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ぽかぽか春庭「中国琵琶の調べby唐華」

2017-10-05 00:00:01 | エッセイ、コラム

唐華まちかどコンサートポスター

20171005
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2017十七音日記音楽の秋(3)中国琵琶の調べby唐華タンファ ~中国琵琶の伝統と現代音楽

 はじめて、中国琵琶(Pipa)の独奏を聴きました。中国に赴任している間、中国民族楽器の音色にひかれ、「民族楽器オーケストラ」の音楽などは聴いたことがありますし、日本でも女子十二楽坊など人気演奏家による琵琶演奏を聴いてきました。楊琴も、二胡も中国琴も好きです。が、琵琶だけの独奏を聴いたのは初めてです。

 Pipaは、もともとはシルクロードの先、西域で生まれた楽器です。西域では「ウード」などの弦楽器として存続しています。さらに西へ向かえば、リュートやギターになり、北へ行けばバラライカ。中国朝鮮から日本に渡った琵琶は、正倉院に残されている楽器を伝えて1500年。おそらく、渡来時の形を変えていないと思います。日本の琵琶はバチで弾きます。音色は重厚でベベベンと鳴り響きます。

 中国では、西域から渡った琵琶を、長年の間に大きく演奏法も形も変えてきました。Pipaは立てて膝上に抱え、左手でフレットを押さえるのは日本琵琶と同じですが、バチで弾きません。右手の5本の指全部に爪をつけ、演奏法はマンドリンに近いです。爪は毎回テープで指に留めます。親指でメロディを弾き、他の4本でトレモロの伴奏をつけるなどの奏法が自在にできます。重厚な響きも軽やかな響きも出せます。琵琶の中国語発音はピパ。ビワよりもピパのほうが軽やかな印象ですが、音もその通り。

 10月1日午後2時開演。区民センター第3ホール。無料「まちかどコンサート」。 出演は、唐華(タンファ)さん。

 唐華さんは、中国四川省成都の出身。両親とも音楽家という恵まれた環境で、7歳からバイオリン、9歳から琵琶を始めました。四川音楽学院大学付属高校に琵琶専攻で入学。同大学民族音楽学部を卒業。1986年国立中央歌舞団に入団し、ソリストとして活躍。1991年に同団退団後は、日本を拠点にしつつ、アメリカやドイツなどで演奏。
 13年間の日本滞在を終えて 2004年に中国成都へ帰国。息子2人を育てつつ日本と中国を往復して演奏活動を続けました。

 2015年に「唐華琵琶スタジオ」を成都に設立し、後進の指導と演奏活動を積極的に行う一方、2016年5月に成都民族管弦楽団と中国琵琶の協奏曲を共演、また、2017年3月に琵琶とマンドリンアンサンブルのための「結歌〜むすぶうた」を、アンサンブル テスタ カルドと東京で初演。同年6月〜7月ドイツ6都市で計7回のコンサートなど、演奏も活発に続けています。

曲目紹介をする唐華さん


 今回は、演奏の半ばで、上智大学に留学中の息子さんがパソコンの写真をプロジェクターに映しながら、15分ほどの成都紹介をしてくれました。息子さんは7歳のとき中国に帰国したということですが、日本語はなかなか流暢でした。

 唐華さんは息子さんを紹介するとき「私のイケメンの息子です」と言ったので、聴衆は笑ってなごみました。息子さん、本当にイケメンだったのです。たぶん、唐華さんは本気で言い、聴衆は「ジョーク」と思って聞いたんじゃないかと思います。

 50人ほどの聴衆、退職世代のジジババたちです。日本人なら、自慢の息子であればいっそうのこと、「うちの豚児」「わたしのどら息子」なんて言うところです。日本在住13年という唐華さんですが、堂々「イケメンの息子」と表現する感覚は、日本のジジババには通じないかも。私は、下手な謙遜なんぞせずに自分の妻を「私の妻は世界一美人です」と言ったり、娘を「大学でもっとも優秀な才女」と言うアメリカ人や中国人の感覚も好きですが、日本にいれば、「うちの豚児」に対しては褒なかなかめ言葉は使えない。

 曲目。
1)阳春白雪(陽春白雪ヤンチュンパイシュェ)琵琶古曲
 中国Pipa曲の中でもっとも有名な一曲。大勢の琵琶奏者の演奏がありますが、youtubeに唐華さんの演奏はなし。
2)寒鴨遊水(ハンヤーシーシュイ)漢楽古曲
 もともとは潮州音楽の箏曲。劉宝珊(リュウパオシャン)がPipa曲に編曲。
3)白鳥スワン 劉徳海(リュウデュハイ)作曲
4)彩雲追月(ツァイユンジュイユエ) 王範地(ワンファンディ)編曲
5)天山之春(ティアンシャンジーチュン) 王範地(ワンファンディ)編曲
6)琵琶譚詩 三木稔作曲の琵琶協奏曲第二楽章琵琶ソロ部分を独立させてやや短く編曲した独奏曲。
7)覇王卸甲(バーワンシエジャ)劉邦と項羽のたたかいを描いた曲。軍営を築き、たたかい、四面楚歌を聞き、ついに破れて自刃するまでの項羽の生涯を描く13曲。
アンコール 赤とんぼ

 とてもすばらしい演奏でした。7曲目の覇王卸甲は、Pipa演奏技術のすべての技法が入っているという解説でした。技法も感情のこめ方もすごかった。よい演奏を聴くことができて、はじめての中国琵琶の音色も大好きになりました。

 唐華さんの明るいお人柄も魅力的。とてもチャーミングな方でした。美人のお母さんに似た息子さん、長男次男ともイケメン。
 演奏終了後、唐華さんと息子さんたちが知り合いと記念写真している間、琵琶は机の上に置かれてあったので、写真に撮らせてもらいました。

唐華さんのPipa

 
2017年10月1日の唐華妈妈(マーマ)もきれいでしたよ。


<つづく>
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