つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

長~イ友だち

2006-09-30 04:44:59 | ちょっとした出来事
20代の頃は、漫画家予備軍としてふらふらと東京を
漂っていたので、ヘアーサロンなど行かず、伸ばしっぱなしの
髪を自分で梳いて済ましていたものだった。

いつだったか忘れてしまったのだが、ある日突然
ちょっと散髪にでも行ってこようかなと思って
行ってみたらこれが気持ちよかった。

シャキシャキと襟足をのぼるハサミの音を聞きつつウトウトと
気持ちよく眠ってしまったのだった。
以来定期的に行くようになった。

いつもヘアーサロンへ行くと「サイドはどの位にしますか?」
「前髪は?」と聞かれる。「サイドは耳にちょっと触れる位」
「前髪は眉のあたりまで」。と言うのが常だった。
そしてあのシャキシャキというハサミの音で幸せなうたた寝を
味わうのだ。

ある日いつものヘアーサロンで、「サイドはどの位にしますか?」
「耳にちょっと触れる位」。「前髪は?」「眉のあたりまで」
といつものように言うと「…?」返事が無い。
どうしたのかな?と思っていると、前髪を櫛でス~と眉の
ところへ梳いてくると、ピッタリと眉のところで止まった。
「あの…ちょうど眉のとこなんですけど…」。

「エ…」これが最初に知った髪の成長の滞り、である。
ついにきたか。この日は、うたた寝は味わえなかった。

私は10代の頃から、おでこの広いのを気にして前髪で隠していた。
そして、細く柔らかな髪質に、30代での髪のさすらいを覚悟していたのだ。
しかし、思ったよりも我が髪はがんばってくれていたのである。

今は「前髪は?」と聞かれることもなくなってしまった。
あの伸ばしっぱなしで自分で梳いていた頃がなつかしい。

あれから数年、当然ながら我が髪は後退の一途をたどっているのだが
しかし、髪だけはよく洗っていたせいか、結構がんばっていると思う。

「エライ!」と時折り自分の髪をほめてやるのだった。
ま…遅々遅々とがんばってちょうだい。とトホホな
声援を送っている。
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はるかなる夢

2006-09-27 02:42:06 | 絵・まんが
あなたは自分の本を出したいと、思ったことありますか?
今巷では、素人の出版ブームが起こってる気配があるが、
その実態はかなり違うようである。

私は「はいまん彩」を描きだして3~4年経った頃から、
何とか本にして出版したいなあ…と思い始めた。
7~8年経って作品の枚数も溜まってきたので、
そろそろまとめたいなあと思っていた頃、友人二人が本を出した。
同じS出版からである。

私は「おめでとう」と祝いつつも「先を越されちゃったなあ」
と思ったものだった。

本にして出版するには、三つの方法があり、
自費出版・共同出版・商業出版である。
自費出版は文字通り全て自分で出資して印刷してもらうことである。
共同出版というのは、印刷代などは自分で出資して、出版ルートや
宣伝などを出版社にやってもらう事である。
商業出版は全て出版社が出資してくれることである。

この内、私にとっての出版というのは、この商業出版だけである。
当然ながら一番厳しい。出版社に聞いたところ、最低一万部を売るという
保障や見込みがないと出来ないそうである。

考えてみれば当たり前のことであるが、素人にとって、この一万部は
高い壁である。そんな作品ができれば苦労はしないのだ。
現に本を出した友人の一人は「売れたのは50部だって」と
一年程経ってから言っていた。

私は彼の絵が好きで、高く評価していたのだが、今描いていないという。
本が売れないというのは、自信を無くすものなのだ。
彼は初めて描いた絵本が入賞して、出版社の奨めるまま
共同出版で本を出したのだ。

しかし彼本来の力量は、あの絵本にはまだ出ていなかったと、私は思っている。
そして又彼本来の絵を描いてくれるものと信じている。
頼むよ!

もう一人の友人の売れ行きは聞いていないが、自伝的小説で、作品を
読ませてもらったとき、ちょっとわかりづらいところが
あったので「これ編集者はチェックや直しをしたの?」
と聞いたら、渡した原文のままだという。
いわゆる丸投げなのだ。

通常は信じられないことである。作品自体は、作者の
実体験に基づいたとても心打たれるいい作品なのだ。
しかしその内容をより生かすには作者と編集者が
かんかんがくがくとやり合って作っていくものなのである。

かく言う私は、マンガながら、単行本を出した経験と、
原稿のやりとりを経験しているので、多少は知っているつもりである。

しかしこの作品というのが水物で、どんな作品がヒットするか
ハッキリわからないのが現状なのである。

そんなこともあって、今、共同出版というのが、大流行であるが、
問題にもなっているようだ。
最近、出版を奨める広告がよく新聞に載っている。これがけっこう
曲者で、一般の人の出版意欲をあおり、提出した作品を褒め上げ、
共同出版を奨めるのである。

本を出したいと思っている人にとって、その作品を褒められれば
その気になってしまうのも仕方がないところがある。
しかしお金のある人は構わないが、無い人はくれぐれも借金してまでも
本を出そうとしないことである。売れれば簡単に返せるなどとは
間違っても思ってはいけない。万に一つであることを肝に銘じてもらいたいのだ。

ネットで調べてみると、出版社に対して訴訟を起こしていたり、
共同出版の問題を指摘していたりしている。
共同出版と言いながら、実態は費用が自費出版に近かったり
するようである。

しかし実際に在野には隠れた才能が、溢れているので出版社も
真摯な気持ちで拾い上げてほしいものである。
私は出版に携わる人たちの本来の精神を信じたいと思っている。

一般の人の中に潜む原石を見つけ出し、鍛え上げて輝ける宝石に
するのが出版社の一番大切な役目ではないだろうか。
出版の良心を信じてやまないのだ。

私も出版の夢はかなりすぼんではきているのだが、めげず臆せず
夢見るオッサンとしては、つもりである。
もうこうだ
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20円

2006-09-23 05:29:13 | ちょっとした出来事
会社の帰りにスーパーに寄った。頼まれた買い物を
するためだ。色々買い込んでいる時、ある品物の前を
ふと見ると、透明なプラスチックケースの中に
クーポン券と書いてある紙が数枚入っていた。

これをレジで提示すると20円割引されます。と書いてある。
本来こういうのは無視していたのだが、身内など小まめに
取っているのを見たことがある。ウ~ム…このところ
ポイントカードなど作って、なんとか整理された生活を
し始めたとこなので、ここは一つ主婦の目線となって
クーポン券とやらを使ってみるか、と買い物カゴに入れた。

それからもあれこれ買い物をしているうちにすっかり
クーポン券のことは忘れてしまっていた。

レジで会計を済ませ、レシートを受け取って行こうとした時、
「あ…これクーポンお持ちでしたか」と、レジ係りのお姉さんが、
困惑した顔をしてカゴに入っていたクーポン券を指し示した。

私は今さらクーポンなんてどうでもよかったのだが、「エ、エエ」
と言うと「これは20円お安くなりますね、ウ~少々お待ちください」
とレジを離れた。私の後ろに並んでいたおばさんは
渋い表情でチラリとクーポン券に視線を走らせた。「な、なんだ…
ただ20円引いてくれりゃいいじゃないか」と思ったのだが、
そう簡単にはいかないらしい。何やらサービスカウンターで
話し込んでいる。「クーポン…」「20円…」このツーフレーズ
が洩れ聞こえてくる。後ろのおばさんの視線がより険しくなってきている。

多分1分位だったと思うのだが、私には10倍は長く思えた。
やっとレジに戻ってくると、「すみませんが、あちらのサービスカウンター
のほうでお願いできますか」とのたもう。
クーポンなんてもうどうでもよかったのだが、すでに引っ込みが
つかなくなっていた。

レジのお姉さんに伴われてサービスカウンターにやってくると、
「こちらが…」「クーポン…」「20円…」またこのツーフレーズが…。

それからも、サービスカウンターのお姉さんが、長々と
キーをたたき「お待たせ致しました、こちらが最初のレシートで、
こちらが、クーポンの20円を入れたレシートでこちらが、
クーポンの20円を差し引いたレシートです」と三枚の
レシートを指し示すと、「ここにサインをお願いし…」

自分の名前を小さく書くとレシート3枚を受け取って
ふらふらと店を出た。外はすでに暗くなっていて、街のネオンが
またたき始めている。
「クーポンなんてきらいだー!」






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一杯の酒

2006-09-22 05:00:56 | 思ひ出ぼろぼろ
仕事を終えて、一杯の酒というのは何事にも変えがたい
ものがある。きょうも残暑の汗をしたたかにかいて、
一杯の酒にありついているところである。
この何事にも変えがたいものではあるが、それのみ
というのもさみしいものがある。
しかし、まさしくそれのみに、見える人もいる。

彼の場合もそうだった。私が今の会社に入社して、彼を
見たとき、随分お年寄りが働いているなあ…と
思ったものだった。前歯が無くて口元がすぼみ、モゴモゴ
としゃべる。腰は曲がって少し前かがみに歩く。

どうみても70過ぎに見えたのであるが、50代と
聞いて驚いた。

彼は大の酒好きで、休み明けなど会社でもプーンと
酒のにおいをさせていた。
夏でも熱燗を飲み、ややアル中気味で手がブルブルと
震えていた。たまの飲み会など、やはり好きなのでかかさず
出席していた。

ある日の飲み会での後、カラオケへといったのだが
彼は震える手で、歌詞カードをめくっていた。
彼はなぜか軍歌一筋、軍歌しか歌わないのである。

みんなひとしきり歌い終え、「Iさん歌う曲決まった?」
「ウ~モグちょちょっと待ってもぐ」また他の人が歌いだす。

彼は相変わらず震える手で歌詞カードめくり。
「Iさん決まった?」「ウ~モグモグ」
そしてついに「ウ~こ、これ…」
「もう時間来ちゃった帰るよ!」

これは本当の話である。彼はお酒をこよなく愛しずっと
一人身だった。そんな彼が突然亡くなった。

会社を無断で休んだので「ちょっと見てきてくれ」
と上司に言われたのである。頃は2月の末、まだまだ寒い日だった。

彼は一軒家の賃貸に住んでいた。家中鍵が掛かっていて、
ドアチャイムを何度押しても出ない。仕方なくドアをたたき
声を掛けてみるが返事はない。中からは付けっぱなしの
TVの声が聞こえていた。

死因は心臓マヒらしい。したたかに飲んで風呂に入った
らしく、風呂場で発見された。

私は彼は彼なりの大往生だと思え、一杯の酒のみに生きた
彼の生き様を思い、しばらくの間、人生について考えたものだった。

そしてこうして一杯の酒に酔うと時々思い出すのである。
Iさんのことを…酒のみの人生を…。
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台風一過

2006-09-19 05:27:43 | ちょっとした出来事
また例によって休日の出勤は、本社へ。
また例によってゴミ焼きである。

台風13号はこの地方をそれたとはいえ、けっこう
強い風が吹いている。周りには赤トンボがたくさん飛んでいる。
いつも思うのだがこのトンボ、台風の後にドッと出てくるのである。
私の句に

台風過とんぼのあまた何処より

という句があるのだが、ほんとに台風の最中、どこに
身を潜めていたのか…と不思議でならない。
木の陰としても、そこいらに木がなぎ倒されているときも
その木の周りをスイスイ飛んでいるのである。

一度台風の最中に覗いてみたいと思うのだが、無理だろうなあ。
台風が過ぎる度こういう昆虫たちのたくましさに出逢うのだ。

さて、ゴミ焼きの間に、また雀ウオッチングしようとパンを
ちぎって撒いてみたが、きょうは台風の影響か一時間経っても
一羽も姿を現さなかった。

これじゃあただのゴミになってしまうと、諦めて、拾い集めていると
そのパンの下に一匹のアリがいるではないか、「そうかお前さんも
このパンがほしいのか」しかしアリにたくさんたかられても困るので
少しこすってやった。
またまた昆虫のたくましさを見た思いだった。
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