つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

ドッキリした瞬間

2011-06-25 04:39:37 | つらつら思うこと
世には男と女しかいないのだが、普段は異性という意識はあるものの、
いちいち“男・女”という強い意識で動いてはいない。特に仕事となればなおさらで、
同僚としての共同作業に追われ、意識は薄らいでしまうのかもしれない。

以前働いていた同僚で当時40代の女性パートの人だったが、会社の忘年会に
向かう電車で一緒になった。お互いある程度気心が知れているので、
向かい合わせに座り、雑談に花を咲かせていた。職場での彼女は、白い作業帽に
白衣の作業着を着ているのだが、その日は、通勤着に髪をアップにまるめ上げて、
スッキリした出で立ちをしていた。

やがて目的地の駅が近くなった時、やおら彼女は立ち上がり、髪の後ろに
手を回したかと思うと、何気なく髪留めを抜き、頭を軽く揺すったのである。
その瞬間、巻きあげていた髪が、わさりと胸元まで垂れ下がったのだ。

わたしはハッとしたと同時にドッキリと心臓が波打ったのが自分でもよくわかった。
そしてなぜか彼女からすぐに目を逸らしてしまったのである。

つい今しがたまで、ただの同僚として和気あいあいと話をしていたのに、急に女性と
いう意識に変わってしまったのだ。わたしは、途端にドギマギして落ち着かなくなり、
また気軽に話しかけてきた彼女に、上ずった返事をしたような気がした。

決して彼女に特別な感情など抱いてはいなかったし、特に長い髪の女性が好きと
いうわけでもなかったのだ。

にもかかわらず、そうなってしまったのは、やはり長い髪は女性の象徴で、
アップからの急激な変化に反応してしまったのか、普段作業帽のイメージだったのが
俄かにその象徴があらわになったため…かと、つらつら考えてしまった。
そして、妙に不思議な気がしたのである。

人間というスーパーコンピューターは、五感、第六感という機能を駆使して、巧みな
判断を瞬時に下すスイッチを持っているのかもしれない。そして、いわゆる、
「ピーン!」とか、「ハッと」とか「なんとなく」などと感知すると切り替えて
しまうのだ。それも男女などというややこしく難解なものにまで及んでいるようだ。

しかし、このドッキリは決して悪い気分のものではなく、むしろどこかときめく
心地いい刺激なのだ。これは、きっと人によって様々だろうし、気を付けていれば
もっとドッキリに気づくかもしれないのである。

大いにドッキリして、心地いい刺激にときめき、人生を今少し華やぎのあるものに
したいなあ…などと、ふと、思った次第である…。
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スィーツの尺度

2011-06-11 03:36:59 | 食べ物
「会社の近くでおいしいケーキ屋さん知らない?」時折パートの女性たちに
聞いている。近所のおいしいケーキ屋さんが、店舗代えした後、どういうわけか
まったく美味しくなくなってしまったのである。

別にわたしはスィーツ大好きという程ではないが、たまには旨いケーキが
食べたいだけなのである。女性はすべからく甘いものが好きだという固定観念が
あって、当然知っているものと思って手当たりしだいに聞いていたのだが、
以外にも知らない人が多いのに驚いた。

それでも、やはり好きな人は居て、「あそこのSケーキは苺がいっぱい入っている
ので買っている」とか、「あの通りのナントカというケーキ屋さんは美味しいって
友人が言ってた」とかの情報が集まってくる。

わたしは一軒一軒当たってみた。当たってみると言っても、そこへ行ってやみくもに
買ってくるわけではない。店に行くと、まず、じっくりケーキを見るのだ。
あの造形美はパティシエの作りだすアートそのものだと思っているので、一通り
観賞するのである。その後、シュークリームを一つ頼むのだ。

むさいオヤジが、腕組みしたり、顎に手を当てて長々と眺め回ったのち、
シュークリーム一つである。胡散くささは免れないでありましょう。

中には妙齢な店員さんに露骨にイヤな顔をされることもある。しかしながら
これも店の品定めの一つなので、素知らぬ顔で受け流している。

そんな折、ちょうど会社帰りの道すがらに、評判のいい店があると聞き込み、
早速会社帰りに寄ってみた。
こじんまりした和風のケーキ屋さんである。すでに先客が数人居て、ケーキを
購入していく。先客が帰った後、わたしは例のごとく、まじまじ、長々と見て回り、
「シュークリーム一つください」と言ったのだった。

中年のママさんが一人微笑を浮かべつつ、「わかりました」と言って
店長の似顔絵らしきかわいいイラスト入りの紙袋に丁寧に包んでくれた。
その微笑は見事に「胡散くさいオヤジ…」という懸念の欠けらも見せることはなかった。

そのとき、白いパティシエ服を着た、恐らく店長と思われる男の人が奥から現われ、
チラとわたしを見ると「いらっしゃい」と一言声を掛けて、そのままカウンターの
中を通り過ぎて行った。紙袋のイラスト顔がそっくりで思わずニンマリしてしまう。

わたしは勝手にシュークリームのおいしい店のケーキはおいしいに違いない
と思っているのだ。だから最初に行く店では、こうやってシュークリームを買ってきて
一家みんなで「試し食い」と称しては割って食べるのである。
おいしいとなれば、初めてケーキを一家分買いに行くのだ。

この前食べたシュークリームがなかなか旨くて、家族の評判も上々だったので、
再び、そのこじんまりした店へと行ってみた。そして一家分ケーキを買い揃え、
店長の顔のイラスト入り紙袋に詰めて会計をしていると、また店長が顔をのぞかせ、
チラとこちらを見ると、ちょっと微笑んで「ありがとうございます」と言うと、
またカウンターをよぎって行った。どうやら前にシュークリーム一コを買っていった
胡散くさいオヤジを覚えていたようなのだ。わたしは苦笑いしつつ店を後にした。

やはり、ケーキはなかなか旨かった。まだまだ品数はあったので、次はどれにしようかと
早くも舌舐めずりしているのである…。




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呼び名

2011-06-04 06:01:42 | 


再びカメラマンのKさんと呑んだ。それも我が地元近くでだ。

今まで、わたしの地元で呑んだことはなかったのだが、最も近い私鉄で二駅の所に
魚のおいしい店があるというので、予約を入れているとのこと。

聞けば、彼の実家はこの駅に近いとこなので、そこで以前呑んだことがあって
なかなかの人気店だという。それは楽しみだと駅で落ち合い、店へと向かった。

「あの店ですよ」Kさんの指差す方は、以前友人のF氏と一度呑んだことのある
店ではないか。和風の飲み屋さんで、男女が気楽に呑めるところだ。F氏と来た時は
飲み会の流れで来た二軒目の店である。その時はあまり印象深くなかったのだ。

店に入ると、すでにお客は満杯状態で、直前の客は二階へと上がって行く。
予約のカウンター席へ座ると、すぐにイワシの煮物のお通しが置かれ、目の前には
ズラリと焼酎、日本酒の各銘柄の瓶が並んでいる。Kさんの大好きな純米酒の
銘柄もある。取り合えず生ビールにて乾杯し、二番手からは純米酒を頼んだ。
深めの皿の上にグラスが置かれ、瓶からなみなみとつがれていく…。溢れた純米酒が
深皿にたっぷりと溜まる。これが純米酒独特の入れ方であり、嬉しさなのだ。

わたしもKさんに負けず劣らずの純米酒ファンなので、二人して純米酒を呑み始める。
黒板に描かれたメニューを見ると美味しそうな魚の名前が並んでいる。目移りしつつ、
カツオのタタキ・タコ刺し・カンパチの刺身、と次々に頼んでいく。
魚は新鮮で皆うまい。きょうは給料日でもあり、呑み代はタップリ引き出して
あったのだ。

呑み進むうちにKさんが、「どうもそのKさんという呼び方何とかなりませんかねえ」
と言うのである。「さん」と呼ばれるのが他人行儀に聞こえるらしいのである。
ウ~ムさりとて、Kちゃんというのも何だかなあ…と考えあぐねていると、「以前
Kやんと呼ばれていたことがあるんですよ」と言うので、「Kやん!」と呼んでみる。
「ン…いいですね」と言うので、これからKやんと呼ぶことにした。

わたしは、彼に「イッちゃん」と呼ばれている。所属する同好のクラブでのわたしの
プロフィール名なのだ。彼も違うプロフィール名を持っているのだが、わたしは
本名の「Kさん」と呼んでいたのである。

うまい純米酒はのど越しがよく、いろいろな銘柄を頼んで飲み比べていくうちに
したたかに酔ってきた。Kやんが二重三重に見える。おかしいなあ…この前呑んだとき
より量的には少ないはず…だが…。と思いつつトイレに立とうとしたが、足元が
ふらついておぼつかない。思っている以上に酔っぱらっているではないか。
そう気づいたとき、胃袋からこみ上げるものがあり、思わずトイレにてあげて
しまったのだ。「ああ、カツオが…タコ刺しが…」この期に及んでの意地汚さが顔を
出す。呑んであげるなどというのは、ホントに何十年かぶりである。

トイレのドアがたたかれ、「イッちゃん!大丈夫!」Kやんの声が遠くに聞こえた
気がした…。

後でKやんに聞くと量的にはさほどではなかったものの、ピッチが早くて
心配していたとのこと。Kやんに送られ、タクシーで帰還したが、みっともない
呑み方をKやんにさらしてしまったなあ…と反省したのだった。

Kやん!面目次第もございませんでした。これに懲りず、またやりましょう。

しかし、“Kやん”か…。彼に関西の雰囲気を感じないので、なーんかもう一つ
しっくり「やん」と呼びにくいヤンかいさ。(笑)

Kさんでそんなに他人行儀かなあ…Kさん。


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