20170209
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>廃れものはやりもの(5)思いやり&大統領令ファースト?
以下の文章を2月2日の午前零時にUPする予定でいたのですが、リンゴパイの方を優先して先にUPしました。ところが2月2日の天声人語を読んだら、そっくり同じ話題で、大統領令9066号を持ち出したのも同じ。
同じような内容をあとから出したら、まねっこと思われても仕方なし。しかも文章はこちらのほうが書き殴りでひどいのだから、UPしたら恥かくかも、と、とりやめました。
2月4日は、「ユリコファースト」をUPして、「大統領ファースト」は削除しようと思っていたのだけれど、「類句類想」について書いたあと、類想と思われてもいいや、自分で書きたいこと書いたのだから、まねっこと思われたところで、世の中に何影響もないのだと開き直る気になりました。小物はあと出しでけっこう、私がトランプ氏を好きになれないということは、書いておこうと思って本日掲載。
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20170202
去年は話題になっていなかったことばで、今年になって世界中を駆け回っていることばのひとつが「大統領令」
またまた世界中を席巻しているトランプしまき。
大統領令は、「大統領が議会の承認や立法を経ずに直接、連邦政府や軍に発令する命令。議会で法律として定めることが困難な命令事項に関して定められる、法律と同等の効力をもつ命令 」ですって。議会で決める法律よりも強い、大統領令ファーストなんですね。
20日の就任以来、大統領令をボンボンと打ち上げていたトランプ新大統領。オバマケアを「保険料が高すぎるから」と、廃止しました。前大統領が心血を注いで構築した「国民皆保険への道」をゴミ箱に捨てるかのように捨て去ったときは、オバマ前大統領への敬意を持たないことをこうやってシメしたかったのだろう、さて、保険料を下げたもっとよい健康保険を作れるなら、彼の技量を認めようと思っていたのだけれど。
オバマによって健康保険に加入できた2000万人は、健康保険をはずされてしまって今後は病院にも行けないのでしょうか。「自分さえよければ、他人他国はどうでもよい」と言うのがアメリカファーストだったらしい。
すでに2014年に、ジョージア州サン・スプリング市の独立問題は報じられていました。アメリカ南部ジョージア州の州都アトランタ郊外にあるサンディスプリング市。年収1千万円以上の富裕層が住む地域と、低所得層が住む地域がはっきり区切られていました。
富裕層は、自分たちの税金が低所得層の福祉のために使われることを不服として、富裕層地域だけをまとめて、新たな市として独立したのです。金持ちファースト。
自由の国、だれでも明日に希望が持てる国であったはずの国が、宗教の異なる人々や難民を排除し、金持ちだけで固まって自分たちの金を他者の福祉のために使うのはいやだと主張する国になりました。他者のために助け合うことを拒否する裕福な市。異なる思想異なる文化を持つ人々を排除する国。
トランプ氏を支持する政治活動委員会Great America PACの広報担当カール・ヒグビー氏(アメリカ海軍の元・特殊部隊員)は、移民の登録制度に関わる取材に対して「アメリカは。過去にも人種、宗教や地域に基づいた登録をしてきた。第二次世界大戦でも、日本人に対してやっていたように」と述べました。
日系移民強制収容については、1976年にフォード大統領が日系人強制収容は「間違い」であり「決して繰り返してはいけない」と公式に発言しており、1992年には、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が国を代表して日系人に謝罪しています。すなわち、大統領令9066号は誤りであったことが公式に発表されました。このような間違った大統領令も発令当時は正しいとみなされ、「アメリカを守るためには必要だった」と思われていたのですから、今回の特定国家からの入国禁止に対して支持があるというのも仕方がないのでしょうね。
どうやら新政権は日本が嫌いな人が多いようです。
勝手なことをツィートして、勝手なことを演説するかの人、1月31日にも、日本の経済政策について「円安誘導している」と、かみついています。きちんと事実を見当しないで、「オルタナティブファクト」とかいう「自分に都合よいことがらだけが事実」という方針なので、事実と理論で責めてもダメ。
移民政策についても、政策顧問のひとりは、「日系人を強制収容した例があるんだから、アメリカを守るためには移民登録制も当然」と述べていました。
こういう人物を政策顧問としている大統領ですから、移民排斥の大統領令を出すにも自信満々のようでしたが、全世界から立ち上がる非難の声には「私に反対する人々がいるというのは、フェイクニュース」として済ませるのでしょう。
就任式に集まった観衆の数が、4年前の半数以下だったことが上空からの写真を見てもはっきりわかるのに、それも「嘘ニュース」として蹴飛ばし、今回の入国禁止に反対して涙した議員には「嘘泣き。だれに演技指導されたのだ」と、述べた大統領。自分への反対者には徹底的に闘う姿勢です。
国家からアメリカへの渡航禁止令、選択された7カ国の出身者がアメリカ国内でテロ行為を関わったかどうかというと。死者がでるようなテロ行為に関わったものはおらず、テロに関わったと疑われた人を含めても、国内出身者がほとんであり、この7カ国からの入国者を制限したところでテロがなくなるわけではない、ということが明らかにされています。
それらの国の住民にイスラム教徒が多い、というだけのようで、あきらかに宗教差別の感があります。
ビザや永住権の保有者であってもアメリカ入国時に空港で拘束されたケースについて、トランプ氏は、「空港の不手際と反対者の騒音のせい」だと、ツィートしました。
一方、今月10日の会談を控えたab首相はだんまりに徹しています。うっかり世界中の非難の声なんぞに耳を傾けては、会談での思し召しが悪くなるかもしれないから。
昨年の大統領選挙のときは、「ヒラリーも余り好きじゃないけれど、トランプはもっといや」という程度の「よそんちの選挙」見物でしたが、人間の尊厳を踏みつけるような大統領令を次々に発するトランプ氏を、私も「大統領にふさわしい人ととは思わない」と書いておきます。
嫌いなものは、きらい。
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2170209
ワシントン州の連邦地裁は、大統領令を一時停止させました。大統領側はこの措置を不服として提訴。国論真っ二つのようで、この先どうなるのやら。
ただ、大統領がいかに強権をふりかざそうと、その大統領令が憲法違反と確信した人は、司法の場でストップをかけることをするのだ、ということがわかって、やはり民主主義の基本として三権分立は生きているのだと思いました。
もっとも、大統領は三権分立など知らぬようで、自分の権力にたてつく者に対して、ツィッターで「許さぬ」とわめいています。自分の言うことをきかぬ司法長官を首にしましたが、ロバート判事ら州裁判官は州政府・州議会・公選で任命され、大統領が首にできるわけではない。
ab首相からの訪米みやげ品。アメリカの雇用を増やすために協力する予算として、我々の年金を差し上げるのだとか。よくわからぬのだが、年金は物価スライドとかで減額されるそうですが、アメリカにはぽんと気前よく大盤振る舞いです。
数字に弱く経済とんとわからぬトンチンカンですが、今回の騒動で、日本はアメリカ軍が駐留している国のなかで、もっとも多くの費用を負担していることがはっきりわかりました。韓国などは駐留費の40%しか負担していないのに比べて、日本はアメリカ軍の駐留費を75%も負担しているのでした。金額にするとドイツの3倍、韓国の5倍強。こんな簡単なことも今まで国民にはあきらかにされていなかったのですから、トランプ氏が「全額払え」と言ったことに対して、「世界で一番高額の駐留費全額の75%を負担していることを明らかにしてくれてありがとう」と言うべきか。
「おもいやり予算」という米軍基地駐留費負担のネーミングだけ知っていて、駐留費の何パーセントを負担しているのか、これまではっきり知らずに税金払っていて、気前よかった無知な私。スズメの涙のような年金、こんどはアメリカ雇用増員のために使われるなんて、なんとも思いやり深い国民です。
<つづく>
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>廃れものはやりもの(5)思いやり&大統領令ファースト?
以下の文章を2月2日の午前零時にUPする予定でいたのですが、リンゴパイの方を優先して先にUPしました。ところが2月2日の天声人語を読んだら、そっくり同じ話題で、大統領令9066号を持ち出したのも同じ。
同じような内容をあとから出したら、まねっこと思われても仕方なし。しかも文章はこちらのほうが書き殴りでひどいのだから、UPしたら恥かくかも、と、とりやめました。
2月4日は、「ユリコファースト」をUPして、「大統領ファースト」は削除しようと思っていたのだけれど、「類句類想」について書いたあと、類想と思われてもいいや、自分で書きたいこと書いたのだから、まねっこと思われたところで、世の中に何影響もないのだと開き直る気になりました。小物はあと出しでけっこう、私がトランプ氏を好きになれないということは、書いておこうと思って本日掲載。
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20170202
去年は話題になっていなかったことばで、今年になって世界中を駆け回っていることばのひとつが「大統領令」
またまた世界中を席巻しているトランプしまき。
大統領令は、「大統領が議会の承認や立法を経ずに直接、連邦政府や軍に発令する命令。議会で法律として定めることが困難な命令事項に関して定められる、法律と同等の効力をもつ命令 」ですって。議会で決める法律よりも強い、大統領令ファーストなんですね。
20日の就任以来、大統領令をボンボンと打ち上げていたトランプ新大統領。オバマケアを「保険料が高すぎるから」と、廃止しました。前大統領が心血を注いで構築した「国民皆保険への道」をゴミ箱に捨てるかのように捨て去ったときは、オバマ前大統領への敬意を持たないことをこうやってシメしたかったのだろう、さて、保険料を下げたもっとよい健康保険を作れるなら、彼の技量を認めようと思っていたのだけれど。
オバマによって健康保険に加入できた2000万人は、健康保険をはずされてしまって今後は病院にも行けないのでしょうか。「自分さえよければ、他人他国はどうでもよい」と言うのがアメリカファーストだったらしい。
すでに2014年に、ジョージア州サン・スプリング市の独立問題は報じられていました。アメリカ南部ジョージア州の州都アトランタ郊外にあるサンディスプリング市。年収1千万円以上の富裕層が住む地域と、低所得層が住む地域がはっきり区切られていました。
富裕層は、自分たちの税金が低所得層の福祉のために使われることを不服として、富裕層地域だけをまとめて、新たな市として独立したのです。金持ちファースト。
自由の国、だれでも明日に希望が持てる国であったはずの国が、宗教の異なる人々や難民を排除し、金持ちだけで固まって自分たちの金を他者の福祉のために使うのはいやだと主張する国になりました。他者のために助け合うことを拒否する裕福な市。異なる思想異なる文化を持つ人々を排除する国。
トランプ氏を支持する政治活動委員会Great America PACの広報担当カール・ヒグビー氏(アメリカ海軍の元・特殊部隊員)は、移民の登録制度に関わる取材に対して「アメリカは。過去にも人種、宗教や地域に基づいた登録をしてきた。第二次世界大戦でも、日本人に対してやっていたように」と述べました。
日系移民強制収容については、1976年にフォード大統領が日系人強制収容は「間違い」であり「決して繰り返してはいけない」と公式に発言しており、1992年には、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が国を代表して日系人に謝罪しています。すなわち、大統領令9066号は誤りであったことが公式に発表されました。このような間違った大統領令も発令当時は正しいとみなされ、「アメリカを守るためには必要だった」と思われていたのですから、今回の特定国家からの入国禁止に対して支持があるというのも仕方がないのでしょうね。
どうやら新政権は日本が嫌いな人が多いようです。
勝手なことをツィートして、勝手なことを演説するかの人、1月31日にも、日本の経済政策について「円安誘導している」と、かみついています。きちんと事実を見当しないで、「オルタナティブファクト」とかいう「自分に都合よいことがらだけが事実」という方針なので、事実と理論で責めてもダメ。
移民政策についても、政策顧問のひとりは、「日系人を強制収容した例があるんだから、アメリカを守るためには移民登録制も当然」と述べていました。
こういう人物を政策顧問としている大統領ですから、移民排斥の大統領令を出すにも自信満々のようでしたが、全世界から立ち上がる非難の声には「私に反対する人々がいるというのは、フェイクニュース」として済ませるのでしょう。
就任式に集まった観衆の数が、4年前の半数以下だったことが上空からの写真を見てもはっきりわかるのに、それも「嘘ニュース」として蹴飛ばし、今回の入国禁止に反対して涙した議員には「嘘泣き。だれに演技指導されたのだ」と、述べた大統領。自分への反対者には徹底的に闘う姿勢です。
国家からアメリカへの渡航禁止令、選択された7カ国の出身者がアメリカ国内でテロ行為を関わったかどうかというと。死者がでるようなテロ行為に関わったものはおらず、テロに関わったと疑われた人を含めても、国内出身者がほとんであり、この7カ国からの入国者を制限したところでテロがなくなるわけではない、ということが明らかにされています。
それらの国の住民にイスラム教徒が多い、というだけのようで、あきらかに宗教差別の感があります。
ビザや永住権の保有者であってもアメリカ入国時に空港で拘束されたケースについて、トランプ氏は、「空港の不手際と反対者の騒音のせい」だと、ツィートしました。
一方、今月10日の会談を控えたab首相はだんまりに徹しています。うっかり世界中の非難の声なんぞに耳を傾けては、会談での思し召しが悪くなるかもしれないから。
昨年の大統領選挙のときは、「ヒラリーも余り好きじゃないけれど、トランプはもっといや」という程度の「よそんちの選挙」見物でしたが、人間の尊厳を踏みつけるような大統領令を次々に発するトランプ氏を、私も「大統領にふさわしい人ととは思わない」と書いておきます。
嫌いなものは、きらい。
~~~~~~~~~~~~~~
2170209
ワシントン州の連邦地裁は、大統領令を一時停止させました。大統領側はこの措置を不服として提訴。国論真っ二つのようで、この先どうなるのやら。
ただ、大統領がいかに強権をふりかざそうと、その大統領令が憲法違反と確信した人は、司法の場でストップをかけることをするのだ、ということがわかって、やはり民主主義の基本として三権分立は生きているのだと思いました。
もっとも、大統領は三権分立など知らぬようで、自分の権力にたてつく者に対して、ツィッターで「許さぬ」とわめいています。自分の言うことをきかぬ司法長官を首にしましたが、ロバート判事ら州裁判官は州政府・州議会・公選で任命され、大統領が首にできるわけではない。
ab首相からの訪米みやげ品。アメリカの雇用を増やすために協力する予算として、我々の年金を差し上げるのだとか。よくわからぬのだが、年金は物価スライドとかで減額されるそうですが、アメリカにはぽんと気前よく大盤振る舞いです。
数字に弱く経済とんとわからぬトンチンカンですが、今回の騒動で、日本はアメリカ軍が駐留している国のなかで、もっとも多くの費用を負担していることがはっきりわかりました。韓国などは駐留費の40%しか負担していないのに比べて、日本はアメリカ軍の駐留費を75%も負担しているのでした。金額にするとドイツの3倍、韓国の5倍強。こんな簡単なことも今まで国民にはあきらかにされていなかったのですから、トランプ氏が「全額払え」と言ったことに対して、「世界で一番高額の駐留費全額の75%を負担していることを明らかにしてくれてありがとう」と言うべきか。
「おもいやり予算」という米軍基地駐留費負担のネーミングだけ知っていて、駐留費の何パーセントを負担しているのか、これまではっきり知らずに税金払っていて、気前よかった無知な私。スズメの涙のような年金、こんどはアメリカ雇用増員のために使われるなんて、なんとも思いやり深い国民です。
<つづく>