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ぽかぽか春庭「ペースメーカー」

2015-02-07 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150207
ぽかぽか春庭日常茶飯辞典>十五夜満月日記春立つ日々(1)ペースメーカー

 1月17日の深夜に姑が緊急入院して、心電図はじめいろいろな検査を受けたけれど、どうも医者の説明がいまひとつはっきりしない。膨大なデータをああでもないこうでもないといじくりまわしても、腎臓も悪くなっているのだけれど、心臓も悪いのかもしれず、、、、というようなことで、おなかにたまった腹水を抜くくらいしか治療というほどのこともしてこなかったのです。

 寝てばかりいると歩けなくなるからと、リハビリ室というところに行って、体操の平行棒のようなところで、行ったり来たり歩く練習をして「今日は50歩も歩いた」と姑は言って、私が午後病院に見舞うと、なんだかぐったりして、体を起こすのも大儀そう。
 それでも、2月1日の日曜日に行ったときは、息子が病室から車いすで1階の談話室へ連れて行き、いっしょにお茶を飲んでいました。

 2月2日、平日は毎日おばあちゃんの付添いをしている娘から緊急メール。「おばあちゃんは、ペースメーカーの手術を受けることになりました」
 リハビリ室で歩行訓練中に、リハビリ担当の整体師さんが、姑の脈拍の変化に気づいてくれたのです。リハビリ室で大勢の患者さんを担当してきた方だから、患者の顔色や様子を見て、調子はどうなのかわかる。いろいろな患者を見て経験を積んできたのでしょう。

 緊急のペースメーカー手術となったのだって。え~っ、それじゃ、今までさんざん検査データとにらめっこしてきたお医者さんは、いったい何を診てきたのか。数値のデータを見ても「病名がはっきりとしなくて」と、言っていたお医者さんでなく、リハビリ担当の人が、患者に接してきた経験と勘で「脈がおかしい」と気づいてくれたのです。

 とりあえず、カテーテルでの外付けペースメーカーを入れ、体調をみてから体内装着のペースメーカー埋め込み手術を行う、という説明を夫と娘が受けました。
 夫は、いつものごとく「忙しいから」と、手術終了をまたずに事務所にもどり、娘がおばあちゃんに付添ました。

 娘の報告。「おばあちゃんは、病室に戻ると、とても体が楽になった」と話し、1時間以上もおしゃべりをしていた。手術が終わったばかりなのだから、早く寝かせたほうがいいとこっちは思うのだけれど、おばあちゃんは楽になったことがうれしくて、おしゃべりしたいのだろうから、お相手をしなければ」と、病院面会の8時を1時間もすぎておあいてをしてきたという。
 手術終了を待つあいだ、いつ終わるかもわからないので、何も食べていない、というので、「月曜日は仕事が遅くなるから、病院にはいかない」と、ローテーションを組んでいた私が、カレーを作って、10時すぎに帰宅した娘に食べさせる。

 最近は娘が晩御飯担当だったので、キーマカレーとかチキンクリーミーカレーとか、娘の好みのカレーでしたが、久しぶりに私が作る「じゃがいもごろごろカレー」。娘は「おなかすいているから、おいしい」と、言っていました。空腹はなによりの調味料。

 食べながら娘の報告を聞きました。最近の心臓ペースメーカーは、とても性能が向上していて、電車の中のケータイ電波くらいなら、15センチも離れていれば影響されないように、改良されたこと。おばあちゃんが埋め込むペースメーカーは、耐用年数が20年はないけれど、10年は十分にもつ。だから、一度体内に装着すれば、90歳のおばあちゃんが100歳になるまで、十分に電池がもつ、という話。
 私は、今後ペースメーカー保全の通院などが必要なのかと思いましたが、普通の生活が可能なのだそうです。ただし、電子レンジ使用の場合は、2,3メートルはレンジから離れている必要があるそうです。
 へぇ、ペースメーカーの進化について、何も知らなかった。

 2月3日火曜日に、仕事が終わってから病院へ。4人部屋だった姑は、ナースステーション前の個室に移動していました。異変に備えて看護師さんの近くに、ということなのでしょう。外付けのペースメーカーを得て、姑はずっと顔色がよくなったように思いました。

 心臓医の説明が18時からある、というので、家族そろって待っていたのですが、医師が病室に到着したのは、19時半。お医者さんって忙しいのだろうなあと思います。
 ペースメーカーとはどのようなものか、最新の医療機器はどれほど進歩しているか、心臓の機能、など、わかりやすく説明してくれました。担当の医師は、ペースメーカー装着手術を1年間に60例行っていること、その中で装着がうまくいかなくて再手術になった例が1例あったことなども、それがどのような事例であったか、説明してくれました。

 医者ジョークで、「この手術はとても安全です。千回に一回しか失敗しないので、安心してください。私はすでに999回この手術を行ってきましたが、まだ1回も失敗していません」という冗談を思い出してしまいました。大事な話をしているのに、不謹慎

 夫と息子は、ペースメーカー装着後の生活留意点についてノートにメモしてきていて、質問する。IH調理具や電子レンジなど、電磁波がでる器具がペースメーカーを狂わせることは承知していましたが、そのほか、あれはどうこれはどうと、夫と息子が質問していきます。

 はじめて知ったこと。体脂肪計がついた体重計は、微弱な電磁波で体脂肪を計っているので、ペースメーカー装着者にはNG。あらま、知らなかった。息子が質問したMRI検査については、「この病院ではできるが、準備が必要。他の設備不十分な病院や専門医がいない病院ではMRI検査は受けないこと」という指示を受けました。

 従来ペースメーカー装着者は、身体障害者1級の認定を受けたのだそうです。しかし昨年以来、身体障害者の等級認定の見直しが論議されています。(想像ですが、佐村河内騒動の影響からかもしれません)
 ペースメーカー装着者も、生活がどのくらい通常通りにできるかどうか、という観点から、等級が決められることになった、という説明を医師から受けました。
 90歳という年齢を考えると、心配なことばかりですが、ペースメーカー埋め込みの手術日は木曜日2月5日に決まりました。

 2月5日、朝9時からの手術。私は仕事があって立ち会えないので、夫と娘が付き添いました。仕事が終わってから病院に行って、娘の報告をききました。手術は2時間。ペースメーカーは無事、装着成功。手術室から出てきたおばあちゃんの第一声は「おなかすいた」だったそうです。

<つづく> 
 
 
コメント (4)
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