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ぽかぽか春庭「春の路線バス」

2018-02-15 00:00:01 | エッセイ、コラム
20180215
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2018十八番日記光の春(6)春の路線バス

 新しい仕事先に通うようになり、今まで乗ったことのないバスに乗ってみるなど、小さな「新しい出来事」に出会います。
 23区の都バスは全線220円で、前から乗ってお金を払い、後ろドアから降りるのですが、多摩の私が乗るバスは、後ろドアから乗って、前でお金を払っております。こんな小さな違いでも、年寄りはとまどいつつ、また新しいやりかたに新鮮さを感じたりしています。

 まだ慣れないバス路線なので、毎回運転手さんに「このバスは健康センター前にとまりますか」とたずねてから乗るようにしているのですが、運転手さんの反応はさまざま。

 あるバスの運転手さんに「このバスは健康センター前にとまりますか」と、たずねたら、めんどうそうに「え?知らないなあ」と答えたので、びっくりしました。自分が運転するバスなのですから、路線中の停留所名の中に、「健康センター」というのがあれば「はい、止まります」だし、なければ「いいえ、とまりません」そのどちらかの返事になると思うのに、「知らないなあ」って、どういうこと?自分が運転する路線の停留所じゃないから知らないってことだったのでしょうか。

 次に来たバスの運転手さんに同じことを尋ね、止まることを確かめたのちに、「知らないなあ」という返答の意味を聞いてみました。
 とても丁寧な運転手さんで、「ふたつのバス会社があり、それとは別のコミュニティミニバスも走っています。それで、他社のバスのことを知らないと答えたんじゃないですか」という説明でした。それにしても、止まるか止まらないかだけ答えればすむことなのに、「知らないなあ」という答えを聞いたのは初めてでした。

 「ものはいいよう」とは、使い古されたことわざですが、少なくとも、仕事上のことには責任をもって尋ねた人にこたえてほしい。
 八百屋さんは扱っている野菜について聞かれたら、「こっちのタラの芽は栽培ものじゃなくて山の地物だから、ちょっと苦みがあるけれどおいしいよ」とか、魚屋さんは魚について聞かれたら、旬やら料理法やら答えてほしい。本屋さんは、「今月出た、〇〇さんの書いた本で、小説じゃなくてエッセイだったんだけれど、書名忘れた」という私のあいまいな注文に、さっと目当ての本の場所に連れて行ってくれる店員さんがいる店で買いたい。

 「知らないなあ」のバス会社には、あまり乗りたくないです。

 バス路線のわきには、紅梅が咲き始めた庭もあります。
 まだまだ寒いけれど、私はことばだけでも人が温かみを感じるような言葉遣いをしていきたいです。

<つづく>
コメント (6)
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