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ポカポカ春庭ショートショート「アルプスの子山羊カプリコーン」

2015-02-10 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150210
ぽかぽか春庭ショートショート>十二宮の少女たち(1)アルプスの子山羊カプリコーン

 2003年UPの「話しことばの通い路」、無料ブログを利用してきましたが、閉鎖するから、有料サイトに移動せよとのお達し。無料だから利用してきたのに。
 掲載したショートショート、人様に読んでもらうほどのものじゃないのだけれど、イラストレーターひつじの絵も使わせてもらっていたことだし、消えるのは悲しいから、こちらに再録します。
 イラストレーター「ひつじ」の少女の絵と、フェリシモ社発売の「500色の色えんぴつ」の色名を組み合わせてショートショートを書きました。12人の少女のモノローグショートショートです。
 タイトルは、ショートショートタイトル、十二宮の名、フェリシモ色えんぴつ色名 の順です。
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☆牧歌的アルプスの子山羊CAPRICORN(39)朝焼けのアルプス


 アタシ、主役のつもりだったの。いつもハイジとペーターといっしょに必ず画面に映っていたし。
 みんなアタシを見るためにテレビに釘付けになってるんだと思ってた。

 ♪♪口笛はなぜ 遠くまで聞こえるの/
   あの雲はなぜ わたしを待ってるの/
   おしえておじいさん、おしえてアルムのもみの木よ
 この歌はハイジとアルムじいさんの歌であってもいいとして、

  ♪♪もしも小さな小屋の戸が開いたら/ 
    まっててごらん ほらあの子がかけてくる
   二匹の小ヤギといっしょに/
   透き通った日差しの中を/
   もしも 小さな足音が聞こえたら/
   まっててごらん ほらあの子がかけてくる

 ほら、こっちは完全にアタシのための唄でしょ。
  なのにねぇ。クララが立ち上がったとかおおさわぎして、クライマックスは、もっていかれちゃうし。
 「山羊とあそぶ」っていう挿入歌も、今じゃ、作詞作曲者不明ってなっていて、ネットにさえ載ってない始末。
 どうして、山羊はこう不遇でいいわけ?

  山羊が主役になったのって、「七匹の子ヤギ」か、「三匹の山羊のガラガラドン」くらいだしね。
 「七匹の子ヤギ」の劇を幼稚園でやるとき、一番人気はオオカミ。出番多いしセリフ多いし。見せ場があるし。

 チーちゃんなんて、最初にオオカミに食われちゃって、そのまんま出番なしだもん。新しく買ったビデオ持って、はりきってたパパ、写したタイム3分半だったって。
 ガラガラドンだって、トロルやるほうが絶対に保育園のスターだよ。

 でも、いいんだ。アタシだって、いつかはアルプスを出て、夢のハリウッドデビュー。
     ♪♪雪の山なぜ バラ色にそまるの/
       あの風は何処に 隠れているの/
       眠るときなぜ 星はそっとみているの/
       わらの中なぜ いつもあったかいの/

 あ、「わらの中」ってとこ、ちょっとハリウッドっぽくないね。
 ボッカてきでいいって?
 ボッカてきなんて、アタシには必要ないの!アタシはスター!7人のてきを向こうにまわしても、ボッカてきなんかじゃなくて、すてきな蠱惑的カプリコーンめざすんだもん。あ、これ、コワクてきって読むのよ。皿の上に虫が3匹のっているって。そんなのドーデモいいの。スターになれれば、虫でも皿でも。 

<つづく>
コメント
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