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ぽかぽか春庭「秋草 in 白金自然教育園」

2016-10-26 00:00:01 | エッセイ、コラム
20161026
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2016十六夜さまよい日記10月(8)秋草 in 白金自然教育園

 山手線内側の緑。上野の森、新宿御苑、皇居東御苑などへよく行きます。
 都内の緑散歩、庭園も植物園もそれぞれに見所がありますが、歩いていて一番好きなのは、皇居東御苑と白金自然教育園かも。武蔵野の自然をできるだけ保存しようとしているからです。
 10月19日、白金自然教育園を散歩。正式名称は、国立科学博物館附属自然教育園。
 自然教育園では、森林の自然推移を研究するため、木が倒れたら倒れたまま、外来植物が生えたら生えたままに保存されています。

 白金自然教育園は、江戸がまだ武蔵野の野原であった時代には、白金長者と呼ばれる大地主の屋敷がありました。園内のそこここに、屋敷を取り囲んでいた土塁を見ることができます。
 江戸時代には高松藩松平家(水戸徳川家の分家筋)の下屋敷となりました。

 江戸から東京に変わるとき、ほとんどの大名屋敷は政府直轄地とされ、東京市中の35%の土地が明治政府の支配下におかれました。
 この大名屋敷を、政府高官が次々に私物化しました。(お手盛りの法令は作った上なので、法律上は問題なしだったのでしょうが)
 東京の土地を私物化しなかったのは、西郷隆盛と板垣退助ぐらいだったということですが、そのあたりの経緯について、なんらかの歴史書が出ているのでしょうか。

 高松藩松平家下屋敷は、明治時代には陸海軍の火薬庫として使われ、大正時代には皇室御料地になりました。現在は、国立科学博物館附属自然教育園。
 政府高官の私有地なんぞになっていたら、いまごろは、この緑の自然園もマンションが立ち並ぶ土地となって、「シロガネーゼマダム」が闊歩していたのでしょう。
 ありがたいことに、今は貧乏春庭でも、緑を楽しみ花を写しながら歩くことができます。(65歳以上、いつでも無料)。

ノガリヤス(だと思います)


モミジガサ


 自然のままに推移を見ていくのが自然教育園の方針ですが、今回歩いて見たら、「通路側のシュロの木は、伐採しました」という掲示がありました。温暖化のため、どんどんシュロの木が増えてきた、ということは以前の説明にもありましたが、通路にまではみ出すほどのさばってきたのですね。そのうち、ここも「熱帯植物園」のように、シュロやら椰子やらがいっぱいになるのかな。

 秋に咲くホトトギスの名前は、鳥のホトトギス(杜鵑)の胸にある斑点に花の斑点をなぞらえたことに由来しています。「タイワンホトトギス台湾杜鵑草」は、台湾や沖縄に自生していて、絶滅危惧種になっているそうなので、自然教育園に生えているのも貴重なことです。

タイワンホトトギス


ホトトギス


 タイワンホトトギスが「台湾」だったので、ノハラアザミ野原薊に対するタイアザミは、タイ国原産の外来種かと思ったら、「大薊タイアザミ」ですって。別名「利根薊トネアザミ」。
 アザミは地域ごとにいろいろな種類があり、利根流域には固有のアザミがあり、高知には高知のアザミがある。それが、それぞれ絶滅危惧種になっています。
 タイワンホトトギスとホトトギスの違いはかろうじて区別がついたのですが、タイアザミとノハラアザミの違いは、ぜんぜんわかりませんでした。

タイアザミ(大薊・利根薊)

ノハラアザミ


アザミの蜜を吸うクロアゲハ


 秋草、秋の花。
 野草の花ですから、地味な花が多かったですが、小さな花が草陰に賢明に咲いている様子、心なごみました。

マツカゼソウ


シロヨメナ白嫁菜


ユウガギク優雅菊(シロヨメナの葉は切れ込みが浅く。ユウガギクは葉っぱに切れ込みがある。といっても、私には区別がむずかしい。どっちがどちらやら)


ナガボノシロワレモコウ(長穂の白吾亦紅)白いのに、吾亦紅ってところがいいね。


テンニンソウ。蜜を摺っているのはハナアブか?


ミゾソバ


アキノウナギツカミ。ミゾソバと似ているけれど葉っぱが違う。


 春夏に訪れることが多くて、秋にはあまり来ていなかったので、前は気にならなかった、背高泡立ち草が、池の近辺にずいぶん増えていることに気づきました。


 コスモスもひまわりも外来の花。ひまわりは江戸時代、コスモスは明治時代に日本にやってきました。
 自然教育園では、まだひまわりとコスモスは見ていません。栽培種としてタネが持ち込まれることがなかったので、ひまわりもコスモスも武蔵野の野原にはなかった、ということです。

 背高泡立ち草は、どこから運ばれてきたのやら、生命力の強い花なので、これからどんどん増えていくのかもしれません。背高泡立ち草には、毒があり、いったん根がつくと、他の草を毒によって押さえつけ、自分の勢力を伸ばすのだそうです。しかし、勢力が増えすぎるとこんどは自分の毒で自家中毒になり、増えすぎを押さえるという、なんだかよくわからない外来の草。在来種を駆逐してしまうのでなければ、日本に根付いても悪くは無い。ひまわりは夏の、コスモスは秋の景色になじみましたから、背高泡立ち草もあと100年もすれば、日本の秋の景色に定着するのでしょう。

 外来のブラックバスがのさばってアユほかの川魚を駆逐してしまったり、西洋ミツバチが日本ミツバチを減少させたように、外来植物が生態系を変えてしまったのは事実。でも、偶然生まれたソメイヨシノが明治以後の日本の桜風景をすっかり変えてしまったのも、時代の移り変わりなのかもしれません。
 私は、今の自然を眺めるしかありません。

 池の周辺でよく見かけるというカワセミは、今回は残念ながらいませんでした。けれど、林があり草花が生い茂る園内には、花虻や、黒揚羽などが飛び回っていたし、トンボ(たぶんホソミオツネントンボ)を見ることができました。ホソミオツネントンボ、羽が透き通っていて、揺れる姫ガマの穂の上にいたので、私のカメラではピントが合いませんでした。

 草のみも木の実も実っていて、小鳥や虫たちには大ご馳走の秋でしょう。
ウバユリ

ヤブミョウガ




梢の上のほうに実っていた木の実。木の名前、わかりません。




路傍植物園で自撮り
 

 19日水曜日は、庭園美術館に行く予定でした。白金自然教育園は庭園美術館の隣だから、ついでに30分だけ寄ろうと思ったのですが、結局3時間散歩しました。庭園美術館観覧の時間が減ったけれど、秋の午後、ゆったりと歩くことができました。

<おわり>
コメント (4)
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