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ぽかぽか春庭「たてがみ・レオ」

2015-02-19 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150219
ぽかぽか春庭ショートショート>十二宮の少女たち(8)たてがみレオ

☆たてがみ☆LEO  (171)ライオンのたてがみ [EE853B]
 

☆たてがみ☆
 たてがみが欲しかった。百獣の王にふさわしい、たてがみが。
 おいらの名はレオ。よしてくれ。エルザなんて昔の名前で呼ぶのは。その名は、自分が自分でなかったときの名前。忘れてくれよ。

 ライオンの子に生まれたからには、たてがみが生えてくるものと信じていたのに、雌にはたてがみがないって聞かされたときの、あの絶望。わかるか。

 百獣の王らしく、四方におのれの咆哮をとどろかせたいのに、雌は縞馬の狩りにでも精出して、子どもを生んで乳を飲ませて。ああ、自分の未来がそんなちまちまとした生活の中にあるのかと思うと、たまらなかった。

 おいらはレオだよ。たてがみ自慢。
 まだ、全身が自分のものになってはいない。だが、必ず、自分は自分。自分の心に忠実な体と生き方をおのれのものにしてみせる。

 聞け、この咆哮を。獅子の谷間に響き渡る雄叫びを。
 雌達の群を率いて、サバンナを睥睨するおいらの姿を目にしたときは、呼ぶがいい。たてがみのレオと。

<つづく>
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