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ぽかぽか春庭「ゴッホ巡りゆく日本の夢」in 都美

2017-10-29 00:00:01 | エッセイ、コラム

ゴッホ展チラシ

20171029
ぽかぽか春庭@アート散歩>2017秋のアート(7)ゴッホ展 in 東京都美術館

 東京都美術館でゴッホを見るのは、今年3回目になります。ゴッホとゴーギャン展、ボストン美術館展(メイン展示がゴッホの「ルーラン夫妻」)そして、今回の「ゴッホ 巡りゆく日本の夢」(会期2017.10.24-2018.1.8)です。

「画家としての自画像」を用いた案内板(絵がちょっと斜めになってしまいました)


10月27日、なんとかフライデーで午後の人出はおおかったですが、夜7時半に入場締め切りとなってからは、絵を一人で独占して見ていられる時間もできました。金曜日は夜8時まで開館。

「サント・マリーの道」


 2017年5月にゴッホとゴーギャン展で見た絵にまた会えました。自画像、アルルの女(ジヌー夫人像)、ある男の肖像など。クレラーミューラー財団など、貸元が何度も同じ絵を貸してくれたのか、前に借りたのをそのまま都美が押さえておいたのか知らんが。

 東京都美術館の3つのゴッホ展、それぞれの担当学芸員が長い準備期間を経て、所蔵元と交渉し、展示や図録などへのさまざまな準備を続けて展覧会が実現するのだろうと思います。けれど、1年にゴッホ3回というのは、東京都美術館の学芸員、ゴッホ好きが集まったのかしら。
 今回の「ゴッホ巡りゆく日本の夢」を担当したのは、岡本純子学芸員。
 5月に見た「ゴッホとゴーギャン展」の担当は大橋菜都子学芸員。3年ほどまえに大橋学芸員が担当したルーブル美術館展もよかった。大橋さんは岡本純子学芸員と大学院のゼミ同窓だそうです。

 こちらは楽しく絵を見るだけで、ときに「会場の周り方の動線が悪い」なんぞと不平こぼしたりする気楽なものですが、担当者は会期が終わるまで並々ならぬ努力をしているのだと感じた展覧会でした。
 若くて知性豊かな学芸員の努力の結晶の展示の数々、会場を3周してゆっくり拝見。

 都美のHPなどで、大橋学芸員や岡本学芸員のインタビュー記事を読んだり、各地で行った講演会の記録などを読んだりして、学芸員の苦労もよくわかり、またそれぞれが担当する展覧会に寄せる情熱も伝わりました

 ゴッホが日本の浮世絵その他にどれほど大きな関心を寄せていたか、ゴッホが写した元の浮世絵と対照させて展示されていました。

 アルルの雪景色を見たゴッホは、テオあての手紙に「日本の雪景色のようだ」と、書いたそうです。
「遠景にアルルの町を望む雪景色」


絵はがき「オレンジ・レモン・黒い手袋のある生物」


絵はがき「タネ撒く人」


 絵はがき「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」


 今回の展示、1階の第2部展示の大部分を占めたのは、ガシエ博士の家に残された日本人芳名録を中心に研究された成果でした。
 ゴッホが描いた「医師ガシエの肖像」でその姿を残したゴッホの主治医。ゴッホの絵に自分で筆を加えてしまったのではないか、という疑惑ものこされた人物ですが、その子孫はゴッホを慕って自宅にやってくる日本人たちをあたたかくもてなしたようです。

 白樺派をはじめ日本の文学者や画家たちが、ゴッホにどれほど魅了されていたかが、ゴッホの作品を所有していたガシエ家の芳名録によって、明らかにされています。
 
 日本と他の地域の交流に関心を持つ春庭にとっても有益な展示だったので、自分でチケットを買って入ったときは、音声ガイドや図録にお金を使わない、という自分ルールを破って図録を買ってきました。
 
展示場入り口


 2017年に見た3度のゴッホ。ゴーギャンとの友情をテーマにした回、コレクターに焦点を当てたボストン美術館に収集されたゴッホ、今回の日本との影響関係をテーマにした展示、それぞれに面白かったです。
 そして、キュレーターの努力に感服した展示でもありました。どの展覧会でもキュレーターはそれぞれにがんばっているのですが、いつもは絵だけ見ていて、縁の下の力持ちには意識がいかない。けれど、たまにはキュレーターに感謝しながらの鑑賞もいいのかも。

上野公園の案内板 


<おわり>
コメント (2)
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