20170305
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>どこかで春が生まれてる(1)啓蟄
おそらく、日本中の「たいして見られていないブログ」のネタのないブロガーたちが、本日、虫がわき出るごとくわんさかと話題にしているに違いないことば、「啓蟄」。
暖かくなって、虫たちが地面の穴から這い出すんだってね。などと書いておけば、いっぱしの日記になる。二十四節季のことばは、便利なことこの上なし。
テレビに出ていたアメリカ人が「カナダにもアメリカにも四季はありそれぞれに美しいのに、なぜ日本人は「日本の四季はとても美しい」と言わない外国人の存在を喜ばないのだ。四季は世界中にあるのに」とぼやいていた。
ポーランドの四季もニュージーランドの四季もアイルランドの四季もそれぞれに美しいに違いない。
しかるに、世界に放たれた3月5日のブログのなかで、同じ日に同じことばを検索できるギネス記録となるのは、3月5日の日本のブログ内にばらまかれた「啓蟄」という語であろうかと思います。
中国は、「二十四節気」をユネスコ世界無形文化遺産に登録申請し、2016年10月31日に登録勧告がなされました。
正式に二十四節気が「中国の無形文化遺産」ということになって、日本語ブログに「啓蟄」なんて書き込むと、「我が国の固有文化を勝手に使うな」と言われるということもないとは思いますが。
たぶん、無形文化遺産勝ち取った中国語ブログで、3月5日に「2017年的啓蟄是5月3日」と書かれている数よりも、日本語ブログに「今日は啓蟄」という語が入っている数のほうが多い気がします。こういう統計はネットの得意とするところですから、検索かければ、すぐに数がでるのでしょうけれど。
中国のブロガー人数は、人口比からいっても、日本のブロガー数の10倍はあると思いますが、元々「農歴」に由来する二十四節気を気にしながらブログ書いている中国語話者はそれほど多くない。中国語話者のネット層のほとんどが気にするのは気候のあれこれ気温の上下よりも、株価や公定歩合の上下でしょう。
日本のテレビニュースでも、たいてい番組の最後には「どこそこの公園で花が咲いた」だの「○○のなんとかが見頃」だのという「季節のヒマネタ」が放送されています。
お天気と季節のことを話題にしておけば、とりあえずご近所さんとの挨拶のことばに不自由しないという便利さもあり、日本では当分、季節の話題は滅びず、都会には季節を告げる虫なんぞ見なくとも「啓蟄」が消えることはない。
・啓蟄や敵も味方も供養の碑(角川源義)
・啓蟄の土つけて蟻闘えり(鷹羽狩行)
・啓蟄の蚯蚓の紅のすきとほる(山口青邨)
・幾万の啓蟄の日の虫の顔(春庭)
<つづく>
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>どこかで春が生まれてる(1)啓蟄
おそらく、日本中の「たいして見られていないブログ」のネタのないブロガーたちが、本日、虫がわき出るごとくわんさかと話題にしているに違いないことば、「啓蟄」。
暖かくなって、虫たちが地面の穴から這い出すんだってね。などと書いておけば、いっぱしの日記になる。二十四節季のことばは、便利なことこの上なし。
テレビに出ていたアメリカ人が「カナダにもアメリカにも四季はありそれぞれに美しいのに、なぜ日本人は「日本の四季はとても美しい」と言わない外国人の存在を喜ばないのだ。四季は世界中にあるのに」とぼやいていた。
ポーランドの四季もニュージーランドの四季もアイルランドの四季もそれぞれに美しいに違いない。
しかるに、世界に放たれた3月5日のブログのなかで、同じ日に同じことばを検索できるギネス記録となるのは、3月5日の日本のブログ内にばらまかれた「啓蟄」という語であろうかと思います。
中国は、「二十四節気」をユネスコ世界無形文化遺産に登録申請し、2016年10月31日に登録勧告がなされました。
正式に二十四節気が「中国の無形文化遺産」ということになって、日本語ブログに「啓蟄」なんて書き込むと、「我が国の固有文化を勝手に使うな」と言われるということもないとは思いますが。
たぶん、無形文化遺産勝ち取った中国語ブログで、3月5日に「2017年的啓蟄是5月3日」と書かれている数よりも、日本語ブログに「今日は啓蟄」という語が入っている数のほうが多い気がします。こういう統計はネットの得意とするところですから、検索かければ、すぐに数がでるのでしょうけれど。
中国のブロガー人数は、人口比からいっても、日本のブロガー数の10倍はあると思いますが、元々「農歴」に由来する二十四節気を気にしながらブログ書いている中国語話者はそれほど多くない。中国語話者のネット層のほとんどが気にするのは気候のあれこれ気温の上下よりも、株価や公定歩合の上下でしょう。
日本のテレビニュースでも、たいてい番組の最後には「どこそこの公園で花が咲いた」だの「○○のなんとかが見頃」だのという「季節のヒマネタ」が放送されています。
お天気と季節のことを話題にしておけば、とりあえずご近所さんとの挨拶のことばに不自由しないという便利さもあり、日本では当分、季節の話題は滅びず、都会には季節を告げる虫なんぞ見なくとも「啓蟄」が消えることはない。
・啓蟄や敵も味方も供養の碑(角川源義)
・啓蟄の土つけて蟻闘えり(鷹羽狩行)
・啓蟄の蚯蚓の紅のすきとほる(山口青邨)
・幾万の啓蟄の日の虫の顔(春庭)
<つづく>