世には男と女しかいないのだが、普段は異性という意識はあるものの、
いちいち“男・女”という強い意識で動いてはいない。特に仕事となればなおさらで、
同僚としての共同作業に追われ、意識は薄らいでしまうのかもしれない。
以前働いていた同僚で当時40代の女性パートの人だったが、会社の忘年会に
向かう電車で一緒になった。お互いある程度気心が知れているので、
向かい合わせに座り、雑談に花を咲かせていた。職場での彼女は、白い作業帽に
白衣の作業着を着ているのだが、その日は、通勤着に髪をアップにまるめ上げて、
スッキリした出で立ちをしていた。
やがて目的地の駅が近くなった時、やおら彼女は立ち上がり、髪の後ろに
手を回したかと思うと、何気なく髪留めを抜き、頭を軽く揺すったのである。
その瞬間、巻きあげていた髪が、わさりと胸元まで垂れ下がったのだ。
わたしはハッとしたと同時にドッキリと心臓が波打ったのが自分でもよくわかった。
そしてなぜか彼女からすぐに目を逸らしてしまったのである。
つい今しがたまで、ただの同僚として和気あいあいと話をしていたのに、急に女性と
いう意識に変わってしまったのだ。わたしは、途端にドギマギして落ち着かなくなり、
また気軽に話しかけてきた彼女に、上ずった返事をしたような気がした。
決して彼女に特別な感情など抱いてはいなかったし、特に長い髪の女性が好きと
いうわけでもなかったのだ。
にもかかわらず、そうなってしまったのは、やはり長い髪は女性の象徴で、
アップからの急激な変化に反応してしまったのか、普段作業帽のイメージだったのが
俄かにその象徴があらわになったため…かと、つらつら考えてしまった。
そして、妙に不思議な気がしたのである。
人間というスーパーコンピューターは、五感、第六感という機能を駆使して、巧みな
判断を瞬時に下すスイッチを持っているのかもしれない。そして、いわゆる、
「ピーン!」とか、「ハッと」とか「なんとなく」などと感知すると切り替えて
しまうのだ。それも男女などというややこしく難解なものにまで及んでいるようだ。
しかし、このドッキリは決して悪い気分のものではなく、むしろどこかときめく
心地いい刺激なのだ。これは、きっと人によって様々だろうし、気を付けていれば
もっとドッキリに気づくかもしれないのである。
大いにドッキリして、心地いい刺激にときめき、人生を今少し華やぎのあるものに
したいなあ…などと、ふと、思った次第である…。
いちいち“男・女”という強い意識で動いてはいない。特に仕事となればなおさらで、
同僚としての共同作業に追われ、意識は薄らいでしまうのかもしれない。
以前働いていた同僚で当時40代の女性パートの人だったが、会社の忘年会に
向かう電車で一緒になった。お互いある程度気心が知れているので、
向かい合わせに座り、雑談に花を咲かせていた。職場での彼女は、白い作業帽に
白衣の作業着を着ているのだが、その日は、通勤着に髪をアップにまるめ上げて、
スッキリした出で立ちをしていた。
やがて目的地の駅が近くなった時、やおら彼女は立ち上がり、髪の後ろに
手を回したかと思うと、何気なく髪留めを抜き、頭を軽く揺すったのである。
その瞬間、巻きあげていた髪が、わさりと胸元まで垂れ下がったのだ。
わたしはハッとしたと同時にドッキリと心臓が波打ったのが自分でもよくわかった。
そしてなぜか彼女からすぐに目を逸らしてしまったのである。
つい今しがたまで、ただの同僚として和気あいあいと話をしていたのに、急に女性と
いう意識に変わってしまったのだ。わたしは、途端にドギマギして落ち着かなくなり、
また気軽に話しかけてきた彼女に、上ずった返事をしたような気がした。
決して彼女に特別な感情など抱いてはいなかったし、特に長い髪の女性が好きと
いうわけでもなかったのだ。
にもかかわらず、そうなってしまったのは、やはり長い髪は女性の象徴で、
アップからの急激な変化に反応してしまったのか、普段作業帽のイメージだったのが
俄かにその象徴があらわになったため…かと、つらつら考えてしまった。
そして、妙に不思議な気がしたのである。
人間というスーパーコンピューターは、五感、第六感という機能を駆使して、巧みな
判断を瞬時に下すスイッチを持っているのかもしれない。そして、いわゆる、
「ピーン!」とか、「ハッと」とか「なんとなく」などと感知すると切り替えて
しまうのだ。それも男女などというややこしく難解なものにまで及んでいるようだ。
しかし、このドッキリは決して悪い気分のものではなく、むしろどこかときめく
心地いい刺激なのだ。これは、きっと人によって様々だろうし、気を付けていれば
もっとドッキリに気づくかもしれないのである。
大いにドッキリして、心地いい刺激にときめき、人生を今少し華やぎのあるものに
したいなあ…などと、ふと、思った次第である…。