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ぽかぽか春庭「秋思」

2016-10-11 00:00:01 | エッセイ、コラム
20161011
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>神無月のことば(2)秋思

「即事」杜甫
聞道花門破
和親事却非
人憐漢公主
生得渡河帰
腰支勝宝衣
秋思抛雲鬢
群兇猶索戦
回首意多違


聞くならく花門は破れ 和親事は却って非なりと
人は憐れむ漢の公主の 生きて河を渡りて帰るを得たることを
秋思は雲鬢(うんぴん)を抛(なげう)ち 腰支(ようし)は宝衣に勝る
群兇は猶戦いを索め 首を回らせば意に違うこと多し

春庭拙訳 間違った解釈もあるかも)
聞いた話だが、花門(ウイグル回紇)軍が洛陽の戦いで敗れたという。
回紇は唐と和親を結んでいた(政略結婚により結ばれていた)が、これはかえってよくなかった。
回紇国王が死に、妃として唐から送り込まれていた公主(王女)が、殉死をせずに黄河を渡って帰国したことを、唐の人々は憐れんでいる
公主は秋に思いのあまり、雲のように美しかった髪を投げうち、公主の腰つきは宝石で飾った衣装よりも美しい。
凶悪な者どもの群れは、なお戦をしかけてくる
思い返せば思いのままにならぬことが多かった

 杜甫の五言律詩。高校漢文の授業を寝て過ごしたため、上記の和訳は不確かですが、辺境の異地へ嫁がされ、戦に敗れて帰国した王女の哀れが、秋の物思いにぴったりの感じがしたのだろうと思います。

 この杜甫の詩「即事」に出てくる「秋思」が日本では大受けで、秋は物思いの季節になった、というのが「秋思」の語源説のひとつ。
 蛮地の王との政略結婚。王は戦死し、王女は川を渡って唐に戻る。柳腰を沈め物思いにふける。宝石で飾った衣装よりも、美しい腰つきで、愁いに満ちた眉をくもらせて物思いに沈む、、、、

 秋は物思いの季節です。が、私ごときが「秋思」と憂い顔を作っても、晩のおかずを考えているようにしか見えないので、漢詩にも和歌にもなりませぬ。

・永劫の涯に 火燃ゆる 秋思かな (野見山朱鳥)


渡良瀬川周辺の葦原野焼き 画像借り物
(野焼きは春の行事ですが。永劫の果てに燃えるなら、これくらい豪勢な火のほうがいいかなと)
 
<つづく>
コメント (2)
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