春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「ティツァーノとヴェネツィア派展in東京都美術館」

2017-02-21 00:00:01 | エッセイ、コラム

東京都美術館第3水曜日

20170221
ぽかぽか春庭@アート散歩>光の春のアート散歩(2)ティツァーノとヴェネツィア派展in東京都美術館

 2月の第3水曜日「美術館無料観覧の日」は、上野の東京都美術館へ。
 日本で確実に客を呼べる美術展は、印象派とルネサンスだ、ということを聞きました。人気のルネサンス、どれくらいの混みようかなあと思いながらが、朝9時40分に東京都美術館に到着。15分ほどの待ち時間で「ティツァーノとヴェネツィア派展」開場に入ることができました。NHK日曜美術館で「ティツィアーノとヴェネチア派展」が放映される前だったので、人の頭ごしでないと見ることができない、というほどではありませんでした。(展覧会の紹介放映は2月26日)

ティツィアーノ展ポスター


 毎回、無料水曜日に押し寄せるジジババたち。今回はそれほどの混みようではなかったけれど、いつもの第3水曜日に比べて、ジジの率が高いように感じました。いつもの水曜日だと10人中ババが9人、ジジが1人。それが、今回はババ6人にジジ4人という比率。(足やすめに椅子に座っているとき、数えた)

 ジジはルネサンス絵画好きなのか、と思いましたが、まもなくなんとなく理由判明。美しい裸婦像が、各階の目玉として鎮座しています。ジジひとり、ジジ二人組は、裸婦像の前でじっと玉の肌を眺めているのでした。

 ティツィアーノの代表作のひとつ「ダナエ」。ギリシャ神話に基づく絵です。


 アルゴス王アクリシオスは、「王の娘ダナエが産む男の子によって、アルゴス王は殺されるであろう」という神託を受けて、ダナエを幽閉します。しかし、ダナエの美しさを知ったゼウス(ラテン語ユピテル、英語ジュピター)は、変幻自在の術を用いて、なんと「金貨の雨」に姿を変えてダナエの体に降り注ぐのです。ダナエは、ペルセウスを産みます。

 金貨の雨を体に受けてうっとり官能にひたっているダナエの表情もちょっと肉がタブ付き気味のおなかもいいなあ、と思って画面を眺めながらも、私なら金貨の雨降り注いだらうっとりなんぞしているひまに、金貨かき集めちゃうだろうなあと、さもしい感想。もっとも美女が大好きなゼウス、私になんぞ降り注いでくれませんけれど、、、、。金貨じゃなくても、せめて銅貨10円玉でもいいから、などと思いながら、金色が劣化していて見分けがむずかしい画面中央の降り注ぐ金貨を眺めていると、美術鑑賞の熱意高きジジは、白いベールに隠されている足と足の間をじっと見つめているのです。
 ま、関心の集中点が異なるのは、みんな違ってみんないい、ですよね。

 今回の一番の目玉は、ティツィアーノの「フローラ」。ポスターやチケットの画像になっています。


 聖母子像も各階にたくさんありました。マリアは美しい。でも、毎度の感想ですが、なぜ聖母子像の赤ん坊は、どの子もみなかわいらしくないのでしょう。もしかしたら、聖なる赤ん坊を美しくかわいらしく描くのは御法度なのかしら。将来エラい救世主になる赤ん坊は、にこにこかわいらしく愛想振りまいていちゃいけなくて、できるだけ不機嫌な顔でいることが、磔の身となる将来をみすえているのである、などと。

 まあ、そんな母子像や貴族の肖像、法王の肖像はちゃっちゃと見ていき、ティツィアーノの次のスターはティントレット。

 ティントレットの代表作「レダと白鳥」
 私は、白鳥の首がヒワイなくねり方やなあ、と思いましたが、ジジたちは、薄いベールに透けるその部分を熱心に見ていました。


 これらの裸婦像も、聖母子のマリア様も、モデルになっているのは、高級娼館の美女達。ヴェネチアの裕福な商人や貴族たちがご贔屓であった彼女らは、高い教養を身につけ、贅沢な衣装や貴金属で身をかざっていました。娼婦たちは、貴族やお金持ちの相手をしつつ、画家の前では、モデル料如何により、いかようにも身をさらして画面に納まりました。おかげで、500年のちの世のジジ達も、惜しみなく与えられるその美しい裸身をじっと見つめることができるのです。おゲージツですもの。美しいものを見てるのよね。芸術の鑑賞なんですから、どうぞ飽きるまで。

ティツィアーノ「マグダラのマリア」


 ルネッサンス。フィレンツェ派もヴェネツィア派も、各地王侯貴族の注文を受けて絵を描きまくり、「人類の宝」を残しました。
 ティツィアーノ『ディアナとアクタイオン』は、2009年に5,000万ポンド(2009年レートでは約75億円)でロンドン・ナショナル・ギャラリーとスコットランド国立美術館が共同購入した人類の宝、ティツィアーノの「聖会話」は、2011年のサザビーオークションで1688万2500ドル(約14億円)ですって。はは、私の鑑賞法、どうしても黄金の雨の降り注ぎ方に注目です。

<つづく>
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする