つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

あいさつ雀

2006-10-31 04:21:53 | ちょっとした出来事
我が目覚まし時計は、鳥のさえずりになっていて、
「チチチ」と毎朝目を覚まさせてくれる。
とは言っても、けっこう鳴る前に目覚めることも多いのだが。

当然休みの日はかけないので目覚まし時計の出番はない。
しかし代わりに自然の目覚ましが鳴るのである。

ほぼ朝6時少し前、「チュンチュン」「チュチュチュ」と
雀が鳴き始める。これはどうも朝のあいさつみたいで、
数匹が、弾んだ声で鳴きあっている。

「おはよう!」「やあ!きょうもよろしく!」
ってな具合で、耳を澄ますとまるで話し合ってる言葉のように聞こえる。
「お…そろそろ6時か」時間がわかるのである。

あの同じリズムの目覚まし時計とは、えらい違いで目覚めもここちいい。
いい一日が始まるぞ…という歓びの予感の中に目を覚ますことができるのだ。

おもしろいことに、夕方にもこのあいさつがあるのだ。
「チュンチュン、チュチュ、」決まって夕方5時半頃。
朝とは微妙に違って、やや控えめな感じがする。
「じゃあね」「またあした」ってなところか。

おもしろいことに、うちの台所の窓に架かっている斜め格子戸が
好きみたいで、数匹がそこに止まって鳴きあっているのだ。

その後姿がガラス戸に透けて見え、雀のしっぽがチョコチョコ
動く様はかわいいのだ。「ほらきてるぞ」と家族を集めて、
みんなで眺めるのである。

この自然の時計に一日の締めを賜れば、それだけで
ささやかな幸せをいただけるのである。

いい一日をありがとう…となるのである。
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たくろうと「甚兵衛」

2006-10-29 04:56:28 | 思ひ出ぼろぼろ
吉田たくろうが31年ぶりにつま恋でコンサートをひらいた。
その様子をNHKで放送していたので、ビデオに録って見た。

たくろうは60歳。還暦だというのに若々しい顔をしていた。
「お…いい顔になってるジャン」と思った。

若い頃、好きでよく聴いたものである。そこで、ふ…と思い
だしたのが「甚兵衛」だった。

20代のまんが家予備軍の頃、東京近郊に住んでいて、
近くのM乳業という会社でアルバイトしていた。

アパートに帰る途中に「甚兵衛」という店の前を通る。
その名の通り、黒い格子戸の入り口、黒い窓のサン、など
いかにもガンコ親爺がやっているという風の、どっしり
した和風の店である。

一度入ってみたいなあ…と思いつつ我がふところ具合を考え、
入れずにいたが、ある日バイト代が入ったので、思い切って
「甚兵衛」の戸を開けて暖簾をくぐった。

「いらっしゃい」カウンター越しに声を掛けたのは、
以外にも30代とおぼしき女性だった。
それが「甚兵衛」のママとの初めての出会いだった。

前髪は眉までのおかっぱで、後ろは肩までのストレート、
きゃしゃでスッキリした人だった。
驚いたのは、かかっている曲がたくろうだったのである。

この大衆割烹風の店で以外に合っていたのに驚いた。
他に陽水・小椋佳などである。酒は旨く、料理もおいしく、
値段もこれでいいの?と思うほど安かった。

私はいっぺんに気に入ってしまった。
その後入ってきた客はほとんどが若い客で、みんなたくろうが
好きだった。

「わたしねえ、たくろうが好きな人はわかるのよ」と私の
顔を見つつニッコリ笑ってママはそう言った。
以来、飲み代があれば「甚兵衛」へと足が向いた。

若い客たちは、ギターなど持ってきて、たくろうを歌った。
こうしてたくろうを通じて楽しい飲み仲間ができた。

ママは好きなときに店を開け、3~4日続けて休むことも
珍しくなかった。「あ~あまた休みかい…」と寂しく店の前を
通り過ぎるのだった。

ある日「甚兵衛」に入っていくと、40~50代の変なオッサン
がカウンター内に陣取り、ビールの栓など抜いていた。

ママはちょっと離れて、やや不機嫌。何となく気まづい
雰囲気が漂っていた。後から入ってきた常連に聞いてみると、
ちょっと目配せをして、親指を立てた。
その日は、早々に切り上げて家路についた。

あのオッサンはそれっきり姿を見せることはなかったが、
ママの生き様の一端を垣間見た気がした。

それからも「甚兵衛」にはよく行ったが、ある日を
境に「甚兵衛」は店が開かなくなった。

それからどれ位経ったのか、ある日M乳業のバイトに行くと、
なんとバイト先に「甚兵衛」のママから電話が入ったと
いうのだ、その日私は休みで会社にいなかったのだ。

すぐにバイトを終えて「甚兵衛」に行ったが、引き戸は
鍵が掛かり、店は深閑として人の気配はなかった。
私はすごすごと引き返した。

それから度々「甚兵衛」を覗きに行ったが、二度と
店が開くことはなかった。そして再び「甚兵衛」の
ママにも会うことはできなかった。

あれから何年経ってしまったのか、たくろうの
つま恋のコンサートのビデオを見つつ、思い出を巡っていた…。

たくろうという歌い手によって、こんなつながりが時空
を越えてもたらされているのである。
また一つ歌のすばらしさを思い、絵描きの私は少なからず
嫉妬した。

「甚兵衛」のママはどうしているのか…ふと思う
秋の夜長だった。


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楽しむちから

2006-10-28 14:06:39 | ちょっとした出来事
ついに日本シリーズは、我が中日が惨敗のうちに終わってしまった。
それにしても、あれ程の力の差があるとは思えないのに
どうして…?。ガッカリすると同時に、この疑問が頭を巡った。

シリーズを通して明るく楽しそうだった日本ハムナイン。
通して暗く悲壮だった中日ナイン。この違いは何だったのか。

戦前の予想では、中日有利だったのだ。評論家の栗山英樹など
「絶対、中日」と言わしめたのである。

試合内容を今さらあれこれ言うつもりはないが、大リーグ
に入った日本選手が、必ず言われるのは「野球を楽しめ」
ということである。楽しむ…というのは一見、勝負事である
プロスポーツとかけ離れているようにみえるが、もともと
スポーツは楽しくやるものではなかったのか。

楽しくやれたとき、人は一番力を発揮するのではないか、
そんな気が、このシリーズを通して学ばしてもらったことである。

そういえば昨日の男子フィギアスケートのショウトプログラムで
1位になった織田信成が「楽しく滑れた」と、感想を
述べていた。

楽しむ…。これが、今回の日本シリーズのキーワードだと
思った。笑い、泣いた、あの新庄選手が代表する、楽しんで
自分の個性を出す。ということを中日の選手はじっくり考えて
もらいたい。落合監督も…。

そしてワタクシもだよなあ…。
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何とはなしのファンクラブ

2006-10-22 06:08:23 | ちょっとした出来事
会社の帰り、いつものようにスーパーに寄った。
一通り品物をカゴに入れ、レジで並んで、何とはなしに
レジの外で品物などを整理している女店員さんを眺めていた。

すると一人の割りと新しい若い店員さんが、目に止まった。
品物の整理や客への気配り、これらに何ともいえないハート
を感じたのである。

フーン今時の子にしては、珍しいなあ…という印象を
持った。一度カミさんにスーパーで買い物をしたとき、レジを
選ぶかどうか聞いたことがあるのだが、ただ空いているレジであれば
いいということだった。娘に聞いてもしかりである。

へえ~随分自分と違うなあと思った。
ワタシは必ずレジは選んで通る。というよりレジ係の女店員さんを
選んでいるのだ。男性店員さんのレジ係もいるが、まず行かない。

多分われら男どもはそうだと思う。やらしい…と思うかも
知れないが、なんか男性店員の前に並ぶのは抵抗を感じるのである。
それは、客のこちらだけでなく、あちら男性店員も多分感じる
のではないかと思う。(けっこう照れくささがあると思う)多分…。

その選ぶポイントなのだが、これは男性によって、
変わるかも知れないが、ワタシは行きなれたとこなら
店員さんを知っているので、すぐに並ぶところは決まるのだが、
初めてのとこでは、いわば一瞬の勘で、感じ良さそう…と
思う人のレジに並ぶ。

むろんキレイどころは言うに及ばずなのだが、(これはしょうがない)
その人の表情や目配りなどで、選んでそこへ並ぶのだ。

以前にも時折り行くスーパーで、一人ファンになった人がいた。
50代だと思えるその人はいつも何ともいえない笑顔で接客するのだ。
決してキレイどころではないのだが、その笑顔にワタシは何かしらの
ポリシーを感じ取っていた。遠くから見ていてもイヤな
顔は絶対といっていいくらいしなかったのである。

その人が辞めていなくなってからは、やはり一抹の寂しさを
感じたものである。

さて、先日目に止まったその人は、行きなれたスーパーの店員さんなのだが、
思えば以前から見たことのある人だったのだ。
それが目に止まったのは、買い物カゴを重そうにしていたお年寄りに
スッと行ってカゴを持ってあげたのを見たときかも知れない。

以来何とはなしに見ていると、レジにママと一緒に並んでいる子供に、
会計の合間にソッとおくる笑みなどに、何ともいえないハートを感じた。

きょう久々にそのスーパーに行って、早速その子のレジに並んで、
会計していた。きょうは10キロの米など買って、結構重い。
文具などと分けて袋に詰めると、スッとその米の入った重いカゴを
持って、袋詰めする所の台まで持っていってくれたのである。

レジ係りKさんァンクラブ会員NO1ここに誕生。







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殺生な朝

2006-10-20 04:56:42 | ちょっとした出来事
いつも起き掛けの朝一で、パソコンに向かう。
30分~1時間なのだが、何しろたどたどしい
キータッチなので、すぐに時間がきてしまう。

昨日の虫ウオッチングにしてもキーを打ち始めてから
数日掛かってしまっている。ま…いいんだけど。

昨日そうやって朝パソコンに向かっていると、一匹の
蚊がやってきた。蚊はキライだ。
今年はいまだに暑い日が続いているが、この蚊、
普通この時期になると弱弱しくなるのだが、この
気候のせいで元気なのだ。

その飛び方からとても手で打ち落とせそうにない。
それでなくてもワタシは殺生はニガテで、

残る蚊に渾身の手のかわさるる

issei

この残る蚊というのは、秋に残っている蚊という
ことである。この弱弱しい蚊にこんな体たらくである。

それがこの暑さで元気のいい蚊が、こちらを
からかうように目の前を飛び回っている。

パン、パン、2,3度手で打ってみたが、簡単に
交わされる。やっぱりなあ…とあきらめかけていると、
打っているパソコンのボードに止まった。

ようし今度こそと、ボードをバーンと打ったがまた
簡単に交わされてしまった。も~知らん!刺すんなら刺しやがれ!
と無視してカチャカチャ。蚊はしばらくウロチョロしていたが
いつの間にかいなくなっていた。

蚊を気にしつつキーを押していたので、ひどいミスタッチ。
「あ、ちゃあ~」「ピシリ!」とオデコをたたくと
何やらポロリ。「エ…」これは…なんとさっきの蚊ではないか。

あわれ、あの元気な蚊は我がミスタッチで思わずたたいた
オデコに止まっていたのである。
「な~んだよう、ちゃんと逃げろよう」蚊の屍をつまんで
思わずつぶやいてしまった。

この小さな勝利はちっとも嬉しくなく、朝一の殺生に
な気分のスタートになってしまった。

逃げろよう…。
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