極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

超刺激的な毎日⑤

2022年02月03日 | デジタル革命渦論

 頑張りすぎてヘトヘトだよ。

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん



【男子厨房に立ちて環境リスクを考える】
毎日多忙を極め、今朝、起きてHPを書き換えていると。『世界中の
人が菜食主義になると農地面積はむしろ小さくて済む』(2022.02.02/
Gigazine)というHLが飛び込む。以下次のような内容であった。
 国連食糧農業機関によると地球上で居住可能な土地の半分は農業に
使用されているが、2018年に行われたデータ分析では、

1.そのうちの約76%が動物の飼料を育てるための牧草地などに使わ
 れているが、動物性食料に係わる農業がすべてストップした場合、
 農地面積が現在の4分の1に縮小できる。例えば大豆はその収穫量
 の約77%が飼料用。
2.また、高所得国で食事が動物ベースから植物ベースへ移行した場
 合、農業による温室効果ガス排出量が年間61%削減できる。つまり、
 世界人口のわずか17%に相当する54の高所得国が植物ベースの食事
 に移行し、農業用地が自然の状態に戻った場合、世界中の温室効果
 ガス排出量14年分に相当する二酸化炭素が削減でき、食糧や気候や
 公衆衛生政策を結び付けることが、政府に税収をもたらしたうえで
 環境も改善できる『二重の配当』の利益が可視化する。
3.従って、非効率的な食料システムは、①必然的に森林破壊や居住
 地の喪失といった環境災害につながり、②植物ベースの食事への移
 行が、人工増加するをサポートするだけでなく、②広大な土地を解
 放し、生物多様性を高め、二酸化炭素排出量の削減につながる。②
 近い将来、動物性食品の削減が地球の未来を一変させる。

  

ところで、カーデニング園芸(菜園)についてはブログ掲載済済だが
『趣味の園芸 やさしい時間』NHKのテレビ放送では、牛乳パック
を利用した家庭菜園が紹介されていた、近い将来この事業市場の世界
展開は間違いないだろう。

❏  A Vegan World Would Require 75% Less Farmland Than Present,  vegco-
nomist: the vegan business magazine、January 31, 2022 

Reducing food’s environmental impacts through producers and consumers、
Science • 1 Jun 2018 • Vol 360, Issue 6392 • pp. 987-992
DOI: 10.1126/science.aaq0216




書籍:大豆と人間の歴史
著者:クリスティン・デュボワ
【内容概説】
人類が初めて手にした戦略作物・大豆。その始まりは、日本が支配し
た満州大豆帝国だった。サラダ油から工業用インク、肥料・飼料、食
品・産業素材として広く使われ、南北アメリカからアフリカまで、世
界中で膨大な量が栽培・取引される大豆。大豆が人間社会に投げかけ
る光と影、グローバル・ビジネスと社会・環境被害の実態をあますと
ころなく描く。
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序章 隠された宝
第1節 大豆と競争
巨大化する大豆貿易
大豆生産と貿易はあまりに急速に拡大したため、それを速切に処理す
るために、金融市場や貯蔵システムさらに輸送網は苦闘を続けてきた。
1960年代、1970年代の初めには大豆はアメリカ人アナリストから「シ
ンンデレラ作物」と崇められた。飼料として細々と栽培されていたも
のが、40年の間に高利潤の原動力となる目眩のするような成長を遂
げたからだ。しかし、このシンデレラは時として階段の上り方を急ぎ
すぎるきらいがある。たとえば、2013年にブラジルの港で生じた大渋
滞だ。ブラジルの輸送インフラの不備に加えて、産地と港との距離が
離れすぎていることから、その年の大豊作は大混乱を引き起こした。
サントス港での荷下ろしを待つトラックが、24~32キロもの行列を作
り、港では200隻を超える船が順番を待ち、積みこみを終えて中国
へと出航するまでに11か月待たされる船もあったブラジルでは混雑の
激しくない北方の港へと大至急大社の輸送先を変更したが、中国から
は注文のキャンセルも発生した。
 巨大な大豆貿易は激しい貿易交渉と紛争を巻き起こした。ブラジル
と中国の間に2013年に生じた問題は大豆をめぐる最初の紛争ではなか
った。殺虫剤で汚染された豆は中国では食用として認められないと主
張して、2004年に中国はブラシル産大辻の輸入を拒絶した。すぐさま
ブラジルはより厳しく輸出品の検査を行ったが、同時にこの輸入拒否
は実際のところは、その年に鳥インフルエンザが発生したことで鶏の
飼料として大豆の需要が落ちこんだことによるものたと主張した。
 ブラシルは世界貿易機関(WTO)に提訴するといって、強硬姿勢
を示していたが、二国聞での大豆取引かに貳ち直りを見せてくると、
ブラジルは訴訟を取りやめた。
 遺伝子組み換え作物の中で最も広い面積で栽培されている大豆は、
WTOではなかなか解決をみない別の議論を巻き起こしている。1990
年代にはEU(欧州連合)は遺伝子組み換え作物の栽培とそれを材料
にした食品の販売を削減した。2003年、この問題をめぐる通商外交に
満足できないアメリカとカナダ、アルゼンチンはEUを相手どって2
件の不服を申し立てた。3年間、専門家によるさまざまな証言が行わ
れたあと、WTOはEUの行動をWTOのメンバーとして不適切と判
断した。それにもかかわらず、何が適切な農業技術なのか、そして人
や生態系にとって何か安全なのかを社会がどのような手続きで決定し
ていくのかといった問題をめぐって、文化的な衝突が消えることはな
かった。2009年、ようやくEUとカナダの問の遺伝子組み換え作物(
カナダの主な関心は遺伝子組み換えナタネ)をめぐる論争は決着し、
翌年になって、EUとアルゼンチンの間の意見の相違(主に遺伝子組
み換え大豆)もどうにか解決した。しかし、2017年11月の段階で、ア
メリカとEU間の意見の相違はまだ完全な解決を見ていない。
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この50年間の世界の大豆生産(国際連合食糧農業機関データベースと
アメリカ合衆国農務省からの統計資利づ2017年7月〉より)
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 アメリカは他国をはるかにしのぐ世界最大の遺伝子組み換え作物の
生産国なので、問題は重大だ。およそ40パーセントの遺伝子組み換え
作物がアメリカで栽培されている。アメリカの年間の大豆生産量の90
パーセント以上が遺伝子組み換えであるため、大豆は遺伝子組み換え
作物の中でも最も身近なものだ。そのうえ、アメリカは世界最大の大
豆生産国で、ブラジルに続く世界第二位の大豆の輸出国でもある。
 繰り返しになるが、大豆と大豆製品は、一般的にほとんどが遺伝子
組み換えであり、アメリカの輸出農産物の中でも群を抜く存在で、20
16年には 200億ドルを超える。アメリカ政府も農業関連企業も、世界
市場における遺伝子組み換え大豆を脅かすものに対しては過敏に反応
するわけだ。

大豆と根粒菌の共生関係
大豆はアメリカの農家の収入源としてだけでなく、トウモロコシと輪
作する上でも重要である。大豆を栽培することで、土壌にはトウモロ
コシが必要とする養分が増える。トウモロコシは常に窒素を必要とし、
土壌中の窒素を急速に枯渇させる傾向がある。対照的に大豆は大気中
から窒素を吸収するマメ科植物に属している。大豆はその窒素を自身
の新陳代謝に利用するのである。大気から植物への窒素の取りこみは、
バクテリアであるダイズ根粒菌と驚くほど緊密な共益関係を通じて行
われる。
 大気中に最も豊富に存在する元素である窒素は、あらゆる生物がた
んばく質を生成するのに必要だ。しかしながら大気中の窒素は植物が
利川できる形態ではない。どこにでもあるのに利川できないのだ。窒
素は植物に最適な分子構造の中に「固定」される必要がある。そこで
大豆の作用はその固定化の何段階ものプロセスにバクテリアを持ちこ
んで、そこで植物とバクテリアが交互に影響を与え合う。
 まず、大豆はダイズ根粒菌を引きつけ、その繁殖を促す化学物質を
L浜中に送りこむ。このバクテリアは大豆の根毛に取りつく。その特
殊な化学物質を分泌しながら、根毛を誘導してくるりと巻いてその中
に小さな管を作らせる。こうしたとぐろ巻になった管が「感染糸」で
ある。次に、バクテリアはこのような拡大していく感染糸細の中で繁
殖する。そして、感染糸は破裂し、多数のバクテリアを苗の細胞の中
に直接送りこむ。感染した細胞は根のあらゆるところに小さな根粒を
形成するのである。
 こうした根粒が土壌中の微細な隙間の中の空気を取りこむ。バクテ
リアと植物はよ仙になって酵素、ニトロゲナーゼを生成する。これが
吸収した空気中の窒素を望ましい構造に囚定するのだ。しかし、この
「固定」反応には非常に特殊な条件が必要で、お互いのすべての動き
に順応する複雑なダンスのパートナー同士のような、並はずれた共生
関係が間断なく続く。条件の一つは、根粒内に残りの空気とともに取
りこまれた酸素のほとんどが、窒素固定反応から隔離されなければな
らないことだ。それによって、バクテリアと根はレグヘモグロビンと
呼ばれる特殊なたんぱく質を形成する。このたんぱく質は人間の赤血
球中のヘモグロビンに類似しており、ヘモグロビンのようにその環境
に必要な酸素の量を絹かく調節している。
 窒素固定反応は大量のエネルギーを必要とする。植物は葉が生物学
的に使用可能な子不ルギーを光合成によって生成し、その子不ルギー
をバクテリアに運ぶ。驚いたことに、大豆の根粒内で窒素固定が起き
る時、太陽光をエネルギーとして利用する植物の能力は、化学肥料工
場で工業的に窒素肥料を製造するために化石燃料を燃焼させるのと同
じことをしているのだ。こうして、バクテリアは食物子エネルギーを
大豆の光合成によって獲得し、大豆はバクテリアの活動によって窒素
を手に入れる。そして大豆の根が枯れる時には、植物が利用できる形
態の窒素を土壌中に残していく。このプロセスによってあらゆる生命
が恩恵を受けることになる。マメ科植物の窒素固定能力が地球の化学
的バランスを維持するのに貢献する。巨大な食物連鎖のスタート地点
で、窒素を固定できない数多くの植物のために土壌中に窒素を供給し
ているのだ。

大豆の根で窒素固定を行う根粒
このようなマメ科植物とバクテリアの間の共生関係のおかげで、アメ
リカ中西部の広大な地帯で行われているように、大豆とトウモロコシ
を輪作すれば、工場で製造された窒素肥料----ほとんどの汚染の元凶
----の需用が減る。肥料製造過程で化れ燃料の燃焼が少なくなればな
るほど、温室効果ガスの排出は減少する。さらに、農家は肥料のコス
トを少なくすることがてき、食品の価格も下がる。大豆はダブルプレ
ーで勝てる植物なのだ。
 ただ、残念なことに、大豆はトウモロコシが必要とする窒素分すべ
てを供給することはできない。さらに大豆の中には人工窒素肥料を必
要とする種類もある。したがって、大豆にトウモロコシをまぜて家畜
の餌にすると、大豆は環境に負荷をりえることになるが、それでいて.
一方では、大豆の根粒函との共生関係のおかげで、窒素を固定できな
い原料からのたんぱく質を含む飼料を使う場合よりも環境汚染が少な
い。飼料としての大豆はその他のたんぱく質よりも、窒素肥料の問題
を減少させる働きがある。

マーガリンを作る
また、大豆は食品会社にとっても有用な植物で、主にはその油が利用
されるが、他にも少量のたんぱく質とレシチンも有益だ。アメリカ国
では販売される揚げ物や焼き菓子に「植物油」の原料として大豆が使
用されている。ブラジルでも大豆油が料理に大量に使われている。鶏
卵や大豆、その他の自然食品中のレシチンは、ある材料と別の材料と
の融合を助けるコロイド状の性質のため世界中で使用されている。飼
料の中で、レシチンは油脂を微小な分子にして、動物の内臓中で油脂
の吸収を助け、より多くのカロリーで動物を太らせるのである。
 多くの加工食品で、他のやり方では混合することができない液体同
士をレシチンで滑らかに乳化させる。マーガリンでは「ブリーディン
グ(油脂から水分が分離して流れでること)」を防ぎ、揚げ物の最中
に飛び散るマーガリンを減らすことができる。レシチンは酸化防止剤
でもある。栄養強化マーガリンではビタミンAが酸化によって失われ
るのを防ぐ。工場生産のパンやケーキに添加されて、柔らかさを増し
たり、鮮度の低下を遅らせたりする。チョコレートでは豆を挽いて材
料をまぜるのに要する時間を短縮する。さらには菓子やキャンディー
バーのなめらかなコーティングを可能にする。レシチンはピーナツバ
ターをよりクリーミーに、より均一にする。粉ミルクやココアミック
ス、ケーキミックスなどのインスタントパウダーに分散性と湿潤性を
増す。このような食品用途ではレシチンはごく少量でよく、多くの場
合製品内容の0.1か0.ニパーセントだ。
 レシチン同様、やはり少量の大豆たんぱく質も加工食品に使用され
ている。食肉、ソーセージ、パン、ケーキなどで、水分を食品内部に
閉じこめる働きをしている。スープやグレービーソースでは水分を固
めて、液体に粘り気をつける。食肉やチーズでは、ゼラチンのような
効果があり、食品を輪郭のはっきりした形に「成形する」。ドーナツ
の場合には溶けた油脂を固め、油っぽく見えないようにしながら、よ
りリッチな味わいの製品にする。焼き菓子では大豆たんぱく質は風味
が逃げないようにする。ホイップされたトッピング、ムース、エンジ
ェルフードケーキ〔訳注一卵白だけで作る真っ白なシフォンケーキ〕
では気体を閉じこめて泡のような食感を作りだす。パンでは漂白効果
を発揮して、均一な明るい色を出す。
 主成分として、大豆たんぱく質は、朝食用の即席スナックバー、ア
スリート用のスナックや代替食の中に入る。濃度のある甘いドリンク
が欲しいが、アイスクリーム・シェークよりも健康に良いものを求め
ている人のためのプロテイン・シェークの中にも入っている。菜食主
義者用の肉の代替食としては、大豆たんぱく質は動物の筋肉質に似た
歯ごたえを出している。完全菜食主義、ビーガンの人には大豆製「チ
ーズ」や「ヨーグルト」、冷凍デザートなどがある。もちろん犬豆た
んぱく質はアジアの伝統的な大豆食品の主材料だ。豆腐や豆乳、枝豆
としてよく知られている早採り大豆、味噌、醤油、インドネシアのテ
ンペなどがそうだ。 


大豆のお肉!キーマカレー  2020.5.14

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❏  阿部 純・島本義也.2001.ダイズの進化:ツルマメの果たして
きた役割.「栽培植物の自然史-野生植物と人類の共進化」 (山本裕
文・島本義也編),77–95.北海道大学図書刊行会,札幌.
❏ たんぱく質、大豆サポニン、じつは巣ごもり生活に必要な栄養成
分が盛りだくさんの「大豆」を毎日食べ続ける健康法|@DIME アット
ダイム
❏ 原産地は東アジアである。日本にも自生しているツルマメが原種
と考えられている。 遺伝学的研究によれば、東アジアの複数の地域
で野生ツルマメからの栽培化が進行し、日本も起源地のひとつである。
2010年代の考古学的研究では、アジアでも他の地域に先駆けてダイズ
の栽培化が進行した可能性が判明しており他の起源地は中国や朝鮮半
島である。縄文時代中期、紀元前4000年後半より日本列島での栽培が
見られることが2015年の研究で判明し、この時期以降に野生種からの
人為的な栽培に特徴的な種子の大型化がみられる。2007年には、縄文
時代後期中頃[13]。日本列島においては縄文時代においてアズキやリ
ョクトウなどの炭化種実が検出されているためマメ類の利用が行われ
ていたことが判明していた。山梨県の酒呑場遺跡から出土した土器の
ダイズ圧痕は蛇体装飾の把手部分から検出されており、これは偶然混
入したものではなく意図的に練りこまれた可能性が想定されており、
その祭祀的意図をめぐっても注目されている。 中国や日本などでは
米・麦・粟・稗(ひえ)・豆(大豆)が五穀として重用されている。
via Wikipedia 
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                              この項つづく

【世界の工芸品シリーズ:飯塚琅玕斎】



花籃『富貴』 70(h)×36(d)cm
Flower basket entitled "Nobleness" c.1926/昭和
飯塚琅玕斎(いいづか ろうかんさい):
竹工芸家。本名彌之助。栃木県生まれ。幼少より父鳳翁(ほうおう)(
1851―1916)に竹技を学び、1926年(大正15)パリ万国博覧会で銅賞
を受け、1933年(昭和8)シカゴ万国博覧会に出品。 大正天皇の即位
式用品や昭和天皇の大礼献上品などの製作をしている。第13回帝展(
1932)の竹製筥(はこ)、第15回帝展の竹風爐先屏風(たけふろさきびょ
うぶ)は特選となり、文展ではしばしば審査員を務め、 芸術院会員と
なり、日本工芸会の理事を務めた。竹工芸界における業績は、精巧で
きめの細かな竹技と独創的で斬新(ざんしん)な意匠で表現された彼の
作品によって、いわば、日常生活用具的竹細工を、美的で鑑賞性に富
んだ芸術品に引き上げたことにある。代表作に花籠(はなかご)「銘あ
んこう」
📚 日本に産する竹で通常利用されるものに,マダケ(真竹,苦竹(に
がたけ)),メダケ(女竹),ネマガリダケ(根曲竹),モウソウチク(孟
宗竹),ハチク(淡竹),ホテイチク(布袋竹,五三竹),シホウチク(四
方竹),ゴマタケ(胡麻竹),クロチク(黒竹,紫竹(しちく),烏竹(
うちく)),ヤダケ(矢竹),斑竹(はんちく),雲文竹(うんもんち
く),煤竹(すすだけ)(苦竹,メダケなどの煤けたもの)などがある。


  

【ポストエネルギー革命序論 401: アフターコロナ時代 211】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」


 低環境負荷pチャンネルTFTの高性能化・低コスト化
IGZO-TFTに続く、薄膜トランジスタ技術の提案
東京工業大学の研究グループは,溶液の塗布法を用いた高性能 pチャ
ンネル薄膜トランジスタ(TFT)の開発に成功する。n型半導体の技術
発展は,2004年のアモルファス酸化物 InGaZnO(IGZO)を用いた薄膜
トランジスタ(TFT)の開発が重要な転換点となる。 IGZO-TFTは従来
のシリコン系TFTに比べて, コンピュータの処理速度等に関わるキャ
リア移動度が10倍以上高く(10~15cm2/Vs), しかも均質で大面積な
薄膜を低温で容易に作製できるという優位性を持つため,現在は有機
ELディスプレーや高精細ディスプレーなどに実用化されている。一方、
p型半導体に関しても新規材料の模索が進められてきたが,未だ画期
的な進展には至っていない。そこで研究では視点を変えて,まったく
新しい物質を見出すのではなく,既存の物質同士をうまく組み合わせ
ることで優れた半導体特性を実現することを試みている。
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【要点】
1.「一長一短」の物質同士の長所を活かすアイデアで、TFT特性を大
 きく改善 
2.有害元素フリーのハロゲン化物の溶液から高性能pチャンネルTFT
 を実現 
3.IGZO-TFTと組みわせた高性能CMOSとして機能することを実証 
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図1.ア、イ)2次元および3次元ペロブスカイトTFTが抱えている現状の問題点
(ウ)提案される2・3次元コア-シェル型複合相から成るTFT
(エ)2・3次元相の混合層から成るTFT


図2.薄膜作製時のSnF2添加剤依存性
(ア)2・3次元ペロブスカイト薄膜構造比較 (イ、ウ)TFT特性の比較 


図3.(ア)IGZO TFTと2・3次元ペロブスカイトTFTの伝達特性(イ)
CMOSインバータの電圧伝達特性 

今回,ペロブスカイト型ハロゲン化物の優れた輸送特性に着目し,2
次元ペロブスカイトのPEA2SnI4と,3次元ペロブスカイトのFASnI3と
いう2つの物質の両方の長所を発現させる微細構造をデザインした。
両者は「移動度とキャリア制御性」において相反する特性を示し,小
さい電界移動度もしくはスイッチオフが出来ないといった問題点を抱
えているが,今回開発した方法では両者の利点を生かし,欠点を補い
合うことに成功した。結果的に,従来の酸化物 TFTに匹敵する移動度
25cm2/VsのpチャンネルTFTを実現させた。これは従来のIGZO TFTと同
等な値だという。 さらに,IGZO TFTと組み合わせることで非常に優
れたCMOSとして機能することを確認する。また,今回開発した p型半
導体材料は鉛などの有害物質を含まないため,環境負荷や人体への健
康影響が小さいことも特徴である。 研究グループは,従来のnチャン
ネル酸化物TFTと組み合わせた高性能CMOS の実証はウェアラブルやフ
レキシブルエレクトロニクスの社会実装に繋がるものと期待する一方,
実用に向けて,ペロブスカイト型ハロゲン化物特有の大気中でも安定
性の問題がまだ残っており,迅速な産学連携が必要だと言う。



⛨ SARS-CoV-2スパイクに対するT細胞の応答はオミクロンを
   交差
認識する
      Keeton, R., Tincho, M.B., Ngomti, A. et al. T cell responses to SA
      RS-CoV-2 spike cross-recognize Omicron. Nature (2022).
       https://doi.org/10.1038/s41586-022-04460-3

【概要】
SARS-CoV-2オミクロンバリアントには複数のスパイク(S)タンパク質
変異があり、抗体中和からの脱出に寄与し、感染からのワクチン保護
を低下させる。 T細胞などの適応応答の他の成分が依然としてオミク
ロンを標的とし、重篤な結果からの保護にどの程度寄与するかは不明
である。Ad26. CoV2.S、BNT162b2、 または ワクチン未接種の回復期
COVID-19患者(n = 70)でワクチン接種された参加者のオミクロンス
パイクと反応するT細胞の能力を評価。スパイクに対するCD4 +および
CD8 + T細胞の応答の70〜80%が研究グループ間で維持されていること
がわかりました。さらに、オミクロンの交差反応性T細胞の大きさは、
オミクロンがかなり多くの変異を持っているにもかかわらず、ベータ
およびデルタの変異体と同様であった。オミクロンに感染した入院患
者(n = 19)では、祖先のスパイク、ヌクレオカプシド、および膜タ
ンパク質に対する T細胞の反応は、祖先、ベータ、またはデルタの変
異体が優勢な以前の波で入院した患者(n = 49)と同等であった。し
たがって、オミクロンの広範な変異と中和抗体に対する感受性の低下
にもかかわらず、ワクチン接種または感染によって誘発された T細胞
応答の大部分は変異体を交差認識可能である。オミクロンに対する保
存状態の良い T細胞免疫が重症のCOVID-19からの防御に寄与するかど
うかはまだ決定されていない。南アフリカや他の場所での初期の臨床
観察に関連する。

【ウイルス解体新書 104】


序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第1節 免疫とはなにか
1-5-1 特許事例:免疫応答を高める方法
第2節
第3節 水際検査体制(未然感染防止)
第4節 自国のワクチン及び治療薬開発体制
4-1 国産ワクチン開発:新型コロナウイルス
4-1-1 予算も研究開発活動も限定的
    コロナワクチンの開発で日本が出遅れた背景
4-1-2 国産ワクチン実用化の壁
4-1-2-2 規制の弾力的運用を
第5節 感染パンデミック監視体制
5-1 WEB特集 ワクチン接種 なぜ日本は遅い
5-2 新型コロナウイルス国産ワクチン開発生産体制構築の遅れ
5-3 新型コロナ感染者もワクチンを接種した方がいい
目標は感染防止ではなく重症化の阻止
第6節 エマージェンシーウイルス
第7節 新型コロナウイルス
7-1 新型コロナウイルスのライフサイクル
7-2 変異ウイルス
7-2-1 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コ
  ロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について(第9報)
7-2-2 オミクロン株の特徴
1.ワクチンを追加接種しないとオミクロン株に有効な中和抗体が
 十分に得られない
2.オミクロンはマウスで変異し人に感染したことが判明
3.モデルナワクチンのブースター接種で抗体が「83倍」に、オミク
 ロン株の予防効果も確認される
4.ブースター接種後のさらなる追加接種で合計4回打ってもオミク
 ロン株対策には不十分
5.アルファの突然変異はオミクロンの洞察を提供する
6.オミクロン・スパイクタンパク質-ACE2複合体の 抗体回避とクラ
 イオEM構造 第8節 感染リスク
1.感染力2.致死率・重症化
8-1 予後
8-1-1 死亡リスク
8-1-1-1 新型コロナ生存者の死亡リスク
8-1-1-2.生存者の死亡リスク
8-2-1 脳損傷
8-2-1-1 新型肺炎と脳の関係
8-2-2 後遺症
8-2-2-1.嗅覚障害
8-2-2-2 後遺症の未来
8-2-2-3 新型コロナウイルス感染症の後遺症による認知能力
8-2-2-4 コロナ後遺症のメカニズム一部解明 倦怠感
8-2-2-4 回復後も疲労や認知機能の低下が続く「ロングCOVID」
第9節 感染予防・検査・治療
9-1 検査方法・装置設備
9-1-1 新型コロナウイルス感染症に関する検査
1.新型コロナウイルス抗体の種類と量を30分で測定
9-3 新型コロナ治療薬
1.国内で使用されている主な薬剤
9-3-1 細胞に侵入するのを防ぐ 
1.ソトロビマブル) 抗体カクテル療法
9-3-2 増殖を防ぐ
8.核酸代替拮抗薬発見 北海道大学
9-3-3 炎症を防ぐ 第10節 ウイルスとともに生きる
10-1 バイオハザード対策の発展史
10-2 高度隔離施設の現場へ
10-3 病原体の管理基準
10-4 根絶の時代から共生時代
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第1節 各国の動向と対策の特徴
1.米国
1-1 COVID-19委員会の創設を提案
第2節 謎のCOVID-19起源
2-1 消えぬ武漢研究所人為的発生説
第3節 新型コロナウイルスで分かったこと
3-1 人体の免疫システムからの逃避機構
3-2-1 
3-3 ファクターX”は日本人の免疫細胞か
第4節 いつまで続く「コロナ禍」は?! 
4-1 適切な専門家に聞く「新型コロナ」の読み解き方
4-1-2 人工ウイルス説はなぜ登場し、そして否定できるのか
4-1-3 SARS-CoV-2とはどんなウイルスなのか
終 章 ウイルス感染症と戦略『後手の先』 


風蕭々と碧い時代

今夜の映画音楽三曲
1.『老人と海』    ディミトリ・ティオムキン 1958年
2.『太陽がいっぱい』 ニーノ・ロータ            1960年
3.『理由なき反抗』  レナード・ローゼンマン  1955年

 


石原慎太郎が2月1日他界した。行年九十。作家として、政治家・行
政官として並外れたものがあった。ただ、こと小説についての記憶は
ない。今夜はそれを言葉でなく映画と音楽で表し、偲んでみた。
                             合掌

● 今夜の寸評:沸騰する欲望と対峙する知恵
"終末の光景"が脳を過ぎっては慌ただしく時間が駆け抜けていく。



● 今夜のアラカルト
データ保存や充電容量の問題が解消できれば普及するかも

恵方巻たべたよ!


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