空設備が不要な印刷方式なら、100インチ超の大型ディスプレイも期待
できる。ロール・ツ-・ロール(Role to Role)と呼ばれる、トイレットペ
ーパーのように巻き取りながら連続で印刷する方式なら、実質、長さの制約
はないので200インチクラスも不可能ではない。「印刷方式」が軌道に乗れ
ば、家庭でも、壁一面を有機EL映像が覆うような大画面を楽しめるようにな
るかもしれない。
▼さらなる高画質化・低消費電力化・低価格化に期待
現在、家庭用のテレビといえば、32~60型が主流。「RGB印刷方式」なら技
術的には対応可能なサイズだ。「カラーフィルター方式×蒸着方式」と比べ
ると、RGB発光により色純度が高く広色域な色再現が得られ、また、フィル
ターを用いないので光の利用効率が高まるため、高輝度化および高コントラ
スト化と低消費電力化の両立が期待できる。

当面、高価で用途が医療用や映像のプロフェッショナル用途に限定されそう
だが、製造設備が整って量産化が進めば、「蒸着方式」に比べて有機EL素材
のロスが少ないことや、製造がシンプルで効率的という長所が生き、低コス
ト化も期待できる。

有機ELのパネル構造は、バックライトや偏光板を必要とする液晶に比べて
も格段にシンプル。言い換えれば、いずれ液晶テレビよりも安価になる可能
性を秘めている。JOLEDの「RGB印刷方式」による有機ELパネル実用化は、
先述の通り、あらゆる面で将来性が期待できるため注目されている。
もちろ
んJOLEDの「RGB印刷方式」が躍進すれば、ほかの有機EL方式や、「マイク
ロLED」
といった他方式の開発と切磋琢磨して、各方面でさらなる発展も期
待できる。2020年のスポーツ観戦は、「RGB印刷方式」の有機ELか、それ
とももっと新しいデバイスか。高画質での観戦に期待が高まる。

今日の言葉:もう早師走😊






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エネルギーと環境 74

2024年12月11日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

【関連特許最新技術】
5. 特開2022-158973 表示装置、表示モジュール、電子機器、及び、表
示装置の作製方法 株式会社半導体エネルギー研究所
【要約】
下図1のごとく、第1の発光デバイスが第1の画素電極、第1の画素電極
上の第1の発光層及び第1の発光層上の共通電極を有し、第2の発光デバ
イスが第2の画素電極、第2の画素電極上の第2の発光層及び第2の発光
層上の共通電極を有し、第1の画素電極の端部及び第2の画素電極の端部
はそれぞれ、第1の絶縁層に覆われ、第2の絶縁層は第1の絶縁層上に位
置し、第2の絶縁層は第1の発光層及び第2の発光層のそれぞれの側面を
覆い、第1の色変換層は第1の発光デバイスに重畳して配置され、第2の
色変換層は第2の発光デバイスに重畳して配置され、第1の発光デバイス
及び第2の発光デバイスは青色光を発する機能を有し、第1の色変換層は
第1の発光デバイスの呈する光を異なる波長の光へ変換する機能を有し、
第2の色変換層は第2の発光デバイスの呈する光を異なる波長の光へ変換
する機能を有する高精細または高解像度の表示装置を提供する。


図1 図1(A)は、表示装置の一例を示す上面図である。図1(B)は、
表示装置の一例を示す断面図

【符号の説明】【0642】
AL    配線 CL    配線 GL    配線 RL    配線 SL    配線 SLB 
   配線 
SLG    配線 SLR    配線 10    表示装置 11    表示部
12    駆動回路部 13    駆動回路部 21    画素 21R    副画素
21G    副画素 21B    副画素 30    画素 70    電子機器 72    
支持体 
74    机 100    表示装置 100A    表示装置 100B   
表示装置 
100C    表示装置 100D    表示装置 100E    表示装
置 
100F    表示装置 100G    表示装置 101    層 110    画
素 
110a    副画素 110b    副画素 110c    副画素 110d   
 副画素 
111a    画素電極 111b    画素電極 111c    画素電極
111d    画素電極 113a    第1の層 113A    第1の層 113b   
 第2の層 
113c    第3の層 113d    第4の層 114    第5の層
115    共通電極 117    遮光層 118    第1の犠牲層 118a   
 第1の犠牲層 
118A    第1の犠牲層 119    第2の犠牲層 119a 
   第2の犠牲層 
119A    第2の犠牲層 120    基板 121    絶縁層
121a    絶縁層 121b    絶縁層 122    樹脂層 123    導電層
124a    画素 124b    画素 125    絶縁層 125A    絶縁膜
126    光学調整層 126a    光学調整層 126b    光学調整層
126c    光学調整層 127    絶縁層 127A    絶縁膜 129    色
変換層 
129a    色変換層 129b    色変換層 129c    色変換層
130    発光デバイス 130a    発光デバイス 130b    発光デバイス
130c    発光デバイス 130d    発光デバイス 131    保護層 
132    保護層 133    絶縁層 134    マイクロレンズ 135    第
1の基板 
136    第2の基板 139    領域 140    接続部 142   
 接着層 
151    基板 152    基板 153    絶縁層 162    表示
部 
164    回路 165    配線 166    導電層 172    FPC
173    IC 190a    レジストマスク 190b    レジストマスク
201    トランジスタ 204    接続部 205    トランジスタ 209    
トランジスタ 
210    トランジスタ 211    絶縁層 213    絶縁層
214    絶縁層 215    絶縁層 218    絶縁層 221    導電層 
222a    導電層 222b    導電層 223    導電層 225    絶縁層
231    半導体層 231i    チャネル形成領域 231n    低抵抗領域
240    容量 241    導電層 242    接続層 243    絶縁層 245    
導電層 
251    導電層 252    導電層 254    絶縁層 255a   
 絶縁層 
255b    絶縁層 256    プラグ 261    絶縁層 262   
 絶縁層 
263    絶縁層 264    絶縁層 265    絶縁層 271    
プラグ 
274    プラグ 274a    導電層 274b    導電層 280    
表示モジュール 
281    表示部 282    回路部 283    画素回路部
283a    画素回路 284    画素部 284a    画素 285    端子部
286    配線部 290    FPC 291    基板 292    基板 301    
基板 
301A    基板 301B    基板 310    トランジスタ 310A
   トランジスタ 
310B    トランジスタ 311    導電層 312    低
抵抗領域 
313    絶縁層 314    絶縁層 315    素子分離層 320  
  トランジスタ 
321    半導体層 323    絶縁層 324    導電層 
325    導電層 326    絶縁層 327    導電層 328    絶縁層
329    絶縁層 331    基板 332    絶縁層 335    絶縁層 336
    絶縁層 
341    導電層 342    導電層 343    プラグ 344   
 絶縁層 
345    絶縁層 346    絶縁層 347    バンプ 348    
接着層 
401    基板 410    トランジスタ 410a    トランジスタ
411    半導体層 411i    チャネル形成領域 411n    低抵抗領域
412    絶縁層 413    導電層 414a    導電層 414b    導電層
415    導電層 416    絶縁層 421    絶縁層 422    絶縁層
423    絶縁層 426    絶縁層 431    導電層 450    トランジスタ
450a    トランジスタ 451    半導体層 452    絶縁層 453    
導電層 
454a    導電層 454b    導電層 455    導電層 500    
表示装置 
501    電極 502    電極 512Q_1    発光ユニット
512Q_2    発光ユニット 512Q_3    発光ユニット 512B    
発光ユニット 
521    層 522    層 523Q_1    発光層 523
Q_2    発光層 
523Q_3    発光層 524    層 525    層 531
 中間層 
540    保護層 545G    色変換層 545R    色変換層 
550B    発光デバイス 700A    電子機器 700B    電子機器
721    筐体 723    装着部 727    イヤフォン部 750    イヤ
フォン 
751    表示パネル 753    光学部材 756    表示領域 
757    フレーム 758    鼻パッド 800A    電子機器 800B    
電子機器 
820    表示部 821    筐体 822    通信部 823   
 装着部 
824    制御部 825    撮像部 827    イヤフォン部
832    レンズ 6500    電子機器 6501    筐体 6502    表示
部 
6503    電源ボタン 6504    ボタン 6505    スピーカ 
6506    マイク 6507    カメラ 6508    光源 6510    保
護部材 
6511    表示パネル 6512    光学部材 6513    タッチ
センサパネル 
6515    FPC 6516    IC 6517    プリン
ト基板 
6518    バッテリ 7000    表示部 7100    テレビジ
ョン装置 
7101    筐体 7103    スタンド 7111    リモコン操
作機 
7200    ノート型パーソナルコンピュータ 7211    筐体 
7212    キーボード 7213    ポインティングデバイス 7214   
 外部接続ポート 
7300    デジタルサイネージ 7301    筐体 
303    スピーカ 
7311    情報端末機 7400    デジタルサイネージ
7401    柱 7411    情報端末機 9000    筐体 9001    表示
部 
9002    カメラ 9003    スピーカ 9005    操作キー 90
06    接続端子 
9007    センサ 9008    マイクロフォン 9050 
   アイコン 
9051    情報 9052    情報 9053    情報 9054    
情報 
9055    ヒンジ 9101    携帯情報端末 9102    携帯情報
端末 
9103    タブレット端末 9200    携帯情報端末 9201    
携帯情報端末

【発明を実施するための形態】
【背景技術】【0003】
  近年、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型情報端末、ノート型
PC(パーソナルコンピュータ)などの情報端末機器が広く普及している。
これらに設けられたディスプレイパネルにおいて、高精細なディスプレイ
パネルが要求されている。
【0004】また、ディスプレイパネルに適用可能な表示装置としては、
代表的には液晶表示装置、有機EL素子、発光ダイオードの発光素子(発
光デバイスともいう)を備える発光装置、電気泳動方式などにより表示を
行う電子ペーパなどが挙げられる。
【0005】  例えば、有機EL素子(有機ELデバイスともいう)の基
本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟持したも
のである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物か
ら発光を得ることができる。このような有機EL素子が適用された表示装
置は、液晶表示装置等で必要であったバックライトが不要なため、薄型、
軽量、高コントラストで且つ低消費電力な表示装置を実現できる。例えば、
有機EL素子を用いた表示装置の一例が、特許文献1に記載されている。 
また、有機EL素子の色変換(波長変換)材料として量子ドットを用いる
ことが、検討されている。量子ドットは、直径数nmの半導体ナノ結晶で
あり、1×10個から1×10個程度の原子から構成されている。量子
ドットは、電子や正孔、励起子がその内部に閉じ込められた結果、それら
のエネルギー状態が離散的となり、また、サイズに依存してエネルギーシ
フトする。すなわち、同じ物質から構成される量子ドットであっても、サ
イズによって発光波長が異なるため、用いる量子ドットのサイズを変更す
ることによって容易に発光波長を調整することができる。
【発明の効果】
【0028】本発明の一態様により、高精細な表示装置を提供できる。本
発明の一態様により、高解像度の表示装置を提供できる。本発明の一態様
により、高開口率の表示装置を提供できる。本発明の一態様により、大型
の表示装置を提供できる。本発明の一態様により、小型の表示装置を提供
できる。本発明の一態様により、信頼性の高い表示装置を提供できる。
【0029】本発明の一態様により、高精細な表示装置の作製方法を提供
できる。本発明の一態様により、高解像度の表示装置の作製方法を提供で
きる。本発明の一態様により、高開口率の表示装置の作製方法を提供でき
る。本発明の一態様により、大型の表示装置の作製方法を提供できる。
本発明の一態様により、小型の表示装置の作製方法を提供できる。本発明
の一態様により、信頼性の高い表示装置の作製方法を提供できる。本発明
の一態様により、歩留まりの高い表示装置の作製方法を提供できる。

【0036】(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置とその作製方法について図
1乃至図13を用いて説明する。


図13(A)乃至図13(F)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図

                           この項つづく


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エネルギーと環境 73

2024年12月10日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

 


4. 特開2023-116036 パターン転写用積層体及び転写方法 学校法人ト
ヨタ学園他
【要約】下図2のごとく、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジ
スト層をこの順で積層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層は、
その界面で剥離可能であるパターン転写用積層体で、パターニング基材に
感光性レジスト層等を介してフォトマスクを密着させて感光をさせるも
のではなく、水溶性樹脂塗布層と感光済みの感光性レジスト層を基本とす
る層を、表面が平面、又は平面ではないパターニング基材に積層させて、
その後の処理を行なうことができる。

図2.パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露光す
ることで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【符号の説明】【0056】
1:パターン転写用積層体 1A:潜像パターンを有するパターン転写用
積層体 1B:フレームを有するパターン転写用積層体 2:感光性レジ
スト層 2A:紫外光が照射された感光性レジスト 2B:紫外光が遮光
され元の状態の感光性レジスト 3:水溶性樹脂塗布層 4:フォトマス
ク5:スピン成膜用ヘッド 6:紫外線 7:フレーム 8:パターニン
グ用平面基材 9:パターニング用立体基材(湾曲面)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】本発明はパターニング基材に感光性レジスト層等を介してフ
ォトマスクを密着させて感光をさせるものではなく、水溶性樹脂塗布層と
感光済みの感光性レジスト層を基本とする層を、表面が平面、又は平面で
はないパターニング基材に積層させて、その後の処理を行なうことができ
ることを課題とする。更に、本発明は、転写可能なパターンが微細であっ
ても、条件により高い自由度と共に実現できる方法を達成することを課題
とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】本発明者は、前記課題を解決するために鋭意した結果、以下
の手段で解決できることを見出し、本発明に至った。

1.フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層をこの順で積
層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層はその界面で剥離可能で
ある、パターニング基材にパターンを転写するためのパターン転写用積層
体。
2.水溶性樹脂塗布層はフォトマスク上に水溶性樹脂溶液を塗布して形成
された層である1に記載のパターン転写用積層体。
3.感光性レジスト層は、フォトマスクの微細パターンを反映して露光さ
れた潜像パターンを有する1又は2に記載のパターン転写用積層体。
4.潜像パターンの幅が2μm以下である3に記載のパターン転写用積層体。
5.水溶性樹脂塗布層の厚みが、以下の式1で求められる厚み以下である
1~4のいずれかに記載のパターン転写用積層体。
式1:厚み=[0.50×(パターン幅)×(水溶性樹脂塗布層の屈折率
)/(露光波長)]
6.水溶性樹脂塗布層がポリビニルアルコールである1~5のいずれかに
記載のパターン転写用積層体。
7.パターン転写用積層体の感光性レジスト層面にフレームを固定し、フ
ォトマスクと水溶性樹脂塗布層はその界面で剥離可能である、1~6のい
ずれかに記載のパターン転写用積層体。
8.フォトマスクの水溶性樹脂塗布層側の面に、該フォトマスクと水溶性
樹脂塗布層の界面の剥離を促進する層を有する1~7のいずれかに記載の
パターン転写用積層体。
9.加工対象であるパターニング基材に密着させる前に、感光性レジスト
層を露光するための1~8のいずれかに記載のパターン転写用積層体。
10.水溶性樹脂塗布層と感光済み感光性レジスト層のみからなるパター
ン転写用積層体。
11.下記(a)~(g)工程を有する、感光性レジスト層を基材上に転
写する方法。
(a)フォトマスクの一方の面に水溶性樹脂溶液を塗布する工程、
(b)得られた水溶性樹脂溶液層を乾燥して水溶性樹脂塗布層を得る工程、
(c)水溶性樹脂塗布層上に感光性レジスト層を形成する工程、
(d)フォトマスク側から光を照射して感光性レジスト層を露光する工程、
(e)フォトマスクから水溶性樹脂塗布層と感光性レジスト層からなる積
層体を剥離する工程、
(f)剥離された水溶性樹脂塗布層と感光性レジスト層からなる積層体を
、感光性レジスト層がパターニング基材表面に接するように密着する工程、
(g)表面に位置する水溶性樹脂塗布層を水洗して除去し、必要によりパ
ターニング基材表面を現像及び/又は乾燥する工程

【発明の効果】
【0009】  本発明によれば、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光
性レジスト層をこの順で積層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布
層は、その界面で剥離可能であるパターン転写用積層体にすることができ
る。このため、パターニング基材表面が平面であっても、平面でなくても、
その表面に感光性レジスト層を積層させることができ、ひいては各種の表
面に対して感光性レジスト層を介して処理や加工を行なうことができる。
また、感光時において、感光性レジスト膜とフォトマスク間の距離を、十
分に近接できる程度の水溶性樹脂塗布層とすることができる。この効果に
加えて、水溶性樹脂塗布層の厚みが下記式1で求められるパラメータ値以
下であれば、露光時の回折広がりによるパターンのぼけを最小限に留める
ことができる。更に、感光性レジストに幅2μm以下の微細パターンを転
写する理想的な条件が得られ、平面又は立体基材上に貼り付け後に現像処
理を行うことでパターン転写が可能となる。
  式1:厚み=[0.50×(パターン幅)×(水溶性樹脂塗布層の屈折
率)]/(露光波長)

【図面の簡単な説明】
【0010】【図1】本発明のパターン転写用積層体。フォトマスク上に、
水溶性樹脂溶液及び感光性レジストを順にスピン成膜して形成する状態を
示す図
【図2】パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露
光することで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【図3】フォトマスクから水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を剥離
する状態を示す図
【図4】フォトマスク周辺部の感光性レジスト層面にフレームを固定した
パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露光するこ
とで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【図5】フォトマスク周辺部に感光性レジスト層面にフレームを固定した
パターン転写用積層体を、フレーム側から見た図
【図6】フォトマスクから、フォトマスク周辺部に感光性レジスト層面上
にフレームを固定した水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を剥離する

【図7】平面及び立体基材に感光性レジスト層を転写する工程を示す図
【図8】ダイス鋼SKD11に5種の幅の感光性レジストパターンを転写
した走査型電子顕微鏡写真
【図9】図8の最外周の幅1.1μmパターンの拡大図

【発明を実施するための形態】
【0011】本発明のパターン転写用積層体は、上記のようにフォトマス
ク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層をこの順で積層させてなるこ
とを基本とする。そして、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層は、その界面
で剥離可能であるパターン転写用積層体であり、特に微細なパターンを転
写するために有用である。
  以下に本発明のパターン転写用積層体の構造を順に説明する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【0012】(フォトマスク
  本発明におけるフォトマスクとしては特に限定されるものではなく、公知
のバイナリーマスクや位相シフトマスク等を使用することができる。フォ
トマスクの片面には、水溶性樹脂塗布層を形成できることが必要である。
  フォトマスクは明暗のみを変化させる白黒マスク(バイナリーマスク)で
も良く、ガラスに凹凸がある位相シフトマスク等でも良い。また大きさ、
形状等は任意に調整できる。
  また、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を一体と
して取り扱うことができる程度に、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層との
間は適切な接着力を有することが必要である。同時に、使用時において、
水溶性樹脂塗布層をフォトマスクから剥離できる程度の剥離性を有するこ
とも必要である。
  そのため、必要に応じてフォトマスクの水溶性樹脂塗布層側の表面を処
理して、水溶性樹脂塗布層との間の接着力と剥離性を調整しても良い。そ
のために、フォトマスクの水溶性樹脂塗布層形成側の面に対して、該フォ
トマスクと水溶性樹脂塗布層の界面の剥離を促進する層として、公知のフ
ッ素化合物(C等)によるCFx膜等の離型材層を予め成膜するこ
とが可能である。
  フォトマスクから下記の水溶性樹脂塗布層を剥離する手段としては、フィ
ルム状の積層体を剥離する公知の手段を採用できる。この手段としては、
フォトマスクの端部を指や器具等でつまんで、剥離方向に力を加える等の
手段を採用できる。
【0013】(水溶性樹脂塗布層
  本発明における水溶性樹脂塗布層は、フォトマスクの片面の全面又は十分
な部分に形成される層であり、公知の水溶性樹脂からなる層で良いが、中
でも、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、
ポリエステル及びポリスチレンスルホン酸から選ばれた1種以上からなる
層が挙げられ、中でもポリビニルアルコールからなる層が好ましい。
  本発明における水溶性樹脂塗布層は、フォトマスクに対して水溶性樹脂溶
液を塗布乾燥してなる層である。そのため、樹脂フィルム等の基材表面に
水溶性樹脂溶液を塗布・乾燥し、これをフォトマスクに転写等して積層さ
せてなる層は、本発明における水溶性樹脂塗布層ではない。
  水溶性樹脂溶液の25℃での粘度は1000mPa・s以下であることが、
均一な水溶性樹脂塗布層を形成させる上で好ましい。その他、水溶性樹脂
溶液中の水溶性樹脂の濃度等は、必要な水溶性樹脂塗布層の厚みを達成す
るために任意に調整し得る。
  水溶性樹脂塗布層を構成する水溶性樹脂としては、適切な水溶性を供える
ことに加えて、水溶性樹脂塗布層をフォトマスクから確実に剥離し、剥離
後の水溶性樹脂塗布層と感光性レジスト層の変形等を発生させないことが
必要である。そのためには、水溶性樹脂塗布層が高い引張弾性率を有する
ことが好ましい。このような水溶性樹脂塗布層の引張弾性率としては、
23℃-50%RH環境下で調湿した後において、500N/mm以上
が好ましく、800N/mm以上がより好ましく、1100N/mm
以上が更に好ましく、1300N/mm以上が最も好ましい。500N
/mm未満の場合、フォトマスクから剥離する際に水溶性樹脂塗布層が
伸びてしまうため、感光性レジスト層が伸びてレジストパターンのひび割
れ等を発生させないように、注意しなくてはならない

  このポリビニルアルコールは変性及び/又は未変性のいずれでもよいが未
変性のものが好ましい。変性ポリビニルアルコールの場合には、主鎖中に
発明の効果を阻害しない範囲で、例えば10モル%以下、好ましくは7
モル%以下の範囲において、他の単量体を共重合させることができる。但
し、アニオン性及びカチオン性の官能基を有する単量体を共重合した場合
には、フォトマスクからの剥離が困難になる可能性があり、またレジスト
材料との反応により本発明の効果を阻害する可能性があるため、単量体と
しては、ノニオン性の性質を有するものが好ましい。
  ノニオン性の性質を有する単量体としては、例えば、エチレン、プロピレ
ン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオ
レフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水
マレイン酸、イタコン酸等のジアルキルエステル類、ポリオキシエチレン
ビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等のポリオキシア
ルキレンビニルエーテル類、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。これ
らの他の単量体は、単独でもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
  ポリビニルアルコールを採用する際には、ポリビニルアルコールのケン
化度は60mol%以上が好ましく、70~95mol%が更に好まし
い。ケン化度が60mol%未満の場合には、十分な水溶性を有さず、転
写工程時に十分に水による溶解除去ができない可能性があり、その場合に
は、以後の工程に支障をきたす可能性がある。また、ポリビニルアルコー
ルの重合度は500以上が好ましく、600~2000がより好ましく、
1000~1500が更に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度が
500未満の場合には、形成したポリビニルアルコール層の機械的強度が
弱く、フォトマスクからの剥離の際にフィルムが破損等する可能性がある。
ポリビニルアルコールの重合度が2000を超える場合には、水溶液にし
た際の粘度が高くなり、フォトマスク上に水溶性樹脂塗布層としてポリビ
ニルアルコール層を形成する際に支障をきたす可能性がある。


【0015】ポリビニルアルコールには、感光性レジスト層に悪影響を及
ぼさない限りにおいて公知の可塑剤を添加することができる。好ましくは、
ジオール化合物及び/又はもしくは隣接する水酸基がδ位以降に位置する
トリオール化合物を少なくとも1種以上含む。そして、好ましいジオール
化合物は数平均分子量が600以上であり、より好ましくは800以上で
あり、更に好ましくは1000以上である。可塑剤を無添加、もしくはジ
オール化合物又は隣接する水酸基がδ位以降に位置するトリオール化合物
以外の化合物を可塑剤として添加した場合、フォトマスクから剥離する際
に確実に剥離できない等の支障をきたし、剥離時のノッキング等でレジス
トパターンに影響が出る可能性がある
  ここで、隣接する水酸基がδ位以降に位置するトリオール化合物とは、水
酸基を3つ有し、そのうちのいずれの水酸基を基準にして、これに結合す
る炭素元素をα位としたとき、その基準の水酸基と残りの2つの水酸基の間
には、最短でそれぞれ炭素や酸素等の原子価2以上の原子が4つ以上結合
した化合物である。そして、3つの水酸基のうちの任意の2つの水酸基の
組み合わせの全てにおいて、原子価2以上の原子が4つ以上結合すること
が必要である。
【0016】例えば、下記化1に示す1,4,8-オクタントリオールは、
4位の炭素原子に結合した水酸基を基準にすると、これに隣接する1位及
び8位の水酸基の位置はそれぞれδ位及びε位となる。同様にして下記化
2に示すオキシエチレングリセリルエーテルでは、分子中の中間に位置す
る水酸基を基準とすると、隣接の水酸基はそれぞれθ位に位置する。
  本発明中の隣接する水酸基がδ位以降に位置するトリオール化合物は、ト
リオール化合物中の全ての水酸基が互いにδ位以降に位置しあう化合物で
ある。
  下記化3に示す1,2,8-オクタントリオールのように、隣接する2つ
の水酸基の間がδ位以降に位置するが、隣接する別の2つの水酸基の組合
せが、γ位までの間に位置する化合物は、本発明における隣接する水酸基
がδ位以降に位置するトリオール化合物ではない。
  (化1)
000003

  (化2)
000004

  (化3)
000005
【0017】また、水溶性樹脂溶液には、本発明の効果を阻害しない範囲
において、フォトマスクに形成する際のはじき防止のためのレベリング剤
や、水で溶解する際の泡立ちを防ぐ目的で消泡剤を添加することができる
。いずれも公知のものを使用でき、中でも非シリコーン系の材料が好ましい。
  更に、水溶性樹脂塗布層はその上に感光性レジスト層が形成されることか
ら、感光性レジストの溶液に含まれる溶媒、例えばアセトン、シクロヘキ
サノン、メチルエチルケトン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル等に
侵されないことが必要である。侵された際には水溶性樹脂塗布層が溶解して
穴開き等が発生し、本発明の効果を損なう可能性がある。

【0018】水溶性樹脂塗布層の厚みのうち、好ましい厚みは以下の式1
で求められた厚み以下である。
  式1:厚み=[0.50×(パターン幅)2×(水溶性樹脂塗布層の屈折
率)/(露光波長)]
  屈折率が1.50の水溶性樹脂を使用し、求めるパターン幅1μm、使用
する露光波長400nmの場合には、式1は、厚み=[0.50×(1μm)
2×(1.5)/(0.4μm)]=1.9より、厚みは約1.9μm以下
であることが好ましく、同様にパターン幅2μm、露光波長400nmの
場合には、厚みは7.5μm以下であることが好ましい。同様に、パター
ン幅1μm、露光波長250nmの場合には厚み3.0μm以下であること
が好ましく、露光波長365nmの場合には厚み2.0μm以下であるこ
とが好ましい。水溶性樹脂塗布層の厚みが式1により求めた厚みを超える
場合には、フォトマスクと感光性レジスト層の間での光回折によりパター
ンぼけが発生し、結果としてパターン形状を損なう可能性がある。なお、
求めるパターン幅によって、厚み等を広く調整できるが、より微細なパタ
ーンでの露光を前提にした通常の使用での厚みは、3.0μm以下が好ま
しく、2.6μm以下がより好ましく、2.3μm以下が更に好ましく、
1.9μm以下が最も好ましい。
  また、波長248nm以上での光線透過率が80%以上であることが好ま
しい。80%未満の場合には、水溶性樹脂塗布層で照射光が吸収され、感
光性レジスト膜に照射される光の強度が弱くなり、パターン形状を損なう
可能性がある。
【0019】このような水溶性樹脂塗布層をフォトマスクの一方の面に設
けるため、水溶性樹脂を溶媒に溶解してなる水溶性樹脂溶液を用いて、回
転装置上に載置したフォトマスクを回転させながら、フォトマスク上に水
溶性樹脂溶液を供給するスピンコート、フォトマスク上に水溶性樹脂溶液
をスプレーするスプレーコートやスリットダイによるスリットコート等の
公知の手段によりフォトマスクの全面に塗布・乾燥して設ける手段を採用
しても良い。また、予め離型フィルム上に水溶性樹脂溶液層を形成してお
き、この水溶性樹脂溶液層が乾燥する前に、フォトマスク上に公知の手段
により転写しても良い。スピンコートにより塗布する場合には、B型粘度
計を用いてずり速度1.7s-1で測定した25℃における粘度が350
mPa・s以下であることが好ましい。350mPa・sを超える場合に
は、水溶性樹脂塗布層を形成する際に支障をきたす可能性がある。
  このようにフォトマスクの水溶性樹脂塗布層を形成する側の面に、水溶性
樹脂の溶液を塗布する等の手段により水溶性樹脂溶液層を形成させ、この
水溶性樹脂溶液層を乾燥させることにより、フォトマスクの所望する領域
全体に対して均一な水溶性樹脂塗布層を、その領域全面に対して確実に密
着させて形成できる。仮に、別フィルムに形成した水溶性樹脂層や感光性
レジスト層を、フォトマスクの表面に重ねる場合には、フォトマスク表面
との間に密着できない隙間が形成される可能性がある。そして、この結果
としてパターンが光回折で広がったり、光干渉縞が重畳してパターンが劣
化したりする。
【0020】(感光性レジスト層)
  本発明の実施の形態による感光性レジスト層には、水溶性樹脂塗布層の
上に形成できる、公知のポジ型レジスト及びネガ型レジストの両者を使
用することができる。その中でも露光波長248nm~436nm(24
8nm:KrFエキシマレーザー、365nm:i線、436nm:g線
)に適したレジストが好ましい。現像の結果、ポジ型レジストを使用し
た場合には、露光された領域が除去され、露光されなかった領域が基材に
残る。ネガ型レジストを使用した場合には、露光されなかった領域が除去
され、露光された領域が基材に残る。いずれにしても、感光性レジスト層
は、フォトマスクの微細パターンを反映して露光された潜像パターンに基
づくパターンが形成される。
  感光性レジスト層の厚みは、基材にパターニング後に続くエッチング加工
や堆積加工に耐える膜厚が好ましい。例えば、幅1μm、高さ2μmの堆積
加工を行う際には、感光性レジスト膜の厚みは2μm以上が好ましい。
【0021】(フレーム)
  本発明においては、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層の界面から水溶性
樹脂塗布層以降の層の剥離を容易にするために、パターニングされる基材
のパターン形成領域の外縁よりも外側の領域に対応するフォトマスク周
辺部の感光性レジスト層面にフレームを補強枠として設けることができる。
これにより、感光性レジスト層の剛性を向上させて、フォトマスクを水溶
性樹脂塗布層の界面から無溶剤で剥離しやすくすることができる。また剥
離後の水溶性樹脂塗布層と感光後の感光性レジスト層からなる積層体に対
して、ある程度の剛性等を与えることができる。
  フレームは感光性レジスト層表面の周縁部に設けることができ、周縁全
てにわたって設けても良く、周縁部の複数箇所に分散して互いに独立して
設けてもよい。フォトマスク表面をパターニング基材(パターン転写対象
の物品)の表面に押し付けるため、フレームは周縁に設けられるのであり、
中央部に設けられるのではない。
  また、パターニング基材の表面が凸状曲面等である場合、パターン転写
用積層体の感光性レジスト面に押圧がかかる場合があり、その際であって
も、フレームによりパターン転写用積層体の形状を保ちながら、パターン
転写を行うことができる。
  フレームの厚さは0.050mm以上が好ましく、0.080mm以上が
より好ましく、0.100mm以上が更に好ましく、0.140mm以上
が最も好ましい。また1.000mm以下が好ましく、0.500mm以
下がより好ましく、0.300mm以下が更に好ましい。例えば、日東電
工株式会社製のリバアルファ等が挙げられる。
  フレームは、片面が粘着層である厚膜シート状物でよく、感光性レジス
ト層に対して剥離可能であっても、剥離不可であっても良い。ウェハの加
工時に使用する粘着シートが好ましい。
【0022】(パターニング基材)
  パターニング基材は本発明のパターン転写用積層体を使用する加工対象で
ある、パターニング基材としては、表面が平滑又は立体のパターニング基
材である。この立体のパターニング基材とは、半導体ウェハやディスプレ
イ用平面ガラス板のような表面が平滑で丈夫なものではなく、パターンを
形成する領域に凹部、凸部、又は凹凸が形成された基材、表面粗さを持
つ基材、柔らかいシート等の基材がある。またそのような表面の領域を有
する、プリント基板、樹脂及び金属基板等、様々な用途の基材を対象にで
き、それらの材料に関しても金属、非金属及び樹脂等の様々なものを対象
にできる。そして、本発明のパターン転写用積層体を使用したパターニン
グ基材への加工は、模様や回路の形成、エッチング等、公知の目的の加工
とすることができる。特に微細なテキスチャ付き曲面金型(赤外線用レン
ズの反射防止構造等)や微細パターンを有する圧延ロール、曲面や壁面に
設ける立体配線、マイクロコイル電気回路部品や磁気センサを設けたもの、
電池内部構造のセパレータ等の幅が2.0μm以下のパターン等を得ること
を目的としたパターニング基材を加工対象にすることができる。また、平
面であっても幅が2.0μm以下のパターン等を設けるパターニング基材も
加工対象にすることができる。
  また、パターニング基材の用途、材料、形状、相対的な大きさ、配置、成
膜方法、微細パターン転写方法におけるプロセス条件や追加の前処理や後
処理等は限定されるものではない。そのため本発明のパターン転写用積層体
は、上記の表面が平滑で丈夫なパターニング基材のみならず、表面形状が
立体であったり、柔らかいパターニング基材に対してパターンを転写する
ためのものも包含する。
  そして、加工対象であるパターニング基材にパターン転写用積層体を密着
させる前に、本発明のパターン転写用積層体の感光性レジスト層を露光す
ることが好ましい。
  ただし、水溶性樹脂塗布層を水により除去する工程を必要とするので、パ
ターニング基材は水に対して不溶性であることが必要である。

【0023】(パターン転写用積層体の構造及びその製造方法)
  図1に示すように、本発明のパターン転写用積層体1は、フォトマスク
4、水溶性樹脂塗布層3、感光性レジスト層2を順に積層してなる積層
体を基本とする。その具体的な構造、製造方法、及び使用方法の例を以下
に示す。また、図示はしないが、感光性レジスト層2の表面に、剥離可能
な保護層を設けて、パターン転写用積層体の保管時や、露光後のパターニ
ング基材への密着直前までの間、感光性レジスト層2表面の汚染等を防止
するようにしても良い。
【0024】図1に示すように、本発明のパターン転写用積層体1は、フ
ォトマスク4をスピン成膜用ヘッド5の上面に固定して回転させながら、
フォトマスク4上のマスクパターン4Aがある面に、まず水溶性樹脂溶液
を供給してスピンコートし、この層を乾燥させることにより水溶性樹脂塗
布層3を形成し、更にその上に、同じく感光性レジスト層2をスピンコー
トして順に成膜して得たものである。
【0025】
  (a)フォトマスクの一方の面に水溶性樹脂塗布層3を塗布する工程
  フォトマスクの一方の面に水溶性樹脂塗布層3を得るための水溶性樹脂溶
液の塗布工程としては、確実に均一な水溶性樹脂塗布層3を形成できる手
段であれば良い。そして、上記のスピンコート以外にもスプレーコートや
スリットコート等の任意の手段を採用可能である。
【0026】
  (b)得られた水溶性樹脂溶液層を乾燥して水溶性樹脂塗布層3を得る工程
  得られた水溶性樹脂溶液層の乾燥手段としては特に限定されない。任意の
加熱手段による加熱を行って乾燥させてもよく、水溶性樹脂溶液層が十分に
薄いときには、自然乾燥による乾燥でも良い。得られた水溶性樹脂塗布層
3は、全ての箇所において、フォトマスク4に完全に密着している。仮に、
水溶性樹脂からなる層を予め得たフィルムをフォトマスクに被覆する手段
を採用すると、両者を確実に完全に密着させるには相当の技量を有し、技
量があったとしても相当に困難である。
【0027】
  (c)水溶性樹脂塗布層3上に感光性レジスト層2を形成する工程
  水溶性樹脂塗布層上に液状の感光性レジスト液を、水溶性樹脂塗布層3
を形成するために採用できる塗布の手段と同様の手段を独立して採用でき
る。いずれにしても、確実に均一な感光性レジスト層2を形成できる手段
であれば良い。
  また、形成直後の感光性レジスト層2に対して、必要に応じて任意の加
熱手段による加熱を行って乾燥させてもよく、感光性レジスト層2の厚み
を考慮して、自然乾燥による乾燥でも良い。
【0028】図2はパターン転写用積層体の断面図であり、フォトマス
ク4上に形成した水溶性樹脂塗布層3上に、感光性レジスト層2を成膜し
てなる。
  (d)フォトマスク側から光を照射して感光性レジスト層を露光する工程
  予めフォトマスク4のマスクパターン4Aの無い面側(図2中の上方)
から紫外線6等を照射して、感光性レジスト層2をマスクパターン状に露
光することにより、潜像パターンである紫外光が照射されて感光済みの感
光性レジスト2Aを有するパターン転写用積層体1Aを得る。この紫外光
が照射された感光性レジスト2Aは紫外線が照射されて変化した感光性レ
ジストであり、2Bは紫外線がフォトマスクにより遮光された結果、照射
されずに、元の状態のままの感光性レジストである。

【0029】 (e)フォトマスクから水溶性樹脂塗布層3と感光性レジス
ト層2からなる積層体を剥離する工程
  図3はパターン転写用積層体1Aを、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層
3の界面において、フォトマスク4と、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レ
ジスト層2を剥離する図である。なお、フォトマスクから水溶性樹脂塗布
層3と感光性レジスト層2からなる積層体を剥離する工程は、フォトマス
クを水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる積層体から剥離す
る工程も包含する。
  フォトマスクから、水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる
積層体を剥離する工程において、フォトマスクに密着する水溶性樹脂塗布
層3の端部から、剥離のきっかけとして小さい剥離域を形成させ、これを
つまむことができる治具等でつまみ、徐々に剥離域を広げながら水溶性樹
脂塗布層3全体に剥離域を拡大して、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層
3全体を剥離する。この結果としてフォトマスクから水溶性樹脂塗布層3
と感光性レジスト層2からなる積層体を得る。また、フォトマスク4の上
に水溶性樹脂塗布層3を形成させる際に、フォトマスク4又は水溶性樹脂
塗布層3のいずれかに対して、より密着性が強い小片(紙片、樹脂フィル
ム片、繊維片等)を、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3の間であって、
その小片の端部が水溶性樹脂塗布層3の端部から外部にはみ出すように設
けてもよい。フォトマスクから、水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層
2からなる積層体を剥離する際には、治具や指先で小片の端部をつまんで、
フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3を分離させることができる。
  また、フォトマスク4の端部表面(水溶性樹脂塗布層3が形成されてい
ない側の面)にポリイミド等を基材とする任意の粘着テープを貼付し、こ
のテープの端部を指先で摘んでフォトマスクを剥がす方向に引っ張ること
で、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3の界面の端部等をわずかに剥が
すことで、続く剥離のきっかけを作る。次いで、その端部のきっかけをピ
ンセットで摘んでフォトマスク4を水溶性樹脂塗布層3以降の層から剥離
させても良い。
  なお、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層2に影響を及ぼさない限
りにおいて、有機溶剤等の公知の剥離剤を使用することができる。
【0030】図4はフォトマスク4と、水溶性樹脂塗布層3以降の層の剥
離を円滑に進める等のために、予め補強枠としてフレーム7を貼り付けた
パターン転写用積層体1Bである。図5はフォトマスク4を設けた状態を
フレーム7側から見た図である。フォトマスク4の周辺部は、パターニン
グされる基材よりも外に設計できるため、この周辺部に補強枠としてフレ
ーム7を設けることができる。この結果、例えば使用時において、フレー
ム7を把持しつつ、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3との間を離すよ
うに力を与えることにより、フレーム7を有しない場合よりも円滑に水溶
性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる積層体を剥離できる。

【0031】図6は、補強枠としてフレーム7を貼り付けたパターン転写
用積層体1Bのフォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3の界面より水溶性樹
脂塗布層3以降の層を剥離する図である。フレーム7を設けることで水溶
性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層2が補強され、剥離時のきっかけと
なるため、剥離剤等を使用せず無溶剤な工程が可能となる。このようなフ
レーム7を設けることにより、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層
2からなる積層体全体の剛性を高めることができる。この結果として、こ
の剥離工程を円滑に進めることができ、かつその後の水溶性樹脂塗布層3
と感光性レジスト層2からなる積層体の取り扱い性を容易にさせることが
できる。フレームの形状は図5に示すものに限定されず、図5において内
周が円形でなくても良く、外形も正方形でなくても良い。更に図6におい
てフレームの厚さは任意であり、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト
層2が補強され、剥離時のきっかけになる程度に厚ければ良い。

【0032】
  (f)剥離された水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる積層
体を、感光性レジスト層2がパターニング基材表面に接するように密着す
る工程図7は、パターン転写用積層体1A及び1Bのフォトマスク4から
剥離させた水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層2を、感光性レジス
ト層2側よりパターニング用平面基材8及びパターニング用立体基材9に
密着させ、必要に応じて加熱により貼り付ける図である。その後、水溶性
樹脂塗布層3は、水に溶解するために水洗除去されるため、感光性レジス
ト層2に影響を与えることなく水洗により除去することができる。更に、
現像することによりパターニング用平面基材8上及びパターニング用立体
基材9上に感光性レジスト層2の微細パターンを転写できる。
【0033】
  (g)表面に位置する水溶性樹脂塗布層3を水洗して除去し、必要により
パターニング基材表面を現像する工程上記(f)工程によりパターニング
基材表面に、感光性レジスト層2を介して設けた水溶性樹脂塗布層3を水
洗により除去する。水洗の手段としては、水溶性樹脂塗布層3に対して水
性液体を噴霧して、水溶性樹脂を溶解させて除去する手段や、パターニン
グ基材ごと水性液体に浸漬して、水溶性樹脂を溶解させる手段等の任意の
手段を採用できる。このようにして基材上に感光性レジスト層を転写でき
る。
【0034】上記(g)工程の後、感光性レジスト層2に適合した任意の
条件により現像をする。その後、目的とするパターンを得るように、蒸着
めっき堆積、イオン注入、エッチング等の公知の処理を行なうことができ
る。
【実施例】【0035】
  以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例
は本発明の1形態を示すものであり、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
(フォトマスク)
  フォトマスクは円周上に5種のライン—アンド—スペースのパターンが
並んだ形状をデザインしたバイナリーマスクを使用した。中心から外周に
向かって徐々に微細になっており、パターン幅は11.5μm、6.6μ
m、3.7μm、2.1μm及び1.1μmである。
【0036】(水溶性樹脂水溶液)
  日本酢ビ・ポバール社製のJポバール(JP-15:ケン化度90mol
%、重合度1500(PVA1用)、JP-10:ケン化度90mol%、
重合度1000(PVA2用)、JP-05:ケン化度89mol%、重
合度600(PVA3、7及び8用)、JR-05:ケン化度70mol
%、重合度600(PVA4及び9用)、JP-03:ケン化度90mol
%、重合度300(PVA5用)、JP-24:ケン化度90mol%、
重合度2400(PVA6用)、を用いて、表1に示される組成のPVA
1~PVA9の水溶性樹脂水溶液を調製した。可塑剤添加量はPVA1~
8は水溶性樹脂100重量部に対しそれぞれ5重量部添加した。表1の粘
度はB型粘度計(東機産業社製TVB-10)を用いて25℃、ずり速度
1.7s-1で測定した。
【0037】【表1】
000006
【0038】(感光性レジスト)
  感光性レジストはノボラック樹脂系のポジ型レジスト(AZ1500、
Clariant社)を使用した。
【0039】(パターニング基材)
  パターニング基材1は、外径21.4mmのダイス鋼SKD11を使用
した。この表面を#10000にて研磨した。
  パターニング基材2は、立体形状基材として、外径25mm、曲率半径
130mmの湾曲面の高低差が0.6mmである平凸レンズを使用した。

【0040】(パターン転写用積層体の作製)
  スピンコーターの成膜用ヘッドにフォトマスクを固定し、フォトマスク上
に表1に記載の水溶性樹脂水溶液を滴下、スピンヘッドを回転、乾燥させ
ることで水溶性樹脂塗布層を得た。水溶性樹脂塗布層の厚みは水溶性樹脂
水溶液塗布時のスピンヘッドの回転数で調整した。乾燥は80℃で実施し
た。その後、水溶性樹脂塗布層上に感光性レジストとしてポジ型レジスト
を滴下、スピンヘッドを回転、ベークすることで表2に記載の実施例1~
4、及び6のパターン転写用積層体を得た。感光性レジスト層の厚みはス
ピンヘッドの回転数で調整した。
  また、表2の実施例5及び7はパターニング基材の外径よりも外側に補
強枠として厚さ175μmのフレーム(厚膜フレーム(リバアルファ、日東
電工社))を固定した。水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層の厚みは
段差計及びエリプソメーター(波長632.8nm)により測定した。

(露光)
  マスクアライナを用いて実施例1~7のパターン転写用積層体のフォト
マスク側から露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感光性レジス
ト層に潜像パターンを得た。
【0041】【表2】
000007
【0042】(実施例及び比較例)
パターン転写用積層体の作製
  実施例及び比較例として表3のパターン転写用積層体を得た。実施例8
及び9は実施例1の水溶性樹脂塗布層の厚みを変えたものである。実施例1
0は実施例8と同じパターン転写用積層体を使用したが、下記表5に示す
ように、特に微細なパターン形成のみの場合の例であり、水溶性樹脂塗布
層の厚みによっては、対応できないパターン幅があることを示す。比較例
1では水溶性樹脂塗布層を設けず、比較例2及び3は実施例3の水溶性樹
脂塗布層の重合度を変えたものである。比較例4及び5は実施例3の水溶
性樹脂塗布層の可塑剤種を変えたもの、比較例6は水溶性樹脂塗布層に可
塑剤が含まれていないものである。水溶性樹脂塗布層の厚みは水溶性樹脂
水溶液塗布時のスピンヘッドの回転数で調整し、乾燥は80℃で実施した。
その後、水溶性樹脂塗布層上に感光性レジストとしてポジ型レジストを滴
下、スピンヘッドを回転、ベークし、比較例1~6のパターン転写用積層
体を得た。
(露光)
  マスクアライナを用いて比較例1~6のパターン転写用積層体のフォトマ
スク側から露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感光性レジスト
層に潜像パターンを得た。
【0043】【表3】
000008
【0044】比較例7では、ポリエステルフィルム上に表1のPVA1を
バーコーターで塗布、80℃で乾燥することで厚み2.0μmの水溶性樹
脂層を形成し、この水溶性樹脂層上にポジ型の感光性レジストをスピンコ
ーターにより塗布、乾燥し、厚み1.5μmの感光性レジスト層を得た。
その後、ポリエステルフィルムを剥離し、フォトマスクと水溶性樹脂層表
面を合わせて、感光性レジスト側より熱と圧力を掛けて密着させた。この
場合の水溶性樹脂層は本発明でいう水溶性樹脂塗布層ではない。
  次いで実施例1と同様に露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感
光性レジスト層に潜像パターンを得た。
【0045】  比較例8では水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を設け
ずに、ポジ型の感光性レジストをパターニング基材2に直接スピン成膜し
た。その後、レジスト側にフォトマスクを近接させて、マスクアライナを
用いて露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感光性レジスト層に
潜像パターンを得た。
【0046】(水溶性樹脂塗布層の引張弾性率)
  表1の水溶性樹脂水溶液を離型処理ポリエステルフィルム上にバーコート
により塗工・乾燥させ、23℃-50%RH環境下で調湿した後に、水溶
性樹脂塗布層を剥離し、JIS  K  7161-1:2014に従い、引張
試験機を用いて引張弾性率を測定した。
【0047】
(パターン転写)
<フォトマスクからの剥離>
  露光後潜像パターンを得た実施例1~4、6、8及び比較例1~6につ
いて、フォトマスクの端部表面にポリイミド粘着テープを貼付し、このテ
ープを指先で摘んでフォトマスクを剥がす方向に引っ張ることで、フォト
マスクと水溶性樹脂塗布層の界面の端部に剥離のきっかけを作る。次いで、
その端部のきっかけをピンセットで摘んでフォトマスクを水溶性樹脂塗布
層以降の層から剥離させ、感光性レジスト層等に影響を与えるかどうかを
確認した。実施例5、7、9及び10については、厚膜フレームをピンセ
ットでつまんでフォトマスクと水溶性樹脂塗布層の界面より剥離させた。
  〇:フォトマスクからレジスト層等に悪影響を与えることなく剥離可能
  ×:フォトマスクからレジスト層等に悪影響を与えることなく剥離できな

【0048】<パターニング基材1への転写>
  実施例1~5、8及び9、比較例1~6について、フォトマスクから剥
離した水溶性樹脂塗布層以降の層を感光性レジスト層側から基材であるパ
ターニング基材1に真空密着させた。その後、水溶液樹脂塗布層を水洗に
より除去後、現像液に浸漬し、潜像パターンを現像した。実施例5及び
例9のフレームは、水溶性樹脂塗布層の水洗工程で同時に除去した。比
較例7は露光後、水溶性樹脂層を水洗により除去後、現像液に浸漬し、潜
像パターンを現像した。
  〇:パターン不良なし  
  ×:ぼけ等のパターン不良あり
【0049】<パターニング基材2への転写>
  実施例6、7及び10について、フォトマスクから剥離させた水溶性樹
脂塗布層以降の層を感光性レジスト層側からパターニングの基材2に真空
密着させた。その後、水溶液ポリマー層を水洗により除去後、現像液に浸
漬し、潜像パターンを現像した。実施例7及び10のフレームは、水溶性
樹脂塗布層の水洗工程で同時に除去した。比較例8は露光後、現像液に浸
漬し、潜像パターンを現像した。
  〇:パターン不良なし  
  ×:ぼけ等のパターン不良あり
【0050】【表4】

【0051】【表5】

【0052】表4によると実施例1~5はいずれのパターン幅においても
良好な転写結果が得られた。図8はパターニング基材に転写したレジスト
パターンの走査型電子顕微鏡写真の一例である。中心から外周に向かって
段階的に微細になっている5種のパターンである。図9は図8の最外周の
幅1.1μmのパターンの拡大図である。
  本実施例の水溶性樹脂塗布層の屈折率1.50、i線の露光波長365nm
においてパターン幅1.1μm、2.1μm、3.7μm、6.6μm、11.
5μmにおける、式1による厚みはそれぞれ、2.5μm、9.1μm、28.
1μm、89.5μm及び271.7μmとなり、表2の実施例1~5の水溶
性樹脂塗布層の厚みはパターン幅1.1μmにおける該厚み以下であったこ
とから、パターン幅1.1μmの転写がパターンぼけ等なく可能であった。

【0053】下記の各比較例は、水溶性樹脂塗布層を均一に塗布できなか
ったり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層をその界面で剥離することが困
難な例である。均一な塗布は水溶性樹脂水溶液の濃度調整等により、剥離
性の向上は水溶性樹脂水溶液中の添加剤の調整等により改善できるもので
ある。これらの比較例は、本発明において、フォトマスクと水溶性樹脂塗
布層はその界面で剥離可能である、という条件を満たさない例として示した。
  比較例1では、水溶性樹脂塗布層を設けていないため、感光性レジスト層
が剥離できず転写が不可能であった。実施例8では、パターン幅2.1μm
以上のときには良好にパターン転写できたが、水溶性樹脂塗布層の厚みが
式1を満たさなかったパターン幅1.1μmでは、良好なパターン転写が
得られなかった。同様に実施例9ではパターン幅3.7μm以上のときに
は良好にパターン転写できたが、水溶性樹脂塗布層の厚みが式1を満たさ
なかったパターン幅2.1μm以下では、良好なパターン転写が得られな
かった。
  以上の結果より、更に微細で良好なパターン転写を得るには水溶性樹脂
塗布層の厚みが式1から得られる厚み以下が好ましい。
  比較例2では、水溶性樹脂塗布層として採用したポリビニルアルコール
の重合度が低いため、水溶性樹脂塗布層の強度が弱く、フォトマスク端部
の剥離のためのきっかけから剥離する際に水溶性樹脂塗布層が破れ、それ
に伴い感光性レジスト層が破損した。つまり、剥離可能に形成することが
できなかった。
  比較例3では、水溶性樹脂水溶液の粘度が高く、スピンコートによりフ
ォトマスク上に均一な水溶性樹脂塗布層を設けることができず、続く感光
性レジスト層の厚みも不均一となりパターン形状に支障をきたした。
  比較例4及び5では、水溶性樹脂塗布層の弾性率が低く、フォトマスク端
部のきっかけから剥離する際にフィルムが伸び、それに伴い感光性レジス
ト層が破損した。つまり、剥離可能に形成することができなかった。
  比較例6では、フォトマスク端部のきっかけからの剥離が困難であり、感
光性レジスト層が破損した。つまり、剥離可能に形成することができなか
った。
  比較例7では、水溶性樹脂塗布層をフォトマスク上に設けていないため、
露光時にフォトマスクを水溶性樹脂層に密着させた際に、フォトマスクと
水溶性樹脂層の間で光回折等が起こり、パターン幅6.6μm、3.7μm、
2.1μm及び1.1μmにおいて水溶性樹脂層の厚みが式1を満たしてい
るが、良好なパターンを得ることができなかった。
【0054】表5によると、実施例6及び7はいずれも表2の水溶性樹脂
塗布層の厚みがパターン幅2.1μm及び1.1μmの式1の厚み以下の値
であり、立体形状のパターニング基材に対して良好なパターン転写を得た。
実施例10は、水溶性樹脂塗布層の厚みが式1を満たしたパターン幅2.
1μmでは良好なパターン転写が得られたが、式1を満たさなかったパター
ン幅1.1μmでは、良好なパターン転写が得られなかった。以上の結果
より、立体形状のパターニング基材に対しても、更に微細で良好なパター
ン転写を得るには水溶性樹脂塗布層の厚みが式1から得られる厚み以下が
好ましい。
  比較例8は、パターニング基材に感光性レジストを直接塗布しフォトマス
ク4越しに露光したものである。パターニング基材は湾曲面のために0.6
mmの高低差があり、このギャップ中で生じる光回折により均一な露光が達
成できず、良好なパターンを得ることができなかった。
  全実施例について、感光性レジスト層上にフレームを設けた場合には、フ
ォトマスクの剥離時、及びパターニング基材へのレジスト層の密着時にお
ける取り扱い性が、設けない場合よりも向上した。

【産業上の利用可能性】
【0055】  本発明のパターン転写用積層体は、シリコンウェハ等の高
度に平滑な基材だけでなく、鋼材のような表面が比較的荒れた形状の基材
への微細パターンの転写が可能であり、また、立体形状の基材への微細パ
ターンの転写が可能である。微細パターンとして生物模倣パターンを設計
した際には、生物の持つ機能を表面に与えることが可能である。
  立体形状を持つ基材へのフォトリソグラフィ技術による微細加工は、機
能として立体形状を必要とするセンサ・アクチュエータ・マイクロ流路等
のMEMSデバイス、光導波路とも整合する形で素子を配置する必要があ
る光デバイスシステム、LSIやイメージセンサ等の既存の平面デバイス
を複数積み上げる等によって実現する3次元LSI等の小型集積システム、
ウェハとは同様に扱えない精密機械部品中の局所的な平坦部・湾曲面をも
つ部材やその製造に利用する金型、等に求められている。これらに応える
加工技術が、フォトリソグラフィ技術が持つ一括で多点同時処理の特徴を
維持しながら実現できるほど、生産性が高い技術となり産業に利用される
可能性が高い。                        了
🪄マスクレスOLED製造の競争は当面競争が続き、初のマスクレスOLEDデ
ィスプレイは2025年初頭に市場に投入される見込み  
               




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エネルギーと環境 72

2024年12月09日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月10日】

         高気圧 電気毛布と湯婆や   

                  高山 宇 (赤鬼)

✳️ 新規スピントルクダイオード効果の発見

 


強磁性体は,マイクロ波帯域で固有の共鳴周波数を持ち,マイクロ波と効
率的に相互作用できる。たとえば,二つの強磁性体で絶縁体を挟んだ磁気
トンネル接合素子において,マイクロ波電流を印加すると直流電圧が発生
するスピントルクダイオード効果が広く知られる。
しかしながら,強磁性体を用いた場合には,そのダイオード信号の強さは
周波数が高くなるとそれに反比例して大幅に減少するという問題があった。
東京大学,産業技術総合研究所らの研究グループは、反強磁性体に着目し,
その特殊な構造から反強磁性体にもかかわらず,強磁性のような応答を示
すカイラル反強磁性体であるマンガン(Mn)・スズ(Sn)合金Mn3Sn
用いた。まずMn3Sn合金薄膜をタングステン(W)薄膜の上に作製し,そ
厚みを7nmという極限まで薄くした。🎈
この二層膜に電流を流すと,W
層において電流がスピンの流れであるスピン流に変換され🏹Mn3Sn中に注
入され🏹Mn3Snのスピンの運動が誘起される。この作製した薄膜をデバ
イスに加工し,磁場をかけながら,5GHzのマイクロ波電流と直流電流を
同時に印加する実験を行なった。🎈マイクロ波電流の印加に応じて,その
パワーに比例する特徴的なピーク構造を持つ直流電圧が現れ、この結果は
反強磁性体を用いたデバイスでもスピントルクダイオード効果が発現。

また,印加するマイクロ波の周波数を30GHzまで変えながら実験を行ない,
このピークの大きさが30GHzまでの範囲でほとんど変化しないことを見出
した。この振る舞いは,一般に強磁性体におけるダイオード信号が周波数
に反比例し減少してしまうことと本質的に異なる。
この振る舞を理解すべく,反強磁性体に特有の交換相互作用を考慮した詳
細な数値シミュレーションも行なった。シミュレーションは実験結果をよ
く再現し,直流電流が駆動するスピンの運動が磁場によって抑制される際
に,効率的にマイクロ波と相互作用し整流作用を生み出すことを確認する

【展望】
この新しいスピントルクダイオードがテラヘルツ波に至る高周波数領域で
の応用が見込まれ,次世代のスピントロニクスおよび高速通信の発展につ
ながると期待する。
掲載論文
雑誌名:Nature Nanotechnology
題名:Antiferromagnetic spin-torque diode effect in a Kagome Weyl semimetal


図1. [Pb(tadt)]nの合成方法
✳️ 固体光触媒によるCO2還元の効率10倍

   再生可能エネルギーを活用してCO2を有用物質に高速変換
12月5日、光エネルギーを用いてCO2を再資源化する光触媒は,地球温暖化
や炭素エネルギー資源の枯渇といった難題に対する有望な解決策として,
40年以上も前から広く研究され,資源制約の小さい普遍元素を活用して高
効率に働く固体光触媒の開発は重要な課題となっている。

図2.[Pb(tadt)]nのCO2還元光触媒活性

東京科学大学の研究グループはマイクロ波を援用した溶液合成法により,
繊維状の[Pb(tadt)]nが得られることを見出した。合成温度や時間を最適
化した結果,この繊維状[Pb(tadt)]nは従来法で合成した柱状の[Pb(tadt
)]nと比べて高い比表面積を持ち,電子と正孔の再結合中心となる表面欠
陥も少ないことがわかった。
そのため,繊維状[Pb(tadt)]nは99%以上の
高いギ酸生成選択率を維持したまま,25%という高いみかけの量子収率で
CO2をギ酸へ変換できることがわかった。この値は,可視光でCO2をギ酸
へ変換する光触媒の中では世界最高値となっている。


.図3. [Pb(tadt)]nを電極触媒としたCO2還元

さらには,同じ[Pb(tadt)]nを導電性基板上に固定してCO2電解に用いた
ところ,300mAcm–2の高い電流密度でCO2をギ酸へと変換できることもわ
かった。この時のギ酸生成のファラデー効率は90%以上に達し,こうした
高速電解条件でも[Pb(tadt)]nは高いギ酸生成選択率を維持できることが
示された。
また,従来の鉛系の電極触媒では,高電流を流す条件では水の
還元による水素生成が併発し,CO2還元の選択率を低下させることが問題
になっていたが,[Pb(tadt)]nを用いた場合には水素生成はほとんど起き
ず,CO2還元の電極触媒として有用であることがわかった。
【展望】今後のさらなる材料探索と合成法の最適化によって,より小さな
エネルギーの印加で駆動する新たな触媒系の構築が期待できるとしている。
【掲載誌】
掲載誌:Advanced Functional Materials
論文タイトル:Fibrous Pb(II)-Based Coordination Polymer Operable as a
Photocatalyst and Electrocatalyst for High-Rate, Selective CO2-to-Formate
Conversion
DOI:10.1002/adfm.202417223


図1. (左)はMoS₂の原子構造と添加元素の安定位置。(右)の色を付けた
内か
らMoとSを除く27種の元素を、MoS₂にドーピングした場合の安定位
置を理
論計算で求めた。

✳️ 
2次元半導体中での添加元素の影響を予測
12月4日、東北大学の研究グループは,二硫化モリブデンに27種の元素を
導入した際の安定な原子構造や電気特性を,密度汎関数理論に基づく精緻
な計算機シミュレーションで明らかにした
単層が原子3個分の厚さから成る遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)
優れた電気特性や光学特性を持つことから,次世代の電子デバイスへの応
用が期待されている。特にMoS2は最も精力的に研究がなされているTMDC
であり,ウエハースケールでの大面積化を実現していることから,従来の
シリコン半導体の限界を超えた,次世代デバイス材料として期待される。
一方,電界効果トランジスタなどのデバイス製造において,元素を添加す
るドーピングによって伝導キャリアを導入し,電気特性を制御する必要が
あることから,MoS2への元素ドーピングに関する研究が盛んに行なわれて
いる。しかし,実験で用いられる元素は,既にドーピング手法が確立され
ているReやニオブ(Nb)など数種類に限られている。添加する元素の影響
を系統的に調べることができれば,より電気特性の制御に適した元素の発
見や,ドーピングによるキャリア導入のメカニズムの正しい理解につなが
り結果としてデバイス応用におけるさらなる性能最適化が期待されていた

同グループは,MoS2に導入した27種の元素ドーピングを対象に,密度汎
関数理論に基づいた理論計算を行なった。まず,各元素に対し,元素置換,
表面吸着,格子間配置など様々な配置を網羅的に計算することで添加元素
の安定位置を示し,添加元素ごとの安定な原子構造を明らかにした。

また,シリコンなどの3次元半導体では,伝導キャリアは,空間的に広がっ
た状態で安定となり,室温で容易に励起され伝導に寄与する。しかしMoS
2中では,添加元素の種類によらず,空間的に局在するポーラロン状態が安
定となり,深い準位を形成することが予測された。

この結果,室温では励起されないことから,実験で観測されている電気伝
導は,キャリアが伝導体を移動する通常のバンド伝導とは異なり,添加元
素間を飛躍しながら移動する不純物伝導であることが示唆され、これらの
理論予測は,最近実験で観測されているReを添加した際の原子及び電子構
造とも良い一致を示しており,予測の確からしさが実験からもサポートさ
れている。
論文情報】 
タイトル:Universal Polaronic Behavior in Elemental Doping of MoS2
from First-Principles 
掲載誌:ACS Nano 
DOI:10.1021/acsnano.4c08366

開発した高生産性微細加工実証装置と実証結果の図
図1. 開発した高生産性微細加工実証装置と実証結果
✳️ ガラスへの高生産微細穴加工に成功
12月4日、ギガフォトンと早稲田大学はKrFエキシマレーザと深紫外域回
折光学素子(DOE)によるマスクレス同時多点加工技術を開発。
シリコンやガラスを材料としたインターポーザにより半導体チップと基板
を高密度に接続する技術(2.5次元化,3次元化)が求められている。しか
し,シリコンを用いたインターポーザは高コストかつ誘電率が大きいため
配線による電力ロスが大きく,代替として期待されるガラスも微細穴あけ
加工が難しいという問題があったが、ギガフォトンはガラスの難加工性の
問題を解決するためKrFエキシマレーザーと深紫外域回折光学素子(DOE)
を組み合わせた高生産性微細穴あけ加工方法を考案した。しかし,その実
現には,回折後の光を微細かつ均一に照射する必要があるため,DOEの高
性能化およびDOEを用いるための技術開発が課題となっていた。

今回,KrFエキシマレーザーと深紫外域DOEを組み合わせることにより,高
効率マスクレス同時多点加工方式を実現し,難加工材における高生産性微
細加工技術を開発した。具体的には,①DOEを用いた深紫外域同時多点加
工光学系の開発,②高ビーム品位KrFエキシマレーザ光源の開発,③アブレ
ーション学理研究による難加工材微細穴の高生産性照射プロセス開発を実
施した。
これにより,ガラス材料への微細穴加工かつ高生産性を得るため
のレーザ照射要素技術が得られたとする。

同時多点加工方式概要の図
図2. 同時多点加工方式概要
高生産性微細加工技術の開発で実現した技術をもとに,加工実証装置を製
作した。この実証装置にて,板厚100μmのガラス材料に対してマイクロビ
アを加工径20μm以下,アスペクト比5以上,かつ毎秒1000穴以上の直接加
工生産性を達成したという。
これにより,高生産性微細加工技術の開発で
の成果を装置レベルで実証することができ,同時にこれまで問題であった
ガラス材料への微細穴加工,加工生産性を解決できることを実証できた。
【展望】
ガラス板厚200μmにおいても加工径20μm以下,アスペクト比10以上,か
つ毎秒1000穴以上の加工生産性が得られる見込みだとし,ギガフォトンで
はさらにガラス板厚1000μm以上の材料に対する加工径20μm以下,アスペ
クト比50以上の実証試験を進め
ていく。
事業・プロジェクト概要

ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業の研究開発内容と社会実装イメージの画像


2. 特開特開2024-32822  表示装置及び表示装置の製造方法 デクセリアル
ズ株式会社
【要約】下図1のごとく、赤外センサと、表示部と、赤外センサ及び表示部
の前面に設けられた反射防止層とを備え、反射防止層が、赤外センサ及び
表示部側から光学厚みが41nm~52nmである第1の高屈折率層411
と、光学厚みが41nm~53nmである第1の低屈折率層412と、光
学厚みが302nm~313nmである第2の高屈折率層413と、光学
厚みが135nm~196nmである第2の低屈折率層414とからなる。
高い赤外線透過率を有する反射防止層を備える表示装置及び表示装置の製
造方法
を提供する。

000002
図1は、本技術を適用させた反射防止フィルムを模式的に示す断面図

【符号の説明】
10  基材、20  ハードコート層、30  密着層、40  反射防止層、
50  防汚層、60  ベースフィルム、61  巻出ロール、62  巻取ロール、
71  第1のキャンロール、72  第2のキャンロール、81  第1の光学
モニター、82  第2の光学モニター
【発明の効果】 表示装置の前面には、赤外線に応答する赤外センサ(IR)
センサが設置されることがある。このため、表示装置の前面に設けられる
反射防止フィルムは、赤外線の透過率が高いものが望まれている(例えば、
特許文献1参照。)。また、近年、折りたためる有機ELディスプレイ、
いわゆるフォルダブルディスプレイに対応する優れた屈曲性を有する反射
防止フィルムが望まれている。
しかしながら、反射防止フィルムの赤外線の透過率を高くすることと、反
射防止フィルムの厚みを極力薄く抑えることを両立することは困難であっ
た。本技術によれば、高い赤外線透過率を有する反射防止層を備える表示
装置及び表示装置の製造方法
を得ることができる。


図4. 薄膜形成装置の概略を示す斜視図

3
. 特開2024-029570 感光性表面処理剤、パターン形成用基板、積層体、ト
ランジスタ、パターン形成方法及びトランジ
スタの製造方法 株式会社ニコ
ン・学校法人神奈川大学
【要約】記式(M1)で表される化合物を含む、感光性表面処理剤。(式
(M1)中、Rは水素原子又はtert-ブトキシカルボニル基又はエ
ステル系保護基であり、Rは水素原子又は炭素数1~6のアルキル基で
あり、mは1以上の整数であり、Xはハロゲン原子又はアルコキシ基であ
る感光性表面処理剤の提供である。

000002


図1. 本実施形態のパターン形成方法を説明するための模式図
【0054】
  次に、図1(c)に示すように、所定のパターンの露光領域を有するフォ
トマスク13を用意する。露光方法としては、フォトマスクを用いる手段
に限られず、レンズやミラーなどの光学系を用いたプロジェクション露光
空間光変調素子、レーザービームなどを用いたマスクレス露光等の手段を
用いることができる。なお、フォトマスク13は、感光性表面処理剤層10
と接触するよう設けてもよいし、非接触となるよう設けてもよい。


図2. 本実施形態のトランジスタの製造方法を説明するための模式図

【符号の説明】【0117】
11:基板、10a:感光性表面処理剤、10:感光性表面処理剤層、
13:フォトマスク、14:アミノ基発生部、12:アミノ基未発生部、
15:触媒層、16:めっき層、17:絶縁体層、18:めっき層(ソー
ス電極)、19:めっき層(ドレイン電極)、21:半導体層

[めっき配線の製造5]
  樹脂膜を脱保護処理行わず、乾燥基板のまま波長365nm光を2000
mJ/cm露光に変更した以外は、上記[めっき配線の製造1]に記載
の方法と同様にめっき配線を作製した。
【0114】[めっき配線の評価]
  図3A、図3Bに実施例でめっき配線処理を行った、PET基板の光学顕
微鏡(株式会社キーエンス製、VHX-7000)像をそれぞれ示す。
  図3Aは、PET基板に上記めっき配線の製造1~4で加工したL/S=
100/100、5/5の光学顕微鏡像である。加工したL/S=1/1~
9/9umの光学顕微鏡像である。
【0115】下図3A及び図3Bから、高精細の良好なめっき配線が形成さ
れていることが、目視及び顕微鏡によって確認できた。


【0116】  下図4A及び図4Bに実施例で樹脂膜に対し露光、めっき配
線処理を行った結果を示す。(図4B不記載)

  図4Aは、PET基板上の樹脂膜の分子構造である。
  図4Bは、上記めっき配線の製造5で加工したPET基板の全体像である。
  図4A及び図4Bから、波長365nm光を2000mJ/cm照射し
てもなお、脱保護されることなく意図しないアミンの発生を抑制できてお
り、樹脂膜の状態であれば意図せずアミンが生成されることがない。すな
わち光安定性に優れ遮光保管する必要がないことが確認できた。

3. 特開2013-010342積層体とその製造方法及びそれを用いたデバイス構
造体の製造方法 東洋紡株式会社
【要約】下図1のごとく、ポリイミドフィルム6として、少なくとも支持体
1に対向させる面にプラズマ処理が施されたフィルムを用い、支持体1と
ポリイミドフィルム6とが対向する面の少なくとも一方にカップリング剤
を用いて、接着剥離強度は異なり表面粗さは略同一である良好接着部分と
易剥離部分とを形成するパターン化処理を施した後、重ね合わせて加圧加
熱処理することとし、ポリイミドフィルム6は、70モル%以上がベンゾ
オキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を主成分とするジアミン類と
テトラカルボン酸類との反応によって得られる各種デバイスを積層するた
めの基材とするためのポリイミドフィルムと支持体との積層体であって、
デバイス作製時の高温プロセスにおいても剥がれることなく、しかもポリ
イミドフィルム上にデバイスを作製した後には容易に支持体からポリイミ
ドフィルムを剥離することができる積層体を提供する。


図1 本発明の積層体の製造方法の一実施態様を示す模式図

【符号の説明】【0201】
1:ガラス基板 2:カップリング処理層 3:UV光遮断マスク
4:カップリング処理層UV未照射部 5:カップリング処理層UV照射
部 6:ポリイミドフィルム 7:カップリング処理層UV照射部上のポ
リイミドフィルム 8:デバイス 10:良好接着部分 20:易剥離部分
101:積層体(基板)102:Al 103:陽極化成膜(Al23
104:第一窒化シリコン 105:水素化非晶質シリコン 106:第
二窒化シリコン 107:非晶質シリコンn層 108:Cr・Al層
109:ゲート配線 110:信号線 111:ゲート配線バスライン
112:透明電極 201:積層体(基板) 202:第一電極 203:
発光層 204:第二電極 205:隔壁 206:保護膜 
【発明の4効果】 本発明の製造方法で得られる積層体は、デバイスを積層
した際に易剥離部分のポリイミドフィルムを切り抜くことにより、容易に
支持体から剥離することができる。しかも、これら積層体は、金属化など
の工程にも耐え得るものであり、その後のパターン作製においても良好な
パターンを得ることができる。したがって、本発明の積層体は、極小薄の
ポリイミドフィルム上のデバイス構造体などの製造過程に有効に使用でき、
極薄の絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れた高分子フィルム上に、精度よ
く回路やデバイス形成ができる。それ故に、センサー、表示デバイス、プ
ローブ、集積回路、およびこれらの複合デバイス、アモルファスSi薄膜
太陽電池、SeやCIGS系化合物半導体薄膜太陽電池基板およびこれら
を使った太陽電池などのデバイス構造体の製造に有用であり、産業界への
寄与は大きい。

4. 特開2023-116036 パターン転写用積層体及び転写方法 学校法人ト
ヨタ学園他
【要約】下図2のごとく、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジ
スト層をこの順で積層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層は、
その界面で剥離可能であるパターン転写用積層体で、パターニング基材に
感光性レジスト層等を介してフォトマスクを密着させて感光をさせるも
のではなく、水溶性樹脂塗布層と感光済みの感光性レジスト層を基本とす
る層を、表面が平面、又は平面ではないパターニング基材に積層させて、そ
の後の処理を行なうことができる。

図2.パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露光す
ることで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【符号の説明】【0056】
1:パターン転写用積層体 1A:潜像パターンを有するパターン転写用
積層体 1B:フレームを有するパターン転写用積層体 2:感光性レジ
スト層 2A:紫外光が照射された感光性レジスト 2B:紫外光が遮光
され元の状態の感光性レジスト 3:水溶性樹脂塗布層 4:フォトマスク
5:スピン成膜用ヘッド 6:紫外線 7:フレーム 8:パターニング
用平面基材 9:パターニング用立体基材(湾曲面)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】【0001】
  本発明は、フォトマスクに用意された微細パターンを忠実にフォトレジス
ト膜に転写することが求められる、フォトリソグラフィ微細加工技術に関
する。
【背景技術】【0002】
  ICやMEMSに代表されるデバイスは、高精度で複雑な構造が高度に組
み合わされており、微細形状を一括で高い生産性と共に製作できるフォト
リソグラフィ技術によって量産されている。生産性を高めるには、より微
細なパターンを感光性レジスト膜に形成することがポイントとなる。通常
は、レジスト膜を基材に成膜し、パターン状に紫外光照射することでパタ
ーンを転写する。

  半導体産業は歴史的にみて、2μmより細かな解像力が求められるように
なった1980年頃に、ガラスマスクを基板に近接させる方法から、マス
クパターンを光学的に縮小した像を露光するステッパを利用する方法に移
った。微細パターンを安定に形成することが求められるようになり、ガラ
スマスクを物理的に近接させる方法では、精度が安定して得られなくなっ
たことを意味する。ステッパを利用する場合であっても、基板面は高度に
平坦であることが求められる。これはフォトマスクの平面と基板の平面が、
ステッパ装置のレンズを介して平面同士を光学的に一致する関係にするた
めである。平面度の確保には、大きな努力が払われている。基材が立体に
なると、上記技術では対応できなくなる。

【0003】  フォトマスク上に用意された微細パターンを、忠実に感光性
レジストに転写する技術については、例えば特許文献1~4、非特許文献
1~3に開示されている。
  特許文献1では、立体構造を有するプラスチック成形品の形状に合わせ
て作られた、立体フォトマスクを密着させて露光する方法が開示されてい
る。フォトマスクの材料としては、合成樹脂あるいは金属等を用いる。し
かしながら、立体形状の上に微細パターン状のフォトマスクを作る方法が
別途必要となる。また、フォトレジストを露光する際に、複数の方向から
フォトレジストを露光させると共に、露光すべきレジスト面以外の面を遮
光マスクで遮光しないと、フォトレジストは均等に露光されない。立体
形状ごとに調整が必要な特殊なフォトマスク、及び露光装置が必要になる。

 特許文献2には、電子部品の外部接続部がどのような形状であっても、接
触子に確実に接触できる接触子製作方法が開示されている。波長の短いX
線を利用することで、回折を少なくし、マスクと露光部分に隙間があって
も露光パターンが劣化することを避けている。X線用の露光装置は特殊で
高価である。更にマスクについても、X線を遮るために厚い金属膜が必要
となり、特殊で高価になる。

  特許文献3には、立体成形品に電気回路パターンを形成する立体マスクが
開示されている。この立体マスクは、光造形法により作製した造形物の表
面に不透明性塗膜を施すことにより得たものである。この立体マスクを平
面フィルムマスクと接合することによって所望のパターンの開口部を有し、
密着されるべき面の立体形状に加工されたフォトマスクを得る。このフォ
トマスクを、予め感光性レジストを成膜した立体成形品に密着配置し、露
光・現像することにより立体的で微細な電気回路パターンが形成された立
体回路成形体を得る。パターンをより微細化するには、立体マスク側、立
体成形品の両方で精度良く製作することに加え、立体表面の全ての面で密
着が必要となるため、これを実現することは難しい。

  特許文献4には、水溶性樹脂を持つシート上に感光性レジスト膜を用意し、
感光性レジスト膜を基材に貼り付ける前に、フォトマスクと感光性レジス
ト膜を密着させて露光することで微細パターンを潜像として用意しておく
方法が開示されている。立体基材に貼り付けてから現像することで、パタ
ーンを立体上に転写する方法である。シートはほぼ平面であるため、フォ
トマスクに密着することが容易である。例示されたパターン幅は2μmで
あるが、広域で安定にパターンを得るに至っていない。フォトマスクとレ
ジスト膜を別々の部品として用意し、光の波長を400nm程度の紫外光
とする限り、パターン幅2μmが現実的な限界となる。

【0004】  非特許文献1には露光装置技術について網羅的に説明され
ている。ステッパはレンズを介して、マスク平面とウェハ平面を光学的に
一致させる原理を有するが、ウェハの平面度を出すために、ウェハの平面
矯正技術が紹介されている。そこでは、真空チャックの真空引き用の溝が
ウェハを変形させることは勿論、ウェハ裏面とチャック表面の間に挟まっ
た微小な塵もデフォーカスの原因となることが示されている。附表4には
ニコン社とキヤノン社の露光装置開発年表があり、ニコン社とキヤノン社
の開発機種とその解像力が示されている。初期のステッパは、1970年代
後半から導入されており、解像力が2から1μmであったことが分かる。

  非特許文献2には、射出成形品の表面に電気回路を形成する立体回路基
板(Molded  Interconnect  Device)が記載され
ている。機械的機能と電気的機能とを持ったプラスチック射出成形品で
ある。その製作は、a.基板が複数アレイ状に並んだシートをまず用意し、
b.金属薄膜を全面にスパッタリング蒸着し、c.レーザ描画により回路
パターン形状の輪郭部の金属薄膜を除去し、d.めっきし、e.シートか
ら個別に切断する、ものである。上記c.のレーザ描画は一点加工を繰り
返すものである。高密度回路を形成するためには一点加工サイズを微細化
することは必須となる。しかし、レーザスポットを小さくすると、一点で
の加工量が減り、同じ面積であっても時間をかけて処理する(面積は長さ
の2乗で増加する)ことになるため、生産性は低下する。また、微細化の
ためにはレーザを大きなNA値を持つレンズで集光することになるが、そ
の焦点深度はNAの2乗で狭くなるため、オートフォーカスの制限が厳し
くなる。立体形状に合わせて行うことは技術的に難しくなる。2014年
5月時点のパンフレットに、最小線幅50μm、パターン間距離50μmの
記述がある。

 
非特許文献3には、微細パターンを掘り込んだ型を、ポリマー材を成膜
した基板に押し付けることで、そのパターンを大量に転写するナノインプリ
ント技術に関する解説である。大面積の型の開発が進んだことで、用途が
拡大し、量産が広がりつつあることが開示されている。以前の任意のナノ
パターンは、電子ビームリソグラフィで製造するマスターモールドの製造
コストが高く(10~20nm幅パターンでは2~3cmマスター型で
1000万円/枚)、インプリント特有に生じる欠陥発生の技術課題も多
かった。このため、光リソグラフィの既存半導体製造技術に対して大きな
優位性を示せなかった。100nm程度のパターンで良い新用途は、例え
ば、液晶パネルの反射防止層形成、偏光フィルム、有機ELパネルの光取
り出し効率向上、自動車の窓ガラス等の撥水加工、微細なマイクロレンズ
アレーから大型レンズまでの光学部品、立体的な細胞の培養等がある。こ
れには、アルミの陽極酸化で作る構造等、自然に構造を発生させる技術が
利用された。

 また、フォトリソグラフィは、微細形状を一括で高い生産性と共に製作で
きる長所を持つ。設備コストを抑えることができ、転写可能なパターンが
微細になるほど、基材への付加価値を高くできる優れた方法と言える。し
かし、これを高い自由度と共に実現できる方法は見い出されていない。感
光性レジスト膜を基材面に用意し、フォトマスクを近接させて露光する微
細パターン転写方法は、アライナ装置が確立されていると共に、その維持
費が比較的安価であるため現在でも広く利用されている。但し、実際に転
写可能なパターンサイズは2μm程度に留まる。これよりも微細なパターン
を転写しようとしても、フォトマスクのガラス透明部を通り抜けた紫外線
が、フォトマスクとレジスト膜間の隙間で不可避的に光回折し、パターン
が崩れるためである。2μmよりも微細なパターンを得るには、ステッパが
利用される。ステッパは装置とその維持費が高額になる。この維持費を節
約できるマスクレス露光装置が市場に出ているが、装置購入に数千万円は
下らず高価である。幅1μm程度のフォトマスクは1枚10万円程度であ
、これを用いてパターン転写が忠実にできるならば理想的である。なお、
高精度な平面でない基材(例えば、曲面や溝付き基材)に、2μm以下の
ターンを転写することはステッパやマスクレス露光装置を用いても難し
い。
【先行技術文献】
【特許文献】【0005】
【特許文献1】特開平7—286280公報
【特許文献2】特開2005—79055公報
【特許文献3】特開平9—319068公報
【特許文献4】特開2017—071202公報
【非特許文献】【0006】
【非特許文献1】「露光装置技術発展の系統化調査」高橋一雄、国立科学
博物館  技術の系統化調査報告  第6集(平成18(2006)年3月31
日)http://sts.kahaku.go.jp/diversity/
document/system/pdf/022.pdf

【非特許文献2】パナソニック株式会社、3D実装デバイスMIPTEC
(パンフレットその他、「MID用高速レーザ加工システム」進藤崇、高
橋博、パナソニック電工技法(vol.57、No.3)、pp.10—15)

【非特許文献3】「ナノインプリントに新風  大面積化で用途も拡大」日
経エレクトロニクス(2014.3.14)pp.49—58


                           この項つづく

『back number :クリスマスソング』2015年11月

今日の言葉:「賢明」と「寛容」の時代




 

 

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エネルギーと環境 70

2024年12月07日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-


21世紀は光・量子の時代と言われ.自動運転・ロボットの自動走行,スマ
ートフォンの高度顔認証等を可能とする光センシング(LiDAR)技術,スマー
ト製造を可能とするレーザ技術,太陽光(熱)エネルギーの高度利用,さ
らには量子情報処理にいたるまで,光・量子が担う役割はますます重要と
なっている.
21世紀を支える“光・量子”を自由自在に操ることを目的として,
「フォトニック結晶」「フォトニックナノ構造」をキーワードに,自在な
光・量子制御技術の開発を行う.物理的基礎から応用まで研究を行い,様
々な革新的な光・量子技術を実現し,エネルギー,環境,光製造(ものづ
くり),高度情報・通信技術に寄与し,Society 5.0(超スマート社会)の
実現に貢献することを目指す。

目指すビジョンの図

京都大学と三菱電機は,フォトニック結晶レーザー(PCSEL)において,こ
れまでの半導体レーザー素子単体では実現が困難であった高い出力と狭い
固有スペクトル線幅の両立を実現した(ニュースリリース)。

研究グループはこれまで,直径250μmのPCSELにおいて,70kHzという狭
い固有スペクトル線幅と,宇宙空間における自由空間通信方式への適用可
能性を実証している。今回,PCSELの高出力・高ビーム品質をそのままに
,より狭い固有スペクトル線幅を実現するため,面積を250μmから1mmに
拡大したPCSELを設計,開発した。

Demonstration of high-power photonic-crystal surface-emitting
lasers with 1-kHz-class intrinsic linewidths (1kHz級固有線幅高出力フォ
トニック結晶レーザーの実現)  
DOI 10.1364/OPTICA.505406

【関連特許最新技術】
1.特開2024-165246 表示装置及び表示装置の製造方法 株式会社ジャパ
ンディスプレイ⓷
【要約】
下図9のごとく、一実施形態によれば、表示装置は、基板と、前記基板の上
方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺
領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機
絶縁層の上に配置された下電極と、前記下電極の上に配置され、発光層を
含む有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記周辺領域に配
置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面か
ら突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、前記周辺領域に配置され、
前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、前記第1隔壁は、前記
開口に配置されてことで、信頼性の低下を抑制する。

図9. 周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の他の構成例を
示す平面図
【符号の説明】
  DSP…表示装置  10…基板   5…無機絶縁層  AP1、AP2、AP3…
開口   6…隔壁  61…下部  62…上部   7…隔壁  71…下部  72…
上部SP1、SP2、SP3…副画素  201、202、203…表示素子
有機EL素子)  LE1、LE2、LE3…下電極  UE1、UE2、U
E3…上電極  OR1、OR2、OR3…有機層  DA…表示領域  SA…周
辺領域  100…表示装置用マザー基板  PP…パネル部  MP…余白部  PD
…パッド  MT…金属層  IL…有機絶縁層  12…絶縁層  114…絶縁層
【詳細説明】
【0094】図17Aは、他の構成例を示す断面図である。  図17Aに示
す構成例は、図16Aに示した構成例と比較して、無機絶縁層5に開口が
存在しない点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開口
OP1において、無機絶縁層5の上に配置されている。

【0095】  図17Bは、他の構成例を示す断面図である。  図17Bに
示す構成例は、図17Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上
方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP1において
無機絶縁層5の上に配置されている。

【0096】  図17Cは、他の構成例を示す断面図である。  
  図17Cに示す構成例は、図17Aに示した構成例と比較して、開口OP1
における隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層IL
の上方において無機絶縁層5の上に配置されている。

【0097】 《第3グループ》
【0098】図18Aは、第3グループの一構成例を示す断面図である。
  図18Aに示す構成例は、図14Aに示した構成例と比較して、階段状
の断面を有する有機絶縁層ILが絶縁層12の単層体である点で相違して
いる。絶縁層114は、存在しない。絶縁層12は、開口OP1を有して
いる。
【0099】図18Aに示す構成例は、図14Aに示した構成例と比較し
て、階段状の断面を有する有機絶縁層ILが絶縁層12の単層体である点
で相違している。絶縁層114は、存在しない。絶縁層12は、開口OP
1を有している。
【0100】有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層113の上面から絶縁
層12のほぼ平坦な上面121Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当す
る。有機絶縁層ILの厚さT2は、金属層MTの上面から絶縁層12のほ
ぼ平坦な上面122Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さT2
は、厚さT1より小さい。上面122Aは、上面121Aと開口OP1と
の間に位置し、また、上面121Aよりも下方に位置している。

【0100】有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層113の上面から絶縁
層12のほぼ平坦な上面121Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当す
る。有機絶縁層ILの厚さT2は、金属層MTの上面から絶縁層12のほ
ぼ平坦な上面122Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さT
2は、厚さT1より小さい。上面122Aは、上面121Aと開口OP1
との間に位置し、また、上面121Aよりも下方に位置している。
【0101】無機絶縁層5は、絶縁層12を覆い、金属層MTを露出する
開口OP2を有している。
【0102】隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開口OP1において、
無機絶縁層5の上に配置されている。図示した例では、隔壁7は、上面1
21Aの上方に配置される一方で、上面122Aの上方には配置されてい
ない。但し、隔壁7が上面122Aの上方に配置されてもよい。
【0103】このような絶縁層12は、例えば、以下のような手法で形成
可能である。すなわち、金属層MTが形成された表示装置用マザー基板1
00の全面に、例えばポジ型の有機材料により絶縁層を形成する。
その後、絶縁層を露光する。この露光工程では、開口OP1の露光量は最
大に設定され、開口OP1から外側に向かうにしたがって露光量は段階的
に減少するように設定されている。その後、露光された絶縁層を現像する。
その後、絶縁層を焼成する。    これにより、上記の断面形状を有する絶縁
層12が形成される。


【0104】  図18Bは、他の構成例を示す断面図である。図18Bに
示す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上
方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP1において
無機絶縁層5の上に配置されている。

【0105】図18Cは、他の構成例を示す断面図である。図18Cに示
す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、開口OP1における隔
壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方にお
いて無機絶縁層5の上に配置されている。

【0106】図19Aは、他の構成例を示す断面図である。図19Aに示
す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、無機絶縁層5に開口が
存在しない点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開口
OP1において、無機絶縁層5の上に配置されている。
【0107】図19Bは、他の構成例を示す断面図である。図19Bに示
す構成例は、図19Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上方
の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP1において無
機絶縁層5の上に配置されている。

【0108】図19Cは、他の構成例を示す断面図である。図19Cに示
す構成例は、図19Aに示した構成例と比較して、開口OP1における隔
壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上におい
て無機絶縁層5の上に配置されている。


【0109】次に、図20乃至図25を参照して、表示装置DSPの製造
方法について説明する。なお、図20乃至図25においては、絶縁層12
よりも下方の図示を省略している。


【0110】まず、図20に示すように、表示領域DAにおいて、絶縁層
12を形成した後に、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、
副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する。
その後、無機絶縁層5を形成する。絶縁層12及び無機絶縁層5は、表示
領域DAのみならず、周辺領域SA及び余白部MPにも形成される。
周辺領域SA及び余白部MPにおける絶縁層12を含む有機絶縁層ILの
形成手法は、例えば、図14Aなどを参照して説明した通りであり、有機
絶縁層ILを形成する工程は、金属層MTに重なる開口OP1を形成する
工程を含んでいる。  
その後、表示領域DAにおいて、無機絶縁層5の上に位置する下部61と、
下部61の上に位置する上部62と、を有する隔壁6を形成する。このと
き、周辺領域SA及び余白部MPにおいては、下部71及び上部72を有
する隔壁7も、隔壁6と同時に形成する。隔壁7は、図7などに示したよ
うに、有機絶縁層ILの上に形成し、また、図10などに示したように、
開口OP1に形成する。
 その後、無機絶縁層5に開口AP1、AP2、AP3を形成する。開口A
P1は副画素SP1の下電極LE1に重なり、開口AP2は副画素SP2
の下電極LE2に重なり、開口AP3は副画素SP3の下電極LE3に重
なる。なお、開口AP1、AP2、AP3の形成工程は、隔壁6の形成工
程より前に行ってもよい。無機絶縁層5に開口AP1等を形成するのと同
時に、パッドPDの開口OP2も形成する。
【0111】続いて、表示素子201を形成する。
【0112】まず、図21に示すように、隔壁6をマスクとして、下電極
LE1の上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層EM1、
正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの各層を形成するための材
料を順次蒸着して、有機層OR1を形成する。  その後、隔壁6をマスク
として、有機層OR1の上に、マグネシウム及び銀の混合物を蒸着して、
上電極UE1を形成する。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部6
1に接触している。  
その後、隔壁6をマスクとして、上電極UE1の上に、高屈折率材料及び
低屈折率材料を順次蒸着して、キャップ層CP1を形成する。  
これらの有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、真空
環境を維持した状態で連続して形成される。その後、キャップ層CP1
【0113】有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、
オーバーハング状の隔壁6によって分断される。有機層OR1、上電極上
E1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際に蒸
着源から放たれた材料は、上部62によって遮られる。このため、上部6
2の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそ
れぞれの一部が積層される。上部62の上に位置する有機層OR1、上電
極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、下電極LE1の直上に位置
する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1から離間して
いる。
【0114】これらの有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、
及び、封止層SE1は、表示領域DAのみならず、周辺領域SA及び余白
部MPにも形成される。
【0115】続いて、図22に示すように、封止層SE1の上に、所定の
形状にパターニングされたレジストR1を形成する。レジストR1は、副
画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0116】続いて、図23に示すように、レジストR1をマスクとしたエ
ッチングを行うことにより、レジストR1から露出した封止層SE1、キ
ャップ層CP1、上電極UE1、及び、有機層OR1を順次除去する。こ
れにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE3
が露出する。その後、レジストR1を除去する。これにより、副画素SP
1に表示素子201が形成される。
【0117】続いて、図24に示すように、表示素子202を形成する。
表示素子202を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様
である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR
2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2を順に形成す
る。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマスク
としたエッチングにより、封止層SE2、キャップ層CP2上電極UE2、
及び、有機層OR2が順次パターニングされる。このパターニングの後、
レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子202が形成
され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0118】続いて、図25に示すように、表示素子203を形成する。
表示素子203を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様
である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR
3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3を順に形成す
る。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマス
クとしたエッチングにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極U
E3、及び、有機層OR3が順次パターニングされる。このパターニング
の後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子203
が形成される。
【0119】その後、図3に示した樹脂層13、封止層14、及び、樹脂
層15を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0120】なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子201が
形成され、次に表示素子202が形成され、最後に表示素子203が形成
される場合を想定したが、表示素子201、202、203の形成順はこ
の例に限られない。
【0121】図26は、図7に示したパッドPDに多層膜115が形成さ
れた様子を説明するための断面図である。
【0122】上記の表示素子201、202、203をそれぞれ形成する
工程において、多層膜115は、余白部MP及び周辺領域SAにも形成さ
れる。ここでの多層膜115とは、例えば、図21を参照して説明した表
示素子201を形成するための有機層OR1、上電極UE1、及び、キャ
ップ層CP1を含んでいる。多層膜115は、無機絶縁層5、隔壁7,及
び、金属層MTの上に形成される。
【0123】図21を参照して説明したように、多層膜115は、オーバ
ーハング状の隔壁7によって分断される。すなわち、有機層OR1、上電
極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際
に、蒸着源から放たれた材料は、隔壁7の上部72によって遮られる。こ
のため、上部72の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャッ
プ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部72の上に位置する有機
層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、無機絶縁層
5の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1
から離間している。これにより、多層膜115は、部分的に分断される。
【0124】 特に、図6などに示したように、隔壁7が格子状に形成され
ている場合、隔壁7で囲まれた複数の閉領域が形成される。この場合、閉
領域に位置する多層膜115が隔壁7の上に位置する多層膜115と分断
され、結果として、多層膜115が細分化される。
【0125】多層膜115が隔壁7によって分断されていない場合と比較
して、連続した多層膜115の面積が低減され、多層膜115に生じうる
応力が分散される。また、無機絶縁層5及び無機絶縁層5の上の多層膜
115は、隔壁7で抑え込まれているため、無機絶縁層5の浮き上がり、
及び、多層膜115の無機絶縁層5からの浮き上りが抑制される。さらに、
多層膜115が形成された後に形成される封止層SE1は、隔壁7ととも
に多層膜115を抑え込んでいる。このため、多層膜115及び封止層S
E1の無機絶縁層5からの離脱を抑制することができる。
【0126】ここで、多層膜115が無機絶縁層5から浮き上がり、破
断した場合に生じうる不具合について説明する。無機絶縁層5から離脱し
た多層膜115は、異物となって製造装置内を浮遊し、汚染源となり得る。
また、浮遊した異物が処理基板に付着すると、種々の欠陥を引き起こす原
因となり得る。
【0127】これに対して、本実施形態によれば、パッドPDを含むパッ
ド領域において、多層膜115の離脱を抑制することができる。これによ
り、製造装置の汚染や、不所望な異物の生成が抑制される。したがって、
信頼性の低下が抑制される。
【0128】なお、多層膜115が表示素子202を形成するための有機
層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2を含む場合であっても、
同様の効果が得られる。  また、多層膜115が表示素子203を形成する
ための有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3を含む場合
であっても、同様の効果が得られる。
【0129】ここでは、図6及び図7に示した構成例について、多層膜1
15の離脱が抑制される効果について説明したが、その他の各構成例につ
いても同様の効果が得られる。
【0130】また、図8などに示した構成例では、隣接するパッドPDの
間の小さいスペースにおいて、直線状の隔壁7が千鳥配置されている。こ
のように、格子状の隔壁7が配置できないスペースにおいて、直線状の隔
壁7が配置されることで、多層膜115が部分的に分断され、上記のよう
に多層膜115の離脱を抑制することができる。  
 また、図22に示したレジストR1を形成する過程において、液状のレジ
ストR1を塗布する工程がある。直線状の隔壁7が千鳥配置されている場
合には、隔壁7が連続した長い直線状に形成された場合と比較して、塗布
したレジストR1の広がりが阻害されにくく、また、レジストR1は隔壁
7に接しながら広がる。これにより、レジストR1に不所望な空隙が形成
されるような不具合を抑制することができる。
【0131】また、図9及び図10に示した構成例では、有機絶縁層IL
の開口OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が配置されている。
このため、開口OP1においても、多層膜115が分断され、上記のよう
に多層膜115の離脱を抑制することができる。
【0132】また、図11に示した構成例では、有機絶縁層ILの開口O
P1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が複数のセグメントに分割さ
れている。このため、開口OP1において、塗布したレジストR1の広が
りが阻害されにくくなる。
【0133】また、図12及び図13に示した構成例では、有機絶縁層I
Lの開口OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が格子状に形成さ
れている。このため、開口OP1において、多層膜115を細分化するこ
とができる。但し、図12に示す構成例では、パッドPDにおける金属層
MTが無機絶縁層5で覆われているため、パッドPDを利用した検査等
の処理は、無機絶縁層5が形成される前に実行される。
【0134】さらに、第1グループ、第2グループ、及び、第3グループ
で説明した各構成例においては、有機絶縁層ILは、開口OP1に向かう
にしたがって厚さが低減する階段状の断面を有している。したがって、急
峻な段差の形成が抑制される。有機絶縁層ILは、厚さが薄いほど伸びが
小さい。このため、有機絶縁層ILの上に多層膜115が形成された際、
多層膜115の歪みが小さく、多層膜115において、局所的な応力の集
中を抑制することができる。これにより、無機絶縁層5からの多層膜11
5の離脱を抑制することができる。
【0135】上記の実施形態において、例えば、絶縁層114は有機絶縁
層の第1層に相当し、絶縁層12は有機絶縁層の第2層に相当する。また、
隔壁7は第1隔壁に相当し、下部71は第1下部に相当し、上部72は第
1上部に相当し、隔壁6は第2隔壁に相当し、下部61は第2下部に相当
し、上部62は第2上部に相当する。
【0136】以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を
抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することが
できる。
【0137】以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及び表示装
置の製造方法
を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての
示装置及び表示装置の製造方法
も、本発明の要旨を包含する限り本発明の
範囲に属する。
【0138】本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形
例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属す
るものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構
成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追
加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限
り、本発明の範囲に含まれる。
【0139】また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされ
る他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業
者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらさ
れるものと解される。
【0140】本明細書にて開示した構成から得られる表示装置用マザー基
板の一例を以下に付記する。  
(A)
  画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を
有するパネル部と、前記パネル部よりも外側の余白部と、
  前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出
した第1上部と、を有する第1隔壁と、
  前記余白部に配置され、前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備
え、前記第1隔壁は、前記開口に配置されている、表示装置用マザー基板。  
(B)
  画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を
有するパネル部と、前記パネル部よりも外側の余白部と、
  前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出
した第1上部と、を有する第1隔壁と、前記余白部に配置され、前記有
機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、前記第1隔壁は、前記余白部
及び前記周辺領域の少なくとも一方において、前記有機絶縁層の上方に配
置されている、表示装置用マザー基板。


【0097】    《第3グループ》
【0098】 図18Aは、第3グループの一構成例を示す断面図である。
【0099】図18Aに示す構成例は、図14Aに示した構成例と比較し
て、階段状の断面を有する有機絶縁層ILが絶縁層12の単層体である点
で相違している。絶縁層114は、存在しない。絶縁層12は、開口OP
1を有している。
【0100】有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層113の上面から絶縁
層12のほぼ平坦な上面121Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当す
る。  有機絶縁層ILの厚さT2は、金属層MTの上面から絶縁層12の
ほぼ平坦な上面122Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さ
T2は、厚さT1より小さい。上面122Aは、上面121Aと開口OP
1との間に位置し、また、上面121Aよりも下方に位置している。
【0101】無機絶縁層5は、絶縁層12を覆い、金属層MTを露出する
開口OP2を有している。
【0102】隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開口OP1において、
無機絶縁層5の上に配置されている。図示した例では、隔壁7は、上面
121Aの上方に配置される一方で、上面122Aの上方には配置されて
いない。但し、隔壁7が上面122Aの上方に配置されてもよい。
【0103】このような絶縁層12は、例えば、以下のような手法で形成
可能である。  
 すなわち、金属層MTが形成された表示装置用マザー基板100の全面に、
例えばポジ型の有機材料により絶縁層を形成する。その後、絶縁層を露光
する。この露光工程では、開口OP1の露光量は最大に設定され、開口O
P1から外側に向かうにしたがって露光量は段階的に減少するように設定
されている。その後、露光された絶縁層を現像する。その後、絶縁層を焼
成する。これにより、上記の断面形状を有する絶縁層12が形成される。
【0104】図18Bは、他の構成例を示す断面図である。  
  図18Bに示す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、有機絶縁
層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP
1において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0105】図18Cは、他の構成例を示す断面図である。 図18Cに
示す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、開口OP1における
隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方に
おいて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0106】図19Aは、他の構成例を示す断面図である。  
  図19Aに示す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、無機絶縁
層5に開口が存在しない点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの
上方及び開口OP1において、無機絶縁層5の上に配置されている。
【0107】図19Bは、他の構成例を示す断面図である。  
  図19Bに示す構成例は、図19Aに示した構成例と比較して、有機絶縁
層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP
1において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0108】図19Cは、他の構成例を示す断面図である。  
  図19Cに示す構成例は、図19Aに示した構成例と比較して、開口O
P1における隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層
ILの上方において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0109】
  次に、図20乃至図25を参照して、表示装置DSPの製造方法について
説明する。なお、図20乃至図25においては、絶縁層12よりも下方の
図示を省略している。
【0110】まず、図20に示すように、表示領域DAにおいて、絶縁層
12を形成した後に、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、
副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する。
その後、無機絶縁層5を形成する。  
 絶縁層12及び無機絶縁層5は、表示領域DAのみならず、周辺領域SA
及び余白部MPにも形成される。周辺領域SA及び余白部MPにおける絶
縁層12を含む有機絶縁層ILの形成手法は、例えば、図14Aなどを参
照して説明した通りであり、有機絶縁層ILを形成する工程は、金属層M
Tに重なる開口OP1を形成する工程を含んでいる。
  
 その後、表示領域DAにおいて、無機絶縁層5の上に位置する下部61と、
下部61の上に位置する上部62と、を有する隔壁6を形成する。このと
き、周辺領域SA及び余白部MPにおいては、下部71及び上部72を有
する隔壁7も、隔壁6と同時に形成する。隔壁7は、図7などに示したよ
うに、有機絶縁層ILの上に形成し、また、図10などに示したように、
開口OP1に形成する。その後、無機絶縁層5に開口AP1、AP2、A
P3を形成する。開口AP1は副画素SP1の下電極LE1に重なり、開
口AP2は副画素SP2の下電極LE2に重なり、開口AP3は副画素S
P3の下電極LE3に重なる。なお、開口AP1、AP2、AP3の形成
工程は、隔壁6の形成工程より前に行ってもよい。無機絶縁層5に開口A
P1等を形成するのと同時に、パッドPDの開口OP2も形成する。
【0111】続いて、表示素子201を形成する。
【0112】まず、図21に示すように、隔壁6をマスクとして、下電極
LE1の上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層EM1、
正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの各層を形成するための材
料を順次蒸着して、有機層OR1を形成する。その後、隔壁6をマスク
として、有機層OR1の上に、マグネシウム及び銀の混合物を蒸着して、
上電極UE1を形成する。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部6
1に接触している。その後、隔壁6をマスクとして、上電極UE1の上に、
高屈折率材料及び低屈折率材料を順次蒸着して、キャップ層CP1を形成
する。  
 これらの有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、真空
環境を維持した状態で連続して形成される。  その後、キャップ層CP1
及び隔壁6を連続的に覆うように、封止層SE1を形成する。
【0113】 有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、
オーバーハング状の隔壁6によって分断される。  

 有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着
によって形成される際に、蒸着源から放たれた材料は、上部62によって
遮られる。このため、上部62の上には、有機層OR1、上電極UE1、
及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部62の上に
位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、
下電極LE1の直上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャ
ップ層CP1から離間している。
【0114】これらの有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、
及び、封止層SE1は、表示領域DAのみならず、周辺領域SA及び余白
部MPにも形成される。
【0115】続いて、図22に示すよに、封止層SE1の上に、所定の
形状にパターニングされたレジストR1を形成する。レジストR1は、
副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0116】続いて、図23に示すように、レジストR1をマスクとした
エッチングを行うことにより、レジストR1から露出した封止層SE1、
キャップ層CP1、上電極UE1、及び、有機層OR1を順次除去する。
これにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE
3が露出する。その後、レジストR1を除去する。これにより、副画素S
P1に表示素子201が形成される。
【0117】続いて、図24に示すように、表示素子202を形成する。
表示素子202を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様
である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR
2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2を順に形成す
る。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマス
クとしたエッチングにより、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極U
E2、及び、有機層OR2が順次パターニングされる。このパターニング
の後、レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子202
が形成され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0118】続いて、図25に示すように、表示素子203を形成する。
表示素子203を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様
である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR
3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3を順に形成す
る。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマス
クとしたエッチングにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極U
E3、及び、有機層OR3が順次パターニングされる。このパターニング
の後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子203
が形成される。
【0119】その後、図3に示した樹脂層13、封止層14、及び、樹脂
層15を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0120】なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子201が
形成され、次に表示素子202が形成され、最後に表示素子203が形成
される場合を想定したが、表示素子201、202、203の形成順はこ
の例に限られない。
【0121】図26は、図7に示したパッドPDに多層膜115が形成さ
れた様子を説明するための断面図である。
【0122】上記の表示素子201、202、203をそれぞれ形成する
工程において、多層膜115は、余白部MP及び周辺領域SAにも形成さ
れる。ここでの多層膜115とは、例えば、図21を参照して説明した表
示素子201を形成するための有機層OR1、上電極UE1、及び、キャ
ップ層CP1を含んでいる。多層膜115は、無機絶縁層5、隔壁7,及
び、金属層MTの上に形成される。
【0123】図21を参照して説明したように、多層膜115は、オーバ
ーハング状の隔壁7によって分断される。すなわち、有機層OR1、上電
極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際
に、蒸着源から放たれた材料は、隔壁7の上部72によって遮られる。こ
のため、上部72の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャッ
プ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部72の上に位置する有機
層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、無機絶縁層
5の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1
から離間している。これにより、多層膜115は、部分的に分断される。
【0124】特に、図6などに示したように、隔壁7が格子状に形成され
ている場合、隔壁7で囲まれた複数の閉領域が形成される。この場合、各
閉領域に位置する多層膜115が隔壁7の上に位置する多層膜115と分
断され、結果として、多層膜115が細分化される。
【0125】多層膜115が隔壁7によって分断されていない場合と比較
して、連続した多層膜115の面積が低減され、多層膜115に生じうる
応力が分散される。また、無機絶縁層5及び無機絶縁層5の上の多層膜1
15は、隔壁7で抑え込まれているため、無機絶縁層5の浮き上がり、及
び、多層膜115の無機絶縁層5からの浮き上りが抑制される。さらに、
多層膜115が形成された後に形成される封止層SE1は、隔壁7ととも
に多層膜115を抑え込んでいる。このため、多層膜115及び封止層S
E1の無機絶縁層5からの離脱を抑制することができる。
【0126】ここで、多層膜115が無機絶縁層5から浮き上がり、破断
した場合に生じうる不具合について説明する。無機絶縁層5から離脱した
多層膜115は、異物となって製造装置内を浮遊し、汚染源となり得る。
また、浮遊した異物が処理基板に付着すると、種々の欠陥を引き起こす原
因となり得る。
【0127】これに対して、本実施形態によれば、パッドPDを含むパッ
ド領域において、多層膜115の離脱を抑制することができる。これによ
り、製造装置の汚染や、不所望な異物の生成が抑制される。したがって、
信頼性の低下が抑制される。
【0128】なお、多層膜115が表示素子202を形成するための有機
層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2を含む場合であっても、
同様の効果が得られる。  
  また、多層膜115が表示素子203を形成するための有機層OR3、
上電極UE3、及び、キャップ層CP3を含む場合であっても、同様の効
果が得られる。
【0129】ここでは、図6及び図7に示した構成例について、多層膜1
15の離脱が抑制される効果について説明したが、その他の各構成例につ
いても同様の効果が得られる。
【0130】また、図8などに示した構成例では、隣接するパッドPDの
間の小さいスペースにおいて、直線状の隔壁7が千鳥配置されている。こ
のように、格子状の隔壁7が配置できないスペースにおいて、直線状の隔
壁7が配置されることで、多層膜115が部分的に分断され、上記のよう
に多層膜115の離脱を抑制することができる。  
 また、図22に示したレジストR1を形成する過程において、液状のレジ
ストR1を塗布する工程がある。直線状の隔壁7が千鳥配置されている場
合には、隔壁7が連続した長い直線状に形成された場合と比較して、塗布
したレジストR1の広がりが阻害されにくく、また、レジストR1は隔壁
7に接しながら広がる。これにより、レジストR1に不所望な空隙が形成
されるような不具合を抑制することができる。
【0131】また、図9及び図10に示した構成例では、有機絶縁層I
Lの開口OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が配置されている
。このため、開口OP1においても、多層膜115が分断され、上記のよ
うに多層膜115の離脱を抑制することができる。
【0132】また、図11に示した構成例では、有機絶縁層ILの開口
OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が複数のセグメントに分割
されている。このため、開口OP1において、塗布したレジストR1の広
がりが阻害されにくくなる。
【0133】また、図12及び図13に示した構成例では、有機絶縁層IL
の開口OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が格子状に形成され
ている。このため、開口OP1において、多層膜115を細分化すること
ができる。但し、図12に示す構成例では、パッドPDにおける金属層M
Tが無機絶縁層5で覆われているため、パッドPDを利用した検査等の処
理は、無機絶縁層5が形成される前に実行される。
【0134】さらに、第1グループ、第2グループ、及び、第3グループ
で説明した各構成例においては、有機絶縁層ILは、開口OP1に向かう
にしたがって厚さが低減する階段状の断面を有している。したがって、急
峻な段差の形成が抑制される。有機絶縁層ILは、厚さが薄いほど伸びが
小さい。このため、有機絶縁層ILの上に多層膜115が形成された際、
多層膜115の歪みが小さく、多層膜115において、局所的な応力の集
中を抑制することができる。これにより、無機絶縁層5からの多層膜11
5の離脱を抑制することができる。
【0135】上記の実施形態において、例えば、絶縁層114は有機絶縁
層の第1層に相当し、絶縁層12は有機絶縁層の第2層に相当する。また、
隔壁7は第1隔壁に相当し、下部71は第1下部に相当し、上部72は第
1上部に相当し、隔壁6は第2隔壁に相当し、下部61は第2下部に相当
し、上部62は第2上部に相当する。
【0136】以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下
を抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供すること
ができる。
【0137】以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及び表示装
置の製造方法
を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての
示装置及び表示装置の製造方法
も、本発明の要旨を包含する限り本発明の
範囲に属する。
【0138】本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形
例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属す
るものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構
成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追
加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限
り、本発明の範囲に含まれる。
【0139】また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされ
る他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業
者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらさ
れるものと解される。
【0140】本明細書にて開示した構成から得られる表示装置用マザー基
板の一例を以下に付記する。  
(A)
  画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を
有するパネル部と、
  前記パネル部よりも外側の余白部と、
  前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出
した第1上部と、を有する第1隔壁と、
  前記余白部に配置され、前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備
え、前記第1隔壁は、前記開口に配置されている、表示装置用マザー基板。  

(B)
  画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を
有するパネル部と、
  前記パネル部よりも外側の余白部と、
  前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出
した第1上部と、を有する第1隔壁と、前記余白部に配置され、前記有機
絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、前記第1隔壁は、前記余白部及
び前記周辺領域の少なくとも一方において、前記有機絶縁層の上方に配置
されている、表示装置用マザー基板。

【図21】図21は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

【図22】図22は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

【図23】図23は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

【図24】図24は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

【図25】図25は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

図26は、図7に示したパッドPDに多層膜115が形成様子を説明する
ための断面図


🪄今回で了。ジャパン・ディスプレイは赤字が続いていたが、マスクレス
 +フォトリソグラフィで起死回生を図るという。当面目が離せない。継続
 的に考察をし後押ししたい。             

 

   Stevie Wonder 「迷信」 (Superstition)  1972年
   Superstition-Stevie Wonder Stave Preview

  今日の言葉:ヒートショックに要注意

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