極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

里山資本主義異論Ⅱ

2014年04月13日 | 政策論

 

 



海津大崎 20140412

二度と花くぐりドライブはこないかもしれないと君の言の葉
 

  新しくなったソルティライチ

ジムの自動販売機から消えて半年過ぎたが、キリンよりリニューアルされ販売されているという。
係員に確認することにしよう。
 

 1999.09 

【アベノミクス第三の矢 僕ならこうするぞ!】 

●里山資本主義異論

#works01

先回は、藻谷浩介著の『里山資本主義-日本経済は安心の原理」で動く』の「最終総括「里山資
本主義」を読んだ違和感を記載し、このまま進めていくことに躊躇するものの徳島県上勝町の「
葉っぱビジネス」の事例があるように、個別事例から学ぶものがあるだろうと考えこの項を継続
させていくとしたので(『里山資本主義異論』)、ここではその舞台である徳島県上勝町の株式
会社いろどりの活動の考察から入っていくことにする。

 「新書大賞2014」? 

先ず、株式会社いろどりの公式ホームページから。「葉っぱビジネス」とは"つまもの"、つまり
日本料理を美しく彩る季節の葉や花、山菜などを、栽培・出荷・販売する農業ビジネスのこと。
当時農協職員だった横石知二(現・株式会社いろどり代表取締役社長)が、「彩(いろどり)」
と名づけて1987年にスタート。現在つまものの種類は320以上あり、一年を通して様々な葉っぱ
を出荷する。
葉っぱビジネスの特徴は、(1)商品が軽量で綺麗であり、女性や高齢者でも取り
組める。(2)それを支援するにはパソコンやタブレット端末で見る「上勝情報ネットワーク」
の情報で運営-決まった数量を毎日出荷するのではなく-高齢者が情報通信端末を駆使し、「上
勝情報ネットワーク」から入る全国の市場情報を分析して自らマーケティングを行い、栽培した
葉っぱを全国に出荷している点にあると紹介されている。つまり、高齢者(65歳以上)の地元住
民による農林産業物生産販売事業の高次元あるいは高度化の成功事例として注目を浴びている。
付け加えるとすれば、ビジネスモデルの商品の特性と運用手段のデジタル革命の基本特性第2則
(ダウンサイジング-軽量化)とがシンクロナイズ(同調)に成功した事例でもあると言える。

※初期段階では防災FAX を活用し構築→近年は、操作が易しくシンプルないろどり専用パソコン
の開発など、最新の情報通信技術で構築→2011年夏から、タブレット型携帯情報端末(Docomo
Galaxy Tab
:通称いろどりちゃん)が一部運用。このため、上勝町にも、畑の中で画面をフリック
タップしながら葉っぱを集める"モバイルおばあちゃんたち"が登場→家の中で情報待機しなくて
も畑仕事をしながら情報を入手可能(生産者には好評)。

さて、徳島県上勝町は、徳島市中心部から車で約一時間程の場所に位置し、人口は1,840名 863世
帯(2013年10月1日現在)、高齢者比率が49.57%という、過疎化と高齢化が進む町。
しかし一方で、
全国でも有数の地域活性型農商工連携のモデルとなっている。1981年2月に起きた寒波による主
要産業の枯渇という未曾有の危機を乗り越え、葉っぱ(つまもの)を中心にした新しい地域資源
を軸に地域ビジネスを展開し、20年近くにわたり農商工連携への取り組みを町ぐるみで行ってい
る。上勝町の1980年代は激動の時代。
町の人口は年々減少し、主な産物であった木材や温州みか
んは輸入自由化や産地間競争が激しく、伸び悩んでいた。高齢者や女性達に仕事ができたことで
出番と役割ができ、元気になり、町の雰囲気も明るくなる。「葉っぱビジネス」の仕事が忙しく
なってきたため、老人ホームの利用者数が減り町営の老人ホームはなくなる
「葉っぱビジネス」
が、2012年秋映画『人生、いろどり』にもなった。2013年12月25日にはDVDの販売も開始。



この事例評価として「上勝町は過疎化・高齢化の流れを止めているか 」(矢野正高、立教大学
21世紀社会デザイン研究 2011 No.10)があるので補足参考に掲載する。上図に、上勝町の人口
と葉っぱビジネスの売上の推移。人口が緩やかに減少して、過疎化が進んでいることを示す。こ
れに対し、葉っぱビジネスの売上は
堅実に上昇を続け、地域再生の優良事業であることを裏付け
ている。葉っぱビ
ジネスがスタートした1986年以降、この2つのデータの相関関係は、逆比例の
関係
にある。葉っぱビジネスの売上が増加していることは、さながら過疎化の下りエスカレータ
を駆け上がっている。著者は成功の条件にスキーム構築に要した時間と努力を指摘し、これら一
連の葉っぱビジネスのスキームの構築には、その商品開発を作るそのアイディアと、葉っぱを集
めるコミュニティの団結力と、なによりこれら一連の葉っぱを売るスキームを実現し、上勝町の
葉っぱを地域ブランディングとして国内で広く認知させた横石代表取締役社長の並々ならぬ努力
があって実現できたものである。1986年の事業開始からこれまで実に約25年もの月日を要した。
上勝町のシェアは、全国の70%を占めており、競争相手である、秋田、山形、福島、愛知、大分
県を大きく引き離し、他地域にて新規に模倣しようとしても黒字経営はもちろん、"つまもの”を
出荷することさえ難しいという。



反面、事業成功にもかかわらず人口が増加しない点を「新規参入障壁」として指摘し、葉っぱビ
ジネスを町外から移住して来て始めた人は、これまでに5家族に過ぎず、この数字では、上勝町
の人口総数に対して効果が小さく、過疎化も高齢化も解決できているとは言い難いとし、(1)
葉っぱビジネスは、長い年月をかけて、自然の中で土と共に生きた後、ようやく自然の恵みを手
にすることができる農業の特殊性があり、都心部の仕事とは大きく異なる。(2)桃栗3年、柿
8年のとおり我慢と強い忍耐が必要な仕事であり、都会の生活に慣れた人にとっては、容易に転
入できるビジネスではない。(3)新規に葉っぱビジネスを始めようとしても、生産技術を学び、
葉っぱを栽培する畑を入手することから始めなければならないなど、新規参入の障壁が高く、新
規雇用を生み出すことは極めて難しいという。つまり、葉っぱビジネス以外の上勝町内での雇用
枠は、年々増加しているが、定住希望者数には追いつかず、上勝町は、徳島県内の過疎地域自立
促進特別措置法
に指定されている集落であるにもかかわらず、着実に産業育成が進み、過疎化の
スピードを確実減速できているが、過疎化の流れを反転するまでには至っていない、従って、
疎化・高齢化問題は、田舎暮らしと都会暮らしにおける雇用や生活環境の差が拡大し続けている
ことに起因し、日本全国どこにおいても、過疎化・高齢化の流れを止めることは大きな課題であ
るが、上勝町の過疎化・高齢化対策は、この他にも、上勝町の笠松和市町長が展開する、ごみを
34 種類にも分別する『ゼロ・ウエイスト活動』、リサイクル活動の『くるくるショップ』など
エコ・環境活動や、小水力発電や木質バイオマスボイラーの設置など再生可能エネルギーなどに
も熱心に力をいれており、小さな町によるモデル事例地としても先駆的である。また、若者を呼
び込む策として、NPO 郷の元気主催の『棚田婚活』、『棚田オーナー制』『上勝ヤッホー体験プ
ログラム』、『上勝アートプロジェクト』など、多くの試みが生まれ、上勝町は魅力づくりに注
している。さらに、上勝晩茶が報道のような上勝町の上勝町のブランディングの背景には、メ
ディアによる地域再生活動への応援報道効果の大きさ、上勝町ワーキングホリデーや地域密着型
インターンシップ、上勝町の視察者受入などの U・I ターンの受入など、全国から注目を集める
葉っぱビジネスは、(1)おばあちゃんたちのエンパワメントを高めること(2)上勝町の地域
ブランディングを構築すること(3)元気な若いよそ者の注目を集めることに関しては大成功を
収めているという

上勝町は、第3セクターとして1999年に『株式会社いろどり』の立ち上げから積極的な支援をし
ただけでなく、他にも1991年に設立したしいたけのホダ木製造の『株式会社上勝バイオ』、キャ
ンプ場や交流センター、スクールバスの管理などを行う『株式会社かみかついっきゅう』、1996
年には、木材の生産・加工・住宅建設までを一貫して行う、6
次産業型の『株式会社もくさん』、
国土調査などの測量建設コンサルを行う『株式会社ウインズ』、などの会社を立ち上げている。
現在、5つの第3 セクターの会社が雇用促進の場として展開している。


●注釈としての「地方公共財理論

地方公共財理論は、(1)住民移動を考える理論と(2)住民移動を考えない理論に大別できる。
方公共財は、便益範囲が限られた範囲に及んでいる公共財であり、その範囲の内部では便益を
享受できるが、外部では享受できないという特徴をもつ。そこで、(2)の
住民移動を考えない
理論では、移動できない住民の地域ごとに異なる多様な効用を高める
ことを目的として議論が展
開され、(1)の移動を考える理論では住民は自分の選好に即した地域
を選択することで効用を
高める。つまり、オーツは住民が移勤しないことを前提にして
地方分権理論を展開したのに対し、
住民移動を考える理論であるティブー理論では、人々
の地域選択を重視した.また、後者の住民
移動を考えるティボー理論では、さらに(3)共同体
数可変モデルであるクラブ財理論と(4)
狭義の地方公共財理論に分類できるとされる。この共同体数が
可変か否かは結果に重要な影響を
もたらすことが後に示されたという。

 

※ 地方公共財と地方分権  大澤俊一 

ここで、中央政府の役割を整理すると、(1)公共財の供給、(2)外部性に伴う資源配分上の
失敗の是正、(3)
情報上の失敗(逆選択やモラルハザード)に伴う市場の失敗の是正、(4)
自然独占企業に対する規制、(5)所得の再分配の実施(6)マクロ経済政策の実行等に求めら
れるがこれだけの議論では、中央政府と地方政府の適切な役割分担がどうあるべきかはわからな
。この点を考えるためには,地方政府の存在だけではなぜ不十分かを考えればよいとし、地方
政府だけで不十分な理由には、(1)全国的公共財の存在、(2)地域を超えた外部性の存在、
(3)地方政府独自の租税政策・支出政策が他の地方政府や中央政府に対して外部性を持つ可能
性(財政的外部性)、(4)住民や企業の移動が効率的な資源配分を実現しない可能性、(5)
所得再分配政策を地方政府単独では行えないというが、「地方公共財の効率的供給の条件を探っ
た」という(「地方公共財の理論」(2003.03、麻生良文)では、生産関数と効用関数を特定化し
2地域モデルでの効率性の条件で資源配分の意味を探っが、その解釈は実は難しいという。なお。
2地域モデルを用いて、「足による投票」の帰結では、一般には、ティーボ(Tiebout)仮説は成
立しなかったと報告している。

また、茂浦口翔の『地方公共財の理論と我が国の地方分権政策』(2012.04.25)で考察した「道
州制」は(1)長年続いた現在の地域区分を大胆に変えていくことは政策的に非常に厳しく、国
民においても地方分権について正しい理解を得る必要があり、(2)地方分権政策ては、その地
域の実情に合った政府を作り出すことが肝となり、そのためには、紛れもなくその地域一人ひと
りの住民であること故、より大きな議論が必要である。さらに、二つ目の課題に「分権的な地方
政府構造と政策努力の必要性」において、(1)権限と財源を獲得し、分権的な地方政府になっ
た政府における情報政策、税政策が重要性を増し、(2)分権的な地方政府がより強力な力を持
つことは今後重要となるとしている。そして、少子高齢化などの課題は、地方政府が主体となっ
て解決していかなければならなと結んでいる。
 

●補考としての「葉っぱビジネス」

以上、今夜はリアルな「里山資本主義」のビジネスモデルとそこに横たわる「地方分権」あるい
は「地方公共財の理論」を簡単に考察した。このビジネス・モデルからわたしの印象として、1
つに、商品が樹木であること、2つには、商品のダウンサイジングという側面に注目。前者は、
樹木は一旦植育に成功すると長時間生産し続ける特徴をもち、その長期的な労働の生産科学分析
の特徴として、露地生産と比較し立ち作業中心となることが高齢者にとって有利であることだ。
このことは、このブログのテーマである、露地・土壌生産による重労働からの解放(脱土壌農法
→植物工場・水耕栽培など)という課題の1つの回答になっている。また、後者は「葉っぱ」に
象徴される農産物のダウンサイジングであり、バイオマス・サイクルの新しいプロセス開拓、さ
らには、"フード・ロス"、モ-ダール・シフトの新しい形態として拡張・展開できる点に注目し
た。例えば、生物工学の育種法を利用し、小型の外皮の薄い軽量トマト(その他に、糖度や彩り、
栄養価などの付加価値を含む)を生産→物流→消費→生産’→ ・・・ のチェーンで、消費現場で
はできる限り手間を省き、フード・ロスを逓減、物流現場では、搬送物の軽量化、そして生産現
場では重労働の解放につなげるスモール&スマート商品およびビジネスの開発がキーワードにな
ると考えた。

以上のことを踏まえ、さらに『里山資本主義異論』を考えていくことにする。

                                   この項つづく

 

  

 



今夜も疲れた!非常に疲れた!と、言うことで渡瀬マキの歌を聴き寝よう~~~っと。

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