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ぽかぽか春庭「鈴木其一展inサントリー美術館」

2017-05-25 00:00:01 | エッセイ、コラム
20170525
ぽかぽか春庭アート散歩>調和と崇高(4)鈴木其一展inサントリー美術館

 西洋美術の美意識の一面が、「調和と崇高」であることを述べました。一方の日本美術の美の規範のひとつが桃山時代に顕在化した「侘寂」と「絢爛豪華」。
 黄金の茶室などを権力の象徴として活用した豊臣秀吉の美意識に対抗した千利休の「侘寂」の美意識。

 江戸琳派は、金箔銀箔を用いた大胆な構図で、豪華絢爛な図象を描き出しました。
 琳派は、日本において脈々と受け継がれてきた美意識のひとつです。琳派はそのデザイン性の高さが、西洋美術にも強い影響を与え、ジャポニスムのひとつの典型として受け入れられました。

 昨2016年秋のサントリー美術館、鈴木其一展は、江戸琳派の代表的画家の画業を一覧するのにとてもよい展示でした。

 サントリー美術館の入り口ポスター


 鈴木其一(すずききいつ1796-1858)は、江戸琳派の祖・酒井抱一(さかいほういつ1761-1829)の弟子、家臣、後継者です。

 抱一は、江戸幕府譜代大名酒井家の次男。姫路藩の殿様の子ですから、文芸画芸の習得にも不自由なく、趣味の世界に没入することができました。
 鈴木其一は18歳のとき、抱一に弟子入りし、内弟子として師の身の回りの世話から代筆までこなして修行。33歳のとき、抱一がなくなるまで仕えました。師の死後は、しだいに独自の画境をひらき、江戸琳派をさらに発展させて其一様式と呼ばれる形式も生み出しました。息子守一(しゅいつ)に酒井家絵師の座を譲った後も作品を生み出していきました。

 サントリー美術館には、其一のほか、鈴木守一、酒井抱一の作品などが展示されていました。

 ワビサビ好みな人だと、夏秋渓流図(根津美術館所蔵)や朝顔図(メトロポリタン美術館所蔵)の装飾過多と思える図象をやりすぎ、と感じるのではないか。しかし、其一は、利休も芭蕉も知り尽くした上で、この朝顔を描き、渓流図を描いています。私には、渓流図の色合いは強すぎて、自分の部屋には飾れない、と思いましたが、まあ、レプリカであれ買えないからいいんだけれど。

 朝顔図に見入る人々の姿、ニューヨークに朝顔が帰ってしまっても、朝顔を見るたびに、其一の描いた朝顔図を重ね合わせてしまうのではないと思います。ひまわりを見る私たちの目に、ゴッホのひまわりを重ね合わせてしまうように。

 朝顔図に見入る人々


 朝顔図屏風・右双


 夏秋渓流図 左双秋



 


 
<つづく>
コメント (2)
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