にほんブログ村昨年の秋口あたり、並木道を歩いているときにふと…
道端の落ち葉が目に止まった。
きれいな形のもみじだったので、しゃがみ込んでジッと見てみると
まだ緑が多かったものの、紅、黄色がじわりとにじんでいて、何ともいえない
味わいがあって、猛烈に「描きたいなあ…」という衝動に駆られた。
わたしは、その落ち葉を持って帰り、あらためて眺めてみると、このいちまいの
葉っぱに大げさではなく、何だか人生そのものの歴史が刻まれている感じがした。
緑色に若かりし青春を、黄色にせまりくる黄昏、紅色に燃え残っている夢を感じ、
黄昏色のにじみ始めた我が人生にオーバーラップし始めたのである。
よし…とにかく落ち葉をいちまいいちまい拾ってきて、ただ丁寧に
紙に描いて作品にしてみよう…と思い立った。その行き着く先にどんな作品が
待っているのかわからないのだが、何にも考えずにこれで「完成だ」と
思うところまで描いてみたいのだ。
以来どこかで落ち葉を拾ってきては描いている。
昨年の秋口からだからもう3ヶ月が過ぎようとしているので、落ち葉の色は
次第に枯れ色が強くなり、すっかり緑色が失せてしまっている。
真っ白だったワットマン水彩紙には、落ち葉の時季的色彩の歴史が
自然に刻まれ埋め尽くされてきたが、現在まだ完成されていない。
我が机の上は落ち葉だらけで、ちょっと動くと「カサリ」と音がするくらいである。
果たしてどんな作品に仕上がるのか、また大失敗に終るのか、そのときがきて
みないとわからないのだ。
ともかく一枚の葉っぱが何を象徴する形になるのか、我ながらにしている
のである。