20170617
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>花の絵・花の名(2)クリザンチーム、ホリホック
木蓮の英語名がマグノリアだったこと、今頃わかった、ということを述べました。英語の花の名前、バラがローズ、ユリがリリーくらいは子供の頃から知っていましたが、あとは、おいおいと知ったのもあるし、全く知らないままだったのもあります。
椿=カメリア。
子供の頃読んだ子供版世界名作集かなにかで、「椿姫」というのはマルグリットのあだ名で、胸にカメリアの花=椿をつけている、というような文があったからだとおもうけれど、子供向けの翻案で、マルグリットの商売をどんなふうに描いていたのか、記憶無し。純真な子供は、病気で死んでしまう美しい女の人にひたすら同情したのだったかと思います。
速水御舟「椿ノ花」山種美術館所蔵
菊=クリザンチーム英語chrysanthemum フランス語chrysanthème。
ジャポニズムの本の中に、明治初期に来日したフランス人作家ピエール・ロティ(1850-1923)の小説「お菊さんMadam Chrysantheme(1887)」があったので、菊=クリザンチームと覚えたのだったと思います。
鹿鳴館で踊る日本人について「黄色い猿たち」と書いたロティの作なので、「お菊さん」読んでませんけれど。日本在留1か月の間だけ「かわいい人形のような女性」を傍らに置くことを望んだロティ。18歳のお兼さんが、1か月間だけの「日本妻」になって、お菊さんのモデルになったと知ると、ロティについて、ますます印象が悪くなります。
酒井抱一「菊小禽図」山種美術館所蔵
水仙=ダフォディルdaffoddil
1964年にリリースされたブラザースフォアの「7つの水仙」」でDaffodils=水仙と知りました。(1957年リー・ヘイズ&とフラン・モズリーによって作られた)。
60年代後半、アメリカのフォークやポップスを英語で歌いたいと思ったのですが、曲にカタカナで書いた歌詞を当てはめていくと、どうしてもカタカナ英語が余るのです。それで、英語はきっぱりあきらめました。
小茂田青樹「水仙」山種美術館所蔵
芥子=ポピーpoppy
花屋に並んでいるかわいらしいポピーと、阿片をとる危険なイメージの芥子が同種のものだと、長い間一致していませんでした。別の植物だと思っていたのです。阿片を採取するopium poppyは白い芥子だけ。いつ一致したのか、記憶がありません。
阿片(ピンインでは: a piàn アーピエン)の発音が、英語だとopiumとなり、日本語では阿片を音読みしてアヘン。
土田麦僊「芥子図」山種美術館所蔵
立葵=ホリホックhollyhock
6月4日に山種美術館で「「花*Flower*華―琳派から現代へ―」の「植物名解説」を見て、へぇ、タチアオイのことホリホックというんだ、と知りました。6月8日に、ブロ友くちかずこさんの記事にお庭に咲いたホリホックの写真が載りました。淡いピンクの八重咲きです。私は一重のタチアオイしか見たことなかったので、これは初めてと思ってコメントすると、「ホリホックは西洋立葵」と、コメ返がありました。ホリホックは、日本の花葵よりも広い範囲を指すみたいです。マグノリアが広く木蓮科全体を指すのと同じです。
日本には古くから移入されましたが、これはタチアオイには薬草としての効能があったから。万葉集にも葵が詠みこまれています。棗や黍、粟などの食用植物と共に読まれているので、若葉を食用にした冬葵に比定されるけれど、牧野富太郎博士は、タチアオイ説を主張。
・梨(なし)棗(なつめ)黍(きみ)に粟(あは)つぎ 延(は)ふ葛の 後(のち)も逢はむと葵花(あふひはな)咲く(巻16-3834 作者未詳)
(梨が生り棗や黍、粟も次々と実り、時節が移っているのに、あの方に逢えません。でも、伸び続ける葛の先のように、後々にでも逢うことが出来ますよ」と言うように、葵の花が咲いています。)
恋しいキミ(キビ)に「逢ふ日あふひ=葵」に願いを託すのなら、やっぱり冬葵よりもタチアオイのほうがいいように思います。
荒木十畝「四季花鳥」より《「夏(玉樹芳艸)」山種美術館所蔵
<つづく>
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>花の絵・花の名(2)クリザンチーム、ホリホック
木蓮の英語名がマグノリアだったこと、今頃わかった、ということを述べました。英語の花の名前、バラがローズ、ユリがリリーくらいは子供の頃から知っていましたが、あとは、おいおいと知ったのもあるし、全く知らないままだったのもあります。
椿=カメリア。
子供の頃読んだ子供版世界名作集かなにかで、「椿姫」というのはマルグリットのあだ名で、胸にカメリアの花=椿をつけている、というような文があったからだとおもうけれど、子供向けの翻案で、マルグリットの商売をどんなふうに描いていたのか、記憶無し。純真な子供は、病気で死んでしまう美しい女の人にひたすら同情したのだったかと思います。
速水御舟「椿ノ花」山種美術館所蔵
菊=クリザンチーム英語chrysanthemum フランス語chrysanthème。
ジャポニズムの本の中に、明治初期に来日したフランス人作家ピエール・ロティ(1850-1923)の小説「お菊さんMadam Chrysantheme(1887)」があったので、菊=クリザンチームと覚えたのだったと思います。
鹿鳴館で踊る日本人について「黄色い猿たち」と書いたロティの作なので、「お菊さん」読んでませんけれど。日本在留1か月の間だけ「かわいい人形のような女性」を傍らに置くことを望んだロティ。18歳のお兼さんが、1か月間だけの「日本妻」になって、お菊さんのモデルになったと知ると、ロティについて、ますます印象が悪くなります。
酒井抱一「菊小禽図」山種美術館所蔵
水仙=ダフォディルdaffoddil
1964年にリリースされたブラザースフォアの「7つの水仙」」でDaffodils=水仙と知りました。(1957年リー・ヘイズ&とフラン・モズリーによって作られた)。
60年代後半、アメリカのフォークやポップスを英語で歌いたいと思ったのですが、曲にカタカナで書いた歌詞を当てはめていくと、どうしてもカタカナ英語が余るのです。それで、英語はきっぱりあきらめました。
小茂田青樹「水仙」山種美術館所蔵
芥子=ポピーpoppy
花屋に並んでいるかわいらしいポピーと、阿片をとる危険なイメージの芥子が同種のものだと、長い間一致していませんでした。別の植物だと思っていたのです。阿片を採取するopium poppyは白い芥子だけ。いつ一致したのか、記憶がありません。
阿片(ピンインでは: a piàn アーピエン)の発音が、英語だとopiumとなり、日本語では阿片を音読みしてアヘン。
土田麦僊「芥子図」山種美術館所蔵
立葵=ホリホックhollyhock
6月4日に山種美術館で「「花*Flower*華―琳派から現代へ―」の「植物名解説」を見て、へぇ、タチアオイのことホリホックというんだ、と知りました。6月8日に、ブロ友くちかずこさんの記事にお庭に咲いたホリホックの写真が載りました。淡いピンクの八重咲きです。私は一重のタチアオイしか見たことなかったので、これは初めてと思ってコメントすると、「ホリホックは西洋立葵」と、コメ返がありました。ホリホックは、日本の花葵よりも広い範囲を指すみたいです。マグノリアが広く木蓮科全体を指すのと同じです。
日本には古くから移入されましたが、これはタチアオイには薬草としての効能があったから。万葉集にも葵が詠みこまれています。棗や黍、粟などの食用植物と共に読まれているので、若葉を食用にした冬葵に比定されるけれど、牧野富太郎博士は、タチアオイ説を主張。
・梨(なし)棗(なつめ)黍(きみ)に粟(あは)つぎ 延(は)ふ葛の 後(のち)も逢はむと葵花(あふひはな)咲く(巻16-3834 作者未詳)
(梨が生り棗や黍、粟も次々と実り、時節が移っているのに、あの方に逢えません。でも、伸び続ける葛の先のように、後々にでも逢うことが出来ますよ」と言うように、葵の花が咲いています。)
恋しいキミ(キビ)に「逢ふ日あふひ=葵」に願いを託すのなら、やっぱり冬葵よりもタチアオイのほうがいいように思います。
荒木十畝「四季花鳥」より《「夏(玉樹芳艸)」山種美術館所蔵
<つづく>