20代の頃は、漫画家予備軍としてふらふらと東京を
漂っていたので、ヘアーサロンなど行かず、伸ばしっぱなしの
髪を自分で梳いて済ましていたものだった。
いつだったか忘れてしまったのだが、ある日突然
ちょっと散髪にでも行ってこようかなと思って
行ってみたらこれが気持ちよかった。
シャキシャキと襟足をのぼるハサミの音を聞きつつウトウトと
気持ちよく眠ってしまったのだった。
以来定期的に行くようになった。
いつもヘアーサロンへ行くと「サイドはどの位にしますか?」
「前髪は?」と聞かれる。「サイドは耳にちょっと触れる位」
「前髪は眉のあたりまで」。と言うのが常だった。
そしてあのシャキシャキというハサミの音で幸せなうたた寝を
味わうのだ。
ある日いつものヘアーサロンで、「サイドはどの位にしますか?」
「耳にちょっと触れる位」。「前髪は?」「眉のあたりまで」
といつものように言うと「…?」返事が無い。
どうしたのかな?と思っていると、前髪を櫛でス~と眉の
ところへ梳いてくると、ピッタリと眉のところで止まった。
「あの…ちょうど眉のとこなんですけど…」。
「エ…」これが最初に知った髪の成長の滞り、である。
ついにきたか。この日は、うたた寝は味わえなかった。
私は10代の頃から、おでこの広いのを気にして前髪で隠していた。
そして、細く柔らかな髪質に、30代での髪のさすらいを覚悟していたのだ。
しかし、思ったよりも我が髪はがんばってくれていたのである。
今は「前髪は?」と聞かれることもなくなってしまった。
あの伸ばしっぱなしで自分で梳いていた頃がなつかしい。
あれから数年、当然ながら我が髪は後退の一途をたどっているのだが
しかし、髪だけはよく洗っていたせいか、結構がんばっていると思う。
「エライ!」と時折り自分の髪をほめてやるのだった。
ま…遅々遅々とがんばってちょうだい。とトホホな
声援を送っている。
漂っていたので、ヘアーサロンなど行かず、伸ばしっぱなしの
髪を自分で梳いて済ましていたものだった。
いつだったか忘れてしまったのだが、ある日突然
ちょっと散髪にでも行ってこようかなと思って
行ってみたらこれが気持ちよかった。
シャキシャキと襟足をのぼるハサミの音を聞きつつウトウトと
気持ちよく眠ってしまったのだった。
以来定期的に行くようになった。
いつもヘアーサロンへ行くと「サイドはどの位にしますか?」
「前髪は?」と聞かれる。「サイドは耳にちょっと触れる位」
「前髪は眉のあたりまで」。と言うのが常だった。
そしてあのシャキシャキというハサミの音で幸せなうたた寝を
味わうのだ。
ある日いつものヘアーサロンで、「サイドはどの位にしますか?」
「耳にちょっと触れる位」。「前髪は?」「眉のあたりまで」
といつものように言うと「…?」返事が無い。
どうしたのかな?と思っていると、前髪を櫛でス~と眉の
ところへ梳いてくると、ピッタリと眉のところで止まった。
「あの…ちょうど眉のとこなんですけど…」。
「エ…」これが最初に知った髪の成長の滞り、である。
ついにきたか。この日は、うたた寝は味わえなかった。
私は10代の頃から、おでこの広いのを気にして前髪で隠していた。
そして、細く柔らかな髪質に、30代での髪のさすらいを覚悟していたのだ。
しかし、思ったよりも我が髪はがんばってくれていたのである。
今は「前髪は?」と聞かれることもなくなってしまった。
あの伸ばしっぱなしで自分で梳いていた頃がなつかしい。
あれから数年、当然ながら我が髪は後退の一途をたどっているのだが
しかし、髪だけはよく洗っていたせいか、結構がんばっていると思う。
「エライ!」と時折り自分の髪をほめてやるのだった。
ま…遅々遅々とがんばってちょうだい。とトホホな
声援を送っている。