20150212
ぽかぽか春庭ショートショート>十二宮の少女たち(3)嵐の海パイシーズ

☆嵐の海☆
私のねえさんは、嵐の夜に人間の船を見た。人間の王子を助け、恋をした。
ばかな姉さん。人間になろうとして、海に生きる者の誇りを捨ててしまった。
あたしは、そんな馬鹿はしない。人間のどこがいいものか。
あんな醜い、尾びれもない輝く鱗もない者どもを。
私はポセイドン大神の御意のままに。この大海原を泳いでいればしあわせ。
ほら、このかわいい小魚たちと、波の間にゆられ、水脈をかいくぐり。
どこまでも果てしない青い世界を泳いでいければ、私はしあわせ。
青い泡は魚たちの溜息。魚たちの恋心は泡となってきえるけれど、人に恋した恋心を大神は許しはしない。心もその身も、泡となるしかないだろう。
人に恋したばっかりに、その身を水の泡と化し、消えてしまったあわれな姉さん。
あ、また海が荒れる。嵐になるらしい。
ほら、荒海の波の間に、船が見える。人が、、、。乗っているらしい。
かまやしない、あんな醜い、鱗も光らない生き物が、波に翻弄されたとて、どうとでもなるがいい。
おや、おぼれている。なんて下手な泳ぎ。ぶざまな、醜い生き物が、、、、
助けたけれど、別に、こんな醜い生き物。私が介抱せずとも、どの浜へなりと波に運ばせてやればいい。
こんな無様な、背びれもない生き物。ああ、ポセイドン大神。
なぜこのようなものに。姉は心を奪われてしまったのか、、、。
今は、、、、、。
わかる。姉の苦しみが。
ぽかぽか春庭ショートショート>十二宮の少女たち(3)嵐の海パイシーズ

☆嵐の海☆
私のねえさんは、嵐の夜に人間の船を見た。人間の王子を助け、恋をした。
ばかな姉さん。人間になろうとして、海に生きる者の誇りを捨ててしまった。
あたしは、そんな馬鹿はしない。人間のどこがいいものか。
あんな醜い、尾びれもない輝く鱗もない者どもを。
私はポセイドン大神の御意のままに。この大海原を泳いでいればしあわせ。
ほら、このかわいい小魚たちと、波の間にゆられ、水脈をかいくぐり。
どこまでも果てしない青い世界を泳いでいければ、私はしあわせ。
青い泡は魚たちの溜息。魚たちの恋心は泡となってきえるけれど、人に恋した恋心を大神は許しはしない。心もその身も、泡となるしかないだろう。
人に恋したばっかりに、その身を水の泡と化し、消えてしまったあわれな姉さん。
あ、また海が荒れる。嵐になるらしい。
ほら、荒海の波の間に、船が見える。人が、、、。乗っているらしい。
かまやしない、あんな醜い、鱗も光らない生き物が、波に翻弄されたとて、どうとでもなるがいい。
おや、おぼれている。なんて下手な泳ぎ。ぶざまな、醜い生き物が、、、、
助けたけれど、別に、こんな醜い生き物。私が介抱せずとも、どの浜へなりと波に運ばせてやればいい。
こんな無様な、背びれもない生き物。ああ、ポセイドン大神。
なぜこのようなものに。姉は心を奪われてしまったのか、、、。
今は、、、、、。
わかる。姉の苦しみが。