極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

不都合な進歩

2017年11月09日 | デジタル革命渦論

 

       

                          

             公孫丑(こうそんちゆう)篇 「浩然の気」とは   /   孟子  

                                               

    ※ 精神的奴隷:矢を作る人が鎧を作る人より不仁であるとはいえない。しかし矢を
            作る人は、ひたすら矢が人を傷つけることを願い、鎧を作る人々は、鎧が人を死
            から守ることを願う。葬儀屋と医者の場合も同じである。職業の選択はよほど慎
            重にせねばならないわけだ。あわれみの心は、人間ならだれでも持っている。む
            かしの聖人が血の孔子は言った。「仁の世界はすばらしい。すすんでそこに住も
            うとしないのは、知恵ある人とはいえない」、仁は天与の尊い爵位である。安住
      できる家である。そこに住もうと思えば住めるのに、不仁のままでいるのは愚者
      である。仁の心がなく、智に欠け、礼を忘れ、義を知らぬ人は、奴隷でしかない。
      奴隷でありながら、人に使われるのを恥ずかしいと考えるのは、弓を作る人が弓
      を作るのを恥じ、矢を作る人が矢を作るのを恥じるようなものだ。恥ずかしいと
      思えば、仁に志して、奴隷の身から脱却するにこし仁ことはない。仁に志す人は、
      弓を射るようなものだ。まず姿勢を正して矢を放つ。自分の矢が的中しないとい
      って、的中させ仁人を怨むのでなく、失敗の原囚を自分白身に求めなければなら
      ない。

     〈仁の世界……〉 原文「仁に里(お)るを美となす……」(『論語』里仁篇)。

     【解説】家庭では慈愛ぶかい父親も、武遊興遺脱売を業とするとなると、乱の勃
         発を待ち望む
死の商人となりはてることがある。職業という決い伜からだ
                 け世界を眺めることの危険さはここ
にある。人類普遍の立場を常に一方に
                 意識すること、これが精神の奇形化を防ぐ一つの手段である。

 

    No.93

 Nov. 8, 2017

【エネルギータイリング事業:壁紙バイオソーラーパネルの登場】

11月6日、インペリア・カレッジ・ロンドの研究グループは、シアノバクテリアをインクとして
使用し、精密パターンをインクジェットプリンで紙に印刷した導電性カーボンナノチューブ回路を
使いバイオソーラーパネル作製成功したことを公表。同グループは、印刷したシアノバクテリアの
光合成反応で百時間にわたり微量発電できることを実証した。作製されたバイオソーラーパネルは、
iPadの面責の大きさで、簡単なデジタル時計や発光ダイオード電球に電力供給できる。同グループ
の研究成果は、使い捨て可能な紙に印刷し光合成細菌から作られた新しいタイプの電気装置ににつ
ながり、糖尿病患者のバイタルセンサや室内空気の濃度センサなどに応用できる。同グループのマ
リーン・サワ博士は、この技術は、環境内のセンサとしての役割など、幅広い用途に使用できる。
家庭の空調を監視する使い捨ての装飾壁紙などのもその一例で、使い捨てた壁紙は環境に影響を与
えず生分解されると話す。バイオソーラー電池は、世界的に微生物バイオフォトトランジスタ(BP
V
)と呼ばれ、新しいタイプの再生可能エネルギー技術の研究が進行中である(技術論文の詳細は、
下図をクリック参照:Electricity generation from digitally printed cyanobacteria、doi:10.1038/s41467-017-
01084-4、Nature Communications 8, Article number: 1327 (2017)
)。

   Nov. 6, 2017

尚、シアノバクテリア細胞からエネルギーを得るためにBPVを使用する利点の1つは、昼光中で少
量の電気を生成し、暗所で生成された分子から生成することができる。その製造コストが安価で環
境負荷小さいことが特徴で、紙ベースのBPVは、従来の太陽電池技術を大規模な電力生産に置き換
えるものではなく、使い捨てと同時に生分解の両方を実現するもので、その低出力出力は、環境感
知やバイオセンサなど、エネルギーが小さくて有限であるデバイスやアプリケーションに適してい
る。印刷されたエレクトロニクスとバイオセンサ技術と統合された紙ベースのBPVは、糖尿病患者
の血糖値などの健康指標を監視する使い捨て紙ベースセンサの時代に入る。一旦測定が行われると
装置は環境への影響が少ない状態で容易に処分できる上、使い易さと非常に経済的である。今後は 
現在の紙ベースのBPVユニットは手のひらサイズだが。A4サイズにスケールアップして、より大
規模な電気出力させ、さらに、より強力で、長持ちし、堅牢なパネルを作ることが架台であると話
す。

  

 

 



【ハリケーンに耐えた太陽光パネル用バラスト式架台】

9月20日、カテゴリー5の大型ハリケーン「マリア」が米自治領プエルトリコを直撃し、大規模
な被害が発生した。被害から1カ月以上が経過したが、いまだに需要家の約8割が停電したままだ。
そのうち11月15日までには50%、12月115日までには95%の電力供給を復旧させるとリ
カルド・ロッセロプエルトリコ知事が発表している。今回のプエルトリコの停電は、米国歴史上で
最も大規模だとみられるなか風速180メートル/病の強風でビクともしなかった「バラスト("安
定用重り"の意味)式ハイブリッド架台」を使用した645キロワットの太陽光発電システムに注目
が集まっている。同システムは9階建ての建物の屋根に設置されたものだが、まったく損害もなく
百%の発電を持続している。


● ナイロン製一体成形の架台とは

プエルトリコのサンホアンにある同太陽光発電システムは、米退役軍人管理局の運営するメディカ
ルセンタに設置され、2015年に稼働開始。この病院はプエルトリコとヴァージン諸島に在住す
る15万人を超える米退役軍人が主に利用しており、プエルトリコとカリビアン諸島における最大
規模の連邦政府による医療施設。
「バラスト式架台」を提供したのは、カリフォルニア州サンフラ
ンシスコに本社を持つソレガ社(Sollega)。同社は商業用フラットルーフ(陸屋根)用架台に特化
している。この架台は、プラスチック製で「ファーストラック510(FastRack510)」 と呼ばれる
もの。
プラスチックの種類は、ナイロン6「ウルトラミッ(Ultramid)」(独BASF製)である。この
材料は強度、剛性、熱安定性に優れ、柔軟性が高いため、太陽光アレイ(パネルの設置単位)を壊
すことなく、複数の方向に曲げられる。さらに、紫外線吸収剤が添加されているので、耐光性、耐
久性に優れるという。
一体成形により1つ部品からできているために現場での組み立てを必要とせ
ず重ねられるため、運搬や設置が容易という利点もあるという。システムの施工時間は、モジュー
ル(パネル)1枚当たり約5分。
同架台は、カリフォルニア州の射出成形業者が製造している。射
出成型機には、金型交換が容易な機構が組み込まれていて、150~270ワット/枚までどのメ
ーカーの太陽光パネルにも対応できる「ユニバーサルデザイン」となっている。さらに、パネルの
横、縦置き両方に対応できる。



「バラスト式ハイブリッド」とは、バラスト(重し)用ブロックと太陽光アレイを屋根に強固に固
定させるためのアンカー(固定金具)の両方を使用する架台方式である。アンカーは屋根に穴を開
ける貫通設置方式ではないので、水漏れの心配はない。ソレガ社の最高経営責任者 (CEO) と営業
部長を務めるエリイ・ロスチルド氏によると、屋根に熱可塑性ポリオレフィン (TPO)系プラスチ
ック製の 塗膜防水材からなるルーフイングシートを覆い、そこにアンカーを熱融着により接合する。
同システムはバラストとアンカーのハイブリッドだが、百%バラストのみのシステムも提供できる
という。バラストはコンクリート製で一つの重さは30パウンド(13.6キログラム)である。



今回のメディカルセンターに設置された太陽光発電システムは、米サンパワー社(SunPower)製の
327キロワット/枚のパネル2,529枚を使用。パネルと同架台の設置比率は1:1.34で3,
004個の架台が使われた。モジュールの設置角度は10度。風速170メートル/秒に耐えるよ
うに施工され、9階建ての高さ百フィート(30.3メートル)の建物の屋根上に設置され、今回
の大規模なハリケーンにも耐える。従来の陸屋根向け設置方法では、アルミニウム合金製の押出レ
ールなどで太陽光パネルを施工したため
構造が堅固で風圧に耐えるのが難しい難点があったという。
これに対し、ソレガ社のシステムは、太陽光パネルを架台「ファーストラック510」で「チェー
ン」のように連結するために、強風でも壊れることなく、柔軟に対応するとしている。同社は他に
も自然災害が多いハワイのメガソーラー(大規模太陽光発電所)などにも同バラスト式ハイブリッ
ド架台を提供する。このように、ソレガ社保有の技術というよりアルミサッシ建材などの加工技術
以外のメカニズム技術や素材選定技術は外から持ってきて耐久/堅牢/靱性を実現した企業という
印象である。参考までに関連米国特許技術を掲載しておく。

❏ US 8850754 B2 Molded solar panel racking assembly


❏ US 9057544 B2 Solar panel mounting system


・US D801,915S  Mounting bracket for roof mounted photovoltaic modules 
・US D801,914S  Mounting bracket for roof mounted photovoltaic modules 
・US D801,913S  Mounting bracket for roof mounted photovoltaic modules 
・US D799,420S End-clamp for roof mounted photovoltaic modules 
・US D792,342S   Mid-clamp for roof mounted photovoltaic modules 
・US 9,494,342 B2 Methods and devices for coupling solar panel support structures and/or securing solar panel
support  structures to a roof 

・ US 95,103 B2  System and method for mounting photovoltaic modules  

【蓄電池篇:EV電池開発競合加速】

韓国サムスン電子は現行製品の2世代先となる電気自動車(EV)向け充電池を開発する。1回の
フル充電で走行可能な距離をEVに使われているリチウムイオン電池の2倍近くに増やし、現行の
1世代先にあたる製品開発で先行するトヨタ自動車に対抗する。各国当局と自動車メーカーのEV
シフトを受け、基幹部品である電池の開発競争が激しくなりそうだという(日本経済新聞 2017.17.
07)。それによると、サムスン電子は電機業界で究極の充電池と呼ばれる「リチウム空気電池」を
開発する。中央研究所にあたるサムスン総合技術院で、電池1キログラムあたりの蓄電容量が52
0ワット時の試作品を製作した。トヨタが2020年代前半に実用化を目指す「全固体電池」の次
の世代での世界標準を狙う。代表的なEVである日産自動車の新型「リーフ」はフル充電時の走行
可能距離が400キロメートル。サムスンの試作品を自動車用に製造すると理論上700キロメー
トルを超える。主要部材の絶縁膜(セパレーター)の厚さを20マイクロ(マイクロは(百万分の1)
メートルと従来の1割以下に改良。薄型化により電池セルの使用量を増やせるため蓄電容量が高ま
った。30年までの実用化を目指すもようだが道のりは長い。試作品では充放電を20回繰り返す
と性能が大幅に劣化する。数千回とされるEVに求められる充放電の基準を満たせず、1回のフル
充電に数時間かかる問題も残る。主要部材である正極や負極の素材や形状を改良し電池寿命や利便
性を高められるかが課題となる。サムスンはグループのサムスンSDIが自動車用のリチウムイオ
ン電池事業を広げている。トヨタが実用化を目指し、次世代品として有力視される全固体電池につ
いても研究開発を続ける一方、その次の世代を見込むリチウム空気電池の実用化も先行させるとい
う。


通常のリチウムイオン電池はイオンを伝達する電解質に液体材料を使う。これを固体化した電池が
全固体電池だ。正極と負極の間にある固体の電解質がイオンをやり取りする。電解質が劣化しにく
いため長寿命で液漏れや発火などの危険が少ない。充電時間の短縮や大容量化が期待できる。トヨ
タは全固体電池の開発に既に技術者2百人の態勢を整える。「試作品は既にあり、次の段階は量産
への準備だ。この技術は今後『ゲームチェンジャー』になりうると考えている。トヨタやサムスン
だけでなく多業種の大手が全固体電池の研究を進める。自動車部品の独ボッシュは全固体電池を開
発する米シーオを買収し。米アップルも16年に関連技術者の公募を始めた。大阪府立大学の辰巳
砂昌弘教授は自動車向け全固体電池の実用化の時期を23年ごろと見込む。一方、リチウム空気電
池は正極の触媒で空気中の酸素を取り込む。その上で負極のリチウムと化学反応させて電気を起こ
す。理論的には従来の電池より高いエネルギー容量を実現できる。材料を減らせるので小型軽量化
やコスト削減が期待される。サムスンのほかに日本の物質・材料研究機構や東北大、トヨタなどが
研究開発を進める。これにともない、電池の市場も急拡大する。調査会社、富士経済によると16
年に1兆4千億円だったEVなど環境対応車向けの世界の電池市場は25年に6兆6千億円になる見
通し。素材など関連産業への波及効果も大きい。各国当局の動きを受け、独フォルクスワーゲンを
筆頭に米ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車と世界の自動車メーカーは次々にEV戦略を
明らかにしている。急激なEVシフトは緩やかに進んでいたリチウムイオン電池の技術革新の背中
を押すだけでなく、その次の電池にステップする時期を前倒しするよう促している。

❏ 事例研究:三星電子株式会社
   特開
2017-199678 リチウム金属電池用負極、及びそれを含むリチウム金属電池

【概要】

リチウム金属電池用負極、及びそれを含むリチウム金属電池を提供する。リチウム金属またはリチウ
ム金
属合金を含むリチウム金属電極と、リチウム金属電極の少なくとも一部分に配置された保護膜とを含み、
保護膜のヤング率は、10Pa以上であり、1μmを超えて100μm以下のサイズを有する有機粒子、
無機
粒子及び有無機粒子のうちから選択された1以上の粒子を含むリチウム金属電池用負極、及びそれを
含んだリチウム金属電池の提供により、リチウム金属電池用負極は、機械的物性が改善された保護膜を具
備している。このような負極を利用すれば、充電時、体積変化が効果的に抑制され、サイクル寿命及び放
電容量が改善されたリチウム金属電池を製作することができる(詳細は下図クリック)。



【符号の説明】

10,40,50  集電体 11リチウム電極  12,23,42  保護膜 13,13a,13b
13c 粒子  13a’,13b’,43  マイクロスフィア  14,44  イオン伝導性高分子 
15,46 SEI 16 リチウム電着層  21,31  正極  22,32  負極  24  電解質 
24a  液体電解質 24b   個体電解質  24c セパレータ  30 リチウム金属電池  34 ケ
ース  41,51 リチウム金属電極 52 リチウムデントライト



● 今夜の寸評:不都合な進歩

体調が優れないというのに、山のような情報は相変わらず。それでも、腰痛で具合が悪いが宅トレ
は気分転換に好都合で3キロメートル/時に減速、英会話は3時間/日を1時間半に短縮。記事の
消化というとこれは好調時の1/3がやっと。日本でも『不都合な真実Ⅱ』が17日(金)より放
映されるという。オゾン層破壊ガスは全世界的な取り組みの成果で徐々に収束しつつあるようだ。
もとはといえばソーダーの電解生産の副産物塩素ガスのように自然界に存在しない化合物の発明か
らはじまり、塩化ビニル(水俣病など)、枯れ葉剤(ベトナム戦争など)・農薬(世界中)にはじ
まり熱冷媒の発明による(ハロゲンでも、塩素とフッ素の違いはあるが)。『デジタル革命渦論』
(第5産業革命)をベースに、エネルギー革命・電気自動車革命・AI革命・再生医療革命と、次
々と連鎖誕生している。そんな世の中にあって既得権益に守株する階層にとっては『不都合な進歩』
でもあると映画の公演を前に思う。十年もすれば今ある商品は機能・品質・生産性向上させながら
百分の一程度に下落していく時代にある。ゼロ金利政策と聞いて、わたし(たち)は大手金融会社
は本社を売り払い小さなビルに移るのかと連想したほど、経済運営は未踏の時代に入ると考えてい
たが、このようにわたし(たち)が20数年前に考えていたことがすべて現実のものになつている。
いや、それ以上の早さで進行しているものもあるのだが、それでいて怖くもあり、面白くもあるこ
とが妙であると感嘆す。

       

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