バリにはマンボウにあいたくてやって来たが、同じくらいに田んぼも切望してやってきた。
なぜだかとても田んぼの中にいたかったので、ライステラスがウリのワカデウマをに泊まった。「Waka di Ume」、ワカ・ディ・ウメと読めるが、ローカルの人々はワカデウマと発音している。
ヌサペニダへの寒いさむ~いダイビングのあと、頭から大量に熱を放出したことによる疲れで、サヌールからウブドへの車の中は、頭をごつんごつん窓にぶつけながら、ほとんど寝ていた。ウブドパレスのあたりで目がさめ、ずいぶん人がいるなあ、と思いながら坂道を上がって数分、ワカデウマのエントランスは、道端にぽつんと現れた印象だ。入り口の右手には、ヒンドゥー教をお祀りしている。ヒンドゥー教では聖なる牛の表情がとてもいいのだ。
チェックインをすませ部屋にむかうと、待望のライステラスが一面に広がる。昼にはツバメが、夜にはホテルが舞う。
蓮も多い。
部屋のベッドは天蓋つき。床は大理石。あとは木や椰子の木の葉を使った、ナチュラルでシック。素敵な部屋だ。
部屋の前は、広めのテラスになっている。
ところがワカデウマに着くと、さっそくダイビング器材を洗い、ウェットを干し、せっかくのテラスは台無し。他のゲストから景観をそこねる、と怒られるかな、と思ったが、干すしかない。
こうしてダイビング器材を洗っているうちに、せっかくのアフタヌーンティーのサービスの時間が終わってしまっていた。ちぇ。自分のせいだし、気をとりなおしてしばらくホテル内散策をすることにした。
部屋の真上はヨガルームだったので、さっそく行ってみるが、誰もいなかった。
私はヨガも瞑想もしないが、目の前には一面のライステラスで、理想的なヨガスペースだろうな。
プールもあったが、ウブドは涼しかったので入ろうという気持ちにはならなかった。
ホテルの敷地内にはこんなぷち熱帯雨林なところもある。
そして、そこここにいろんな石像が置かれている。
バリでは神なカエルさん。
カメに乗った神様。
スパの入り口にある、いい表情の石像。
アフタヌーンティーをのがし、いまさらお茶でもないしもうディナーにしてしまえ、という話になった。そういえばせっかくバリに来て、ダイビングのときに出たランチ以外、バリらしいごはんは食べていない。ワカデウマから町へのシャトルは2時間に1本ほど、夜22時まであるが、たった1日のスティなので、ワカデウマを満喫したいし、そのままホテルのレストランで夕食をとることにした。18時からビンタンビールを飲み始め。ライステラスのサンセットを期待していくが、薄曇りなせいか、あまりパッとしない。ローカルメニューにしょうと私はナシチャンプルーを選んだ。おいしいのだが、やはりホテルだと、味、サービスともに洗練されていて、本当のローカルフードを食べた気がしない。私たちにはミーゴレンやらナシチャンプルーという、おのおのかなりのボリュームのプレートがあるのに、ビールには大量のピーナッツ、そしてペストリーまで出てきて、それだけでおなかいっぱいになってしまう。
さてワカデウマでは、毎週水曜朝に田んぼトレッキングを開催している。
たまたまチェックインを担当してくれたスタッフが、「明日のトレッキングは僕が担当。7時に。 」といわれるがまま、参加の運びとなった。
そして翌朝7時にレセプションに行くと、トレッキングのスタンバイをしていたのはスラバヤからのご夫婦が一組だけ。ミネラルウォーターはホテルが用意してくれた。友だちは小笠原の漁協で買った通称漁サン、私はグラディエーターサンダルでトレッキングという暴挙。それしかないのだから仕方ない。まあ、写真で見る限り、ホテル周辺の田んぼは段々ではなく平坦だし、特に注意事項も聞いていないし、なんとかなるだろう。スラバヤ夫妻と私たちとガイドさんの計5名だけでひっそりとワカデウマを出発。ホテルのライステラスからはじまるのかと思ったら、ホテル前の舗装された坂道を下りはじめた。しばらくは道の両側に水田が広がっているので、もしかしてただの散歩がトレッキングか?と思うくらい、舗装道路を歩き続ける。帰りが上り坂なのはいやだなあ、なんて思いながら。しばらく坂道を下っていくと、民家や商店がならぶようになる。犬たちのチェックが入りがちな道だが、彼らは決して自らのテリトリーを越えないようだ。そして、歩き始めて15分くらいだろうか、途中で舗装されていない横道に入る。そこは、小学生低学年くらいのこどもたちがなにやらおつとめをしていた。そしてトレッキングのはじまり。急勾配の土の道を降りはじめる。いきなりの山道スタートに、ゲッと思っていると、すかさずガイドから「Trecking!」のひと言。そして下りきったと思ったら、山とはいえないのだろうけれど、こんどは山道を登りはじめる。もうちょっと寝てるとか、田んぼをボーッと見てるようにすればよかったかなあ、なんて思ってしまう。こんな調子じゃ、私にはやはりキナバル山リベンジは無理だ。日当たりの悪い、なんとなくジメジメした土の道が嫌いだ。パラオやカカバンのジェリーフィッシュレイクへとゆく道も、大嫌いだった。途中、いつか落ちるのではないかと思える、太いバンブーかなにかを3本くんだ橋をわたったりする。幸いなことに、この山道は数分でとぎれ、突然視界が開け、ホテルから見えるなんてもんじゃない、一面、広大な水田が広がる。見渡す限り、田んぼ。とても爽快。そしてただただ横幅が40~50センチの畦道をひたすら歩く。畦道は、でこぼこしていたり、ときどきぬかるんでいたりする。うっかりしていると、けつまずいたり、泥にずぼっと足をとられたり、足元注意なので、せっかくの景色をきょろきょろ見回す余裕はない。田んぼを見ている限り、魚沼の田んぼとあまり変わりないように見えるが、遠くにココナッツやバナナの木があるのを見ると、南国を感じる。それとウブドの水田は、伝統的な灌漑方法らしい。スラバヤの奥さんも、「どこが違うのかわからないけれど、スラバヤのとは違うわ。」と言っていた。
ときどき、グァッ、グァッ、グァッといった声がすると、アヒルたちが稲の中から次々と出てくる。かわいい。どうか鳥インフルエンザが世の中からなくなりますように。
途中、お供えをしている農民がいた。ガイドはそれを見て「ビュククン!」と言った。ビュククンとは、収穫を神に感謝するヒンドゥー教の儀式のことらしい。
足元を見ている時間の方が長いトレッキングも終わりに近づくと、農民とすれちがうことが多くなった。女性たちは皆頭に物をのせて、バランスよく細い畦道を歩いている。おそらく近くに農家の集落があるのだろう。すれ違うたびに「すらまっぱぎ」と挨拶。そこには観光ズレしていないひとびとの笑顔があった。番犬も多く、通りかかるたびに吠えられまくる。家畜小屋が見えてきて、中には牛の親子がいた。とても穏やかな表情をしていてほほえましい。
歩き初めには、帰りにだらだらと続く上り坂を心配したものの、トレッキングコースはそのまま来た道を戻るのではなく、ホテルの近くの道に帰って来れるようになっていた。ホテルに帰るとそのままレストランへ。朝食前に1時間半のウォーキングで、とてもおなかがすいた。宿泊料金に含まれていたのはアメリカンブレックファストのみ。ホントはブブールアヤム(鶏のおかゆ)がよかったのだけれど・・・。でもコーヒーもおいしかった。そういえばバリといえばジンジャーティーなのに、ジンジャーティーを飲まなかったことに大後悔。景色見たさにレストランのテーブルは屋根のない場所へ。朝とはいえ強い南国の直射日光にうたれながら、「やっぱり田んぼは朝だね。」なんて言いつつ、オムレツ、フルーツ、パンをぱくぱく。暑かった・・・。
部屋に戻り、そこはかとなく香る、いや、確実に臭う、まだ生乾きっぽいウェットやBCをパッキングしていたら、なんだかやたらに立ちくらみ。貧血?あんなに食べたのに、血が足りないとは何事?一品片付けると、へろへろ~となってしまう。あ、冷静に考えたら、熱中症か日射病の超軽いやつくさい。きっとレストランで炎天下日にあたっていたからだ。あわててミネラルウォーターの1.5リットルを1本飲んだら、めきめき回復した。
12時チェックアウトで、20時間くらいしかいなかったワカデウマ。でも田んぼは十分堪能した。トレッキングで2度ほどぬかるみに足をつっこんだので、サンダルはドロドロになった。帰ってきたとき、ちゃんとサンダルと足を蛇口からジャージャー出る水で洗ったのだが、チェックアウトのとき、トレッキングのガイドをしてくれたレセプションのお兄さんに、「サンダルが汚れているよ。」と指摘された。確かに足元を見ると、サンダルが完全に乾いたら、塗れていたときにはサンダルの黒と泥の焦げ茶が保護色効果だったのか、流れ落ちたと思っていた土が、まだずいぶんくっついていた。「もうぼろいし、どこかでパンパンと払うから大丈夫。」と言ったが、わざわざシュークリーナー担当の女の子を呼んできてくれた。再度、丁重にお断りをしたが、女の子は私のサンダルを持って消えていった。お兄さんによれば、トレッキングのコースどりは複数あるらしいが、私たちの履き物の具合で簡単なコースを選んでくれていたらしい。しばらくたつと、さっきの女の子がひと夏はきつぶしたグラディエーターサンダルを、靴墨でピッカピカに磨いて持ってきてくれた。サンダルがボロかっただけに気まづい。たった1泊だけで、しかももう去るだけのゲストにも、なんて親切なんだろう。ワカデウマのホスピタリティは素晴らしい。
ウブドは、王宮もモンキーフォレストも何も見ていない。田んぼを見ていただけ。でも、海からやってきた私が田んぼを必要としている時間は短く、これで十分だ。多くの人はウブドにはまるが、私はやはり海優先。でも、きっとまたいつの日か、ここに来たくなると思う。ワカデウマはそんな場所だ。
なぜだかとても田んぼの中にいたかったので、ライステラスがウリのワカデウマをに泊まった。「Waka di Ume」、ワカ・ディ・ウメと読めるが、ローカルの人々はワカデウマと発音している。
ヌサペニダへの寒いさむ~いダイビングのあと、頭から大量に熱を放出したことによる疲れで、サヌールからウブドへの車の中は、頭をごつんごつん窓にぶつけながら、ほとんど寝ていた。ウブドパレスのあたりで目がさめ、ずいぶん人がいるなあ、と思いながら坂道を上がって数分、ワカデウマのエントランスは、道端にぽつんと現れた印象だ。入り口の右手には、ヒンドゥー教をお祀りしている。ヒンドゥー教では聖なる牛の表情がとてもいいのだ。
チェックインをすませ部屋にむかうと、待望のライステラスが一面に広がる。昼にはツバメが、夜にはホテルが舞う。
蓮も多い。
部屋のベッドは天蓋つき。床は大理石。あとは木や椰子の木の葉を使った、ナチュラルでシック。素敵な部屋だ。
部屋の前は、広めのテラスになっている。
ところがワカデウマに着くと、さっそくダイビング器材を洗い、ウェットを干し、せっかくのテラスは台無し。他のゲストから景観をそこねる、と怒られるかな、と思ったが、干すしかない。
こうしてダイビング器材を洗っているうちに、せっかくのアフタヌーンティーのサービスの時間が終わってしまっていた。ちぇ。自分のせいだし、気をとりなおしてしばらくホテル内散策をすることにした。
部屋の真上はヨガルームだったので、さっそく行ってみるが、誰もいなかった。
私はヨガも瞑想もしないが、目の前には一面のライステラスで、理想的なヨガスペースだろうな。
プールもあったが、ウブドは涼しかったので入ろうという気持ちにはならなかった。
ホテルの敷地内にはこんなぷち熱帯雨林なところもある。
そして、そこここにいろんな石像が置かれている。
バリでは神なカエルさん。
カメに乗った神様。
スパの入り口にある、いい表情の石像。
アフタヌーンティーをのがし、いまさらお茶でもないしもうディナーにしてしまえ、という話になった。そういえばせっかくバリに来て、ダイビングのときに出たランチ以外、バリらしいごはんは食べていない。ワカデウマから町へのシャトルは2時間に1本ほど、夜22時まであるが、たった1日のスティなので、ワカデウマを満喫したいし、そのままホテルのレストランで夕食をとることにした。18時からビンタンビールを飲み始め。ライステラスのサンセットを期待していくが、薄曇りなせいか、あまりパッとしない。ローカルメニューにしょうと私はナシチャンプルーを選んだ。おいしいのだが、やはりホテルだと、味、サービスともに洗練されていて、本当のローカルフードを食べた気がしない。私たちにはミーゴレンやらナシチャンプルーという、おのおのかなりのボリュームのプレートがあるのに、ビールには大量のピーナッツ、そしてペストリーまで出てきて、それだけでおなかいっぱいになってしまう。
さてワカデウマでは、毎週水曜朝に田んぼトレッキングを開催している。
たまたまチェックインを担当してくれたスタッフが、「明日のトレッキングは僕が担当。7時に。 」といわれるがまま、参加の運びとなった。
そして翌朝7時にレセプションに行くと、トレッキングのスタンバイをしていたのはスラバヤからのご夫婦が一組だけ。ミネラルウォーターはホテルが用意してくれた。友だちは小笠原の漁協で買った通称漁サン、私はグラディエーターサンダルでトレッキングという暴挙。それしかないのだから仕方ない。まあ、写真で見る限り、ホテル周辺の田んぼは段々ではなく平坦だし、特に注意事項も聞いていないし、なんとかなるだろう。スラバヤ夫妻と私たちとガイドさんの計5名だけでひっそりとワカデウマを出発。ホテルのライステラスからはじまるのかと思ったら、ホテル前の舗装された坂道を下りはじめた。しばらくは道の両側に水田が広がっているので、もしかしてただの散歩がトレッキングか?と思うくらい、舗装道路を歩き続ける。帰りが上り坂なのはいやだなあ、なんて思いながら。しばらく坂道を下っていくと、民家や商店がならぶようになる。犬たちのチェックが入りがちな道だが、彼らは決して自らのテリトリーを越えないようだ。そして、歩き始めて15分くらいだろうか、途中で舗装されていない横道に入る。そこは、小学生低学年くらいのこどもたちがなにやらおつとめをしていた。そしてトレッキングのはじまり。急勾配の土の道を降りはじめる。いきなりの山道スタートに、ゲッと思っていると、すかさずガイドから「Trecking!」のひと言。そして下りきったと思ったら、山とはいえないのだろうけれど、こんどは山道を登りはじめる。もうちょっと寝てるとか、田んぼをボーッと見てるようにすればよかったかなあ、なんて思ってしまう。こんな調子じゃ、私にはやはりキナバル山リベンジは無理だ。日当たりの悪い、なんとなくジメジメした土の道が嫌いだ。パラオやカカバンのジェリーフィッシュレイクへとゆく道も、大嫌いだった。途中、いつか落ちるのではないかと思える、太いバンブーかなにかを3本くんだ橋をわたったりする。幸いなことに、この山道は数分でとぎれ、突然視界が開け、ホテルから見えるなんてもんじゃない、一面、広大な水田が広がる。見渡す限り、田んぼ。とても爽快。そしてただただ横幅が40~50センチの畦道をひたすら歩く。畦道は、でこぼこしていたり、ときどきぬかるんでいたりする。うっかりしていると、けつまずいたり、泥にずぼっと足をとられたり、足元注意なので、せっかくの景色をきょろきょろ見回す余裕はない。田んぼを見ている限り、魚沼の田んぼとあまり変わりないように見えるが、遠くにココナッツやバナナの木があるのを見ると、南国を感じる。それとウブドの水田は、伝統的な灌漑方法らしい。スラバヤの奥さんも、「どこが違うのかわからないけれど、スラバヤのとは違うわ。」と言っていた。
ときどき、グァッ、グァッ、グァッといった声がすると、アヒルたちが稲の中から次々と出てくる。かわいい。どうか鳥インフルエンザが世の中からなくなりますように。
途中、お供えをしている農民がいた。ガイドはそれを見て「ビュククン!」と言った。ビュククンとは、収穫を神に感謝するヒンドゥー教の儀式のことらしい。
足元を見ている時間の方が長いトレッキングも終わりに近づくと、農民とすれちがうことが多くなった。女性たちは皆頭に物をのせて、バランスよく細い畦道を歩いている。おそらく近くに農家の集落があるのだろう。すれ違うたびに「すらまっぱぎ」と挨拶。そこには観光ズレしていないひとびとの笑顔があった。番犬も多く、通りかかるたびに吠えられまくる。家畜小屋が見えてきて、中には牛の親子がいた。とても穏やかな表情をしていてほほえましい。
歩き初めには、帰りにだらだらと続く上り坂を心配したものの、トレッキングコースはそのまま来た道を戻るのではなく、ホテルの近くの道に帰って来れるようになっていた。ホテルに帰るとそのままレストランへ。朝食前に1時間半のウォーキングで、とてもおなかがすいた。宿泊料金に含まれていたのはアメリカンブレックファストのみ。ホントはブブールアヤム(鶏のおかゆ)がよかったのだけれど・・・。でもコーヒーもおいしかった。そういえばバリといえばジンジャーティーなのに、ジンジャーティーを飲まなかったことに大後悔。景色見たさにレストランのテーブルは屋根のない場所へ。朝とはいえ強い南国の直射日光にうたれながら、「やっぱり田んぼは朝だね。」なんて言いつつ、オムレツ、フルーツ、パンをぱくぱく。暑かった・・・。
部屋に戻り、そこはかとなく香る、いや、確実に臭う、まだ生乾きっぽいウェットやBCをパッキングしていたら、なんだかやたらに立ちくらみ。貧血?あんなに食べたのに、血が足りないとは何事?一品片付けると、へろへろ~となってしまう。あ、冷静に考えたら、熱中症か日射病の超軽いやつくさい。きっとレストランで炎天下日にあたっていたからだ。あわててミネラルウォーターの1.5リットルを1本飲んだら、めきめき回復した。
12時チェックアウトで、20時間くらいしかいなかったワカデウマ。でも田んぼは十分堪能した。トレッキングで2度ほどぬかるみに足をつっこんだので、サンダルはドロドロになった。帰ってきたとき、ちゃんとサンダルと足を蛇口からジャージャー出る水で洗ったのだが、チェックアウトのとき、トレッキングのガイドをしてくれたレセプションのお兄さんに、「サンダルが汚れているよ。」と指摘された。確かに足元を見ると、サンダルが完全に乾いたら、塗れていたときにはサンダルの黒と泥の焦げ茶が保護色効果だったのか、流れ落ちたと思っていた土が、まだずいぶんくっついていた。「もうぼろいし、どこかでパンパンと払うから大丈夫。」と言ったが、わざわざシュークリーナー担当の女の子を呼んできてくれた。再度、丁重にお断りをしたが、女の子は私のサンダルを持って消えていった。お兄さんによれば、トレッキングのコースどりは複数あるらしいが、私たちの履き物の具合で簡単なコースを選んでくれていたらしい。しばらくたつと、さっきの女の子がひと夏はきつぶしたグラディエーターサンダルを、靴墨でピッカピカに磨いて持ってきてくれた。サンダルがボロかっただけに気まづい。たった1泊だけで、しかももう去るだけのゲストにも、なんて親切なんだろう。ワカデウマのホスピタリティは素晴らしい。
ウブドは、王宮もモンキーフォレストも何も見ていない。田んぼを見ていただけ。でも、海からやってきた私が田んぼを必要としている時間は短く、これで十分だ。多くの人はウブドにはまるが、私はやはり海優先。でも、きっとまたいつの日か、ここに来たくなると思う。ワカデウマはそんな場所だ。