つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

寝顔

2011-11-27 05:40:46 | ちょっとした出来事
10数年会社勤めをして、これから自由業に戻るにあたり、
一度完全にリセットしなければ…と思っていた。

そのためには、まず勤め疲れを取らなければならない。一週間は
なーんにもしないで、心身の疲労を取り払ってしまうつもりだったが、
退職3日目に「香嵐渓」での撮影会その他もろもろあって、楽しいながらも
緊張は続いているのである。

以前漫画家を辞めた時、「あんなにスヤスヤとした寝顔を見たのは
初めてだった」と身内が言ったことがあった。それほどに漫画家生活というのは
過酷で、ピークの頃は月に100ページ近くにも及ぶ枚数、それも4コマなので
1ページに2つのネタを考えなければならないのだ。つまり、200近くである。
それを、毎回人気投票というアンケートに晒されていたのである。

しかし、現役当時は当然と受け止め、むしろ、1位をめざして
ファイトを燃やしてていたのだった。だからそれがプレッシャーとなっていた
ことなど、思いもしなかったのである。

しかし、漫画家のリタイヤを決意し、残っていた連載5本をすべて辞めた時、
「ふーーーーっと」体の奥から深ーい吐息が出たのを今でも覚えている。

おそらく、その夜の寝顔がスヤスヤ顔だったのに違いない。

まだ、いつになるかわからないが、今度完全にリセットされたとき、果たして
どんな寝顔になるのやら…ちょっと楽しみでは…ある。
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一眼レフデビュー

2011-11-23 06:03:27 | カメラ
カメラマンの感写さんとカメラを買った後、「さっそく撮影会に行きましょう」
と、感写さんに言われ、わたしは二つ返事でOKした。

場所は、紅葉のメッカ「香嵐渓」というところである。あいにく予定日の
11月19日(土)は雨の予報だったので、翌日の20日(日)に出掛けた。

本来なら、近くの緑地公園で1~2度くらいは試し撮りしたかったのだが、
何だかんだで、ついに行くことができず、当日が来てしまったのである。

「飲み足りなかったのか、あまり眠れなかったよ」という感写さんは、AM5時の
待ち合わせに、4時半過ぎには迎えに来てくれた。日曜日とあって込み具合を考え、
早朝に出発して午前中に帰る予定なのだ。

感写さんはナビと喧嘩しつつも、さすがにこの時間、道路は空いていたので、
約1時間半で到着した。「香嵐渓」の入口付近の駐車場は、すぐに満杯に
なるそうだが、2~3台駐車しているだけだった。2人して外に出たが、
まだ真っ暗でシャッターを切るにはちと早い。しばし、缶コーヒーなど飲んで
明るくなるのを待った。

川幅の広い巴川の川音が聞こえてくる。雨後のせいか、水量が多く濁りも出ていて
せせららぎというには大きめの音を立てていた。やがて、空が白々明けてきたので、
二人で入って行った。入口付近はすでに見ごろの紅葉模様で、深紅・赤・朱・山吹・黄が
入り混じって見事なグラデ-ションである。

感写さんは、すでにファインダーを覗きこんでしきりにシャッターを切っている。
面白かったのは、感写さんは主に遠景を撮っていたが、わたしはあくまで
資料写真ということで、全景よりも一つ一つを狙うので、接写やアップが多かったことである。
時にはお互いが反対向きになって撮っていることもあった。

時が経つにしたがって人の姿が増えだし、日が顔を出そうとする頃には
ぞろぞろという感じになっていた。きのう雨だったため、山には霞がかかり、
水墨画のような趣である。「朝日が出るとき、その日差しが霞の間を
潜り抜けるのが見られるんですよ」と感写さんが言って、二人で河原に降りて、
その幽玄の瞬間を待った。

しかし、雲が覆い始めたためか、太陽がなかなか顔を出せず、理想の
風景とはならなかったが、遅まきながら日が出て「香嵐渓」の紅葉を
際立たせてくれたのである。

まあ…何はともあれ我が一眼レフは、ぶっつけ本番でデビューしたのだった。
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相思相愛

2011-11-21 08:28:45 | カメラ
退職するにあたって、その後のお絵描き三昧の生活の
下準備に入らなければならない。そこで、とりあえず欲しいものを
考えてみた。

これはもう前々から欲しかったのだが、資料を撮るための
デジタル一眼レフカメラである。わたしは漫画家時代からの
習性からか、実景を見て描くよりも、写真を見て描いたほうが
描きやすいのである。

本やネットで見たものをそのまま描けば、肖像権の問題があるので、
自分で好きなように撮って、自由に描きたいのである。

自分の本質が絵描きである以上、正直これからがわたしの本当の
人生ということになる。お絵かき三昧といっても、今まで通りに好きなものを
ただ好きに描くというわけにもいかないのである。

画廊に登録するということは、プロの画家たちとも同列に並べられ
評価を下されるのだ。これからのほうが過酷なのである。
そこで、友人のカメラマン感写さんと一杯飲みつつ相談した。
「それならまかせてよ、オシャレなイッちゃんに相応しいのを
選んでおくから」「わ、わたしがオシャレ??」ちょっと勘違いが
あるようだが、まあ、カメラマンの感写さんにそう言われてうれしく
なかろうはずはなく、勘違いは忘れて(笑)おまかせすることにした。

「色々見たんだけど、O社のペン1が一番似合うと思うよ」と、しばらくしてから
お勧めの電話をもらった。しからば、実物の感触を確かめようと、
Y電気店へと出かけた。

しかし、O社のペン1というのは無く、その後に発売されたペン・ライト1というのが、
白くてさわり心地もよく、重さも軽くて持ち心地が実にしっくり
くるではないか。「これでいいけどなあ…」と思いつつ、元あった場所に
戻そうとしたのだが、そのカメラも我が手を離れようとしないのだった。
「ペン・ライト1じゃないですよ、
ペン1ですよ」後で電話をくれた感写さんが念を押すのだった。

未練を持ちつつも、入荷したとの知らせを受け、感写さんと二人で
感写さん行きつけのK電気へと向かった。

「これですよこれ」手にしたのは、なんとペン・ライト1だったではないか。
後でわかったことなのだが、感写さんの勘違いだったのだ。

彼は、このペン・ライト1を手にとって、わたしにはこれだ!と思ってくれて
いたのである。一方わたしも、これと同じペン・ライト1を手にとって
これだったらいいにになあと思っていたわけなのだった。

というわけで、相思相愛のデジカメ一眼レフを手に入れたのだった。
“ズシリと軽い”というフレーズがピッタリのお気に入りだ。



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最後の贈り物

2011-11-19 04:51:16 | 会社
退社が決まってからの日々は、躁と鬱が行ったり来たりのような
感じになっていた。

夢にまで見たお絵かき三昧の生活が待っていることに喜びが溢れる一方で、
親近感を覚える人たちとの別れの切なさに苛まされていたのである。
しかし前日に親近感覚える人と話せる機会を得たためか、「あら、昨日まで
ションボリしてたように見えたけど、きょうは元気いいわね」と掃除中の事務員さんに
言われるほど退社当日はスッキリした気分だった。

最後の仕事が終わりになる頃、「きょう○○残ってる?」とパートさんに聞くと、
「残ってるよほしいの?」「お願い」と言うと「最後になるわね」と言ってその品物を
袋詰めにしてくれた。そして緑の箱に入れるのを見せ、「ここに入れとくからね」と
言ってニッコリと笑った。

この会社では、食品を扱っているのだが、検品で撥ねられた品物や前日の余り物など、
従業員が持ち帰っていいことになっているのだ。これらの品は、出入り口付近の
階段下に何色かの箱に入れられ積み置かれているのである。「会社を辞めても
あの品だけは欲しいのにね」と身内がいうほど気に入っていたのである。

仕事が終わると、事務所の役員、課長、事務員さん一人一人に
お別れの挨拶をして回った。わたしは事務員さんとはなぜか話がしやすく、
よく話をしていたので、一番親近感を覚える部署だったのである。

事務所を後にした後、ロッカーの後片付けをして、会社の玄関へ向かった。
階段下を覗くと、持ち帰り品が積み置かれているところへ行き、緑の箱を
覗いてみたが空っぽだった。念のため他の箱も覗いてみたが、他の品物は
入っているもののわたしの希望の品はついに無かった。

「ありゃあ持って行かれちゃったか…」ここの品物は従業員なら誰でも持っていける
ので、持っていかれても仕方ないのである。ただ、パートの人がやってくれたように
袋で包んでいると、普通は誰かの物と判断して持っていかないものなのだが、時には
このように持っていかれることもあるのだ。

「ま、いいか…」これはこれで、一つの思い出として、残るかな…と苦笑いしつつ、
会社の玄関を出た。午後5時を回っていたが、外はもはや真っ暗になっていた。
わたしは会社を見上げ、「さらば○○」と別れを告げ、外駐車場へと向かった。

そして、わたしの車を見たとき「あっ…」と驚いた。わたしの車のフロントガラスと
ボンネットとの間に、あの袋詰めにされた品物が置かれてあったのである。

それはきっと先に帰ったパートの人が、他の誰かに持っていかれることを心配して、
確実にわたしの手に渡るようにと考えた、苦肉の選択だったのだ。

わたしはその品物を手にすると、彼女らの最後の贈り物を「ありがとう」と
心より感謝を込め、胸を熱くして受け取った。それはズシリと重かった…。

思えばこうした有形無形の好意の恵みをわたしは受けていたんだなあ…と
改めて思った。「みんな、本当にありがとう。」








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ふわふわ

2011-11-18 04:59:19 | 会社
パソコンが頓死してしまって、データ取り出しや修理の依頼やらのあれこれで、
退社真近のこの時期に日がかさみ、ついに退社当日になってしまった。

というわけで、しばらくぶりにキーをたたいている。

常々自分というものは、自分では見ることができないので、
一体人さまの目にはどのように映っているのか、知りたいと
思っていた。しかし、なかなかわからないのが現実である。

わからないままに会社の人間関係の渦の中で十数年を
過ごしてきた。退社を表明して以来さまざまに声をかけられた。

「ウオ~さびしいズオ~!」と、巨躯をのけぞらせてオーバーアクション
する人、「辞めるんですって?」「エッ嘘!」「マジ!」「どっかいいとこあったの?」
「ダメダメ!」「いつなの!」「そっかあ…辞めるか…」「勘弁してよ」
「まだ早いだろう、せめてもう半年…」「フ~ン辞めるかあ…」「寂しくなるねえ…」

いろんな反応と表情によって、会社の人々にどう自分が受け入れられていたのかが
垣間見えてきた。やはり人は自分を映す鏡であるということを実感させられたのである。
まあ…居なくなってせいせい…という感じは受けなかったので、ホッとしたところだ。(笑)

わたしは、漫画家を引退してパートで半年勤めた後、正社員として現会社に
採用され、十数年お世話になった中途採用者である。

元漫画家という毛色の変わったやつを可愛がっていただいたので、会社には
本当に感謝している。そんな感慨の元に今日で通勤にピリオドを打つのだ。

慣れない勤め人生活で、苦悩も散々あったが、今ではそれもなつかしい。
そんな中で、親近感覚える人と話をする機会があって、わたしを見たときの
印象を「なんだかふわふわしている感じがした」と言うのである。

「ふわふわ??」思わず聞き返してしまったが、ニュアンス的には悪い感じではないのだ。
、つまり会社で見る人たちと比べての印象なのである。おそらく、勤め人というのは否応なく
規律を強いられる生活にならざるを得ないので、やはりどこかキチッとした
締りがあるに違いない。しかし漫画家という自由律の生活リズムを
引きずっていたわたしは、きっとどこか締りのない不定形の動きを身につけて
いたのだ。それが、ふわふわっとした感じに捉えられたのかも…と思えた。

勤め人を辞めるので、また寝るも起きるも自由な、目覚ましの
いらない生活になる。つまり、又ふわふわ生活に戻るのである。

さて…ふわふわっとまいりますか…。ふわふわっと…ふわふわ…。
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