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ぽかぽか春庭「ひまわり短歌ひまわり俳句」

2017-06-29 00:00:01 | エッセイ、コラム

グスタフ・クリムト「ひまわり」

20170627
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>花の絵、花の名(8)ひまわり短歌ひまわり俳句

 2012年8月の「ひまわり蘊蓄」を再録しています。
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2012/08/29
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>ひまわり蘊蓄(9)ヒマワリ短歌とヒマワリ俳句

<ひまわり短歌>

粗布しろく君のねむりを包みゐむ向日葵が昼の熱吐く深夜 春日井健(1938 - 2004)

一粒の向日葵の種まきしのみに荒野をわれの処女地と呼びき 寺山修司(1935 - 1983)
旧地主帰りたるあと向日葵は斧の一撃待つほどの黄 寺山修司

向日葵の花は実となる確かさの見えつつありて日々はやく逝く  安立スハル(1923-2006)

道化師と道化師の妻 鐵漿色(かねいろ)の向日葵の果(み)をへだてて眠る 塚本邦雄(1920 - 2005)             
                         
風落ちて夕づく畑の大いきれ 我が立ちあふぐ向日葵の花 岡山巌(1894-1969)
                         
おほほしく曇りて暑し眼のまへの大き向日葵花は揺すれず 中村憲吉(1889 - 1934)
なやましく漸く嵐の吹きたれば重くすすれし向日葵の花)   中村憲吉

向日葵は諸伏しゐたりひた吹きに疾風ふき過ぎし方にむかひて  斎藤茂吉(1882 - 1953) 

さ庭べに竝びて高き向日葵の花雷とどろきてふるひけるかも斎藤茂吉
向日葵(ひまはり)は金の油を身にあびて ゆらりと高し日のちひささよ 吉井勇(1886年 - 1960)

恐ろしき黒雲を背に黄に光る向日葵の花見ればなつかし 木下利玄(1886年 - 1925)
心がちに大輪向日葵かたむけりてりきらめける西日へまともに 木下利玄

あからひく日にむき立てる向日葵の悲しかりとも立ちてを行かな 古泉千樫(1886 - 1927)
まひるの潮満ちこころぐし川口の橋のたもとのひまわりの花 古泉千樫

向日葵のおほいなる花のそちこちの弁ぞ朽ちゆく魂のごとくに 若山牧水(1885 - 1928)

恋びとよいざくちづけよ烈しくと叫ぶがごとき向日葵の花 前田夕暮(1883-1951)

髪に挿(さ)せば かくやくと射る 夏の日や 王者の花の こがねひぐるま 与謝野 晶子(1878年 - 1942) (ひぐるま=ひまわり)
おりたちて水を灌げる少年のすでに膝まで及ぶ向日葵 与謝野晶子

輝やかにわが行くかたも恋ふる子の在るかたも指せ黄金向日葵(こがねひぐるま) 与謝野鉄幹(1873 - 1935)

 ピエール=ジョゼフ・ルドゥテ (Pierre-Joseph Redoute、1759 - 1840)は、ナポレオン1世の妃、ジョセフィーヌの薔薇園に出入りしてバラ図譜を残したことで有名ですが、ひまわりの植物画も描いています。「ガイラルディア(テンニン菊)」
<ひまわり俳句>

向日葵の蕊焼かれたる地図のごと 今井聖(1950 - )

向日葵や信長の首切り落とす 角川春樹(1942-)

大ひまはり花壇の外に咲いてをり  大串章(1937-)

向日葵の影より黒きものを見ず  松澤昭(1925-)

向日葵の瞠(みは)る旱を彷徨す  野澤節子(1920 - 1995)

向日葵おごるとき拳白かりき  金子兜太(1919-  )

ひまわりの日没といる無蓋貨車  国武十六夜(1919- 2012 6月15日死去)
  
向日葵や越後へ雨の千曲川 森澄雄(1919 - 2010)
向日葵や起きて妻すぐ母の声  森澄雄

追撃兵向日葵の影を越え斃れ  鈴木六林男(1919 - 2004)

向日葵を野太く咲かせ後継者  中村路子(1917 - 1999)

遠く飛んだ種子の不逞さ焦げ向日葵  堀葦男(1916 - 1993)

われ蜂となり向日葵の中にいる  野見山朱鳥(1917 - 1970)

夕浅間向日葵は黄を強く放つ  桂信子(1914 - 2004)

恍惚と秘密あり遠き向日葵あり  藤田湘子(1914 - 2004)

実の向日葵少年グローブに油ぬる 古沢太穂(1913 - 2000)

海の音ひまはり黒き瞳をひらく  木下夕璽(1914-1965)

大向日葵囚はれの如活けられぬ  石田波郷(1913 - 1969)
向日葵にひたむきの顔近づき来  石田波郷
向日葵や咲く前に葉の影し合ひ  石田波郷

向日葵をふり離したる夕日かな  池内友次郎(1906 - 1991)

向日葵に剣のごときレールかな 松本たかし(1906 - 1956)
山畑に向日葵咲きて山よ濃し 松本たかし

向日葵の黄に堪へがたくつるむ  篠原鳳作(1906 - 1936)
わだつみの辺に向日葵の黄ぞ沸きし 篠原鳳作

向日葵や一本の径陰山へ 加藤楸邨(1905-1993)
きのふわが夢のかけらの小向日葵 加藤楸邨

塀出来て向日葵ばかり見ゆる家 星野立子(1903-1984)

向日葵の蕊を見るとき海消えし  芝不器男(1903 - 1930)

われら栖む家か向日葵夜に立てり 山口誓子(1901-1994)
向日葵立つ方位未確の山の上 山口誓子

向日葵は連山の丈空へ抽く 中村草田男(1901‐1983)
山の陽は木と水の友向日葵澄む 中村草田男
向日葵や戦場よりの文一行 中村草田男
向日葵に澄む即興の子を守る唄 中村草田男
小向日葵わが広額に納まるらん 中村草田男
向日葵やガード都の門をなす 中村草田男
向日葵は連山の丈空へ抽く 中村草田男
山の陽は木と水の友向日葵澄む 中村草田男
日まはりや永歎きしてうとまるる 中村草田男

・向日葵の大声でたつ枯れて尚  秋元不死男(1901 - 1977)

向日葵のひらきしままの雨期にあり 中村汀女(1900-1988)
たまたまの日も向日葵の失へる 中村汀女

鸚鵡叫喚日まはりの花ゆるるほど 三好達治(1900 - 1964)

高原の向日葵の影われらの影 西東三鬼(1900‐1962)

ひまはりの昏れて玩具の駅がある 三橋鷹女(1899-1972)
向日葵を剪るみほとけの花ならず 三橋鷹女
縋らむとして向日葵もかなしき花 三橋鷹女
向日葵の大輪切つてきのふなし 三橋鷹女
向日葵の一茎がくと陽に離る 三橋鷹女
星出でてより向日葵は天の皿 三橋鷹女

向日葵に天よりあつき光来る  橋本多佳子(1899 - 1963)
向日葵は火照りはげしく昏てれゐる 橋本多佳子

向日葵の眼は洞然と西方に  川端茅舎(1897‐1941)

向日葵や月に潮くむ海女の群 西島麦南(1895-1981)
向日葵に昼餉の煙ながれけり 西島麦南

キリストに向日葵あげて巷の中  山口青邨(1893-1988)
キリストに挿せし向日葵のみ新た  山口青邨
二重窓小窓をもてり向日葵黄  山口青邨

向日葵の空かがやけり波の群 ) 水原秋櫻子(1892 - 1981)
向日葵に馳せくる波の礁を超ゆ) 水原秋櫻子
向日葵にたぎちて帰る波の列)  水原秋櫻子
向日葵にとほき紺青の波の列)  水原秋櫻子
向日葵が咲くのみ運河廃るるか)  水原秋櫻子
向日葵や都心変りて行き迷ふ)  水原秋櫻子
向日葵や雷後渦ゆく神田川)  水原秋櫻子

ひまはりのたかだか咲ける憎きかな) 久保田万太郎(1889-1963

日を追はぬ大向日葵となりにけり 竹下しづの女(1887-1951)

向日葵もなべて影もつ月夜かな 渡辺水巴(1882 - 1946)

向日葵やいはれ古りたる時計台 富安風生(1885 - 1979)

向日葵の月に遊ぶや漁師達  前田普羅(1884 - 1954)

向日葵や日ざかりの機械休ませてある 種田山頭火(1882 - 1940)

日天やくらくらすなる大向日葵 臼田亞浪(1879 - 1951)

向日葵が好きで狂ひて死にし画家  高浜虚子(1874 - 1959)
葉をかむりつつ向日葵の廻りをり  高浜虚子

日まはりの花心がちに大いなり  正岡子規(1867 - 1902)

<つづく>
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20170629の付け足し
 
山種美術館は、館内撮影禁止ですが、今回はじめて、酒井抱一の「月梅図」は撮影許可でした。
 絵の横には「フラッシュ三脚禁止、ブログ等にUPした場合のトラブルなどに当館は関与しない、観覧者の迷惑にならないようにせよ」等の注意書きがあっての上の撮影許可でしたが。

「月梅図」酒井抱一


 これまで館内撮影許可を出したことのない山種にしては、気前がいいなあと思っていたら、図録には絵が載っておらず、出品目録にも作品名がないのです。写真撮影許可をだしておきながら、なぜ図録にのせなかったのか。摩訶不思議。真贋判断でもしているのか。

 美術品の真贋論争もいろいろですが、世間様では、文科省が所在を認めた文書を、総理府は認めない。はたしてメールは真なのやら贋なのやら。奇々怪々です。しらじらしい政府答弁にしらけっぱなしですが、まあ、花の絵でも眺めて、心に美をとりもどしましょう。
 山種美術館の「花*Flower*華―琳派から現代へ―」の植物名解説を見て始まった今回の「花の絵、花の名」シリーズ、これにておひらき。



<おわり>
コメント (2)
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