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ぽかぽか春庭「愛を天秤にかける・リブラ」

2015-02-22 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150222
ぽかぽか春庭ショートショート>十二宮の少女たち(10)愛を天秤にかける・リブラ

☆愛を天秤にかける☆LIBRA (202)神に捧げた青銅器 [00B297]
 

☆愛を天秤にかける☆
 どちらの女がより深くこの男を愛しているか。神の御前で決着をつけましょう。
 私はリブラ。すべてを公平にはかることができる。

 ふたりの愛を天秤にかければ、たちどころにわかるだろう。どちらがより重くこの男の身に思いを寄せ、男の心を勝ち取ることができるかと。より強い愛を示した女がどちらかひとり決まるだろう。
 神の御前で決められた一人が、この男と寄り添って帰るがよい。

 天秤におまえ達の心をのせるまえに、まずは、気持ちを確かめようぞ。男の右腕と左腕をそれぞれ握りなさい。心をこめて、力いっぱいひっぱり、自分のほうへひきつけた女の愛が、より強い。さあ、引くがいい。

 ぎゃあ、ぎゃあと、うるさい男だね。女の愛の強さを身にしみて思い知るがいい。それ、それ、ふたりとも、遠慮はいらぬ。どちらの愛が強いか、見せてやるがいい。

 あれあれ、静かになったと思ったら、男の体はまっぷたつ。よしよし、わかった、天秤にかけるまでもない。ふたりの愛はどちらも同じくらい強かったのだ。

 同じくらい強い心で男を愛したおまえ達の愛が、等しい強さを持っていたことを、アプロディテ女神もお喜びになるであろうよ。

<つづく>
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